メルマガ:小説『さなだむしの自画像』
タイトル:NO42  2009/04/24


こんばんは、さなだむしです。

小説『さなだむしの自画像』の続きをどうぞ・・・。



午後3時。

1時間目から7時間目まである時間割だったが、
最後の7時間目、現国の時間だった。

1時間しか受けなくても欠席ではない。

記念すべき今年度100回目の遅刻。

遅刻して学校に行く時、
教室の扉を開けると、
みんなが一斉に自分を振り返る。

多くの視線が注がれた時など、特にドキッとする。

さなだむしは「将来」、「社会」という言葉を思い出していた。


現国の時間では、
さなだむしは授業に参加しないで
好きなことをしていいことになっている。

というのは、
男子ではB君、
女子ではさなだむしが
クラスでは問題児ということになっており、
現国の先生は、
そういう問題児にかかわりを持ちたがらないのだ。

入学して早々、
5月くらいにすでに
「Bとさなだむしはオレの授業では何をしてもいい。
参加しないでいい。
その代わり欠点取ったら知らんぞ。」
と彼は言った。

B君はどうか知らないが、
さなだむしはそれを聞いて怒ったりすることなどなく、
むしろ喜んだ。

なぜなら彼の授業と言えば、記述式の問題、
例えば、小説の中の主人公はその時どんな気持ちか、
などを問う問題をしていても、
先生自身の回答を
一字一句その通りにノートに書き写すばっかり。

そんな価値観を持った先生の作る問題だから、
考えようによっては楽だった。

だから、さなだむしは今まで4回の定期テストで、
漢字の勉強と、教科書を一読して、ノートを借りて覚えることで、
むしろ真面目に授業を聞いている子よりも良い点をとることができた。

さなだむしは一番前の自分の席に行って、
ヘッドホンを使ってウォークマンを聞きながら、
先生の前で堂々と交換ノートを書いた。

相手はこの間図書館で告白してきた同じクラスの暗い男子、
ふぃらりあ君。

彼の告白にさなだむしは丁重にお断りしたが、
ふぃらりあは手紙、電話、交換ノートなどあらゆる方法で、
さなだむしの気を引こうとしていた。

さなだむしも、ふぃらりあの夢中さが面白いので、
気が向いた時には返事を書くことにしていた。



「ふぃらりあちゃんえ


今イエローモンキーのJAM聞いてる。

なんかイエモンって必死で歌っているトコが好き。

ウチも今必死で学校来た。(笑)


これは歌詞がいいよ。

特に後半が好き。


『……。外国で飛行機が堕ちました。

ニュースキャスターは嬉しそうに、

乗客に日本人はいませんでした、いませんでした、いませんでした。

僕は何を思えばいいんだろう。……。

僕は何を思えばいいんだろう。

こんな夜は会いたくて、会いたくて、会いたくて。

……君に会いたくて。

……。

君に会いたくて。

また明日を探してる。……。』


ウチ、ギター買うんだよ。

お金ためて、早く買えるといいなあ。


ん〜、今、現国で『こころ』やってるみたいだね。

ウチ、あの話すごく好きだなあ。

なんか本当にあった話みたいでドキドキしながら読んだよ。

すごくリアルだった。


『かつてはその人の膝の前に 跪ずいたという記憶が、
今度はその人の頭の上に足を載せさせようとするのです。

私は未来の侮辱を受けないために、
今の尊敬を斥けたいと思うのです。

私は今より一層淋しい未来の私を我慢するために、
淋しい今の私を我慢したいのです。

自由と独立と己れとに充ちた現代に生まれた我々は、
その犠牲としてみんなこの淋しみを味わわなくてはならないでしょう。』


自由になりたいなあ。

人間をやめたいなあ。

空を飛んでいきたいなあ。

こんなことをしていていいんだろうか。

やっぱり今日学校に来るんぢゃなかった。(泣)


昨日のミュージックスクエア、
12時間スペシャル(ラジオ)聞いた?

ウチ、昼の11時からずーっと12時間、聞いてたよ。

途中知らないバンドとかいっぱい出てきた。

1990年代の第1位がJAM(イエモン)だった。

へえー。

コレ、そんなに人気なのか。

あー、イエモンのライヴってどんなんだろ。


ふぃらりあちゃんはいろんなことよく考えてるね。

ウチはなんかすべて自分の周りの流れにまかせてるってゆーか。

なんかどうでもいいぢゃんってカンジかなあ。

でも、その考え方嫌いな人多いだろうなあ。


これからどうなるんだろうねえ。

みんな。

ウチらには人生がまだ何十年も残されているカラ。

ウチは未来ってゆーか、
将来が真っ黒か、真っ白か、どちらかに見えるよ。

なんか20代も30代も全部すっとばして、
80代のおばあさんになっていたら面白いだろうね。

後は死ぬだけだもんね。
(ウチは別に死にたいわけぢゃないよ。)

でもウチは自分の人生に
後、30年も40年も残されていることを考えるたびに、
どうしたらいいんだろうって思ってるよ。

今16歳だから、平均寿命まで生きるとして後5倍(?)。

あー、どうにもならないことだけど、
いったいどこで間違ってしまったんだろう。


でもきっとすぐだろうね。

平均的な人生ってどんなんだろう。

Kや先生なんて、何を考えながら生きていたんだろうね。

何がしたかったんだろう。

ウチはできるだけ自由に生きていきたいね。

でもその時、独りぼっちで生きていくのはとても耐えられない。

淋しい。


少しごーまんな質問かもしれないケド、
みんな、何のために生きているんだろうねえ。

有名になるため?

子孫を残すため?

ただの暇つぶし?

いくらそんなことして生きてもいつかはみんな滅んじゃうのに。

ムリして生きていたってどうせいつかはみんな死ぬのにねえ。


無駄な努力。

なんのこっちゃ。

なんのこっちゃ。


いい大学行っても、寝てても結局は一緒かも。

努力してどうするんだろう。

最近、もう何をしても無駄なのかなあって
無意識に思ってるトコあるカモ。

ただ生きているだけで満足して、寝て過ごす方が賢いね。

ウチのためになるとか、ならないとか、
そんなのはどこにあるんだろう。

人並みの生活ってどんなんだろう。

ウチの夢はやっぱりスリーパー。

Teacherがteach(教える)にerつけて「先生」になるでしょ。

sleep(眠る)にerつけてウチの職業。

頭いいでしょ〜。


ごめん。

長くなって。いろいろ書いたよ。        

         んぢゃ。」



(この続きはまた今度・・・。)

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