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タイトル:石川ファミリーアンサンブル通信550  2010/01/07


今日も良い天気ですね。でも寒い。志賀高原よりも寒く感じます。暖房が中途半端なんですね。
ロンドンの代理人(仕事仲間)からのメールが入ってましたが、ロンドンはものすごい雪。車が雪に埋まって大変だそうです。
そういえばワシントン近くの代理人もすごい雪だとか。
志賀高原のスキーホテルでのロビーコンサートで、ショスタコーヴィッチを演奏中、私は譜めくりをミス。
譜めくりって意外と難しいんですよね。
もちろん、写譜屋(浄書家と正式にはいうらしい)の方が譜めくりをきちんと考えて譜面をレイアウトします。
私も学生時代に何千枚と写譜をしましたが、必ず写譜した後に、その譜面を使って自分で弾いてみました。
そしてめくりにくい所は書き直したりしています。
最も、昔は今のようにパソコンで簡単に譜面を作ることなど出来ませんので、全て手書き。作曲家と同じ作業をしたわけです。
ですから、後で左右ページが逆の方がよいなんて出来ませんから、最初にスコアをよく読み、めくれる箇所を考えるわけです。
また、休符が長くて時間的にめくれる場所であっても、曲想が静かな場所で音をたててめくれませんのでそういうことも考慮します。
つまり、写譜屋のプロの方は単に譜面を書き写すのではなく、その曲をよく知らなければならず、また、楽器の性能上どこならめくれるというのも考える必要があります。
しかしながら、写譜屋泣かせの作曲家がいます。それはシューベルトです。
弾き出したら弾きっぱなし、どこにも譜めくりできるような休みが無い。もちろん暗譜してしまえばよいのですが。
そこでよく演奏家は、譜面台を複数用意して3ページ、あるいは4ページに並べて演奏したりします。
弦楽四重奏なんかでは、第1ヴァイオリンがどうしてもめくれない時に、第2ヴァイオリンがめくってあげたりと、チームプレーもあります。
オケではもちろんプルトの裏の人がめくりますが、めくる時間が少ない時は表の人がめくります。
これは表の人は楽器の竿から左手を離してすぐにめくれるからです(裏の人は左手が譜面に遠く、右手は弓を持っているため持ち替えで時間がかかります)。
裏の人がめくる時に、表の人が弾いている場合は、表の人は裏の人がめくり終わって演奏に復帰するまで少し強めに弾きます。
うまいオケでは、譜めくりの際に演奏が半分になっても音量が変らないのですね。
さて、譜めくりの際に、アマチュアがよく使っているコピーを製本した譜面で譜めくりを行うと、バサバサと音がします。
以前、ある大学オケにエキストラで参加した際、そこの皆さん譜めくりの仕方を知らなかったので、ブルックナーの静かな場所でバサバサと音楽をぶち壊し。
指揮者が何とかならないかと、指摘したところ、そこのオケのトレーナーの先生(あるプロオケのヴァイオリン奏者)が、霧吹きで湿らせなさいと。
これには思わず笑ってしまいました(皆さん真剣に聞いてましたが)。絵里子じゃないけど、ばーーーーかですね。
もちろん製本の仕方が悪いのもあるでしょう、ですが、譜面のめくり方を知らないだけなのです。
譜面はページを曲げながらめくってはだめ、ページの端を持ったらドアの回転のように、ページを伸ばしたままめくるのです。
つまり、ページが紙で出来ているのではなく板で出来ているようにめくるのです。
こうすれば音はしません。これで音がするのではそもそも製本が悪くてまともにめくれないものです。
最も譜めくりの際に音は出ないものの、めくるという動作が目障りの時があります。例えば、pppで静かで緊張感に満ちた場所でわさわさ動くのはよくありません。
こういう時は、そうなる前かその後にめくるようにします。譜めくりもテクニックの1つですし、何よりも音楽を知らなければいけないですね。

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IFE通信No.550 10/1/7発行(平日発行)
発行者:石川 聡
石川音楽工房(PC版)
http://www.ne.jp/asahi/ishikawa/music/
email:s-ishikawa@music.email.ne.jp

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