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タイトル:“晩秋”の南都に漂う身体化された心(唯識的エナクティヴィズム)の風景(4/n)  2018/12/18


【“晩秋”の南都に漂う身体化された心(唯識的エナクティヴィズム)の風景】幼生期(古墳〜奈良時代)列島の住人は現代と
異なり「自分と違う存在を見ようとせぬ人々」ではなかった!(4/n)

<注記>お手数ですが、当記事の画像は下記URLでご覧ください。
https://toxandoria.hatenadiary.jp/entry/2018/12/17/044810

2 フッサールから“AI研究” 第三段階へ、更にエナクティヴィズムへと深化する現象学研究の流れに透ける「安倍晋三、日本
会議ら歴史修正主義者」の異常性

  明治維新の「王政復古」は7〜9世紀頃に整備された古代律令制(古代中国政治体制の導入期)への単純「回帰」ではなか
った。それは、古代律令制そのものが古代中国(南北時代を統一した隋唐帝国)の模倣であったことが示すとおり、実は、古代
の日本において純粋ヤマト民族なる排外思想(意識)は存在せず、それどころか明らかに倭国(その黎明期の日本)は<東アジ
ア漢字文化圏>の一員であるという柔軟で開かれた国際感覚に裏打ちされていたからだ。
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20151030

 ところで、「経験」(ここでは広義の歴史経験など、意識の深層海流をも含む)について率直に考えてみると、「メルロ・ポ
ンティの経験論」は<身体の現象学(フッサールら意識の哲学)>を通過したうえ、日常の生の場面で覚醒する共時的な「肉」
(M.アンリの共感的に生きる“受苦と愛”の肉体)の存在論を経て、更に、それは「身体化された心」(エナクティヴィズム/enactivism)へと深化しつつある。

 しかも、そのエナクティヴィズムは内向化するベクトルとは真逆のノントリビアル・サイバネティクス(同・マシン/関連参
照↓★)として見た場合のオープン・マインドのヒトが外部との交流プロセス(orルーティン活動の過程)が創造する
“余剰etwas”(新たに身体化された心の風景的なもの/絶えざるハイデガー的トポスの発見)であることを意味する。

★ AI・BD‐Web時代にこそ注視すべき、セカンドオーダー・サイバネティクスとしてのヒトが創造する“余剰etwas”(意志を含
む)の問題/H.v.フェルスターのノントリビアル・サイバネティクス(セカンドオーダー・サイバネティクス)がもたらす“余
剰意志”(アンガンジュマン等の始動因(モチベーション)となる)についての理解が、「間主観性の連鎖」と「多次元的な倫
理感」についての再覚醒をもたらす!http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20180701

  そして、次々と創られるこの“余剰twas”に新たな価値を発見し続ける点にこそ、ヒト(人間)の意思決定の重要な意味が隠
れているのではなかろうか。

 一方、「西田幾多郎の純粋経験」(https://philosophy.hix05.com/Nishida/nishida01.zen.html)は、フッサールの<意識お
よび相互主観性>と絡みつつ<ハイデガー的な場所論(トポス論=ハイデガーの世界観に因るAI研究の第三段階、“新しい人工
知能研究フェーズ”、https://toxandoria.hatenadiary.jp/entry/2018/11/12/060933)>へとそれぞれ変貌し、その流れが更に
深化しつつある。

 そして、この「経験→意識の哲学→身体化された心(エナクティヴィズム/enactivism)orハイデガー的トポス論」という二
つの方向性は、「現代民主主義に関わる意識」の深化との交差をすら予感させる。

  一方、ダン・ザハヴィのHKBモデル(非線形力学系モデル)等を駆使するダイナミカルシステム(生体システム論/ギャラガ
ーとザハヴィが“現象学の前倒し”(front-loading phenomenoligy)と名付けた研究手法)との接点を探る先端分野では世界中
の研究者が、目下、西田哲学に強い関心を示していることは興味深い現象だ。
http://www.ajup-net.com/bd/isbn978-4-588-01082-8.html https://toxandoria.hatenadiary.jp/entry/2018/11/12/060933

 例えば、現代世界の混迷を乗り越える方向性を模索する海外の先見的な現象哲学や宗教学の研究者ら(独・ボン大学教授ガブ
リエル氏、あるいは米・神道学者トマス.カスリス氏ら)が日本の伝統(正統保守/必死に安倍政権が取り戻しを謀る戦前型の偽
装極右に非ず!)的な価値観の基盤として、西田哲学や伝統古神道(同じく、日本会議、安倍晋三らが篤く信奉し、必死でリバ
イバルを謀る国家神道 に非ず)に注目している。

 また、ジルベール・シモンドン『個体化の哲学』(叢書ウニベルシタス/アラグマティック:Allagmatique/ミクロ〜マクロ
の世界に跨るコンシリエンス的な類比作用の理論/ハイデガー的AI研究とも深く交差か?)の訳者の一人で、とりわけシモンド
ンの個体論に興味をもつローラン・ステリン(Laurent Stehlin)は、それと西田幾多郎との接点を研究するため、目下、日本
で翻訳者としても活動中である。

http://www.h-up.com/books/isbn978-4-588-01083-5.html

  ところで、フッサール現象学が、<植民地資本主義の限界と優性主義をベースとするナチスの空気が拡大する!という危機感
に覆われた19世紀後半〜20世紀初頭に活躍したフッサール(オーストリアの物理学者、エルンスト・マッハが大きな影響を与え
た)の科学哲学的な分析での厳密な主観性の検証、つまり超越的「現象学的」還元を試みたことから始まった>という歴史は、
未だあまり広く知られていないようだ。

  しかし、米トランプ大統領が代表するマイファースト(自国第一主義)の、あるいはアーリア系白人ら特定民族の優位性を声
高に叫ぶ偽装極右なる政治マッチョらが、世界の至るところで台頭・跋扈し、ポピュリズム・トレンド(対立と分断)を激しく
煽り立てる今の時代であればこそ、フッサール現象学の草創期における時代背景とそれとの絡みを凝視しつつ、これら現象学研
究の先端フィールドに関わる理解を深めることが重要となる。

  つまり、ポピュリズムとの安易な妥協へ流される人々が世界的に増えており、「民主主義」の意義は崩壊寸前か?との危機感
が増す一方で、それにもかかわらずAI等の先端科学研究とも絡みつつ、既に述べたダン・ザハヴィ『科学的現象学』、ジルベー
ル・シモンドン『個体化の哲学』(両者は紛れもなくコンシリエンスの方向性!)らの研究の進化で、益々、世界融和と民主主
義の条件に関わる知見が深まりつつあるという現実があることも理解すべきなのだ。

  しかも、欧米ら各国においてはアカデミズムに止まらず政界・財界・一般国民レベルでもこのように斬新な知見の影響を受け
た、新たな政治・経済・企業・市民活動の胎動が見られる(例えば、下記◆の事例)。しかし、それらと比べると我が日本の現
況はお寒い限りであり、特にテレビを中心とする主要マスメディアが同種の先端的な問題意識を取り上げることは殆ど皆無とな
っているようだ。

 ◆ジャニン・ベニュスの“バイオ・ミミクリー(生物模倣)”による新たな都市構想『惜しみなく与える都市』(出典;ケイト
・ラワース『ドーナツ経済学が世界を救う』
https://ameblo.jp/kenbijin/entry-11075266667.html)

◆欧州発の循環経済を推進する英「エレン・マッカーサー財団」による「循環(蝶)型経済」の推進(出典:ケイト・ラワース
『ドーナツ経済学が世界を救う』 
https://www.ellenmacarthurfoundation.org/、http://www.alterna.co.jp/16391)

◆『オープン」ソース循環型経済(OSCE)』の全世界的展開/OSCEdays Mission Statement What is ‘Open Source Circular Economy’?(出典:ケイト・ラワース
『同上』https://oscedays.org/open-source-circular-economy-mission-statement/

◆フィリップス(オランダ・アムステルダムに本拠を置く多国籍企業)による、循環型社会の実現への貢献を意識したコンセプト
『循環型設計/Innovation and you』による社業発展への取り組み/添付画像と下の文章(一部分)は、HPより転載(出典:
同社HP、https://www.philips.co.jp/a-w/innovationandyou/article/extended-story/circular-economy.html)

 ・・・
  しかも、肝心の日本政界では此の類の議論が全く見られず相変わらず19世紀型イデオロギー論(資本主義Vs共産主義)の土俵
で角突き合っており、NHKを初め主要メディアとジャーナリズム、あるいは書店・出版・広告等の文化インフラ業界が<「安倍晋
三、日本会議ら19世紀〜戦前・戦中型アナクロ異常“歴史修正”権力」>へ同調・迎合・翼賛・忖度するばかりという実に不気味
な社会の空気が拡がっている。例えば、アベ“改憲”<強行>への呼び水工作&国民騙しがミエミエの悪辣な歴史修正本、百田
尚樹『日本国紀』(幻冬舎)を巡る<不毛>極まりない、おそらく機密費or政治資金丸抱えの幻想ヤラセ出版劇場など。https://toxandoria.hatenadiary.jp/entry/2018/11/12/060933


(関連情報)

■地球環境の未来では定常化「経済社会」が必須との理解は既に国連&EU諸国らの共有理念であり、それは201509国連総会が採
択したSDGs(持続可能な開発目標)の土台がプラネタリー・バウンダリー(九つの地球環境の許容限界)であることを意味する。
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20180806 

■まさに、<正統保守的なリベラル共和の実現による「アンシュタルトと化した新自由主義」を調教する!の理想が実現するか
否か?>の謂いでマクロン政権は一気に正念場を迎えた!(縮原発とASTRID中止(日本核燃サイクル完全崩壊)への転換は、既
に退任したニコラ・ユロ環境大臣あってこその実績!)

・・・Cf.『ニコラ・ユロ国務大臣、環境連帯移行大臣が8月28日、辞意を表明しました。過去長年で最高の環境実績を挙げたフ
ランス政府は、今後も取り組みを継続する不退転の決意を明らかにしました。』(仏大使館)
https://jp.ambafrance.org/article13538

 ・・・但し、「仏原子村の巻き返し&中国“成長至上主義”の暴走!=中国 仏技術採用の新型原発 世界初の営業運転 1215 
NHKニュース」、「民主主義はもう存在せず?反マクロン・デモ終息兆しナシ!=反民主主義ポピュリズムへ流されれば米トラ
現象と同轍!原発大国“回帰論”復活もあり得る!生命環境論的なポテンツ経済を分かり易く語るのが政治の喫緊の課題! 
12 11 WSJ」、「(耕論)蒸発する「欧州の中道」1208朝日=しかし、ポピュリズムへ流されれば米トランプ現象と同轍になる!
仏の原発大国“回帰論”もあり得る!生命環境論的なポテンツ経済を平易に語るのが政治らの喫緊の課題!」、「「双子誕生」
のゲノム編集 将来の臨床応用には期待の声/…市民の意見採り入れる動向も 香港=福地慶太郎1213朝日=先端生命科学の
“ポピュリズムでの割り切り”への傾斜は危険!あくまでも先端知・唯識知(≒エナクティヴィズム)・集合知の橋渡し役がメ
ディアの存在理由!」などの直近動向に見られるとおり、<民主主義と先端科学技術>そのものが存亡の危機に巻き込まれつつ
あるのも確かである。

・・・従って、そうであればこそ当記事で取り上げた『エナクティヴィズム(身体化された心の問題)』の理解深化と一般への
啓蒙について、諦めずに息長く取り組むべき時代に入ったのではないか?と思われる(下↓の関連画像を参照乞う)。 
 (参考情報)【トランプが逆風を吹かせる最中での「温暖化防止へ一歩」の労を多としたい!】パリ協定20年適用開始 
COP24、実施指針を採択 温暖化防止へ一歩 1216日経、https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39011660W8A211C1MM8000/

(関連情報) >英国での原発新設を遂に日立が凍結!安倍トップセールスの原発輸出の全てが頓挫!はご同慶の至り乍ら、肝心
のやるべき(Ex.“無子 高齢化”等)はお座成り!で巨額税金を内外へバラまいた責任はどうなる!!⇒ 日立、英原発計画を凍
結へ1216共同、https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181216-00000040-kyodonews-bus_all 

・・・

 (参考1)“京都学派『世界史の哲学/歴史・自然・文化地理(特に東アジア交流史の視点を深めるべきという発想)』の先進
性について 

 ・・・安倍政権の一強支配(戦前型の異常な価値観)に組み敷かれたかに見える昨今であるからこそ、近現代史の再学習(特に、
幕末〜明治維新〜大正デモクラシー期〜軍国主義時代へのプロセス(戦前・戦中)〜戦後〜現代)に加えて、東アジアについて
の「“歴史・自然・文化”地理/京都学派の世界史の哲学という概念に覚醒することが、特に重要である。

 ・・・残念ながら、“太平洋戦争の論理”に飲み込まれたため、その当時には具体的な成果が得られなかったものの、1940年代
の前半に活躍した京都学派(西田幾多郎と田辺元に師事した人々が形成した学派)に属する哲学者たちが提唱した『世界史の哲
学』の中にそのヒントがある。

…Cf.『京都学派とは何だったのか?』−現代文明論としての西田哲学:中島 啓勝−http://www.kyoto-academeia.sakura.ne.jp/index.cgi?rm=mode4&menu=mogi&id=71 )

 ・・・1942年に京都学派の高山岩男(1905 -1993/西田幾多郎より俊秀とさえ評された山形出身の哲学者/非常にユニークな発
想の歴史観を提示したが、残念ながら戦時中は逆に戦争の論理を謳う超然権力に回収され、巧みに利用されてしまった)が出版し
た『世界史の哲学』(日本人の言葉で語る思想)の中で強調した点が参考になると思われるので、以下にその主張の要点を纏め
ておく。

 『世界や世界史の認識は近代ヨーロッパの拡張によって現実性を持つようになったが、それはあくまでヨーロッパ中心史観(欧
米中心史観)で構成されたものなので、真の意味での世界の現前ではない。ヨーロッパ的世界(欧米的世界)はあくまでも特殊
的世界の一つなので、それを超える普遍的世界の世界史の認識が重要だ。そこで広義の地理の概念が重要となる。歴史は常に地
理との行為的総合において成立するものなので、我われを取り巻く自然は、長年の人間の営みによって人間化された歴史的自然
であり、文化的自然である。そして、歴史の地理性と地理の歴史性の相互媒介によって世界史が発生する。』http://www.kyoto-academeia.sakura.ne.jp/index.cgi?rm=mode4&menu=mogi&id=71

 ・・・つまり、このような意味でエナクティヴィズム(身体化された心)的な「歴史・自然・文化地理=本格的な東アジア共
存・交流史」的考え方を基盤として、<「良き情念統制(正統保守)」の理念(例えば日本近代史の中で何度も芽生えては消え
去った国民主権ナショナリズム、又は日本国憲法(平和主義)と象徴天皇制の調和)>と<「リアル論理構成」の理念(例えば、
信用、倫理観と公平分配こそが経済成長を促す要だと理解すること=“過剰グローバル金融市場原理主義の弊害”の超克)>の
相互補完的な役割の分担こそが、換言すれば軍事・武力的で傲慢な『超然権力』化の抑制を可能とする、そして多元文化の共存
と連帯を要とする叡智の地平(例えば上で見た身体化された心(エナクティヴィズム)orハイデガー的トポス論)の絶えざる再
点検こそが肝要ではないかと思われる。

・・・

(関連情報)(文化の扉)<加藤周一の言葉とあゆみ>「雑種」こそ日本の個性 半世紀前の論考 いま、世界の現実と希望
1217朝日 https://www.asahi.com/articles/DA3S13815106.html

(参考2)石川県:西田幾太郎記念哲学館/日本で唯一の「哲学の博物館 Museum of Philosophy」http://www.nishidatetsugakukan.org/

・・・石川県かほく市に所在する西田幾多郎に関する文化施設。出身の西田幾多郎の遺徳を顕彰し、哲学の普及・啓発を図ること
を目的[1]として、2002年(平成14年)に当時の宇ノ気町が設置した。2004年(平成16年)の市町村合併後は、かほく市が設置・
運営を行っている。(ウイキより)

 ・・・

 <注3>ダン・ザハヴィらによる「現象学の前倒し研究」(front-loading phenomenoligy)

・・・身体動作と脳神経系の作用を支配するのは基本的に“複雑系ダイナミズムの非線形力学系理論(例えば、非線形微分方程
式によるHKBモデル)”だが、意志力次第では“その非線形力学系理論によるダイナミズム(一定方向へ流され易い相転移)”を
克服できることが分かった!出典:「身体運動に潜む複雑系:ストリートダンスが明らかにした全身動作における新たな相転移
現象の発見」平成23年8月8日東京大学大学院総合文化研究科・工藤和俊(生命環境科学)https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/p01_230808.html  

・・・また、HKBモデル(Haken, Kelso, & Bunz, 1985/非線形力学系モデル)が「神経科学における意識の研究」(これは、ブ
レンターノ(現象学の基礎を創った心理学者・哲学者)、あるいはマッハ現象学などが指摘したことであるが、「意識の特性は
志向性」にあることが、ギャラガーとザハヴィによって「現象学の前倒し」(front-loading phenomenoligy)と名付けられた研
究手法で科学的にも裏付けられつつあることになる!)出典:田中彰吾『現象学入門』(勁草書房) 

<注4>第三段階“AI(人工知能)研究”については下記★1を参照乞う!

・・・★1  トランプ“優性人種主義”は悪魔的主観性の病理!その「目先&ヘイト」への餓鬼の如き異常な執着は“意味的反
転図(ゲシュタルト)”と化し米国と全世界の未来を無限に喰い尽す!
https://toxandoria.hatenadiary.jp/entry/2018/11/12/060933 

<注5>身体化された心(エナクティヴィズム/enactivism)とは

・・・生存の限界に直面した生命が新たな適応力を展開し得る条件は何か?に関わる現象学的な方法論を探るごく新しい概念。
特に、ダン・ザハヴィが「現象学の自然化」(アバウトに言えば、コンシリエンス(“人文科学”と“科学知、特に神経生理学”
の融合/実在論と観念論の中間の道)の研究でenactivismを重視しており、新たな認知理論の展開が期待されている(関連著
書↓★2)。

 ★2 ダン・ザハヴィ著『フッサールの遺産』―現象学、形而上学、超越論哲学―(叢書・ウニベルシタス)

・・・そもそも「身体化された心」は、オートポエーシス論の創始者であるマトゥラーナとヴァレラの研究に由来する概念であ
り、この概念を確立したのは上のザハヴィの著書★2とされている。しかし,更に遡れば、「エナクティヴィズム」
(enactivism)の用語を初めて使ったのはトンプソン(↓★3)であると思われる。
 ★3 ヴァレラ、トンプソン、ロッシュ著:田中靖夫訳『身体化された心(The Embodied Mind)1991』(2001、工作舎)

・・・特に、科学的現象学(カント由来の超越論的哲学の最先端フィールド)、ダイナミカルシステム理論(ゲシュタルト心理
学の分野)、第三段階に到達したとされる先端AI(ハイデガー的な人工知能)研究などの分野で注目されている。

・・・因みに、繰り返しになるがHKBモデルを使った「神経科学における意識研究」(神経現象学)の最先端では、「意識の特
性は志向性」にあることがS.ギャラガー(米・精神病理哲学者)とザハヴィが名付けた「現象学の前倒し」(front-loading phenomenology)という研究手法によって科学的にも裏付けられつつあり、当然、これはヒトのコトバの誕生・発生等の問題とも
関連することが考えられる。

・・・なお、神経現象学(Neurophenomenology)はF.J.ヴァレラ(チリ出身の認知科学者/オートポイエーシス理論で知られる)
によって提唱されたアプローチで、一般に(1)体験の現象学的な分析、(2)力学系理論(ポテンシャル関数、統一場理論など)、
(3)生物学的システムに関する実験、の三者の統合に特徴がある(Gallagher and Zahavi 2008; Thompson2007)。出典:当事者研
究を神経現象学に接合する/石原孝二・東京大学・大学院総合文化研究科、http://phsc.jp/dat/rsm/2013_a1-3.pdf

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