メルマガ:クリスタルノベル〜百合族
タイトル:クリスタルノベル〜百合族  Vol.001  2009.3.14  2009/03/15


☆。・゜゜・。♪゜・。。・゜☆。・゜゜.。.:*

  ◆∞◇                    ◆∞◇
   ◇∞◆  クリスタルノベル〜百合族〜    ◇∞◆
    ◆∞◇      Vol.001  2009.3.14      ◆∞◇


       ♪゜・。。・゜☆。・゜゜♪・゜゜・。☆。゜・。.。.:*


                     ◇∞◇ タイトル ◇∞◇  
            
             ♪ − 星の降る夜空の向こう




「昨日、電話で沙耶さんを予約した嶋崎です」
 この店に電話するのは今回が二度目なのに、頭が真っ白になるくらいひどく
緊張した。昨日、自分の部屋からこの店に始めて電話したときは、何を喋って
いるのか思い出せないくらい緊張していた。電話を切ってから、せめて偽名を
使えばよかったと思ったが、本名を名乗ったところで、だれも私のことなど知
らないのだから気にすることなど無いのだと思って、不安感を無理に拭い去っ
た。
 私の予約を確認した女性スタッフの、「どうもありがとうございます」という
声が携帯電話の向こう側から聞こえてきて、ようやく呪いの拘束が解けた。極
度の緊張のため、いつの間にか爪先立ちになっていたのに気づき、踵を地面に
付けた。
 電話の向こうから、待ち合わせ場所の希望はあるかと聞いてきたので、戎橋
のロッテリア前で問題ないか聞いた。女性スタッフは、その場所ならすぐ近く
だといった。三十分後に沙耶というキャストと待ち合わせすることになった。
 自宅のパソコンでビアン体験をロムっていると、あるレズビアン専門の風俗
店のサイトにたどり着いたのは昨日の夕方のことだ。レズヘルという言葉は知
っていたが、そんなところで遊んでみようという気持ちを持ったことなど今ま
で一度も無かった。
 好奇心からサイトの中を覗いてみた。キャスト紹介のページを覗いて胸が痛
んだ。

 梨香……。

 沙耶というキャストの顔が梨香にそっくりだった。胸が高まり、いつの間に
か握り締めた手にじっとりと汗をかいていた。しばらく忘れていた、四年前の
あの辛かった別れの場面が瞼の裏に浮かんできた。
 梨香に会ってみたい。
 もちろん、その沙耶というキャストと梨香が別人物であることはわかってい
たが、気がつけば私は携帯電話を手に持っていた。結局、私はデートコースを
予約してしまっていた。
 戎橋のロッテリアで沙耶を待っている間、私は自分がすごく大胆なことをし
でかしているような気がして怖くなってきた。
 本当にレズビアンのお店なんてあるのか、本当にサイトで見た沙耶という女
の人がくるのか、だれか悪いひとに騙されたり、脅かされたりしてお金を取ら
れるんじゃないか。一人緊張しながら陰鬱な顔で待ち合わせ場所に立っている
私は、傍目にはとても奇妙に映っていただろう。
 やがて、目の前の人ごみの中で彼女を見つけた。思っていたよりも小柄で、
想像以上に綺麗な女性だった。
「こんにちは」
 笑顔で挨拶する彼女は、梨香や私より、二つ三つ年上のような感じだった。
「どうも……」
 喉が渇いて言葉が出ない。私が緊張して固まっていると、沙耶はすっと右手
を差し伸べ、私の左手を掴んだ。
「どこに行きたい?」
 彼女が弾むような声で私に聞いた。
「あ、あの……。ごめんなさい。私、何も考えてなくて」
 何もプランを立てずに勢いで予約して、今を迎えてしまっていたのだ。
「いいわ、気にしないで。私に任せてくれていいから」
 そうして、彼女のエスコートでふたりのデートが始まった。


♪=♪=======================================================♪=♪

  ご意見ご感想ご質問等々お待ちしております。

  発行者      : 春野 水晶 

  * タイトル:『クリスタルノベル〜百合族〜』
  * 発行周期:不定期(週3回発行予定)

♪=♪========================================================♪=♪

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。