メルマガ:toxandoriaの日記
タイトル:チェリーピンク・アベGDPの日本はAIロボ『人間の壁』経済に備え“社会の茎”・・・(6/6)−2  2019/03/07


■チェリーピンク・アベGDPの日本はAIロボ『人間の壁』経済に備え“社会の茎”、「新マクロ経済/Ex.BI型“社会的共通資本”」
金融への展相が必須!(6/6)−2

<注記>お手数ですが、当記事の画像は下記URLでご覧ください。
https://toxandoria.hatenadiary.jp/entry/2019/03/05/153938



6−2 “社会の茎”(社会的共通資本)を支える新マクロ経済への相転換/“国民の幸せ”を実現する3つの方向性

(1)“社会の茎”(社会的共通資本)の要となる「新しいマクロ金融」

・・・ここでの問題は、“社会の茎”(社会的共通資本)を支える「新しいマクロ金融」の中枢たる<段階的べーシックインカム>
があってこそ、我われは<社会ニーズや仕事・雇用>について新しい形の創造を実現し、我われ自身と未生の人々が本格的「準汎用
AIロボ」時代の『人間の壁』をブレークスルーし、その準汎用AIロボが創造する高度な付加価値をヒト(日本国民)の“幸せ”のた
め存分に活用できるようになるということ。・・・

 (『機械化経済』時代にこそパワーを発揮する“社会の茎”(社会的共通資本)の役割)

この問題意識の核心は、汎用・准汎用AIロボ(純粋機械化)が創造する大きな付加価値(高度生産性)の「ヒトのための有効活用」
を、特に新たなマクロ経済の中核として取り入れるべきだという考え方である。そして、これから述べるのは、文字通りのことだが
前章で指摘した[“AIロボ&ヒトという全く異質な両生産性”の断絶を見据えて展相の“新マクロ経済”で再統合を実現する]ため
の具体的な方向性の提案である。

つまり、この再統合の工夫による「(a)AIロボ高度生産性の(b)“ヒト社会”におけるリアル有効化」がなければ、それは<非常に
リスキーな断絶を放置する>ことと同意であり、そもそも(a)AIロボ高度生産性の存在意義そのものが全く無意味となるはずである
からだ。

汎用AIロボ/ワールドなる「電脳Webシンギュラリティの新世界」で“永遠の生命”を得る”カーツワイルらの如き一握りの超エリ
ートや大富豪らが、その世界の中で永遠に?遊び続けることを夢想するのは勝手であるが、もしその流れに身を任せることを良しと
するだけなら“ヒト社会”はデストピアの到来を待つだけのことである。

そもそも、[(1)社会の茎(socio-scapes)‐(植物群落の遷移における草本の茎の役割)]で述べたとおり高等植物において葉
や花を支える部分である茎の役割は「根から吸収した水分や栄養素(ミネラル等)を植物体の各所へ運び、それと共に葉で光合成さ
れたもの(光エネルギーを化学エネルギーに変換する生化学反応で作られたもの)を光合成ができない部分へ運ぶ、ということで
あった。

だから、「社会的共通資本としての“社会の茎”」とは、まさにこの高等植物における「茎の役割」を担うものに相当すると考えれ
ば分かり易いのではないだろうか?

因みに、この「社会的共通資本としての“社会の茎”」と似たような「生体内におけるエルゴン(いわばエネルギー通貨を介した活
動パワーの再配分)のメカニズム」はゲノム染色体の分配や再配分の仕事の中でも観察されることである。

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例えば「染色体の分配に関わる非コードDNAの問題」ということがある。ヒトゲノム・プロジェクトの結果、ヒトのDNAは100%解読さ
れたとされているが、それは「30億塩基対の全ゲノムのうちで2%の部分だけのこと」で、「残り98%は非コードDNA」と呼ばれてお
り、それらは“タンパク質をコードしていない”領域である(出典:小林武彦・東大分子細胞生物学研究所教授・箸『DNAの98%は
謎』‐講談社‐/以下は、同書の解説から部分的に、関連すると思われる部分を要約した内容)。

同書によれば、この「全体の98%を占める非コードDNA」は“遺伝子の発現、DNA複製の開始”などの染色体の上で起こるイベントの
全てを制御・維持する機能を担っていると理解されていたが、“タンパク質をコードしていない”という意味では、その点に関する
限り殆ど役に立たない領域と見なされてきた。ところが、近年の研究で、この領域がヒトの進化・免疫・老化などの非常に多様な分
野において、殆ど無尽蔵なほどの重要な役割を担っていることが理解されつつある。

よく知られた事例では「免疫グロブリンの遺伝子再編成」の問題がある。免疫グロブリンは抗体を作るタンパク質で、普通は「1種
類の抗体がある特定の異物(抗原)だけを攻撃する」という“特異性”を持つ。一方、生命個体の外部から侵入する抗原の種類は殆
ど無限大に近いといってもよいので、進化のプロセスでグロブリン再編成(ごく一部の小さな可変領域におけるリフォーム)の仕組
みが編み出された。

ところで、新種の異物(抗原)に対処するためのグロブリン再編成の材料となるタンパク質はDNAでコードされるため、殆ど無限大に
近い新種の抗原に対処するためには膨大な数のDNAが必要となるはずだ。しかし、ヒトゲノム・プロジェクトで確定したDNAの数は有
限(約2.2万個)である。そこで、進化の過程で編み出されたのが「一見では何の意味も持たないDNAの墓場的な領域を設ける」とい
う戦略であった。

つまり、その「殆ど無意味な、一見では役に立ちそうもないDNAの墓場/偽(ギ)遺伝子と呼ばれる壊れた遺伝子のリピート配列(従
来はジャンク、つまりゴミと呼ばれていた)」からランダムに1つずつの材料が選ばれて、それらの組み合わせで、新しい免疫グロ
ブリンの再編成が行なわれていることが分かったのである。

恰も、このような「全体の98%を占める非コードDNA」の巧妙(絶妙?)なメカニズムは、上で見た「社会的共通資本としての“社会
の茎”」そのものだ、とさえ言えるのではなかろうか。つまり、生命モデルから得られる知見からすれば、「例えば、新古典派経済
学にシッカリ取り憑いた新自由主義の如き“合理原理主義”こそ“非合理”であり、“時に備えたムダも一定の視野に入れる“限定
合理”こそが、ある意味で合理的であることが分かる。

従って、このことは後述する「新たなリアル需要の創造/第4次産業革命をリアル化する新たな課題への挑戦」の問題とも必然的に
関係することになる。因みに、これは殆ど余談だが、同書によれば「進化の過程でサルとヒトの違いを作ってきた」のも、この「従
来はジャンク(ゴミ)と見なされていた、全体の98%を占める非コードDNA」であることが理解できる。

 

(2)“社会の茎”(社会的共通資本)における「エネルギー通貨」の考え方(新しいマクロ金融のエルゴン)

・・・そこで必須となるのが、個体内におけるリアル生命の「エネルギー通貨」の役割についての理解ということ。・・・

これまでの当記事の流れの中で、特に前節の「生命モデル」という着眼点で学んだのは、「持続するリアル生命のあり方の根本には
“時に備えた一定のムダも視野に入れる“限定合理”(ヒューリスティクス)こそが、ある意味で生命個体ないしはそれが一部とし
て成立する広義のバイオスフィア(地球環境の如く多様な生命が個々の生態連鎖である、喩えれば“入れ子”構造のような共鳴・循
環・円環・交流のなかで存在するリアル世界)のため、つまりそこにある個体生命トータルの“幸せ”のためには最も合理的であ
る”」ということではなかったのか?

特に、それは「マッハ感覚論的素材性」というリアル意識の入り口を介してこそ“幸せ”を感じられるヒトの場合は、この着眼点に
気付くことが重要ではないかと思われる(関連参照/プロローグ―(3)準汎用AIの時代が意味するコト、第5章−1 近づく本格
的な「第4次産業革命」の時代に潜む超リスク)。

そして、その本格的な第4次産業革命の時代において『完全な“汎用AI”の実現を夢想する一握りのホモデウス派が、相変わらずの
抽象観念的“合理性”で永遠の生命の実現をすら求めるあまり、益々、彼らがマイファースト化して新自由主義の新たな暴走ステー
ジ』への相転換を現実化させようとする節が覗われる今だからこそ、ヒトを含む地球上の凡ゆる生命にとっても重要な意味を持つこ
とになる。

それは、完全とは言わぬまでも、仮に『“準汎用AIロボ”の段階で新自由主義の新たな暴走ステージへの相転換』が実現してしまっ
たとすれば、一握りの“完全電脳化”したホモデウス派にとっては、もはや多様なリアルエネルギーを必要とする生命が存在する、
現在の豊かで美しい自然環境に満ちたエトノス(リアル地球環境の総体)をすら不要と見なすことになる恐れがあるからだ。

更に、ここで想起すべきは<GDPは人間の主観的・欲望的な意思(漠然とした、大まかな、従って強欲へも傾斜し得る!←補、toxandoria)を初動因とするイノベーションの計数化」だということ>である(関連参照/第2章‐(イ)「有効エネルギー(エク
セルギー)、無効エネルギー、ミクロな日常生活」に見える<人間本位の経済学>の可能性)。もしそうなら、場合によっては
<“狂想+強欲”の異常な意思>が彼らの<脳/精神環境>を完全支配する恐れが高まり、その結果として「とめどなく超搾取的な
イノベーション創造」となることもあるだろう。

従って、“準汎用AIロボ”システムの機械的な「高度付加価値」創造が、今度は地球上の凡ゆる生命を悉く根こそぎに搾取し尽し
て、地球上の全生命を絶滅させる危機が迫る可能性すらあり得るだろう。無論、その真相は「ストレスが原因とされる、タコの自
食行動」にも似た彼らの浅はかな愚行であるのだが!(しかも、普通に自食したタコの脚は再生するが、根元までゴッソリ食べ尽し
てしまうと再生が中々困難となるらしい?w)

因みに、この「カーツワイル」型のシンギュラリティ原理主義という異様な状態は安倍晋三・日本会議らが夢想する“追憶のカル
ト”の『神国ニッポン』、あるいは米トランプ大統領の中核支持基盤であるキリスト教右派(ダーウィン進化論否定/ペンス副大
統領のベース基地)の『神の国』のそれに酷似している。

一方、(繰り返しになるが)マーティン・オルブロウの“社会の茎”のそもそもの定義であった「トランスナショナルな分業を巡っ
て組織される、国家など一定の地理的な領域を持たないコミュニティ」は、今では必ずしも「コミュニティ」だけにかぎるものでは
なく、グローバルな地球環境という「大きな繋がりの網の中でこそ個体生命は存在し得る」という現実を保証する入れ子構造のフレ
ーム(観念)をも意味する。

従って、恰も「エネルギー通貨をエルゴン(活力源)とする生命(or生物環境)トータルの壮大な循環モデル」内部での活動と同じく、“社会の茎”の内部でも何がしかのエルゴンを供給するものの介在が必須であり、それが中核的な交流・交換・共鳴らの諸活動
を促す何らかのパワーとなり得ることになる。

そこで、注視すべきが生命活動における「エネルギー通貨」の意義ということだ。第4次産業革命の「AIロボ機械経済」がもたらす
『人間の壁』(デュナミス経済化/従来のマクロ経済では解決不能な『AIロボ・高度生産性』Vs『ヒト型経済の低生産性』に因る大
格差(新種の巨大ワニ口)が発生すること!)/しかし、そのままでは前者と後者の価値交換が殆ど不可能という、これら二種の異
質な生産性を巡るアポリア!)に因るデストピアの出現が高まりつつある今だからこそ、この観点が特に重要と思われる(関連参照
/第5章−1 近づく本格的な「第4次産業革命」の時代に潜む超リスク)。

<補足1>エネルギー通貨(ATP/adenosine triphosphate)とは?

・・・以前にも述べた内容もあるが、最も重要な点なのでそれらも含め改めて説明を加えておく。・・・

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生命進化の過程におけるポスト通過点の各フェーズ(動物or植物)内では細胞内にあるオルガネラ(organelle/ミトコンドリアら微
小器官)のATPに関わる機能分担“再配置”の如く(動物と植物ではATP(アデノシン酸三燐酸)の役割分担は異なるが、エネルギー
通貨(生命活動のためのエルゴン)の役目は共通している)、必ず個々の生命総体での帳尻合わせが行なわれているようだ。そして、
分子生物学者である二井將光・大阪大学名誉教授は、オルガネラとミトコンドリアについて以下のように説明する(典拠:https://www.jst.go.jp/pr/announce/19991126/index.html)・・・膜に包まれた生体細胞の中にはオルガネラと呼ばれる小器官が存
在する。ミトコンドリアはこのオルガネラの一つで、いわば生物のエネルギー工場である。ヒトを含めた真核生物の祖先は、荒々し
い原始地球から現在のように大量の酸素を持つ地球に変わる過程でミトコンドリアと共生し、呼吸によりエネルギーを大量に獲得出
来るようになったと推定される。ミトコンドリアは、呼吸によって得られる酸素と食べ物を分解して得られるプロトン(水素イオ
ン)と電子とを反応させて、ATP(アデノシン5-三リン酸)をATP合成酵素内で合成する。合成されたATPは、蛋白質の合成や筋肉の動
きのエネルギー源として消費される。

<補足2>個体生命(真核生物)内における「エネルギー通貨(ATP)」の基本的な働き

1 ATP(高エネルギーリン酸結合/酸無水物による酸無水結合)には2つの高エネルギーリン酸結合があるが、生体内のエネル
ギーとしては末端の1つが主に利用されている。ATPはATPaseという酵素で加水分解されADP(アデノシン二リン酸)とリン
酸になり、この時にATP1モル(グラム分子)当り7.3kcalの高エネルギーが放出される。 http://y-arisa.sakura.ne.jp/link/yamadaka/animal-cell/gene/ATP-1.htm 

2 ATPに蓄えられたエネルギーが放出され、生物の緒活動、例えば蛋白質等の合成、輸送、運動、発光、発電、発熱、発音など
に利用される。一度ATPがADPとリン酸に分解・消費されると直ちに呼吸代謝系(光合成、呼吸・食物/+酵素(触媒))から
エネルギー供給を受け、逆反応でATPが生成される。そのためATPは生体内での通貨に喩えられ、余分が生ずるとクレアチンリ
ン酸などで貯金される。但し、この貯金(エネルギー物質)の割合は非常に小さいので、絶えず食糧(酸素、糖質、脂肪など)の形
で外部からエネルギー源が供給される。http://y-arisa.sakura.ne.jp/link/yamadaka/animal-cell/gene/ATP-1.htm

3 ATP合成酵素については未知の領域が多く、無論、ATPアーゼ(アデノシン三リン酸分解酵素)」を人工的に作ることはできない
が、特に複雑極まりないF型ATPアーゼ(分子量50万以上)はほぼ全生物に共通してATP合成に用いられる普遍的な酵素であることが知
られており、そこには進化の痕跡が垣間見られない。https://pdbj.org/mom/72-

<補足3>ATP研究に関するトピックス

【ATP合成酵素の原子構造の解明は程遠い!】20180917

・・・ATP合成酵素の調節の詳細を知るには、その原子構造の知識が必要である。しかし、ATP 合成酵素は、私たちを含む世界の多数
の研究グループの構造解明の挑戦を、この15 年間ことごとくしりぞけてきた。/細胞のATPの消費需要と合成能力とは刻一刻変化して
いるが、それに応じATP合成酵素はどのように制御されているか。これが全くわかっていない。京都産業大学・総合生命科学部・教授
 吉田 賢右 https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/12_kiban/ichiran_23/j-data/j77yoshida.pdf

【ATP合成酵素(分子モーター/人間の場合、ATP合成酵素はミトコンドリアの内膜にあり、水素イオンの流れでATPを作っており、そ
の役割は発電所の仕事に喩えることができるが・・・】20180919

・・・なぜ、あらゆる生物が簡単な機構ではなく、複雑なナノモーター(ATP合成酵素の回転運動を世界で初めて観察!)を使用してい
るのか?は未解明である!その回転には何らかの宇宙的な普遍性があるかも!?/京都産業大学、総合生命科学部 生命システム学
科 吉田賢右教授、https://www.kyoto-su.ac.jp/project/st/st11_06.html 

 

(3)「エネルギー通貨」モデルこそ「新しいマクロ金融」のエルゴン/その一例がべーシックインカム

a 段階的べーシックインカムが今の日本で必須!と考えられる理由

これは前にも述べたことだが、この段階的べーシックインカム導入の狙いは<近未来において汎用・准汎用AI(純粋機械化)が創造
する高度付加価値(生産性)の「ヒトの“幸せ”と未生のための有効活用」を特に「マーティン・オルブロウの“社会の茎”
(socio-scapes/生命モデル社会を実現するための主柱)の観念に因る新たなマクロ経済」政策の中核、つまり社会的共通基盤の中
で最もべ
―シックな役割を担うべき基盤としてシッカリ取り入れるべきだというということ>である(関連参照/第3章‐マーティン・オル
ブロウの社会の茎/socio-scapes)。

繰り返しとなるが、より具体的にその意味することをイメージ化できるように説明すると次のとおりである(関連参照/第5章‐1:“第4次産業革命”で期待できる『ヒトの“幸せ”のためのヘゲモニー争い』の行方/マクロ経済学的に何もせず放置すればデ
ストピア出現の可能性が高まる)。 

⇒「准汎用AIロボ(機械化経済システム)が創造する高付加価値(生産性)のデュナミス(そのままでは潜在性に止まる“准汎用AI
ロボ”が創造した高度生産性)を如何なるマクロ政策的な仕組みを介在させて多くの生身の人々が“幸せ”を感じられるようにリア
ル化するかが、つまりその意味で資本主義をどのようにネクストの方向へ相転化(ヴァージョンアップ)できるかが、非常に重要な
喫緊の課題となっている。そして、そこにこそ“新しい金融インフラストラクチャ―(社会的共通資本)”としてのベーシックイン
カムの役割が改めて認識されることになる。」 

しかし、米国・カナダ・インド・イタリア・スイス・フィンランド・オランダ・ケニア・ウガンダなど世界各国で べーシックインカ
ムについての「支給対象者を絞り込んだ実験」が行なわれているが(その殆どは現行の福祉・給付制度と並行して行われていると思
われる)、概ねのところは財政負担の拡大等を主な理由として時期尚早との評価が出されているようだ(Cf.
https://seijichishin.com/?p=4826)。

また、ベーシックインカム論の淵源の一つが、マネタリズム・市場原理主義・金融資本主義を主張したミルトン・フリードマンの
「負の所得税」であることから、例えば黒田バズーカ(異次元金融緩和)らのバラマキ論(マネタリズムの暴走)と同じジャンルと
見なされることがあり、左右派の立場の違いを問わずベーシックインカムでは財政破綻になるだけだ!と、これを一笑に付す人々も
多いようだ。

しかし、いまや周知のことであるが、「アベノミクス(“黒田バズーカ”なる妖しげな保証人付き!)の大混迷orアベさまの上げ底
景気?」(ピンクGDP操作なる“日本の信用破壊工作?”のオマケ付き!苦w)のお蔭で日本の財政負担は膨らむばかりとなってい
る(2015年末の日本国債の発行残高は約807兆円、地方と合わせた長期債務残高は約1035兆円/財務省データ)。

そのため、内外景気動向と日本政府の今後の舵取り如何によってのことだが、次第に財政破綻リスクが高まりつつあるのが現実だ。
何も手を打たずに、このままボーッと座して二つのデストピア(“アベノミクス等の失敗に因る破綻リスク”と、“汎用AIロボ機械
経済に因る『人間の壁/二種生産性のミスマッチ』の出現による破綻リスク”の二つ)の来襲を待ち受けるばかりというのでは、あ
まりにも悲惨で無策であり、かつ無責任すぎるのではないか?

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そこで、世界各国で行なわれている べーシックインカムについての「支給対象者を絞り込んだ実験」とは全く異なる発想でベーシッ
クインカムを提言する、井上智弘・駒沢大学経済学部准教授の箸書『人工知能と経済の未来』(文春新書)を手掛かりに、「ノモス、
あるいは社会的共通資本(“社会の茎”たる新たな金融制度の主柱)と位置付けた、新たな「ベーシックインカムの段階的導入」の
可能性について考えてみる。

 なお、これも前に述べたことで繰り返しとなるが(上掲書『人工知能と経済の未来』は、このノモスについては全く取り上げてい
ない!)、最も重要な点なのでノモスの問題について要点を以下に纏めておく(関連参照/第2章:宇沢弘文『社会的共通資本』と
共鳴するH・アレント『ノモス社会論』)。 

・・・「エトノス(ethnos)とは『人間の生命と社会生活の維持に必須となる一定のローカル地域の自然・歴史・文化環境と深く共
鳴して“人間性を未生(未来)へ繋ぐ揺り籠”となる開放系の共有観念、および風土または過去〜現在〜未来に渡り生存環境の微小
馴化(マイクロバイオーム世界の理解など)を常に受け入れつつも、その伝統的なヒューマン・スケール個体の全体性の“持続”を
最も重視する、非常にしなやかで幅が広い寛容の意識、およびその受け皿となるローカルの風土』を意味する。

・・・そして、ハンナ・アレントの「社会」から見えてくるリベラル共和主義の可能性を明確に視野に取り込むためには、ノモス(nomos)についての理解が重要なカギとなるが、そもそも最も根源的な「法」としてのノモスは古代ギリシアの社会概念であり、よ
り古い時代には「神々と父祖伝来の伝統(現代風に言えばエトノス、つまり自然・伝統文化環境の総体である)が定めた行動規範と
しての「法」、あるいは同じく、そこに住む住民が平等に与えられる「ノモス法で定められた社会環境とインフラストラクチャ―の
一定の分け前」を意味していた。

・・・従って、ノモス法は現代的な理解である客観的な社会規範を文章で表現した「法」の内容だけではなく、一定地域の自然環
境、土地、建物、市街地、橋、道路など目に見えるモノとしての公共財(インフラ)と離れ難い存在であった。

・・・現代風に言えば、それはエトノス自然環境とも離れ難い存在であり、フーコーの“統治理性”を理解するための必須概念と
なる。因みに、フーコーの“統治理性”の核心は<どれほど社会理論や科学・科学技術が進歩したとしても常に国家(政府)の統治
権力と市民社会の自律的運動法則(関連して、特に労働組合の“自らのレゾンデートルの再定義を伴った真の再生”が喫緊の課題
となる!)は対等であるべき!とする非常に厳格な”考え方)>である。

・・・そして、フーコーの視野に科学技術の未来までもが的確に入っていたことには驚かされる。ともかくも、これは“準汎用AIロ
ボ「機械経済」の時代を目前とする今だからこそ理解できるベーシックインカムの存在理由であると言えるだろう。それは、準汎用
AIロボ「機械経済」化の時代が目前であるからこそ、恰も生命界における『エネルギー通貨』の如き役割を担うことが可能なベーシ
ックインカムの出番だ!ということである。しかも、それが大きな財政負担の重圧を伴うというのは誤解に過ぎぬことなのだ。)

・・・

 ところで、日本がこのような隘路に立たされた時であるからこそ、(1)この国難とも見るべき大混迷の真の原因の在り処の摘出、
と(2)それに基づく長期展望の設定(時代潮流に不適応!と化しつつあるマクロ政策に関わる展相(相転換)の主柱の再設定)の
二点が重要と思われる(無論、アベ神さま宣言?なる超常(追憶のカルト)現象が、現下の大混迷の第一義的な原因であることは言
うまでもない・・・苦w)。

大きく捉えれば、(1)についてはこれまでの諸検討の結果から「産業革命以降の技術イノベーションに因る二段階の格差の発生
(資本主義と技術イノベーションの宿命的関係性に因るとも言えよう!)、つまり「“供給>需要”」なるパワー(力関係)不均衡
に因る「企業総利益⇔総雇用所得」の格差、ひいては「大企業雇用所得>一般企業雇用所得、なる大きな格差の発生・拡大(第一の
ワニ口)」および「1970年代以降の新自由主義思想のメジャー化(規制緩和原理主義と労働力の物象化フェティシズムなど)による
大格差の発生・拡大トレンド(第二のワニ口)」であることが理解できた。

そして、この「二つのワニ口」(格差拡大トレンドの動力源)に加えて、愈々、準汎用AIロボがもたらす機械経済化、つまりAI活用
型の高度イノベーション効果に因る「三つ目の巨大なワニ口」が予想されることになった。そのメカニズムについては「第6章‐マ
クロ経済学的に何もせず放置すればデストピア出現の可能性が高まる」で詳述した通りであるが、要は<「AIロボVsヒト、という二
つの異質な生産性」の宿命的な断絶による絶対的大格差が発生し、ひいては資本主義そのものが成り立たなくなる(資本主義の死
滅)>ということである(関連参照/第6章‐『人間の壁』(デュナミス経済化)を乗り越え、ヒトが少しでも“幸せ”に生き抜く
ための方向性とは?)。

 

 b 段階的べーシックインカムの設計

・・・以下は、井上智弘・駒沢大学経済学部准教授の箸書『人工知能と経済の未来』(文春新書)が提言するベーシックインカム
(設計内容)の要点の転載であるが、特に留意すべき箇所には所見を加えておく。・・・

(イ)段階的べーシックインカム(月額7万円/満額目標)の対象者

給付対象:国民一人当たりとする。

・・・つまり、赤ちゃんが一人生まれたら給付の対象となるので、それは最低限度の生活支援の意味だけでなく少子化対策にもなる。

給付金額:満額の目標は月額7万円の支給とする。

・・・たしかに一気に数十万円の高額支給を行った場合はハイパーインフレの恐れがあるので、「満額の目標は7万円程度とし、月
額1万円から始めて10年程度以上の時間をかけて完成する。

(ロ)財源は所得税・消費税(+富裕税創設(←補足/toxandoria))とする(月額7万円の前提で給付総額は約100兆円未満)

・・・アベノミクスの如き無定見なバズーカ異次元緩和(事実上の国債増発)によるバラマキ政策とは全く異なり(←補足/toxandoria)、その中心となる所得税については、税制改革で累進税率の改正を行う。

・・・その効果を凡よそのイメージで言えば「特別の大富豪らを除く一般の高額所得層の所得はややマイナス、中間層は,ほぼ±ゼロ、
貧困層はプラス」となる。通例は消費税で特に問題となる貧困層への課税であるが、べーシックインカムでは自分が納めた税金が給
付となり戻ってくるブーメラン効果が働き、その部分は各層でそれぞれに相殺される。

(ハ)福祉・各種給付との関係、純負担額のシミュレーション

・・・総体で見ると、「ベーシックインカム⇔福祉・各種給付」の調整が必至なので、事務量(費)の削減効果がある。

・・・純負担額のシミュレーション(満額7万円の場合/詳細な計算内容は省略)

  ●年収400万円(一人暮らし)の人の場合は「増税額−ベーシックインカム」=16万円となる。同条件               の
 年収336万円の人では±ゼロである。つまり、年収が純負担336万円より多い人は純負担(損)が生               じ、それより少
ない人には純受益(得)が生じる。しかし、336万円より多い人の全てに純負担が生じ             る 訳ではない。それが「専業
主婦と子供一人」のケースでは、max.125万円の純受益が発生する(但               し、現行児童手当らの給付はマイナスされ
る)。ここでも少子化のベーシックインカム対策の意義が認           められる。

(二)汎用AIロボ機械経済とべーシックインカムの親和性

・・・そこでは、おそらく汎用AIロボ機械システムでは爆発的な高度生産性が実現するので、より一層、べ              ーシッ
クインカムの役割を発揮できることになる。

・・・(補足/toxandoria→)これらのことだけでなく、当記事の分析で判明したとおり「準汎用AIロボ機械経済による人間社会の
デストピア化を回避するため、愈々、そこで行き詰まる可能性が高い資本主義をどのようにして多くの人々が“幸せ”を感じる方向
へ相転化(ヴァージョンアップ)できるか?が非常に重要な喫緊の課題となっており、そこにこそ“新しい金融インフラストラクチ
ャ―(社会的共通資本=社会の茎の中枢となる新たなマクロ金融基盤)”としてベーシックインカムを導入する重要な意義が改めて
認識される。

c 社会福祉の再設計(段階的べーシックインカム導入の補完1)

・・・それは、“社会の茎”(新しい金融の柱)をベースとする社会福祉の再設計ということ。つまり、段階的べーシックインカム
と従来型の社会福祉の“相互補完的な役割の再設計が必要になる”ということ。適切に実行されれば、社会福祉予算はムリなくダイ
エットできると思われる。・・・

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井手英策・慶大教授(財政学)は、著書「経済の時代の終焉」(岩波書店)のなかで、バブル崩壊後の1990年代後半から「小さな政府・規
制緩和」万能主義なる新自由主義(似非イテ゛オローク゛/“相互扶助・分配・共助”蔑視観を持つ)が本格的に国民の心の奥に深く浸透し、特
に多数派層の精神面が変質した(それに洗脳されてしまった)ことが、今に続く混迷の根本原因であると指摘して、以下のように続け
る。

・・・ところで、プラザ合意(1985/協調介入名目の対日『円高・ト゛ル安誘導の強制、米国際収支改善が目的』/ハ゛フ゛ルの遠因?)後の
約30年の間に米国が新自由主義の受け入れ圧力を日本へより強め続けてきた訳だが、そもそもその間にこそ日本政府は、対米追従だけ
でなく、自律的意思に基づき「相互扶助・分配・共助をヘ゛ースとする財政力強化の国家理念」を、しぶとく構築すべきであった。・・・

・・・それどころか、前川レホ゜ート以降に内需拡大策として強化された土建型国家政策(地方交付税、生活保護、貯蓄率向上効果等に資す
るという意味では地方傾斜型の分配に一定の有意性(高い成長を期待しつつ個々人が高い貯蓄率で病気や老後へ備える意味)があっ
た)と、それに付随して設計された肝心の福祉基盤を維持する財政が根こそぎ激しい批判に曝され(それは主に中間層の錯覚であったが)、かつ苛烈な格差拡大が、そして新自由主義政策が一貫して強化されてきたため、徒に財政赤字だけが積み上がり、肝心の福祉部分
(相互扶助・分配・共助)がより一層貧相化する惨状と化し、結果的に殆どの国民層が将来不安に怯えるというアヘ゛ノミクスのシ゛レンマに嵌って
いる訳だ。・・・

そこで、安倍政権下でアナクロ二ス゛ム(追憶のカルト)とネオリヘ゛ラリス゛ム(新自由主義)が癒着した複雑骨折症状という政治・経済・財政的な奇病
を罹患」してしまった日本の近未来の救済のため、井手英策氏は『以下』のことを提言する。

・・・『成長(GDP年次比)は、只の集団ではなく信用(人々←→人々、国←→人々、国←→地方自治体の繋がりを“よすが”とする)を基に統合
された人々(国民)の日常生活活動の結果と見なすべきであるので、財政のそもそもの最重要な機能であった相互扶助(互酬/集団パ
ターンに応じた相互扶助、助け合い)・再分配(徴税上の応能負担・応分負担の均衡を図り、全体の公正を期すための中央の決定による
メンハ゛ーへの再配分)の仕組みを再構築すべきである。市場機能である交換は、これら財政の規模と適正ハ゛ランスを保ちつつ伸縮すべきであ
り、似非イテ゛オローク゛新自由主義が言う小さな政府が成長を促すは決定的な誤りである。従って、日本政府(安倍政権)は信用をセ゛ロから構
築し直せるように発想を180°転換すべきである!但し、そのやり直しが許される時間はあまり多くは残されていないので、ここ5〜10
年位が勝負である。』 ← 近年、進化経済学等の最先端フィールト゛でのAIによるビッグデータ解析から「利他心>利己心」の有意・有効性
が証明・理解されており、この観点からも井出氏の提言の正しさが裏付けられる!(補足、toxandoria)

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 https://twitter.com/shinkaikaba/status/1099848047691878400

 共同体の力の再発見で国家財政と社会福祉、そして国家の信用を再構築しようとする井手英策・慶大教授のこの考え方は非常に重要
であるが、第4次産業革命のエンジンたるAIロボ「機械経済」と、その高度生産性の現実化で「新マクロ経済・BI型金融」等への展
相が必然であることを踏まえて、例えば、そのBI型金融と福祉・給付等の分担・補完関係の見直しと再設計に取り組むことが急務と
なる。

なお、「リベラルな社会 共同体の力で/生活のニーズ 満たす政治を」(20190225朝日)、の中で井出栄作は「富山=北欧論」を
説いているが(https://www.asahi.com/articles/DA3S13908426.html)、

アベさまの復古主義(追憶のカルト)を連想させる旧来の共同体ではなく、ノモスとエトノス(宇沢弘文の社会的共通資本に繋が
る)に由来する「リベラル共和」を構想し、その実現を目指すべきであろう。(関連参照:第3章‐宇沢弘文「社会的共通資本」か
ら学ぶ、自由原理主義(金融市場原理主義/サプライサイド論)の根本的誤謬の在り処)

 
(エピローグ)「新マクロ経済」周辺、アラカルト

・・・「新マクロ経済」への展相については、より広く多様な観点からその方向性を強力に補完するべきと考えられるが、その内容
についての詳細は、又の機会へ譲ることとする。(但し、(3)だけは、内容を詳しく書いた)それらの中でも特に重要と思われる
ものについて、以下に項目(+参考画像)程度の内容だけを列挙しておく。・・・

 

(1) 内外「金融」の「グローバル基準(信用構築)」への積極的な関与・・・日本の経済力、信用の名残があるうちに内外「金
融」の「グローバル基準(信用構築)」への積極的な関与が必要である。例えば「消費者余剰/consumer’s surplus」(消費者が得
をしたと感じられる程度を示す金額)の問題がある。ここから、現行GDPとは全く次元が異なる新たな生産性指標を創るというアイデ
アが生まれる可能性(これも別種の展相の経済!)がある。・・・

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https://twitter.com/shinkaikaba/status/1090515162841341952 https://twitter.com/shinkaikaba/status/1101289571327696897

・・・しかし、この場合に問題(仮にそれをCSPと名付けておく)となるのは“端的に言えば、主にヒトの生命維持(衣食住など)に
関わる価値がベースとなってきた従来のGDPとCSP(消費者余剰に因る)の違いが、恰も“AIロボ・デュミナス高度生産性Vsヒト傾斜
型生産性(現行GDP)”の差異に対応するように見えることだ(無論、これら両者はヒト(ヒト社会)の存在を無視すれば無意味化する!)。

・・・いずれにせよ近未来においては、このような意味で異なる次元の経済指標を何らかの仲介システムを通し交換する必要に迫ら
れるはずだ。しかし、それがあくまでもヒトのために必須のものであり続けるための最低条件は、矢張り「信用」である。

・・・従って、日本政府が重視すべきは、このような新時代の動向を十分に見据えつつ、CSPなどに関わる展相“世界金融”システム
構築に貢献すべく、例えばブロック・チェーン暗号技術らの研究・開発・応用等の分野でもFSB(Financial Stability Board)ら世
界機関への関りを強化すべきである。

・・・総日本人が国民主権(啓蒙主義レベルから更に一歩を踏み出したフーコー統治論、いわばリベラル共和が意味すること)を忘
れ去っている(というより、そのことへ無関心である!)のをよいことに、「アベさまの倒置国家」ご謹製の禁じ手(“追憶のカルト”に因る無気味かつ異様な亡霊『首相補佐官』らが閣内外を日々に徘徊・跋扈する人治・人柱強制国家?)、つまり「ピンクGDP
嵩上げ」工作への翼賛・忖度を全ての善良な日本国民へ強制することにうつつを抜かす暇などないはずである。w

   

(2)第4次産業革命をリアル化する新たな課題への挑戦:新たなリアル需要の創造/AIロボが不得手な仕事の分野とは?

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f:id:toxandoria:20190301071344j:plain・・・当画像は↓◆より転載

・・・<A・シュッツ『日常性の社会学』、ラワース『生物モデル/ドーナツ経済』(バイオインフォマティクス関連)、EU『デカッ
プリング→定常経済のエンテレケイア』+etwas の発見/機械経済化時代における新たな雇用創造の可能性。それは、多数派の人々の“幸せ”のための新たなリアル需要の創造ということ(/↓Cf.◆1〜4))。

・・・ヒントは「98%を占める非コード化DNA」の問題/それは、「a新たな技術創造イノベーショ」および「b新旧両技術の“肩ぐ
るま効果”+etwas(多様な社会・人間ネットワーク関係の助長に因る新たな価値創造の効果)」ということ。・・・文化経済学の
課題もある!)

 ◆1遺伝子・タンパク質系ダイナミクスの非線形システム的理解(バイオインフォマティクス)http://lifesciencedb.jp/houkoku/pdf/001/d010.pdf 

◆2ジャニン・ベニュス の“バイオ・ミミクリー(生物模倣)”による新たな都市構想『惜しみなく与える都市』(出展:ケイト
・ラワース『ドーナツ経済学が世界を救う』、 https://ameblo.jp/kenbijin/entry-11075266667.html)https://toxandoria.hatenadiary.jp/entry/2018/12/17/044810

 ◆3『オープン・ソース循環型経済(OSCE)』の全世界的展開/OSCEdays・Mission・Statement What is Open Source Circular Economy’?(出典:ケイト・ラワース『同上』https://ameblo.jp/kenbijin/entry-11075266667.html https://toxandoria.hatenadiary.jp/entry/2018/12/17/044810

◆4フィリップス(#オランダ・アムステルダムに本拠を置く多国籍企業)による、#循環型社会の実現への貢献を意識したコンセプ
ト https://toxandoria.hatenadiary.jp/entry/2018/12/17/044810

 

(3)ヒトを“幸せ”にする経済を創るためのヒントは「みえないこと」を見るということ

・・・宇沢弘文「社会的共通資本」を近未来の日本で十分に生かすためのヒント。換言すれば、それは「権力にはベクトルがある」
という民主主義の多数決原理についての考察である。・・・・

一般的には全体の意思と見なされる多数決で決まった事柄は、絶対的に正しいのだろうか?アベ“チェリー・ピンク病”を駆逐する
ためのヒントの一つが、アクセル・ホネット(Axel Honneth/1949 - )の「権力」に関わるエピステモロジー(認知理論)の中の
“承認論”にあるように思われる。なお、広義で言えば、この「みえないこと」は間主観性(フッサール用語で言えば相互主観性)
の謂いである。

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欧米で活躍するフランクフルト学派の第3世代と見るべきドイツ出身の哲学者であるアクセル・ホネットは、著書『見えないこと』
(叢書ウニベルシタス)の中で、「想像を超える、自己内部の多様性」についての気付き(見えるようになること)があってこそ、
客体として広く外部世界(社会)に存在する人々の姿が開放された双方の眼差しでリアルに見えるようになる。」と言っている。 

つまり、それは「先ず、そのような意味で普通は見えていない“想像を超える自己内部の多様性”が見えるようになること」が、
社会における人々の相互主体性の第一の入り口だということになる。そして、多数決でそれを決めることを提案した何らかの権力サ
イド(内閣提案にせよ、議会提案にせよ)の意思、つまり一般的に言うところの「権力」にはベクトルがあると、ホネットは言う。

そして、その提案を承認(に賛成)するということには、外見上は同じ賛成に見えるとしても、実は内容的にはそれを「(1)自分
の属性(それに関わる観念)を相手に付与する行いと理解するか?」、あるいは「(2)真逆に、相手(この場合は権力側)の属性
を受容するだけの行いと理解するか?」の違いがあるということが、そのベクトルの意味である。 

従って、現代の民主主義国では<仮に多数決で決まった内容(事案)であったとしても、内容的にはこの意味でのベクトルが全て一
致したものとは見ない(内容的には、それを正確に特定できない)>ということが、常識となっている。

だからこそ、日本の安倍政権のように強行採決を多発したり、厳しい批判の「対象とされる事柄や自らの失策について、“丁寧に説
明する”という形だけのフレーズで誤魔化し通すのは、民主主義を全く知らないか、敢えてそれを無視する輩の行為であることにな
る。

無論、それを承知でそのような横暴を繰り返すのは確信犯的な政治の暴政であり、関連する法制が整っていれば、例えば米国のトラ
ンプ大統領の如く弾劾の可能性もあり得ることになる。が、日本の場合はそれだけではなく、彼の由々しき「忖度」の問題がある。

そして、日本の場合の官僚らによる安倍政権に対する過剰な「忖度」は、上で見たホネットの二つのベクトルの内で、たとえ民主主
義ルールでの決定であるとしても、結果的にそれは「(2)相手側(この場合は権力側)の属性を受容するだけの行いと理解する」
のが絶対正しいと官僚らが確信していることなので、今の日本では欧米諸国流の民主主義が全く機能していないことになる。

因みに、日本が何故にかくの如き異常な民主主義となっているかについて、その淵源を辿ってみると、実はそれが<「明治期の寺銭
(任侠)政党」時代の官憲(今で言う官邸ポリス)および与党政党と任侠・マル暴(暴力組織等)との構造的癒着」>という、実に
驚くべき復元ポイントまで現代日本をセットバックさせようとする政権側の戦略の一環である可能性が非常に高いことが見えてくる
(関連参照⇒https://www.evernote.com/shard/s440/sh/b2a5a0aa-4241-48e7-b530-7fd970f160b4/cc8da668e2c69ca94a4a04467944ae0c)。

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関連する問題はそれだけではない。カール・ポランニー『市場社会と人間の自由』(大息書店)によると、ポランニー(Karl 
Polanyi/1886 − 1964/ウィーン出身の経済学・経済人類学者)は、既に1950年代において「経済至上主義と自己目的化し(本来の
目的が忘れられ)易い科学技術“信仰”」が、地球上における人間の日常生活の存在そのものを脅かすようになる、特にその意味で
科学技術は権力と結びつき易い!」と警告を発していた。

その後の東西冷戦時代〜今に至る「原爆等&原子力発電」の暴走化とフクシマ311過酷原発事故、そして日本の「国策原発政策」
の完全デッドロックと、その裏腹の現象である「事実上の“核武装化」(長崎型原発6000発相当分のプルトニウム保有!)という恐
るべき現実になっているのは周知の通りである。

同じく、同書によればポランニーは、市場原理主義の始祖と見るべきハイエクと「知的対立の出発点」としての「ウイーン時代」を
共有していた。そして、奇しくも両者は全く同年(1944)に、ともに資本主義的市場経済における自由の問題を提起した重要な著書、『隷属への道』(ハイエク)と『大転換』(ポランニー)を米国で出版している。そして、これも稀な出来事と言えるが、彼の宇沢
弘文は米国におけるシカゴでの研究生活の時代をミルトン・フリードマンとほぼ共有している。

そして、周知のとおりであるが、今や世界は「ハイエク〜R.ルーカス〜」の時代を経て市場原理主義(ネオリベラリズム)の誤謬と
限界が露わとなってきており(大格差問題のアポリア化!)、逸早くこの問題点を摘出・指摘しつつ「社会的共通資本」の考え方が
必須であることを提言したのが宇沢弘文であった。(関連参照/第3章−ロ−宇沢弘文による“新自由主義(ネオリベラリズム/先
鋭的マネタリズム)の誤謬”の摘出)

従って、汎用AIロボ「デュナミス機械経済」の時代を目前として、資本主義を持続させるために必須の「機械デュナミス経済(潜在
的な高付加価値)」化への備えの最低限の条件(一般多数派の国民層の日常生活における“幸せ”のためとの観点からすれば、これ
は絶対必要条件!)たる、「社会的共通資本」としての新たなマクロ経済・金融(段階的BIの導入、ほか)への「展相」の必然性に
気づきもせず、只管、お仲間益のため、アクセル・ホネットが指摘する民主主義の基本を完全に無視し、それどころか民主制度その
ものの破壊に勤しむ安倍政権の存在そのものが今や日本の超リスクであり、かつ噴飯ものである。

  

(4)・・・マクダウエル的「倫理観」、自律的「個人主義」、唯識的エナクティヴィズム(↓Cf.★)の尊重

・・・マクダウエル(orガダマー)的な意味でのリアリズム「倫理」と自律的「個人主義」の尊重は<第4次産業革命なる「生物モ
デル経済」(ヒューリスティクス/限定合理主義)の時代>であるからこそ必須と考えられる! 特に「明治維新」以降の日本の庶民
層が伝統「構造災」の自覚に欠けるのは、このような意味での倫理観と個人主義の意識に関わる自覚が欠けていることに因る。・・・(完)

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★ 【“晩秋”の南都に漂う身体化された心(唯識的エナクティヴィズム)の風景】幼生期(古墳〜奈良時代)列島の住人は現代と異
なり「自分と違う存在を見ようとせぬ人々」ではなかった!https://toxandoria.hatenadiary.jp/entry/2018/12/17/044810

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