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タイトル:雲は遠くて <77> 20章 店長・佐野幸夫の誕生会 (6)  2013/09/22


20章  店長・佐野幸夫の誕生会 (6)

「えええ!? よく考えると、カップルの、ご両人ばかり
だよね、みなさん。おれもだけど。あっはっは」

と 大声で、わらったのは、早くも、生ビールで ほろ酔いの、
谷村将也であった。

「まあ、これもまた、祝福すべき出来事さ!人生なんて、
恋愛中か、失恋中か、無風状態かの、
3つの中のどれか1つなのだろうしね」

そういったのは、おいしそうに、生ビールを飲むのは、
北沢奏人(きたざわかなと)だった。

奏人(かなと)は、株式会社モリカワの本部で、
副統括(ふくとうかつ)シェフ(料理長)をしている。

奏人(かなと)は、今年の12月で25歳になる。
交際中の天野陽菜(あまのひな)は今年の2月で
22歳だった。

「おれも、今年の春ころは、まだ、無風状態だったけど」

そういって、奏人は、となりの陽菜を見て、ほほえんだ。
陽菜も、ほほえむ。

「もうひとつ、おもしろいことがあります!
お酒が飲めない人は、未成年だけで、
みんな、お酒が大好きな人たちばかりです!」

そういったのは、岡昇(おかのぼる)であった。

「そういえば、そうだな!」とかいって、みんな、わらった。

お酒が飲めない、20歳(はたち)前は、
1994年12月5日生まれの岡昇(おかのぼる)と、
1994年6月3日生まれの大沢詩織(おおさわしおり)と、
1994年10月2日生まれの平沢奈美(ひらさわなみ)の、
3人であった。

「じゃあ、岡ちゃん、詩織ちゃん、奈美ちゃん、
もし、20歳(はたち)になったら、
お酒は飲みますか?」

と、酔って、いい気分の、森川純(もりかわじゅん)が、
そう聞いた。

「はーい、飲みます」

「だって、みなさん、お酒飲んでるときって、
ほんとうに、楽しそうなんだもの!」

「お酒飲むって、オトナの特権って感じだし!」

などと、3人は答える。

みんな、また、わらった。

「お酒は、二日酔いとかあって、リスクもあるけどね」

そういったのは、生ビールで、上機嫌(じょうきけん)の、
川口信也(かわぐちしんや)だった。

「なんでも、そうだけど、つい、過度(かど)に、
飲みすぎたりしてしまえば、薬も毒になるってこと
なんだよね。
オトナになっても、そんな単純なことが
コントロール(管理)できるまでには、
何年、場合によっては、何十年もかかるものなんだよ」

というのは、高田翔太(たかだしょうた)だった。

「そうなんだよね、翔(しょう)ちゃん、
単純なことを、理解できないで、
10年くらいを、過ごしてしまうなんて、
よくあることですよね。
それが凡人(ぼんじん)なんでしょうかね」

佐野幸夫が、となりの席の翔太に、
そう語(かた)りかけた。

「幸(ゆき)さんに、おれが、講釈(こうしゃく)できる
わけもないですけど、
あの楽聖のバッハが、
2、3%は才能、あとは、97%の厳しい練習で決まる、
といっているんですが、
努力の差で、違ってくるのかなって、
おれも、そんな気がするんですよ。
よく、天才は、努力する才能だとかって、いいますものね」

そんなことを翔太はいった。

「そうですね。10年間、気づかないとかって、
努力が足(た)りないだけかもしれないですよね」と幸夫。

「おれは、努力のほかに、集中力が違うような気がします。
何かを成しとげるときの、集中力の違いが、
天才と凡人では、違うような・・・」

といったのは、矢野拓海(やのたくみ)であった。

拓海は、早瀬田(わせだ)大学、理工学部、3年生。
ミュージック・ファン・クラブ(MFC)の幹事長で、
音楽家 モーツァルトを、尊敬(そんけい)している。

≪つづく≫

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