メルマガ:クリスタルノベル〜百合族
タイトル:クリスタルノベル〜百合族 Vol. 030  2009.11.15  2009/11/15


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  ◆∞◇                    ◆∞◇
   ◇∞◆  クリスタルノベル〜百合族〜    ◇∞◆
    ◆∞◇      Vol. 030  2009.11.15     ◆∞◇


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                    ◇∞◇ タイトル ◇∞◇ 
            
             ♪ − 星の降る夜空の向こう



「どうしたんですか? なんか考えごと?」
「あはは、午後の授業のこと考えてたらちょっと憂鬱になっちゃって。次って
日本史なの。こんなにガッツリ食べたら眠くなるかもなって」
「ふふっ、そうかもね」
「部活のとき、寝ちゃおうかな」
「じゃあ、部活が終わったら、ほっぺにデコピンして起こしてあげます」
「おおぅ! それは頼もしい」
彼女の屈託のない笑顔を見ていると、頭の中が蕩けそうになった。

 ビシッ
「ぶわわっ! は、はぇ?」
 突然の衝撃に、私は頬を撫でながら身を起こした。
 ヒリヒリとする痛み、驚きで早まった鼓動。
 とっさに首を振ってあたりを見渡す
 シンと静まった教室、からっぽになった机とイスの群。
 そして、こちらを見つめてクスクスと笑う彼女。
「ご、ごめん。ほんとに寝ちゃってたね、わたし」
早目に部活が終わったので、後片付けをして梨香を待っているうちに寝てしま
ったようだった。
「ははは。実は、今日は凄くふわふわしてたの。チューバ吹いている時はバッ
チリ眼が冴えてたんだけど。部活終わると気がぬけちゃって、完全に眠っちゃ
ったみたい」
 やっぱり昨日、ろくに眠れなかったのが響いたんだろう。
 遠足前の子供じゃないんだからって、何度も自分に言い聞かせたのに、眠る
ってこと、ただそれだけが自分ではどうにもならない、難問へと変わっていた。
「ホントごめん、もしかして、わざわざ残っててくれたの? 誰もいないよう
だけど」
「いいよいいよ。実を言うとね、気づいたみんなが美紀さんを起こそうってし
たときに、私が止めたの。あんまり気持ちよさそうだったから」
 不思議な内容の言葉、思わず目を大きく広げて呆けてしまう。
「寝顔、可愛いかな〜って思って、ずっと見ていたんです……。すごく可愛く
って、起こすのが勿体無くなっちゃって」
 その時の梨香の笑顔が眩しすぎて気絶しそうになった。
「ごめんね」
 そう言って、私は小さく頭を下げた。
「あ、…うん。全然、うん」
 じんわりと、もしかしたらば、ぐんにゃりと。
 身体の芯から、急速に広がってくる熱があった。
 なんだろう、悲しくないのに涙こぼれそうになってくる。
 怖くもないのに、両手少しだけ震えてきてる。
「…ぁ、…ぅぅ」
「えっ! ごめんなさい、美紀さん、寝顔見られるのとか嫌だった?」
 違うの。そんなの全然ないの。
 心配そうに顔を覗き込んでくる彼女に、だけど胸がつかえて言葉でない。
「…ち、が……ぅ」
 もどかしくて、苦しかった。
 だから、更に一歩踏み込んできた彼女の首筋。
 そこにゆっくりと手を伸ばして
 気が付いたら、そのほっそりとした唇に自分のそれを重ねていた。 

 その行為を何度想像したことが、あっただろう。
 クラスメートの女子達が時折自慢気に語る、愛を伝えるための手段とそのプ
ロセス。
 冗談みたいにして、誰とでも出来るって人もいれば、本当に好きな、ただ一
人の相手にだけしたいって人もいた。
 私は絶対に後者だろうなって考えながら そのときは笑いながら前者だって、
答えていた。
 周りのみんなは、どっと笑う。「そりゃあ、そうだ。美紀みたいな博愛主義兼
おやじマンは、だれかれ構わず可愛い子を見つけたらそっこー迫ってそうだも
ん」
 そうかもしれないけど、でも違うんだろうって思ってた。
 本当に大好きな人と重ねるキスは、きっととんでもなく甘くて、きっと自分
を忘れてしまうくらい刺激的だ。  


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  発行者      : 春野 水晶 

  * タイトル:『クリスタルノベル〜百合族〜』
  * 発行周期:不定期(週2回発行予定)

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