メルマガ:クリスタルノベル〜百合族
タイトル:クリスタルノベル〜百合族 Vol. 045  2010.3.28  2010/03/28


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   ◇∞◆  クリスタルノベル〜百合族〜    ◇∞◆
    ◆∞◇      Vol. 045  2010.3.28       ◆∞◇


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                    ◇∞◇ タイトル ◇∞◇ 
            
             ♪ − 星の降る夜空の向こう



「もう、お腹いっぱいだわ」
 部屋で食事を終えた礼子がベタンと床の上に座りこんだままお腹をさすった。
「礼子、食べすぎよ」
「だって、おいしいんだもん。旅館のお料理って、久しぶりだから
 礼子が窓を開けると、心地よい風が入ってきた。
「今日はいい一日だったわ。気温もちょうどいいし、景色はきれいだし。外風
呂も豪華で」
 礼子はくるりと体の向きを変え、私のほうを向いた。
「あ、そうだ。お風呂、入らない? 部屋のお風呂」
 そう言って礼子が外のバルコニーを指差した。
「えっ、今から? さっき外湯に入りにいったばかりじゃない」
「せっかくバルコニーに風呂があるんだから、入んないともったいないわ」
 私たちの泊まる部屋には、バルコニーに小さい露天風呂があった。寝室にな
っている和室から外のバルコニーに出れるようになっている。私たちを部屋に
通した仲居さんが木で出来ているバルコニーに出て説明してくれた。地下から
汲み上げた源泉をそのまま各部屋に供給しているらしい。そんな部屋に泊まっ
たことなどいまでなかったので、説明された時はずいぶん驚いた。
 鞄から着替えのパジャマとバスセットを取り出すと、礼子がバルコニーのガ
ラスの引き戸を開けた。私も彼女に続いてベランダに出た。ヒノキで出来た浴
槽はふたりで入るには丁度いい大きさだ。浴槽の隣には小さな庭園になってい
て、灯篭に灯りが灯っている。
「いいわねぇ。しかもヒノキよ。ここで外の景色見ながらお湯に浸かりたいわ。
本当にいい旅館ね」
 礼子がいきなりセーターを脱ぎはじめたので、私はあわてて目をそらした。
ちらっと礼子を見ると、下に着ていたシャツを脱ぎ、ブラジャーだけの姿にな
っていた。
「あんたも早く脱ぎなよ」
 礼子は腰を折って前かがみになると、素早くジーンズを脱いだ。ブラをはず
すと、彼女のたわわに実った乳房が飛び出してきた。
 礼子が最後の下着を脱ぎ、一糸纏わぬ姿で私の前に立った。顔が火照ってき
た。
「どうしたの? 照れているの? 私の裸なんていつも見ているじゃない」
 礼子が私を抱きしめて唇にキスをした。いつもの甘い香りがする。
「うふ、先に入ってるわね」
 礼子は私の戸惑いなどおかまいなしに、さっさと引き戸の向こうに消えてい
く。
 梨香とのことがあってから、やたら礼子を意識している。礼子の言動すべて
を、一つの方向に結び付けてしまう。
 私も彼女の後を追っていそいそと服を脱ぎ、バルコニーに出た。
 「美紀、気持ちいいわよ。早くいらっしゃい」
 湯船につかりながら礼子が手を振っている。 かけ湯をしてからそろそろと
足を湯につけた。熟すぎず温すぎず、ちょうどいい。肩まで湯につかると、全
身の疲れが溶け出していくようだった。
「お湯加減、ちょうどいいわね」
 バルコニーのまわりを囲うように目隠しの生垣が設けられていて、その向こ
うには真っ暗な森が広がっている。
 「すごい……本格的な露天風呂ね」
 私は感心して生垣の外を見た。
「はぁ〜、いいお湯ねぇ。ふたりで入るのに、丁度いい大きさだね」。
 ふたりで湯船に浸かってまったりとする。空には満天の星が燦然と輝いてい
て、時間がゆっくりとゆっくりと過ぎて行ってるような錯覚を起こす。
「ここだけ時間が止まってるみたい」
 そう言って私が笑う。
「そうかもね」。
 私の言葉に礼子も同意して笑った。
「ねぇ、美紀」
「何?」
「また、ふたりで温泉行こうよ。いろんな温泉に行って、いろんな宿に泊って。
こうして一緒に入れるところがいいな」
 私の体にもたれ掛かりながら礼子がいった。礼子の様子がどこか寂しげに感
じて私ははっとした。
「どうしたの? なんだか寂しそう」 
「そんなことないわ。あなたとこうして一緒だもの」
 そういって、礼子が自分の体をすりよせて私の体を出きしめた。



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  発行者      : 春野 水晶 

  * タイトル:『クリスタルノベル〜百合族〜』
  * 発行周期:不定期(週2回発行予定)

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