メルマガ:少女の性シリーズ
タイトル:少女の性 297  2018/03/04


少女の性 第二百九十七部

「コースにしたんだ。何か理由があるの?」
「ええ、ちゃんとあります。もうすぐ分かりますよ。それじゃ、乾杯しましょう。お疲れ様です」
「乾杯」

二人はお通しを突きながらビールを飲み始めた。すると、先付けが出てきた。松野はとても嬉しそうだ。宏一はまだ不思議に思いながらも突き出しを突こうとして気が付いた。

「舞さん、これ・・・・」
「わかりましたか?」
「もちろん。できたの?」
「はい、試作品なんですけど、やっと今日できたんです。それで真っ先に宏一さん、て読んでもいいですよね?宏一さんに食べて欲しくて。ここ、店長は知り合いなんです。それで入れてもらったんです」
「へぇ、よくできてるね」

宏一は先付けの中に入っている練り物を見た。一つは四角いさつま揚げの真ん中に透明な窓が付いており、中に梅の形に切った赤いニンジンらしいものが入っている。もう一つは長い円筒形の真ん中が透明になっていて中にゴボウらしいものが入っているのが見えている。

「そうか、ゴボウ巻きは両端を出さないと何が入っているか分からないけど、こうすれば両端を出す必要がないんだ」
「そうなんです。両端を出さないようにすると、ゴボウの端っこばっかり揚がって固くなる心配がないんですよ」
「へぇ、それはすごいね」
「工場の人とミーティングしてるときに出てきたアイデアなんです。真ん中に窓を付けると、巻物って言う長いすり身は揚げ時間が変わるんです」
「窓は揚げる時にだめになったりしないんだ・・・・」
「まだ時間の制限はあるんです。あんまり揚げるとやっぱり窓のこんにゃくが揚がってしまって白くなるんですけど、短い時間なら大丈夫。それで、食べてみて下さい」
「うん、いただくよ」

宏一が興味津々でゴボウ巻きを食べてみると、窓の部分が独特の食感だ。

「これ、透明な窓の部分?何か面白い食感だね」
「そうなんです。揚げる時の耐熱性を持たせるためにこんにゃくの固さを外側と中で変えてあるんです。もともとこんにゃくの外と中で固さを変える技術はあったんですけど、何に使って良いか分からなくてそのままになってたのを今回使ったんです」
「そんな特殊な技術を使ったなら、高くなっただろう?」
「いいえ、こんにゃくはこんにゃくですから。製造装置もそんなに特殊なものじゃないんですよ。まだ価格は決めていないんですが、十分普及範囲に入ると思っています。そうじゃなきゃ意味ないですから。それで、どうですか?」
「うん、味はもちろん良いね。中に入ってるゴボウも美味しい。目と口で楽しめるからね。ただ・・・・」
「言って下さい」
「うん、窓のこんにゃくの食感は楽しめるけど、すり身とあんまりくっついていない感じだから、口に入れた時にポロってこんにゃくが飛び出してくるよね。それってどうなんだろうね」
「やっぱり気が付きましたか」
「そりゃ気が付くよ。きっと誰でも」
「やっぱり変ですか?試食した時はみんなそんなに違和感がなかったみたいですけど・・・・」
「そりゃ、作ってる人は食べる前からどんなものか分かってるものね。でも、買う人は普通のゴボウ巻きと比べるだろ?プラスの点は良いだろうけど、ポロって外れるのはどうかなぁ」
「そうですか・・・・・。確かに、実は窓はすり身にくっついていないんです。内側を少し大きくして、すり身にはめ込むようにして入れてるんです。それじゃだめなんですね・・・・・」
「試験販売してみないとなんとも言えないとは思うけどね。ただ、こんにゃく自体は食感だけで味がないだろ?味が無いものが中で飛び出してくるのはどうかなぁ。いっそのこと、味を付けてみたら?」
「・・・・・分かりました。考えてみます・・・・・」

松野はちょっと考え込んでしまった。先程までの笑顔はどこかに行ってしまったみたいだ。さすがに宏一は悪いことをしたと思った。

「ごめんなさい。ちょっと思いついたから。でも、上手く売れるかも知れないし」
「最初は珍しさで少し売れるでしょうけど・・・・・・・。窓に味を付けるんですか・・・・・・・透明な窓が濁ると・・・・・・」
「それなら、こんにゃくとすり身の混ぜたものを使ってのりを作ってくっつけるって言うのは?」
「そうですね・・・それも試さないと・・・・」
「それじゃ、更に、元々中味をこんにゃくに入れておいて、その周りをすり身で覆って一部窓を開けるって言うのは?」
「三谷さん、あなたってどういう人なんですか?」
「え?気を悪くした?ごめんなさい。そういうつもりじゃなくて」
「私たちが何時間もかかって一つのアイデアを出すのに、今は一口食べただけで次々にポンポンアイデアを出して。それじゃ私たちの立場がないじゃないですか」
「ごめんなさい。反省します」
「いいえ、反省するのは私たちです。三谷さんじゃありません。私たちが思いつかなきゃいけないのに、三谷さんがあっという間に次々とアイデアを出すから。ちょっと落ち込んだだけ」

そう言うと松野は力なく笑った。

「そんなこと言わないでよ。やっとここまで来たのに。これ、俺は好きだよ。食感が楽しいからね。見た目もインパクトあるし」
「はい、ありがとうございます」
「俺だってシステムを作るって仕事をしてるから、ここまで新しいアイデアを形にするってどれだけ大変かよく分かってるよ。だから、試作品でここまで来ればたいしたものだと思うよ。後は、あちこちのプロに話を聞いてみれば良いよ。こんな居酒屋のマネージャーとかレストランのシェフとか。うん、それがいい。舞さん、そうしようよ」
「優しいんですね。次々に気を遣ってくれて・・・・。実は、ここのマスターにも聞いたんですが、ちょっと反応が微妙で・・・」
「そう言うことじゃなくて俺はこの・・・」
「ううん、ちょっと愚痴っちゃいました。ごめんなさい。後は楽しみましょう。仕事の話はここでおしまい」

松野はそう言うと、宏一にビールを勧めた。

「それで、宏一さんは今日、何時まで良いですか?」
「別に・・・・舞さんは?」
「出張の途中で東京に戻っただけなので、明日も朝から鹿児島に行きますし・・・・・・だから・・・・・あの・・・・・」

急に口が止まってしまった松野は何か言いたげだ。

「なに?いってごらん?」

宏一が顔を近づけると、舞は小さな声で言った。

「今日は・・・・・ずっと一緒に居ても良いですか?」

朝まで一緒に居たいと言うことだ。もちろん独り身の宏一は構わない。

「何だ。そんなことか。もちろん大丈夫だよ」
「そんなことって・・・・」
「ごめんなさい。舞さんにとっては重大なことだものね。言い方が悪かったね。俺にはそう言うことは余り気にしなくて良いって事。男の独り身だから」

宏一がそう言うと、松野は更に小さな声になった。

「それじゃ・・・あの・・・・・宏一さん、今、お付き合いしてる人は・・・・・・・」
「特定の恋人で将来を決めた人って事?居ないよ。もちろん女の子と会わないわけじゃないけど」
「それは今日の私だってそうだから・・・・・」

松野はそこまで言うと、話題を切り替えた。これ以上ここで話す雰囲気ではないと思ったのだろう。二人はその後、楽しく食事をしてから松野の行きつけのバーに行くことにした。宏一が勘定を済ませて外に出ると、松野は車を拾って待っていた。
タクシーに乗ると、松野は少し宏一に身体をくっつけてきた。そして甘えるように頭を肩に載せる。それはタクシーで許される最大限のことだ。

「あのね、言うと怒られるかも知れないけど、営業の人っていつも美味しいものを食べられて良いなって思うんだ」
「でも、それは仕事ですから。こんなにリラックスした気分で食事をしたのは久しぶり」
「そうなんだ。やっぱり仕事での食事は気を遣うんだね」
「それはもちろん。会議の後の仲間での懇親会とかならまだしも、接待とかになると大変だから」
「俺はそう言う苦労は知らないなぁ」
「知らなくて良いです」
「特に女性だともっと大変なんだろうなぁ」
「そう。女性だって分かった途端、不機嫌になったり、怒る人だって居るんだから」
「へぇ、やっぱり俺の知らないことばっかりだな」
「それに、二次会まで接待の時はもっと大変だし、着替えだってしなくちゃいけない時もあるから」
「着替えか。男性は無いものね」
「スーツ一着の着た切り雀なんて、女性にはあり得ないもの」

そんなことを話していると、車はバーの入り口に着いた。

「さ、宏一さん、ここです。地下なんだけど、入って下さい」

そう言うと松野は宏一をバーに案内した。そこは地下にある雰囲気の良いショットバーで、松野が予約してあることを告げると二人席に案内された。

松野は直ぐにテキーラサンライズとジントニックにチーズプレートを注文すると、宏一を静かに見つめた。それは、明らかに女性が男性に期待を込めている目だ。

「それで、最近は落ち着いた?」
「落ち着くって言うと????」
「ほら、前の上司から嫌がらせを受けてたでしょ?」
「あぁ、あれ。まぁ、まぁ、って感じかな。仕事で全く顔を合わせないわけじゃないから、まだ厳しい感じの視線を注がれたりするけど、その程度なら仕方ないかなって所」

舞が頼んだ酒が来ると、舞はテキーラサンライズを取り、宏一にはジントニックを勧めた。

「舞さん、今日は強いお酒を飲むんだね」
「いいでしょう?だめ?」

その目つきは期待と探りと甘えが籠もっている。なんか今日は舞が積極的に甘えたがっている雰囲気だ。

「ううん、良いよ。どうせずっと一緒なんだから、飲みたいだけ飲めば良いよ。大丈夫。安心して」
「うれしい」

舞はそう言うと、
「それじゃ、乾杯」
としゃれた仕草でグラスを持ち上げた。
舞は嬉しそうにゆっくりとグラスを傾ける。

「それで、舞さんは出張中なんでしょ?荷物は?」
「それは・・・・・・・」

舞は恥ずかしそうに宏一を見た。

「もうチェックインしてあるんです」
「それだと、これから二人で行くところに荷物を持ってこないといけないってこと?明日の朝は早いんでしょ?」
「いいえ、そういうことじゃなくて・・・・・・。大丈夫なの」
「ん?だいじょうぶ?」
「そこは二人で泊まれるから・・・・・・・・」

舞は既にその気になって部屋まで用意していたことを知られ、少し恥ずかしかった。

「そう言うことか。良かった」
「呆れないでくださいね。こんなことして」
「ううん、そんなことないよ。ありがと」
「でも、付き合ってもいないのに・・・・・・・」
「舞さんは俺を恋人としてみてるっていうよりは、とにかく安心できて一息入れられる人が欲しいって思うんだ。それなら何の心配もないよ。今後どうなるかはわからないけどね」
「一息入れた後は嫌いになるかもしれない?」
「そうじゃないよ。好きになるかもしれないってこと。もちろん、もしかしたら興味が薄くなるかも知れない。でも、今は安心できる空間が欲しいんだよね。大丈夫。任せておいて」

いきなり乾杯して直ぐに核心を突く話になったので、舞は内心少し驚いたが、ここで取り繕ってみても仕方がない。精神的に疲れていて、落ち込んでいる時に宏一が輝いて見えたのは本当のことなのだ。宏一自身は自分のことを本気で好きと言うわけではなさそうだが、舞は気持ちができ上っているので、宏一と夜を過ごして安心したいという想いは間違いなくある。

「はい、良かった。お願いします」
「お願いしますって言うのも変な気がするけどね?」
そう言うと宏一は微笑んだ。それにつれて舞も少し笑った。
「それにしても、テキーラサンライズとは強いお酒を飲むんだね」
「今日はちょっと強いのを飲みたくて」
「どう?だいじょうぶ?」
「今は全然。でも、あとはわからないけど」
「お酒が美味しければそれでいいと思うよ。今日は飲みつぶれても大丈夫だしね」
「そこまで飲みませんよ、もう」
「ごめん。安心してっていう意味だから」
「そう。宏一さんて女性を安心させるのがうまいもの」
「そうかなぁ。そんなことは思ったこともないけど」
「そう?でも、きっと周りの女性は気が付いてると思うけどなぁ。三谷さんだって何となく分かってるんじゃないかなあ」
「そうかなぁ」
「だって、宏一さんといつも一緒にいる女性。斎藤さんでしたっけ?彼女だって絶対気が付いてる。だから宏一さんと付き合ってるんでしょ?」
「え?斎藤さんと?」
「そういう噂ですよ」
「どうしてまたそんな噂が・・・・・」
「あのね、こういうことは言っちゃいけないんだろうけど、話しますね」
「元々斉藤さんは他の人と噂があったんです。彼女はとっても気をつけてたみたいだけど、そう言う事って絶対に分かっちゃうものだから」
「そうなんだ・・・・・」
「その斉藤さんが宏一さんと噂になったものだから、最初はみんな不思議がってたんですよ」


つづく

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