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タイトル:雲は遠くて <141> 41章  イエスタデイを羽(は)ばたいて  2014/06/08


41章 イエスタデイを羽(は)ばたいて  

 6月8日、日曜日。東京も梅雨(つゆ)入りして、灰色の空からは
断続的に雨がぱらついている。

 午後2時から、清原美樹たち、グレイス・ガールズのライブが、
渋谷のイエスタデイで始まろうとしている。

 イエスタデイは、株式会社モリカワが、2012年の9月にオープンした、
ライブとダイニング(食事)のクラブスタイルの店である。

 グレイス・ガールズのCDシングル、『イエスタデイ(Yesterday)を羽ばたいて』は、
5月に発売されて、推定売上も順調に3万枚を超えている。

 この歌詞は、このライブハウス、イエスタデイのことを歌った内容であった。

 イエスタデイは、渋谷駅・ハチ公口の、忠犬ハチ公の銅像のある広場から、
スクランブル交差点を渡って約3分、タワービルの2階にある。

 イエスタデイでは、グレイス・ガールズのメンバー全員が、各個人、
メジャーデヴューする前の、まったく無名のころから世話になっていた。

 早瀬田大学のミュージック・ファン・クラブ(MFC)の先輩である、
ロックバンド、クラッシュ・ビートの森川純や川口信也たちの会社、
モリカワがオープンしたライブハウスということで、MFCの部員たちは
気軽に、ライブ演奏の実践の場として利用できたのであった。

 グレイス・ガールズが正式に結成されたのは、2013年の7月のことであり、
イエスタデイでライブ活動を始めたのは、その翌月の8月からであった。

「みなさま、これより、グレイス・ガールズのスペシャル・ライブを開催いたします!」

 26歳の店長、水木守(みずきまもる)が挨拶をすると、会場からは拍手が沸いた。
ホールのキャパシティは100席であるが、すべて満席であった。

 テーブルの客席には、クラッシュ・ビートのメンバーや、信也の妹の美結(みゆ)、
美樹の彼氏の松下陽斗(まつしたはると)や美樹の親友の真央や、
ミュージック・ファン・クラブの部員たち、エタナールの兄弟、竜太郎と幸平も来ていた。

「1年前までは、全くの無名だった少女たちが、ヒットチャートをにぎわしている、
この現実が、わたしにはいまだに夢見ているようです」

 そういって、ちょっと頭をかく水木店長に、会場のみんなはわらった。

「そのグレイス・ガールズのみなさんが、このイエスタデイのことを歌ってくれたんです。
そのCDシングルが、またまた大ヒットで、当店もおかげさまで有名になっちゃいまして、
連日、満員御礼なんです。わたしとしては、感謝しても感謝しきれない、
グレイス・ガールズのみなさんなんです!ごゆっくりとお楽しみ下さい!」

「みなさま、こんにちは。本日はお忙しいなか、ご来店いただいて、
ありがとうございます。それに、ご支援とかも、ありがとうございます。
グレイス・ガールズのリーダーをさせていただいている清原美樹です。
ほんとうに、こちらのお店、イエスタデイにはお世話になっていまして、
感謝すべきなのは、わたしたちの方だと、日々思っているんです。
それで、そんな感謝の気持を伝えたくて、この歌をつくったんです。
本日は、わたしたちのロックをたっぷりとお楽しみいただければ、
わたしたち、グレイス・ガールズも最高に幸せです!
それではオープニングは『イエスタデイ(Yesterday)を羽ばたいて』です!」

 美樹の合図で、水島麻衣(みずしままい)が、レッド・ツッペリンの
『胸いっぱいの愛を』を思わすような、強烈なギター・リフを開始した。

イエスタデイ(Yesterday)を羽ばたいて    作詞作曲 清原美樹

人生の悲しみを 生きてく 元気に変える ラブソング
そんなラブソング つくろうって 歌おうって
いつしか 集まって バンドを始めた わたしたち

はじめは 演奏 ヘタだったし お金もなかったし
突然 キレたりして ケンカしたこともあったよね
勉強ばかりで ギターに さわれない 日もあった

でもみんな 音楽が好きで ロックが好きで
ビートルズが 好きな人たちばかりだから
いつも 信じあって なかよく やってこれたんだ

そんな わたしたちを いつも 見守って
気さくに ステージを用意してくれる イエスタデイ
やさしい人ばかり みんなが大好き イエスタデイ

いつ食べても おいしい お店の たらこスパゲッティ
いつも おいしい 春の香りの オレンジジュース
でも注文 するのも しないのも 自由な イエスタデイ

イエスタデイの スポットライト 浴(あ)びた日から
わたしたちも 少しずつでも 成長もできたかな?
いろんな所で アイドルのように 歌うようになったわ

小鳥たちが 親の愛から 離れて 巣立つように 
わたしたちも 大空に 羽ばたいていくのよね
でも 忘れないわ イエスタデイを 愛の日々を

人生の悲しみを 生きてく 元気に変える ラブソング
そんなラブソング つくろうって…… 歌おうって……
いつしか 集まって バンドを始めた わたしたち

小鳥たちが 親の愛から 離れて 巣立つように 
わたしたちも 大空に 羽ばたいていくのよね
でも 忘れないわ イエスタデイを 愛の日々を

≪つづく≫ --- 41章 おわり ---

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