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タイトル:雲は遠くて 82章 信也と裕子、二人だけでお茶をする  2015/05/24


82章 信也と裕子、二人だけでお茶をする

 2015年、5月23日、土曜日。よく晴れて、暑いくらいの、午後の2時ころ。

 下北沢駅西口の改札口の付近で、川口信也と落合裕子が、偶然に会った。

 裕子は、白いブラウスとスカイブルーのフレアスカート、ブラックのパンプスというファッションで、
信也は、プリントのTシャツに、ネイビーのパンツとブルーのスニーカーである。

「しんちゃん、もし、よろしかったら、お茶でもしませんか?」

 信也と目を合わせたまま、微笑みながら、落合裕子はそういった。

「そうですね。おれも時間ありますから、ちょっとそのへんのお店に寄りましょうか?」

「はい。うれしいわ。しんちゃんと、二人でお茶するなんて。うふふ」

 二人は、人が行きかう中を、西口商店街に向かって歩く。

「裕子さんも、クラッシュ・ビートには、なくてはならない、メンバーになっちゃいましちゃよね」

「そういっていただけると、わたしも、とてもうれしいです!」

「おれたちも、とてもうれしいんですよ。裕子さんに、キーボードをやっていただけることが。
おれたちのやりたい音楽を考えいきますと、ギターだけには、限界を感ていたんです、以前から。
裕子さんのキーボードの参加で、ジャズからポップスまで、
ほとんんど、全ジャンルの演奏に対応できるんですからね。理想的なんですよ!」

 そういって、信也は、裕子に、涼しげな澄んだ眼差しで、微笑む。

 落合裕子は、1993年3月7日生まれの22歳。身長は167センチ。
今年の裕子の誕生日には、信也たち、クラッシュ・ビートの全員も集まって、
パーティーが開かれた。

 落合裕子は、信也の友達の新井竜太郎の会社でもある芸能事務所、クリエーションの、
新人オーディションに、最高得点で合格した才女で、ピアニストだった。

 今では、裕子は、テレビやラジオの出演も多く、ポップスやクラシック好きの人びとなどにも、
広く知られている。同じクリエーションに所属する、信也の妹の美結とは、同じ22歳でもあり、
おたがいに、何でも話し合える、無二の親友であった。

「セカンド・アルバムも、順調に売れているようなんです。これも、裕子さんの参加のおかげかな!」

「そうですか、よかったわ!でも、わたしの力なんて、微々(びび)たるものですから。
しんちゃんの作る歌は、歌詞もメロディは、抜群なんですよ。センスいいんですもの!
絶対に売れるだろうって、わたしは信じているんです!」

「あっはは。裕子さんに、そんなふうに褒(ほ)めてもらえると、光栄ですよ。あっはは」

「今度のアルバムのタイトルも、すばらしいと思うわ!TRUE LOVE ( ほんとうの愛 )なんて!
わたしたち、女性は、本当の愛とかに、憧れながら生きているんですもの!あっはは」

 裕子はそういって、明るく笑うと、信也と目を合わせた。信也は、身長、175センチである。

「TRUE LOVE、かぁ。本当の愛って、簡単なことなのか?難しいことなのか?ねぇ、裕子さん。
裕子さんには・・・、もちろん、彼氏はいるんですよね?」

「えっ!?彼氏ですかぁ。わたしなんかに、いると思いますか?しんちゃん!」

「ええ、もちろんです。裕子さんのように、眩(まぶ)しいくらいに、魅力的な女性って、
おれだって、知らぬ間に、好きになっちゃいそうですからね。あっはは!」

「わぁー、しんちゃん、ありがとうございます。しんちゃんが彼氏なら、
わたしも幸せですから。あっはっは。・・・わたしって、たぶん理想が高いんですよね。
男友だちなら、けっこういますけど、彼氏にまでなる人って、見つからないいんですよ!
しんちゃんみたいに、T・レックスのマーク・ボランの良さが、本当にわかってくれる男性って、
なかなかいないように、なんですけどね! 」

「あっはは。マーク・ボランの良さね。天才がわかるのは、天才だとか言うこともありますけれど、
おれも、ひょっとして、天才を目指すくらいに、目標を高く設定して、
音楽をやるべきなんでしょうかね?裕子さん。あっはは」

「そうですよ!しんちゃん。しんちゃんは才能あると思います。わたしも応援しますから!」

「ありがとう、裕子さん。あなたは、本当に、心優しくって、ステキな女性ですよ!
おれこそ、裕子さんを応援させていただきますから、いつまでも、よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします。わたし、いつまでも、しんちゃんと音楽をやってゆきたいです!」

 そういって、信也と裕子は、微笑み合う。

 二人は、西口から歩いて4分、代田5丁目、客席20席の、完全禁煙、
こだわりの焼きたてパンケーキが人気でもある、カフェ、MOGMOG(モグモグ)に入った。

≪つづく≫ --- 82章 おわり ---

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