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タイトル:雲は遠くて<訂正版>137章 信也と心菜が、ベンジー(浅井健一)を語る  2018/03/19


137章 信也と心菜が、ベンジー(浅井健一)を語る
 
 3月17日、土曜日、午後4時を過ぎたころ。気温は12度、上空はよく晴れていた。

 川口信也と青木心菜(ここな)は、JR渋谷駅のハチ公口改札で待ち合わせて、
歩いて5分の、道玄坂のモスバーガー近くの、
吉田ビル地下1階にある、ビーピーエム・ミュージック・バー(BPM Music bar)に入った。

 二人は予約していた広いカウンター席に座(すわ)った。
店内は、高い天井と白の壁、観葉植物の緑が目にも優しい、
おしゃれで明るい雰囲気だ。

二人は、人気のショットドリンクをスタッフに聞くと、同じ人気のショットドリンクを注文した。

「それでは、まずは、しんちゃんの主題歌の完成に、乾杯よね!
しんちゃん、すばらしい歌の完成、おめでとうございいます!」

 青木心菜がそう言って、信也に微笑んだ。
心菜は、信也がモデルの主人公の実写版『クラッシュビート』の原作者のマンガ家だ。
マンガ『クラッシュビート』を好調に雑誌に連載している。

「ありがとう、心菜(ここな)ちゃん。映画の主題歌ってことで、なかなか完成できなかったけど、
やっと、納得のいく作品に仕上がりましたよ。あっははは」

「そうよね。実写版『クラッシュビート』の主題歌なんですから、
映画のヒットにつながるんですもんね。そんな責任の大きさを考えたら、
ちょっと、大変よね」

「いやーあ、ちょっとどころじゃなかったですよ。なんで、こんな責任のある、
大仕事をおれがやるんだろうってね。
つい弱気になって、主題歌は、誰かほか人が作って欲しいなあとか思ったり。あっははは。
映画第1作の製作の予算が、130億円でしょう。それも驚きだしね。
その現場のセット作りとか、その制作にかかわる人が1600人になるとか聞くと、
もしも、興行(こうぎょう)的にでも、
失敗したら、どうなるんだろうとか考えちゃってね。
今回の主題歌作りでは、ロックンロールの原点とは何か?とかって考えましたよ。
BLANKEY JET CITY(ブランキー・ジェット・シティ)とか、浅井健一さんからは、
あらためて、いろいろと、学びましたよ。ベンジーはやっぱり最高ですよね。あっははは」

「ベンジーは、椎名林檎(しいなりんご)ちゃんからも、≪歩く芸術≫って言われるくらい、
尊敬されているんですもん。絵も描いていますけど、天才的な人だと思いますわ!
わたしも、一応、プロのマンガ家だけど、ベンジーは、
わたしのさらに天上の人で、雲の上のような人で、大天才だと思って、リスペクトしていますわ」

「ベンジーは、何とも言いあらわせない、すばらしい絵を描くよね。
ペンタッチも、そんお色彩も、天才的だと思うよ。
世間じゃ、そんなふうに騒いものだよね。不思議なくらいに。
ミュージシャンの暇つぶしの余技くらいに思っているのかな。
でもそんなもんじゃないよね。ピカソ級の大天才だと思うよ。おれはマジで。あっははは。
ベンジーは、少年の心を持ったまま、オトナになっているっていう感じで、
おれの生き方の理想でもあるし、それこそ、ロックンロールの本道でもあるし。
あのゴッホとかでも、生前は絵がさっぱり売れなかった言うじゃない。
天才のモーツァルトも、貧困の中で生涯を終えたり。世間は芸術がわからないんだよね」

「そうよね。みんな生活することに精一杯なのよ。心のことなんか、その次の次あたりで」

「だよね。お金や地位や権力とかって、やっぱり魅力なんっだろうかね。あっははは」

「人間の幸せって、目に見えない心のありかたとかに、実はあるのにね」

「そのとおりだよ。心菜(ここな)ちゃん。あっははは」

 信也が笑って、心菜も明るく笑った。

 実写版『クラッシュビート』の主題歌は、8ビートとパワーコードがさく裂の、
下記の『子どもの心のままならば』で、映画は今年の2018年秋に公開が予定だ。

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子どもの心のままならば    作詞&作曲 川口信也

子どものころの 青い空 光る風 草や木の野原
子どものころは 自由気ままに 無心に 遊んだ
毎日は いつも 感動的 奇跡的 楽しい日々だった

オトナになっても そんな 子どもの 心のままならば
オトナになっても きっと幸せに 生きてゆけるのさ

子どものころは 大自然とか 美しいものとか 好きだった 
子どものころは ほのぼのと 明るい未来も 夢見ていたよ
子どものころは 楽しい日々は どこまでも続く 気がしていた

オトナになっても そんな 子どもの 心のままならば
オトナになっても きっと幸せに 生きてゆけるのさ

子どものころは なんでも 楽観的に やってゆける 気がしてた
子どものころは 自然や宇宙に 不思議や奇跡を 感じていた
子どものころは 愛でも 信じていられた 世界を信じていたから

オトナになっても そんな 子どもの 心のままならば
オトナになっても きっと幸せに 生きてゆけるのさ

≪つづく≫ --- 137章 おわり ---

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