メルマガ:クリスタルノベル〜百合族
タイトル:クリスタルノベル〜百合族 Vol. 046  2010.4.4  2010/04/04


☆。・゜゜・。♪゜・。。・゜☆。・゜゜.。.:*

  ◆∞◇                    ◆∞◇
   ◇∞◆  クリスタルノベル〜百合族〜    ◇∞◆
    ◆∞◇      Vol. 046  2010.4.4       ◆∞◇


       ♪゜・。。・゜☆。・゜゜♪・゜゜・。☆。゜・。.。.:*


                    ◇∞◇ タイトル ◇∞◇ 
            
             ♪ − 星の降る夜空の向こう



「美紀……」
 礼子が私のうなじに唇を這わす。背筋がぞくっとして快感が全身を走った。
彼女は何度も私を抱いているうちに、私の性感帯を知り尽くしていた。
「ああ……」
 声が上ずってしまう。
「気持ちいい?」
 私は黙ってうなずいた。
「本当?」
「本当よ」
 礼子は私の体を離すと、両手で湯をすくいあげて、私の首筋や肩に繰り返し
かける。
「彼女に抱かれたの?」
「えっ?」
 礼子の言葉にドキッとした。胸の鼓動が高まってくる。私は悟られないよう
に冷静さを装った。
「いきなり何言うのよ」
「あなた、嘘が下手ね」
 そんなことはわかっている。私は顔をあげて礼子を見ることができなかった。
「私、別に怒ってないわ。あなたが誰に抱かれようとも、私の傍にいてくれる
だけでいいの…」
  礼子は再び私の体を抱いた。
「一緒に旅行にきてくれて、こうやって抱き合っていられることが、私は嬉し
いの」
 夜空には月が浮かんでいる。都会で見るよりも、その光が強い。月の光を避
けて反対側の空に目を向けると、すごい数の星が夜空を覆っていた。梨香のあ
の部屋の窓からこの星たちを見上げているかもしれない。
「礼子」
「なあに?」
「私のこと好き?」
「何よ、改まって」
「こんな女……最低な女なのに、どこがいいの?」
「彼女に抱かれたことを言っているの。そんなのお互いさまよ」
 私は驚いて礼子の顔を見た。礼子が妖しい目で私を見ている。
「どういうこと?」
 礼子は含み笑いを浮かべるだけで、何も言おうとしない。私は目の前が真っ
白になってきた。
「誰に抱かれたの? 男? 女?」
 声が震えていた。どす黒い嫉妬の嵐が襲いかかってくるようだ。私には礼子
を責める資格なんてない。なのに、言いようのない怒りが口を衝いて出てきそ
うになる。
 私の戸惑う様子を見て、礼子が笑いだした。
「嘘よ。誰にも抱かれてないわ」
 礼子は、そう言って、お湯を両手ですくいながら私の肩にかけた。白い指の
隙間から湯滴がこぼれる。
 礼子の言葉を聞いて、私はしばらく茫然としていたが、やがて我に返って彼
女から視線を背けた。
「ほっとした?」
「別に。だって、私には怒る資格なんてないもん」
「そうよ」
 礼子の言葉は鋭かった。私はドキッとして彼女の方を向いた。真剣な目で私
を見る礼子はとても官能的で美しかった。
「今のあなたが感じたのと同じ痛みを、今の私は感じているの」
 私は何も言うことはできなかった。
「遅かれ早かれあなたたちがそうなるのはわかっていたわ。それに、私がきっ
かけを作ったみたいなところもあるし。でも、いいの。最近の美紀ってすごく
寂しそうで悲しそうで、見ているのが苦しかった。私じゃ、その気持ちを癒し
てあげることができないってわかっていたから余計にね」
 礼子が私の頬を撫でた。濡れた彼女の指が私の頬を撫でながら唇に振れる。
「ごめん……」
 もしかしたら、私は礼子のことを何をしても傷つかないクールな女だと思っ
ていたのかもしれない。目から涙が零れた。
 礼子が泣きじゃくる私を抱いてくれた。
 風が吹くたび、闇の中の森の木々がざわざわと音を立てた。礼子の豊かな胸
に抱かれながら葉ずれの音を聴いていた。耳に心地よく響いた。顔を撫でる風
が気持ちいい。
「この話はこれでおしまい。この後は旅行をめいっぱい楽しむの」
 礼子はそう言って、私の頬を流れる涙を舐めた。私は黙って何度も頷いた。
礼子のことを大切にしなければと思った。梨香のことはこれで終わりにしよう。
辛いだろうけど、そのうちちゃんも自然に受け入れられるようになるだろう。
この星と月の光にあふれる夜空の下ではそう誓えるような気がする。



≪無料メールマガジン:アーケロン通信≫
オリジナル官能小説メールマガジンです。
濃い口の官能小説Tiny paradiseを連載中です。
登録は無料です。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 
http://www.alphapolis.co.jp/maga.php?maga_id=1000563


オトメ文庫  ガールズラブ  電子書籍
http://www.dmm.co.jp/digital/book/lovelymei-001


レズビアンコミック
http://www.dmm.co.jp/digital/book/-/list/=/article=keyword/id=4013/media=comic/lovelymei-001



♪=======================================================

  ご意見ご感想ご質問等々お待ちしております。

  発行者      : 春野 水晶 

  * タイトル:『クリスタルノベル〜百合族〜』
  * 発行周期:不定期(週2回発行予定)

========================================================♪

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。