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タイトル:jSj Vol. 220 「スイスの国民投票:年金改革法2議案」  2024/02/22


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  Multilingual Internet-Mail Magazine

  jp-Swiss-journal - Vol. 220 - February 21, 2024 (Swiss Time)

  https://www.swissjapanwatcher.ch/

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   【 目次 / INDEX / INHALTSVERZEICHNIS 】

【J】 2024年03月03日国民投票
      1) 13ヶ月年金支給イニシアティブ
      2) 年金イニシアチブ(定年退職年齢引上げ)

                    明子 ヒューリマン

【E】 The Popular Vote on March 3, 2024
      1) Initiative for a 13th OASI Pension Payment
      2) PensionーInitiative (Increase Retirement Age)

                                 Akiko Huerlimann


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜【 日本語 】〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


          2024年03月03日国民投票
       1) 13ヶ月年金支給イニシアティブ
       2) 年金イニシアチブ(定年退職年齢引上げ)

                      明子 ヒューリマン


AHV は "Die Alters- und Hinterlassenenversicherung (AHV)" の略で、
「老齢・遺族保険(AHV)」はスイスの老齢保障の基盤になっている。

今回の国民投票は、2議案共にAHVに関するものだが、内容は相反する。
一つ目の議案は、年金の支給を増やすことを目指し、2つ目の議案は、年金支給
年齢を引上げて、年金基金を確保する狙いだ。

政府が配布した説明書に沿って、内容を見てみよう。

https://www.admin.ch/gov/de/start/dokumentation/abstimmungen/20240303.html

1) 国民発議「より良い老後を送るために(13ヶ月AHV年金イニシアティブ)」
Volksinitiative "Fuer ein besseres Leben im Alter
 (Initiative fuer eine 13. AHV-Rente)"

https://www.admin.ch/gov/de/start/dokumentation/abstimmungen/20240303/initiative-fuer-eine-13-ahv-rente.html

現状は、250 万人以上の定年退職者が AHV年金を受給している。
 AHV 年金は、老後の生活を適切に賄えることを目的にしている。
殆どの定年退職者は追加収入、特に企業の職業年金基金からも年金を支給されて
いる。AHVだけで生計を立てることができない人は、誰でも補足給付
(Ergaenzungsleistungen EL)を受ける権利がある。

イニシアティブは、AHV老齢年金を毎月支給される年金に加えて、13ヶ月目の加
算を求めている。更に、13ヶ月目の年金を理由に補足給付(EL)が減額されない
ことも規定している。

老齢年金の年間最高額は、個人の場合2,450フラン増の31,850フランになり、夫
婦の場合は3,675フラン増の47,775フランになる。
この増額の結果、13ヶ月目の AHVの年金費用は、導入時には約41億フランになる
と見込まれている。
連邦政府はこのうち約8億フランを支払わなければならない。
その後、費用は急速に増加し続けることになるが、資金調達の問題は未解決のま
まになっている。

様々な改革のお陰で、AHV 年金は現在十分な資金で賄われている。
しかし、例え13ヶ月目の AHV年金がなくても、2030 年以降は赤字が予想される。
13ヶ月目の年金が導入された場合、AHVは追加の資金が必要になるか、給付金を
削減しなければならなくなる。

連邦政府と連邦議会は反対を推奨。

連邦議会の票決は、

国民議会が反対126票、賛成69票、棄権2票。

全州議会が反対31票、賛成10票、棄権1票。

連邦政府と議会は、13番目のAHV年金の為の財政的余力は無いので、 AHVの安定
化と年金の確保を優先する考えだ。
殆どの定年退職者は勤務先の年金基金(Pensionkasse PK)を受給しているの
で、13ヶ月目のAHV年金のみに依存していないことを反対の根拠にしている。

政党と団体の賛否は、2024年2月9日付のターゲス・アンツァイガー紙が報じた。

https://www.tagesanzeiger.ch/renteninitiative-alles-wichtige-zur-abstimmung-vom-3-maerz-247502314251

反対は、保守から中道政党のSVP、FDP、Die Mitte、GLPと経営者団体、中小企業
団体。

賛成は、左派政党のSP、緑の党と労働組合連合、Travail.Suisse。

発議委員会は13ヶ月目のAHV年金が必要だと主張している。家賃、医療費 健康保
険料や食費等あらゆるものが値上がりして、年金がどんどん足りなくなっている
ことを根拠にしている。
発議委員会のウェブサイト: https://www.ahvx13.ch/

補足給付(Ergaenzungsleistungen EL)に関しては、「ZEITRUPE誌」と
「プロセネクトゥーテ」のウェブサイトが重要な点を解説している。

https://zeitlupe.ch/magazin/ratgeber-el-reform/fragen-und-antworten-zum-ablauf-der-el-uebergangsfrist/

https://www.prosenectute.ch/de/ratgeber/finanzen/ergaenzungsleistungen.html

https://www.prosenectute.ch/de/ratgeber/finanzen/ergaenzungsleistungen/reform.html

3年前に改革が施行され、既に補足給付(EL)を受給している人に適用される移
行期間が、2023年末に期限切れとなり、影響を受ける人々に時として劇的な影響
を及ぼした。

要点は、

1.資産制限(個人10万スイスフラン、夫婦20万スイスフラン)により、補足給
付を受ける権利が失われる可能性がある。然し、資産が規定の制限を下回ると直
ぐに、ELを再度申請できる。

2.ELの権利は、寄付や多額の購入などの資産の喪失に依って減額されたり、
失われる可能性がある。

3.所有者が占有している不動産は、資産基準値をチェックする際には考慮され
ない。 高齢者は住み慣れた自宅で暮らし続けることができる。関連する収入を
計算する際には、112,500 スイスフランを超える居住用不動産の価値と持ち家の
賃貸価値(Eigenmietwert)が考慮される。

4.生活費を賄うことができなくなった場合は、Pro Senectute や居住する州の
社会保健局等の相談窓口に問い合わせる。

「追加給付金」の受給条件を、2024年2月9日付ターゲス・アンツァイガー紙も
詳しく報じた。ここでは、海外に居住するAHV年金受給者はELの受給資格が無い
ことも明記している。

https://www.tagesanzeiger.ch/ergaenzungsleistungen-wer-anrecht-hat-und-wie-man-sie-bekommt-218501396141

【私見】

スイスでは一般的に給与は年に13ヶ月分支給される慣例が広く普及している。
その代わり日本の様なボーナス制度は無い。
左派の社会民主党SPは、この慣例に倣ってAHVも13ヶ月目を支給しようと思いつ
いたようだ。

2月になって、元連邦政府のメンバー(Bundesrat)アドルフ・オギ、ドリス・
ロイトゥハルト、ヨハン・シュナイダー=アマン各氏の連名の書面が届いた。
有権者に、緊急アピール「AHVを守るために13ヶ月目のAHV年金にノー」を強く
推奨する内容だ。同じく元連邦政府のパスカル・クシュパン氏もメディアを通
じて反対表明をしている。

この制度の問題点は、13ヶ月目のAHVが無くても生活に困らない豊かな高齢者に
も漏れなく支給されことにある。
通常はAHVより勤務先で加入する年金の方が支給額が多い傾向がある。つまり、
スイスには豊かな高齢者が多い。
物価高騰で生活費に余裕が無い高齢者には、救済措置があるのだから、財源を無
視した左派の提案は、国民年金基金を崩壊に導く引き金になる。

報じられている投票性向は、貰えるものは拒まずとばかりに、賛成派が大勢を
占めている。

2) 国民発議「年金イニシアティブ」/ Volksinitiative "Renteninitiative"

https://www.admin.ch/gov/de/start/dokumentation/abstimmungen/20240303/renteninitiative.html

AHV 年金は今後数年間安全に財源が確保されている。
過去5年間の2つの改革がこれに大きく貢献した。
賃金拠出金と付加価値税が引き上げられ、女性の退職年齢は65歳に引き上げられ
た。
このように収入が増え、支出が減ることで、AHV の財政は2030年頃まで安定する。
しかし、中期的には、AHV は大きな財政上の課題に直面している。

第一に、年金受給者の数は、AHV に支払っている雇用者の数よりも速いペースで
増加している。

第二に、平均寿命が延びるにつれて、年金の支給期間も長くなる。

年金イニシアティブは、定年年齢を引き上げることに依ってAHVの長期的な財源
確保を目指している。
女性と男性の定年を段階的に引き上げて、2033年までに66歳にする。
定年は平均余命と連動し、平均余命が延びれば自動的に引き上げられるが、1対1
ではなく、平均余命の伸びの80%だけ、1年に2カ月を超えない範囲で段階的に引
き上げられる。

この構想が受け入れられれば、AHV財政の負担が軽減される。
定年を66歳に引き上げれば、おそらくAHV支出は約20億スイスフラン削減され
る。平均余命の伸びに合わせて定年年齢が自動的に調整されることも、AHVの負
担軽減に資する。

連邦政府と連邦議会は反対を推奨。

連邦議会の票決は、

国民議会が反対143票、賛成40票、棄権11票。

全州議会が反対32票、賛成11票、棄権1票。

政党と団体の賛否は、2024年2月9日付のターゲス・アンツァイガー紙が報じた。

https://www.tagesanzeiger.ch/renteninitiative-alles-wichtige-zur-abstimmung-vom-3-maerz-247502314251

反対は、中道保守政党のDie Mitte、GLP、左派のSP、緑の党と労働組合連合、
Travail.Suisse。

賛成は、保守と中道保守のSVP、FDPと経営者団体、中小企業団体。

FDPのヤング・リベラルが定年年齢の引き上げを求めて発議した。
目的は、AHVの長期的財源を確保すること。

スイスの全国的な高齢者支援組織「PRO SENECTUTE」の機関誌「Zeitlupe 2/2024」
に賛否両論が掲載された。

https://zeitlupe.ch/magazin/dafuer-dagegen/arbeiten-bis-66-und-laenger-je-aelter-wir-werden-dafuer-dagegen/

賛成論を展開した、FDPのアンドリ−・シルバーシュミット国民議会議員は、
「対策が無ければ、付加価値税と年金の給与差引額が急激に上昇する可能性が
あり、特に若い世帯や中間層に大きな経済的負担を強いることになる」と説く。

反対論を述べた、SPのフラヴィア・ヴァッサーファレン全州議会議員は、「この
ような硬直した自動化は、経済的・社会的変化に対応する政治的範囲を不必要に
制限する。この年金構想は年金の削減を意味する。
インフレと購買力の低下が多くの人にとって顕著になっている現在、人々は同じ
手当を得るために長く働かなければならない。
職業上のストレスが多い人(看護等)や学歴が低い人は、この取り組みによって
特に影響を受ける。
現実には、余裕のある人は早期に労働市場を去り、早期退職を享受している。
63歳から70歳までの間で柔軟に対応できる現在の制度は、個人の生活歴や健康状
態を適切に考慮する点で優れている。」と説く。

若い男性有権者の多くは、この議案に否定的と伝えられている。

【私見】

FDP青年部の発議は、SPのヴァッサーファレン全州議会議員の言うように、硬直
的な制度は避ける方が賢明だと思う。
介護や建設労働者等重労働を強いられる仕事は、この制度では就労可能な期間の
個人差を無視することになる。
50歳を超えると、再就職先がほぼ絶望視されている現状では、職の確保も課題に
なる。
SPの主張は、一面の真理は認められるものの、AHVを13ヶ月分支給することで、
AHVの財源問題を解決しようという議論には賛成出来ない。
常に弱者に寄り添う振りをするSPは、金をばら撒くことしか提案しない。
彼らの言う通りにしていたら、財源が無くなるのは素人にも分かる。
故マーガレット・サッチャー首相が、「小銭は空から降っては来ない、地上で稼
がなければならない。」と述べたと言われる通りだ。


★ スイス連邦議会の政党名 / Political parties represented in Parliament:
https://www.parlament.ch/en/organe/groups/parties-in-parliament


【 編集後記 】

国民投票の議案のスローガンは、分かり易い反面、誤解を招くこともある。
当初、「AHV13ヶ月」は反対、「定年年齢引き上げ」はやむを得ないと考えてい
たが、情報を集めている内に、「定年年齢引き上げ」も反対するのが妥当と考え
が変わった。身近な問題なだけに、国民の関心も高く、メディアの報道も熱を帯
びている。大事なことは、年金制度を安定的に運営することに尽きる。結果が案
じられる。(A.H.)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜【 English 】〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

     The Popular Vote on March 3, 2024
        1) Initiative for a 13th OASI Pension Payment
        2) PensionーInitiative (Increase Retirement Age)

                                      Akiko Huerlimann


Old-Age and Survivors' Insurance (OASI) is the Foundation of the Swiss
 Pension System.

The two Proposals in this Popular Vote (Initiatives) are both related
to AHV, but their Contents are contradictory.
The first Initative aims to increase Pension Payments and the second
Initiative aims to rise the Pension Age and secure Pension Funds. 

Let's take a Look at the Contents according to the Instruction Manual
distributed by the Government. 

https://www.admin.ch/gov/en/start/documentation/votes/20240303.html

1) People's Initiative "For a better Retirement" (13th-Month OASI
Pension Initiative) / Volksinitiative "Fuer ein besseres Leben im Alter
(Initiative fuer eine 13. AHV-Rente)"

https://www.admin.ch/gov/en/start/documentation/votes/20240303/iniziativa-per-una-13esima-mensilita-avs.html 

More than 2.5 Million Pensioners currently receive an OASI Pension
(Old-Age and Survivors' Insurance), which is intended to provide
adequate Cover for basic Needs in Old Age.
Most Pensioners have other Income, most commonly a Pension from an
occupational Pension Scheme.
Anyone who is unable to cover its Living Expenses can claim
supplementary Benefits (Ergaenzungs-Leistungen EL).

The Initiative aims to increase OASI Retirement Pensions by one Month's
Worth. The Initiative also stipulates that supplementary Benefits (EL)
could not be reduced because of the 13th Pension Payment. 

The Maximum annual Retirement Pension would be increased by CHF 2,450
to CHF 31,850 for Individuals and by CHF 3,675 to CHF 47,775 for Married
Couples. If introduced, the 13th OASI Pension Payment would probably
cost around CHF 4.1 Billion; the Swiss Federal Government would have to
pay around CHF 800 Million of this Sum.
After that, Costs would continue to rise rapidly. The Initiative leaves
the Question of Funding open.

Thanks to various Reforms, OASI Benefits are currently well funded;
however, Deficits are expected after the Year 2030-even without a 13th
OASI Pension Payment. If a 13th Pension Payment would be introduced,
OASI would need additional Income or it would have to cut Benefits.

The Swiss Federal Government and Parliament recommend NO.
The Vote of the Federal Parliament is as follows:
Swiss National Council voted 126 against (NO), 69 in favor (YES),
and 2 Abstentions.
Swiss Council of States voted 31 against (NO), 10 in favor (YES),
and 1 Abstention.

The Federal Government and Parliament do not have the fiscal Space for
a 13th OASI Pension, so they will prioritize stabilizing the OASI and
securing Pensions. The Basis for the Objection is that most Retirees
receive Benefits from their Workplace Pension Fund (Pensionskasse PK)
and are therefore not solely dependent on the 13th Month OASI Pension.

The Arguments for and against by political Parties and Organizations
were reported in the Tages-Anzeiger Newspaper on February 9, 2024.

https://www.tagesanzeiger.ch/renteninitiative-alles-wichtige-zur-abstimmung-vom-3-maerz-247502314251

Opposed (against) are the Conservative and Centrist Parties SVP, FDP,
Die Mitte, GLP, Employers' Association, and Small and Medium-Sized
Business Association (SMEs).

In Favor (pro) are the left-wing Party SP, the Green Party and the Trade
Union Federation, and Travail.Suisse.

The Initiative Committee insists on the Need for a 13th Month AHV
Pension. This is based on the Fact that Rent, Medical Expenses, Health
Insurance Premiums, Food Costs, and everything else are rising, and
Pensions are becoming increasingly scarce.
Initiative Committee Website: https://www.ahvx13.ch/

Regarding supplementary Benefits (Ergaenzungs-Leistungen EL), "ZEITLUPE"
Magazine as well as Website of "Pro Senectute" explain the important
Points.

https://zeitlupe.ch/magazin/ratgeber-el-reform/fragen-und-antworten-zum-ablauf-der-el-uebergangsfrist/

https://www.prosenectute.ch/de/ratgeber/finanzen/ergaenzungsleistungen.html

https://www.prosenectute.ch/de/ratgeber/finanzen/ergaenzungsleistungen/reform.html

The Reforms came into force three Years ago, and the Transition Period
applicable to those already receiving supplementary Benefits (EL)
expired at the End of 2023, and with sometimes dramatic Consequences for
those affected.

Key Points, 

1. Asset Limits (CHF 100,000 for Individuals and CHF 200,000 for
Couples) may jeopardize the Right to supplementary Benefits.
However, as soon as the Assets fall below the prescribed Limit,
the EL can be reapplied.

2. The Right to EL may be reduced or lost due to the Loss of Assets,
such as Donations or large Purchases.

3. Owner-occupied Properties are not taken into Account when checking
Asset Thresholds. Elderly People can continue to live in their own
Homes. When calculating the relevant Income, the Value of Residential
Property in excess of CHF 112,500 and the Rental Value of Owner-occupied
Property (Eigen-Mietwert) are taken into account.

4. If you are no longer able to meet their Living Costs, you should
contact the Pro Senectute or other Advisory Services, such as the Social
Health Department of the Canton in which you reside.

The Conditions for receiving the "Additional Benefit (EL)" were also
reported in detail by the Newspaper Tages-Anzeiger on 9 February 2024.
Here, it also specifies that AHV/OASI-Pensioners residing abroad are not
eligible for EL.

https://www.tagesanzeiger.ch/ergaenzungsleistungen-wer-anrecht-hat-und-wie-man-sie-bekommt-218501396141

[Personal Opinion]

In Switzerland, the common Practice is to provide a 13th Month's Salary
per Year. On the other hand, there is no similar Bonus System like in
Japan. 
The left-wing Social Democratic Party SP seems to have come up with
the Idea of following this Practice and providing a 13th Month-OASI.

In February, a Letter jointly signed by former Swiss Federal Members
(Bundesrat) Mr. Adolf Ogi, Mrs. Doris Leuthard, and Mr. Johann
Schneider-Ammann was posted. They strongly recommend Voters an urgent
Appeal "NO to the 13th Month-OASI/AHV Pension to protect AHV/OASI."
Former Swiss Federal Member (Bundesrat) Mr. Pascal Couchepin, has also
expressed his Opposition through the Media.

The Problem with this System is that even Wealthy Elderly People who can
afford to live without an OASI for the 13th Month will receive the
Benefit. Pensions that are enrolled at one's Workplace usually provide a
higher Amount of Benefits than the OASI.
In other words, Switzerland has a large Number of Wealthy Elderly
People.
Relief Measures are available for Elderly People who cannot afford to
live due to soaring Prices, so Proposals by the Left that ignore
Financial Resources could lead to the Collapse of the National Pension
Fund (OASI/AHV).

The reported Voting Propensity is in the Majority in favor of the
Project (Initiative), as they will not refuse what they can get.

2) People's Initiative "Pension-Initiative" (Increase Retirement Age)

https://www.admin.ch/gov/en/start/documentation/votes/20240303/iniziativa-sulle-pensioni.html 

OASI-Pensions are safely funded for Years to come.
Two Reforms over the past five Years have contributed significantly
to this.
Wage-Contributions and VAT were increased and the Retirement Age for
Women was raised to 65.
This Increase in Revenues and Decrease in Expenditures will stabilize
the OASI's Finances until around 2030.
In the Medium Term, however, the OASI faces significant Financial
Challenges.

First, the Number of Pensioners is growing at a faster Pace than
the Number of Employed Persons paying into the OASI.

Second, as Life Expectancy increases, so does the Duration of Pension
Payments.

The Pension-Initiative seeks to secure long-term Funding for OASI by
raising the Retirement Age.
Under the Initiative, the Retirement Age for Women and Men will be
raised in Stages to 66 by 2033.
The Retirement Age would be linked to Life Expectancy and would be
raised automatically as Life Expectancy increases, but not on a one-to-
one Basis, but would be raised incrementally by 80% of the Increase in
Life Expectancy, not to exceed two Months per Year.

If this Concept is accepted, it would reduce the Burden on OASI-
Finances.
Raising Retirement Age to 66 Years would probably reduce OASI-Spending
by about CHF 2 Billion.
Automatic Adjustment of the Retirement Age to the Increase in Life
Expectancy would also contribute to reducing the Burden on the OASI.

The Swiss Federal Government and Parliament recommend NO.
The Vote of the Federal Parliament is as follows:
Swiss National Council voted 143 against (NO), 40 in favor (YES),
and 11 abstained.
Swiss Council of States voted 32 against (NO), 11 in favor (YES),
and 1 Abstention.

The Arguments for and against by political Parties and Organizations
were reported in the Tages-Anzeiger Newspaper on February 9, 2024.

https://www.tagesanzeiger.ch/renteninitiative-alles-wichtige-zur-abstimmung-vom-3-maerz-247502314251

Opposed (against) are center-right Conservative Parties such as
Die Mitte, GLP, and the left-wing Parties SP, the Green Party,
the Trade Union Federation, and Travail.Suisse.

In Favor (pro) are center-right Conservative Parties such as SVP and
FDP, the Employers' Association, and Small and Medium-Sized Business
Association (SMEs).

The FDP's Young Liberals launched an Initiative calling for Rising
the Retirement Age. The Purpose is to secure long-term Financial
Resources for OASI/AHV.

Pros and Cons were published in "Zeitlupe 2/2024", the Journal of
Switzerland's Nationwide Elderly Support Organization "PRO SENECTUTE".

https://zeitlupe.ch/magazin/dafuer-dagegen/arbeiten-bis-66-und-laenger-je-aelter-wir-werden-dafuer-dagegen/ 

Mr. Andri Silberschmidt, a Member of the National Council for the FDP-
Party, who argued in favor of the Measure, said that without Measures,
value-added Taxes and Payroll Deductions for Pensions could rise
sharply, this will impose a heavy economic Burden, especially on young
Households and the Middle Class.

Speaking in Opposition, SP-Party Mrs. Flavia Wasserfallen, a Member of
the Council of States, said, this rigid Automatism unnecessarily
limits the political Scope for responding to economic and social
Changes. This Pension-Initiative would mean a Reduction in Pensions.
With Inflation and declining Purchasing Power becoming more pronounced
for Many, People will have to work longer to get the same Benefits.
Those with high occupational Stress (e.g., Nursing) and those with low
Educational Backgrounds will be particularly affected by this
Initiative. In reality, those who can afford it leave the Labor Market
early and enjoy early Retirement; the current System, which offers
Flexibility between the Ages 63 and 70, is superior in that it properly
takes into account an Individual's Life History and Health Status.

Many Young Male Voters are reportedly negative about the Proposal
(Initative).

[Personal Opinion]

Regarding the Initiative of the FDP-Youth Group, I think it would be
wise to avoid a rigid System, as SP-Party Member Mrs. Flavia
Wasserfallen said.
Jobs that require hard Labor, such as Nursing Care or Construction
Workers, ignore individual Differences in the Length of Time a Person
can work.
Securing a Job becomes an Issue for those over the Age of 50 Years, as
it is almost hopeless to find a new Job.
Although, we accept that SP's-Party Argument has some Truth, we cannot
agree with the Argument that the Issue of OASI/AHV's Financial Resources
will be resolved by providing 13 Months of OASI.
SP-Party, who always pretends to be close to the Weak, only suggests to
distribute Money.
Even an Amateur can understand that if we do as they say (SP), we will
lose our Financial Resources.
As the late UK-Prime Minister Margaret Thatcher said "Pennies do not
fall from the Sky. They have to be earned on Earth."


★ スイス連邦議会の政党名 / Political Parties represented in Parliament: 
https://www.parlament.ch/en/organe/groups/parties-in-parliament 


[Editor's Postscript]

While the Slogans of the Referendum (Initiatives) are easy to
understand, they can also be misleading.
Initially, I was opposed to the 13-Month AHV and thought raising the
Retirement Age was unavoidable, but as I gathered more Information,
I changed my Mind and realized that it was also appropriate to oppose
raising the Retirement Age.
Since this is a familiar Issue, there is a lot of Interest from the
Public and enthusiastic Media Coverage. The most important Thing is
to operate the Pension System in a stable Manner. I'm worried about
the Outcome. (A.H.)


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