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タイトル:jSj Vol. 209 「2022年09月25日スイスの国民投票『年金安定化法』他」  2022/09/22


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★  JP-Swiss-journal - Vol. 209 - September 21, 2022 (Swiss Time)

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  【 目次 / INDEX / INHALTSVERZEICHNIS 】

【J】2022年09月25日国民投票
   1) 国民発議「畜産場発議」
   2) & 3) 「国民年金の安定化 (AHV21)」
   4) 「源泉徴収税に関する連邦法改正」

                       明子 ヒューリマン

【E】The Popular Vote on September 25, 2022
     1) "Factory Farming Initiative"
     2) & 3) "Stabilization of AHV (AHV21)"
     4) Amendment to the Federal Act on Withholding Tax

                                 Akiko Huerlimann



━━━━━━━━━━━━━━【 日本語 】━━━━━━━━━━━━━━━



            2022年09月25日国民投票

                       明子 ヒューリマン


来る国民投票で評決する議案は4件だが、2件は国民年金改革法の抱き合わせ案件
だ。政府の説明書は80頁にも及ぶので、いささか腰が引けた。
意を決して各議案を見乍ら、争点と情勢を考えてみよう。*1)

1) 国民発議「畜産場発議」*2)

現状: スイスの動物福祉法は世界で最も厳しい法律の1つと称され、一度に何
匹飼育しても、動物の尊厳と福祉は守られている。連邦政府は、自然に近く、環
境にも動物にも優しい農業生産形態を推進しているので、動物が快適に厩舎で暮
らし、定期的に屋外に出ることが出来る家畜が増えているという認識だ。

議案: 発議委員会が、牛や鶏、豚などの家畜の尊厳を守ることを憲法に盛り込
んで、工場での畜産は動物福祉に反するので、工場での畜産禁止を求めて発議し
た。この議案が承認されれば、連邦政府は、動物に優しい住居やケア、屋外への
アクセス、屠殺、畜舎毎の最大飼育頭数等、更に厳しい最低条件を設定しなけれ
ばならなくなる。動物、動物製品、動物由来成分を含む食品の輸入にもこの条件
が適用される。

議決権行使の質問:「スイスに工場畜産を持ち込まない」の国民発議を受け入
れるか?」

連邦政府と議会は「反対」を推奨。
https://www.blv.admin.ch/blv/de/home/das-blv/rechts-und-vollzugsgrundlagen-blv/abstimmungen/massen-tierhaltungs-initiative.html

連邦評議会と連邦議会はこのイニシアチブに反対する立場だ。動物に優しい飼い
方は増加傾向で、家畜は既に非常によく保護されている。畜産業における有機基
準を満たさない製品の輸入禁止は、多大な努力を払わないと実施出来ないので、
多くの食品が更に高価になる。

議会の評決: 国民議会が反対106票、賛成77票、棄権8票。
全州議会は、反対32票、賛成8票、棄権1票。

反対は、連邦評議会(内閣)、SVP(スイス国民党)、Die Mitte(旧キリスト教
民主党)、FDP(FDPリヴェラル)、Schweizerischer Bauernverband(スイス農
民組合)、GastroSuisse(スイス飲食業組合)、Gewerbeverband(中小企業連
合)、Economiesuisse(大手企業連合)。

発議委員会は「賛成」を推奨。
https://massentierhaltung.ch/

発議委員会の認識は、動物愛護法はしばしば模範的と評されているが、農業の現
実は異なるので、動物に優しい住居とケア、定期的な屋外運動、少数頭での飼
育、穏やかな屠殺を求めている。

発議の賛同者は、政党ではSP(社会民主党)とグリーンリヴェラル、団体では
Tierschutz(動物保護)、Bio Suisse(有機スイス)、Pro Natura(自然保護団
体)、Kleinbauern-Vereinigung(小規模農家組合)。

情勢: 当初賛成がやや優勢だったが、支持は低下傾向。「国民年金改革法」と
「源泉徴収税減税案」の陰に隠れるように、注目度は低め。

この議案は食品の高騰に繋がると懸念されている。高額な有機食品を買えない家
庭は、安価な輸入品を購入する。100%の食糧自給率を達成することは出来ない
スイスなので、食糧安保の観点から、外国への依存度は可能な限り低減しなけれ
ばならない。又、高地の農業は酪農に依存しているので、規制を強め過ぎると国
土の保全を担っている農業が成り立たなくなる、という現実がある。

「屋上屋を重ねる」類いの発議のようだ。左派勢の主張には、往々にして「角を
矯めて牛を殺す」類いの視野狭窄で国の基盤を揺るがしかねない傾向がある。
現行法を遵守で対応出来るようだ。

2)、3) 「国民年金の安定化 (AHV21)」*3) *4)

AHV安定化改革は、今後 10 年程度の年金財源確保を目指す改革で、2つの法案に
賛否の投票が求められている。1つは、財源確保の為に付加価値税を引き上げ
る。この増税案は憲法修正案なので、国民投票が必須。第二の提案は、給付の変
更。この変更に反対するレフェレンダムが要求された。2つの法案は連動してい
るので、どちらかが否決されれば、改革全体が廃案になる。

現状: 団塊の世代が年金受給年齢に達し、平均余命が伸びている為、AHV の財
政的安定が危険に晒されている。 数年後には、AHV の収入だけで全ての年金を
賄えるか危ぶまれている。

1つ目の「付加価値税の引き上げによるAHVの補完的資金調達」は、憲法改正の為
に国民投票が必要。

議決権行使の質問: 付加価値税の引き上げによるAHVの追加資金調達に関する
2021年12月17日の連邦令を受け入れるか?

連邦政府・議会は「賛成」を推奨。
AHVの基金だけでは財源不足になるので、給付金の大幅な削減が必要になる。
https://www.bsv.admin.ch/bsv/de/home/sozialversicherungen/ahv/reformen-revisionen/ahv-21.html

議会の評決: 、国民議会が賛成126票、反対40票、棄権27票。
全州議会は、賛成43票、反対0票、棄権0票。

国民議会の少数派が、付加価値税の引き上げだけでなく、国立銀行の利益の一部
もAHVに注入するよう求めた。

二つ目の議案は、「老齢遺族年金制度改革」。女性の国民年金受給年齢を男性と
同じ65歳に段階的に引き上げて、AHVの給付を調整する議案だ。

議決権行使の質問: 2021年12月17日の老齢遺族保険(AHVG)に関する連邦法の
改正(AHV21)を受け入れるか?

連邦政府・議会は「賛成」を推奨。
議会の評決は、国民議会が賛成125票、反対67票、棄権1票。
全州議会は、賛成31票、反対12票、棄権0票。

AHV改革賛成派は、SVP(スイス国民党)、Die Mitte(旧キリスト教民主党)、
FDPリヴェラル、GLP(グリーンリヴェラエル)、EVP(福音国民党)、
Economiesuisse (大手企業連合)、Arbeitgeberwerband (雇用者連合)、
Gewerbeverband (中小企業連合)。

レフェレンダム委員会は「反対」を推奨。https://ahv-21-nein-so.ch/
年金基金のコスト削減を、年金受給額が男性より3分の1も低い女性を犠牲にして
一方的に行われようとしている。AHV21は、私達全員に影響を与える多くの年金
削減政策の最初の一歩だと警戒している。 

AHV改革反対派は、SP(社会民主党)、緑の党、Gewerkschaftsbund、Travailsuisse,
Unia等の各労働組合。

情勢: スイス社会の高齢化は進み、ベビーブーム世代が年金受給年齢に達して
いるので、単純計算で考えても年金基金は今後益々逼迫する可能性は容易に想像
出来る。不足分を消費税引き上げと、女性の年金受給年齢1年引き上げの二本立
てで対処しようという改革案だ。賃金格差を始め、キャリア形成で女性が依然不
利な状況に置かれている現状は、絶え間なく議論されているのに、何故女性の年
金受給年齢だけが引き上げられるのかには、疑問の余地があると言わざるを得な
い。

9月5日(月曜日)、AHV改革担当のアラン・ベルゼ大臣の地元で、約300人の女性
達が、AHV改革に抗議デモをしたことが報じられた。「年金受給年齢を引き上げ
る前に、賃金格差を無くすべき」と、ヴォー州のフェミニスト達は主張したの
だ。しかし、仏語圏では、有権者の39%がAHV改革に「賛成」または「どちらか
といえば賛成」と答え、一方、独語圏では57%が「賛成」の意向であることが明
らかになっている。ベルゼ大臣は、地元では反対されているものの、有権者が多
い独語圏で男性の賛成が際立って多く、従って賛成多数の形勢なので、余裕の様
だ。但し、これが、彼の今後の政治生命を左右する可能性に繋がる可能性無きに
しも非ずだ。

4) 「源泉徴収税に関する連邦法改正」*5)

現状: 連邦政府は、利子所得に対して35%の源泉徴収税を課している。
債券の利息が源泉徴収の対象となるのは、スイスで発行されている債権のみだ。
スイス在住の個人は、納税の際に源泉徴収税を申告すれば還付される。
しかし、多くの企業は資金を調達するために、ルクセンブルクの様な源泉徴収税
が課されない国で債券を発行するので、現在の税制はスイス経済にとっては不利
になっている。

議案: スイスの企業に、スイスで債券の発行をするよう促す為に、国内債券の
源泉徴収税を免除する提案。これに依って投資家にとってスイスの債券がより魅
力的なものになる。有価証券の購入と売却の際に支払われている譲渡税も撤廃さ
れる。「源泉徴収税」と「譲渡税撤廃」両方の措置がスイス経済に利益をもたら
すことになる。最良のシナリオでは、改革が発効する年に資金調達出来る可能性
がある。しかし、この法案で脱税が増えると予想する発議委員会が、改革に反対
してレフェレンダムに漕ぎ着けた。

議決権行使の質問: 「2021年12月17日の源泉徴収税に関する連邦法(ITA)の
改正(債務資本市場の強化)を受け入れるか?」

連邦政府と議会は「賛成」を推奨。
連邦政府・議会は、失われた雇用と税収をスイスに取り戻したいと考えている。
この改革で、スイスの債券市場と労働市場が強化出来る。
https://www.efd.admin.ch/efd/de/home/steuern/steuern-national/fb-reform-der-verrechnungssteuer.html

議会の評決は、国民議会が賛成125票、反対70票、棄権0票。
全州議会は、賛成31票、反対12票、棄権0票。

改正案に賛成は、政党ではSVP(スイス国民党)、Die Mitte(旧キリスト教民主
党)、FDPリヴェラル、GLP(グリーンリヴェラル)、Economiesuisse(大手企業
連合)、Bankiervereinigung(銀行協会)、Arbeitgeberverband(雇用者連合)
、Gewerbeverband(中小企業連合)。

レフェレンダム委員会は「反対」を推奨。
レフェレンダム委員会は、この改革によって脱税が増え、最大で8億スイス
フランの税収減が発生する。この改革で最も恩恵を受けるのは外国人投資家。
しかし、スイス人の銀行口座に対する源泉徴収税はそのまま存続する。
https://verrechnungssteuer-vorlage-nein.ch/

詳細: 企業だけでなく、連邦政府、カントン、自治体も債券を発行する等して
資金を調達している。債券を取得した投資家は、見返りに利息を受け取る。連邦
政府は、この国内債券の利子に対して35%の源泉徴収税を課している。これに
よって、所得税と富裕税が保証される。

還付が困難な場合: 源泉徴収税の処理は、投資家、企業、連邦、カントン、市
町村にとって費用負担が増すので、海外に住む個人や企業の再請求手続きは複雑
になり、払い戻しには申請書の提出が必要だ。海外から申請する場合、法的な状
況で源泉徴収税の一部還付か、全く還付されないことも有り得る。源泉徴収税が
ある為、特に海外の投資家にとって、スイスの債券市場は魅力的ではない。

国際競争: スイスの債券市場は未発達で、衰退傾向にある。例えば2020年に
は、新規に発行された債券の価値は2010年に比べて約20%も低下している。シン
ガポール、韓国、アメリカ、イギリスの金融センターは、スイスよりも大幅に多
くの債券を発行しており、その筆頭がルクセンブルク。

保守政党と経済界は、「怖がるのではなく、税収を取り戻そう!」と源泉徴収税
一部撤廃を巡る国民投票キャンペーンを開始した。左派のSP(社会民主党)、
Travailsuisse(労働組合)、緑の党、EVPは、この改革は超富裕層の脱税を容易
にすると反対している。

【総論】

投票日が近づいた9月18日、郵便受けに「安定したスイスを共に」という表題の
「スイス安定化委員会」発行のチラシが入っていた。www.stabile-schweiz.ch

超党派で3大政党SVP(スイス国民党)、Die Mitte(旧キリスト教民主党)、
FDP(自由民主党)の議員とBauernverband(農民組合)、Gewerbeverband
(中小企業連合)、economiesuisse(大手企業連合)、Arbeitgeberverband
(雇用者連合)等スイスの主要団体の代表者達が名を連ねている。

主張は、国民発議「畜産場発議」に「反対」、「AHV2議案」と「源泉徴収税廃
止」に「賛成」を促す内容だ。
これに先立って、「源泉徴収税廃止」に「賛成」を推奨するチラシも各家庭に配
布された。こうした動きに、スイスの指導的役割を担う層の強い危機感が伺え
る。

9月14日の最新世論調査に依ると、AHV2議案は共に「賛成」が60%前後と
安定しており、「源泉徴収税廃止」は急速に「賛成」に傾き、一方、国民発議
「畜産場発議」は否決される見込みが増している。

SRG世論調査:
https://www.srf.ch/news/abstimmungen-vom-25-september-2022


【 参照 】

★ スイス連邦議会の政党名 / Political parties represented in Parliament:
https://www.parlament.ch/en/organe/groups/parties-in-parliament

*1) 2022年09月25日国民投票
Volksabstimmung vom 25. September 2022:
https://www.admin.ch/gov/de/start/dokumentation/abstimmungen/20220925.html
*2) 畜産場発議 / Massentierhaltunginitiative Factory Farming Initiative
https://www.admin.ch/gov/de/start/dokumentation/abstimmungen/20220925/massentierhaltungsinitiative.html
*3) & *4) AHVの安定化(国民年金改革AHV21)」:
https://www.admin.ch/gov/de/start/dokumentation/abstimmungen/20220925/stabilisierung-ahv.html
*5) 源泉徴収税に関する連邦法改正:
https://www.admin.ch/gov/de/start/dokumentation/abstimmungen/20220925/aenderung-des-bundesgesetzesueber-die-verrechnungssteuer.html


【 編集後記 】

今回の国民投票の議案は複雑で厄介だった。あれこれ暗中模索しながら、漸く
争点が浮かび上がってきた。結果と諸事情は又ご報告したい。
尚、従来「自由民主党」と和名表記してきたFDPを、「FDPリヴェラル」に表記を
変更。言語に依って党名表記は依然まちまちなので、ドイツ語表記を優先した。


━━━━━━━━━━━━━━【 English 】━━━━━━━━━━━━━━━


         The Popular Vote on September 25, 2022

                                               Akiko Huerlimann


There are four Bills to be balloted in the upcoming Popular Vote, but
two of them are tying in with the National Pension Reform Law.
The Government's explanatory Document is 80 Pages long, so I was
somewhat put off. Let's make up our Minds and look at each Bill, and
think about the Points of Contention and the Situation. *1)

1) The People's Initiative "Factory Farming Initiative" *2)

Current Situation & Proposal of the Initiative:
see "Factory Farming Initiative"
https://www.admin.ch/gov/en/start/documentation/votes/20220925/factory-farming-initiative.html 

Voting Question: "Do you accept the Public Initiative "No Factory
Farming in Switzerland?"

The Federal Government (Bundesrat) and Parliament recommend "NO".
https://www.blv.admin.ch/blv/de/home/das-blv/rechts-und-vollzugsgrundlagen-blv/abstimmungen/massen-tierhaltungs-initiative.html 

The Federal Government and the Parliament are against the Initiative.
Animal-friendly Husbandry is on the rise and Livestock are already very
well protected. A Ban on the Import of Products that do not meet organic
Standards in the Livestock Industry cannot be implemented without
a great Deal of Effort, which would make many Foods even more expensive.

Parliament's Verdict:
The National Assembly (Nationalrat) voted 106 NO, 77 YES, and
8 Abstentions.
The Council of States (Staenderat) voted 32 NO, 8 YES, and 1 Abstention.

Against: Federal Government (Cabinet), SVP (Swiss People’s Party),
Die Mitte (former CVP), FDP (FDP.the Liberals), Schweizerischer
Bauernverband (Swiss Farmers' Union), the GastroSuisse, Gewerbeverband
(Small and medium-sized Enterprise Association/SMEs), Economiesuisse
(Swiss Corporate Union)

The Initiative Committee recommends "YES".
https://massentierhaltung.ch/

The Initiative Committee's Perception is that Animal Welfare Laws are
often described as exemplary, but the Reality of Agriculture is
different and calling for animal-friendly Housing and Care, regular
outdoor Exercise, small Number of Animals, and gentle Slaughter.

The Apostles of the Initiative are SP (Social Democratic Party) and
Green Liberal among political Parties, and Tierschutz (Animal
Protection), Bio Suisse, Pro Natura, and Kleinbauern-Vereinigung
(Small Farmers Association) among Associations.

SITUATION: Initially slightly in favor, but Support is declining.
It received less Attention, overshadowed by the "National Pension Reform
Act" and the "Withholding Tax Reduction Act."

There is concern that this Agenda will lead to higher Food Prices.
Families that cannot afford expensive organic Food will purchase
inexpensive imported Products.

Since Switzerland will never be able to achieve 100% Food Self-
Sufficiency, its Dependence on foreign Countries must be reduced as much
as possible in the Interest of Food Security.

In addition, the Reality is that the Swiss are dependent on Dairy
Farming for Agriculture in the Highlands, and too much Restrictions on
Dairy Farming would make it impossible for them to preserve the Land.

This seems to be a "Pile the Roof on Top of the Roof" kind of Proposal.
The leftists' Arguments have often a Tendency to Narrow-Mindedness that
could shake the Foundation of the Nation, as if they were trying to
"kill the Bull by the Horns. It seems that Compliance with the current
Law is the Answer.

2) & 3) "Stabilization of AHV (AHV21)" *3) 4) [Old-Age and Survivors'
Insurance (OASI)]

The AHV Stabilization Reform is a Reform that aims to secure Funding for
National Pensions for the next 10 Years or so, and requires a Vote for
or against two Bills. The National Pension Reform consists of two Bills,
one of which would increase the value-added Tax (VAT) to secure Funding.
This proposed Tax-Increase is a constitutional Amendment, so a popular
Vote is required. The second Bill is to change Benefits.
A Referendum wants to oppose this Change; the two Bills are linked, and
if either is rejected, the entire Reform will be scrapped.

Current situation & Bill: see  "OASI " Reform:
https://www.admin.ch/gov/en/start/documentation/votes/20220925/oasi-reform%20.html 

The first, "supplemental Funding of the AHV through an Increase of
the value-added Tax," requires a Vote because it is an Amendment of
the Constitution.

Voting Question: Do you accept the Federal Decree of December 17, 2021
on the supplemental Financing of the AHV through an Increase of
the value-added Tax (VAT)?

The Federal Government (Bundesrat) and Parliament recommend "YES".
AHV Funding alone will be insufficient to fund the Program, which will
require a significant Reduction in Benefits.
https://www.bsv.admin.ch/bsv/de/home/sozialversicherungen/ahv/reformen-revisionen/ahv-21.html 

Parliament's Verdict:
The National Assembly (Nationalrat) voted 126 YES, 40 NO, and
27 Abstentions.
The Council of States (Staenderat) voted 43 in favor, 0 against, and
0 Abstentions.

A Minority of the National Assembly (Nationalrat) called not only for
an Increase of the value-added Tax, but also for a Portion of
the Profits of the Swiss National Bank (SNB) to be injected into
the AHV.

The second Bill wants to reform the Old-Age Survivors' Pension System.
This Bill would adjust the AHV's Benefits by gradually raising
the Pension Age for Women to 65 Years, the same Age as Men.

Voting Question: Do you accept the December 17, 2021 Amendment to
the Federal Law on Old-Age Survivor's Insurance (OASI) (AHV21)?

The Federal Government (Bundesrat) and Parliament recommend "YES".
Parliament's Verdict:
The National Assembly (Nationalrat) voted 125 YES, 67 NO, and
1 Abstention.
The Council of States (Staenderat) voted 31 YES, 12 NO, and
0 abstentions.

In favor of the AHV Reform are the Parties SVP, Die Mitte, FDP, GLP,
EVP, Economiesuisse, Arbeitgeberverband (Employers’ Association), and
Gewerbeverband (Trade Association).

The Referendum Committee recommends NO. https://ahv-21-nein-so.ch/

The Attempt to unilaterally cut Pension Fund Costs at the expense of
Women, who receive one-third less in Pension Benefits than Men, has
alarmed AHV21, the first of many Pension-cutting Policies that will
affect us all.

The Opponents of the OASI/AHV Reform are the SP, the Greens,
Gewerkschaftsbund (Trade Union Federation), Travailsuisse, and Unia.

SITUATION: With the Aging of Swiss Society and the Baby Boom Generation
reaching pensionable Age, it is easy to imagine that Pension Funds will
become increasingly strained in the Future, even by simple Arithmetic.
The proposed Reforms will address the Shortfall by raising
the Consumption Tax and rising the Age for Women to receive Pensions by
one Year. The Fact that Women are still at a Disadvantage in terms of
Career Development, including Wage Disparity, is a Subject of constant
Debate, but why only the Pension Age for Women is to be raised is open
to question.

On Monday, September 5, about 300 Women reportedly demonstrated against
the OASI/AHV Reform in the Hometown of Alain Berset, the Minister in
charge of AHV-Reform. Feminists in the Canton of Vaud argued that
"before rising the Pension Age, the Wage Gap must be eliminated."
However, 39% of French-speaking Voters said they will vote "YES" or are
"somewhat in favor" of the AHV-Reform, while 57% of German-speaking
Voters will vote "YES" to the Reform, according to the Survey.
Minister Berset, although opposed locally, seems to have a comfortable
Margin, since the Number of male Voters in the German-speaking Part is
high, and thus the Majority is in favor of the Bill. However, there is
a Possibility that this may affect his political Life in the Future.

4) Amendment to the Federal Act on Withholding Tax *5)

Current Situation & Act: see Amendment to the Federal Act on Withholding
Tax: 
https://www.admin.ch/gov/en/start/documentation/votes/20220925/amendment-to-the-federal-act-on-withholding-tax.html 

Voting Question: Do you accept the December 17, 2021 Amendment to
the Federal Withholding Tax Act (ITA) regarding Withholding Tax
(enhanced Debt Capital Market)?

The Federal Government (Bundesrat) and Parliament recommend "YES".
Federal Government and Parliament want to bring back lost Jobs and
Tax Revenues to Switzerland.
This Reform would strengthen the Swiss Bond Market and Labor Market.
https://www.efd.admin.ch/efd/de/home/steuern/steuern-national/fb-reform-der-verrechnungssteuer.html 

Parliament's Verdict:
The National Assembly (Nationalrat) voted 125 YES, 70 NO, and
0 Abstentions. 
The Council of States voted 31 YES, 12 NO, and 0 Abstentions. 

In favor of the Amendment are the Parties SVP, Die Mitte, FDP, GLP,
Economiesuisse, Bankiervereinigung (Swiss Bankers Association),
Arbeitgeberverband (Employers’ Association), and Gewerbeverband
(Trade Association). 

The Referendum Committee recommends "NO".

The Referendum Committee believes that the Reform will increase Tax
Evasion and reduce Tax Revenues by up to CHF 800 Million. Foreign
Investors will benefit most from this Reform. However, the Withholding
Tax on Swiss Bank Accounts will remain in place.
https://verrechnungssteuer-vorlage-nein.ch/ 

Details:
In addition to Corporations, the Federal Administration, Cantons, and
Municipalities also raise Funds by issuing Bonds and other Means.
Investors who acquire the Bonds receive Interest in return.
The Federal Government imposes a 35% Withholding Tax on the Interest
from these domestic Bonds. This guarantees Income and Wealth Taxes.

Difficulty in getting a Refund: Because the Withholding Tax Process is
costly for Investors, Companies, the Federal Administration, Cantons,
and Municipalities. The Reclaim Process for Individuals and Companies
living abroad is complex and requires the Submission of an Application
for a Refund. When applying from abroad, the legal Situation may result
in a partial Withholding Tax Refund or no Refund at all.
The Withholding Tax makes Swiss Bonds unattractive, especially for
Foreign Investors.

International Competition:
The Swiss Bond Market is underdeveloped and tends to decline.
For example, in 2020, the Value of newly issued Bonds was about 20%
lower than in 2010. The Financial Centers of Singapore, South Korea,
the USA and the UK issue significantly more Bonds than Switzerland, with
Luxembourg on the Top.

Conservative Parties and the Business Community are "not Afraid, let's
get our Tax Revenues back!", launched a Pro-Referendum's Campaign on
Withholding Taxes. The leftist SP Social Democrats, Travailsuisse
(Trade Union), Greens, and EVP oppose the Reform, saying it will
facilitate Tax Evasion by the Super-Rich.

[General Discussion]

On September 18th, as Voting Day approached, I found a Flyer in our
Mailbox issued by the "Swiss Stability Committee" entitled "Stable
Switzerland Together." www.stabile-schweiz.ch

Members of the three major non-partisan Parties, SVP, Die Mitte, and
FDP, as well as the Representatives of major Swiss Organizations such as
the Bauernverband (Farmers' Union), Gewerbeverband (Trade Association),
Economiesuisse (Economic Association), Arbeitgeberverband (Employers'
Federation), etc. launched a Proposal based on the Idea of a national
Initiative to "create a Livestock Industry".

The Statement urges "NO" to the "Livestock Farms Initiative" and "YES"
for the "two AHV Acts" and "Abolition of Withholding Tax.
Prior to this, a Flyer recommending "YES" to the "Abolition of
Withholding Tax" was distributed also to Households.
These Developments suggest a strong Sense of Urgency on the part of
the Leadership in Switzerland.

According to the latest Poll conducted on September 14, the Percentage
of Respondents in favor of the two AHV Acts remained stable at around
60%, with the "Abolition of Withholding Tax" rapidly gaining in favor,
on the other hand, the "Livestock Farm Initiative" is increasingly
likely to be rejected by the Voters.

SRG-Umfrage: (SRG-Survey)
https://www.srf.ch/news/abstimmungen-vom-25-september-2022


[Reference]

★ スイス連邦議会の政党名 / Political parties represented in Parliament:
https://www.parlament.ch/en/organe/groups/parties-in-parliament 

*1) The Popular Vote on September 25, 2022:
https://www.admin.ch/gov/de/start/dokumentation/abstimmungen/20220925.html
*2) Factory Farming Initiative /Massentierhaltunginitiative:
https://www.admin.ch/gov/de/start/dokumentation/abstimmungen/20220925/massentierhaltungsinitiative.html
*3) & *4) OASI reform (AHV21):
https://www.admin.ch/gov/en/start/documentation/votes/20220925/oasi-reform%20.html
*5) Amendment to the Federal Act on Withholding Tax:
https://www.admin.ch/gov/de/start/dokumentation/abstimmungen/20220925/aenderung-des-bundesgesetzesueber-die-verrechnungssteuer.html


[Editor's Postscript]

The popular Voting Bills were tricky. After much groping around in
the Dark, a Point of Contention finally emerged. We will report back
on the Results and other Circumstances.
By the way, the name of the FDP, which was previously written as
"Liberal Democratic Party" in Japanese, has been changed to "FDP
Liberal". Since the name of the party still varies depending on
the language, the German version has been given priority.

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