メルマガ:toxandoriaの日記
タイトル:定常化を見据えるEU「Potenz経済学」の廻廊に無頓着な日本は・・・(1/n) .  2018/08/06


■定常化を見据えるEU「Potenz経済学」の廻廊に無頓着な日本は、“間違い&ウソ”だらけアベノミクス「男の花道」必3選論などにかまけず<将来人口/年率0.6%減の現実>直視から再出発すべき

<注1>お手数ですが、当記事の画像は下記URLでご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20180806 

<注2>“間違い&ウソ”だらけアベノミクス「男の花道」必3選論の事例=『安倍首相が直面する健康不安という爆弾/総裁選の勝利は確実だがすでに総裁選で勝った後の花道論も囁かれ始めている』ジャーナリスト・安積明子 8/02東洋経済オンライン、https://toyokeizai.net/articles/-/232026

(プロローグ)

・・・「“間違い&ウソ”だらけ、つまり“偽装”成長アベノミクス」とは、「展相(Potenz)経済学」(人間社会の力能と倫理観の発展の諸段階を重視する経済学)のコリドー(Corridor/廻廊)への視座が不在であるどころか、又そもそも指数関数的な成
長曲線(参照/参考画像↓)が何処まで上昇し得るのか?という経済理論上の根本アポリア(なかなか解決の先が見えない難問)に関わる個々の疑念(例えば、トリクルダウンの論拠とされたクズネッツ曲線の有意性は、上昇期の一時期における限定的な効果を除けば悉くが揺らぎつつある!/委細、後述)や格差拡大への些かの目配りもなく、約30兆円もの嵩上げGDPの数字をでっちあげたり、果ては日銀に命じ(あるいは日銀が忖度した?)33兆円もの家計「投信」の過大計上を作為でひけらかしてみせたり(参照/参考画像↓)という具合いであり、『極めてパワフルなファッショ男』という安倍晋三の演出された政治的イメージ操作で多数派層国民が洗脳されているのをよいことに、徹底的に日本国民を欺きだまくらかすバカリの<着陸地不詳>の眉唾的で異常な経済政策を安倍政権が堂々と推進していることを指す。・・・

(参考画像)

・・・代表的な「成長曲線」、
http://www.kogures.com/hitoshi/webtext/stat-seicho-kyokusen/より
f:id:toxandoria:20180731032037p:image:w350f:id:toxandoria:20180731031957p:image:w450

・・・「捏造?アベノミクス」の事例(左=嵩上げ?GDP30兆円(内閣府)、右上=捏造?家計「投信」過大計上(日銀)、右下=年金構造の崩壊を望む?アベノミクスの暴走)

(1)プラネタリー・バウンダリー「九つの地球環境の許容限界」

f:id:toxandoria:20180802031054j:image:w225f:id:toxandoria:20180802031924j:image:w598
Johan Rockstrom、Will Steffen・・・画像はウイキおよびhttps://www.theaustralian.com.au/より

・・・ヨハン・ロックストローム(ストックホルム大教授)とウイル・ステファン(オーストラリア国立大教授)が率いる地球システム科学の国際研究グループは「九つの地球環境の許容限界」の上限(プラネタリー・バウンダリー/Planetary boundaries/2015)を示している(
http://www.stockholmresilience.org/research/planetary-boundaries.html)。

・・・欧州連合(EU)の『Energy Roadmap2050(2011) 』は「五つの脱炭素シナリオ」を実現するためロードマップ(https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/report/07000603/low_carbo_road_map_2050.pdf)を2011年3月8日に発表しているが、次いで、2015年9月の国連総会で採択されたSDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)では、このプラネタリー・バウンダリー(九つの地球環境の許容限界)がその土台となっている。つまり、それは限られた地球環境という前提の下で未来における定常化した経済社会が必須であるとの理解が国連(の諸政策)のエンテレケイアの視野にシッカリ入って
いるからだ。

f:id:toxandoria:20180802064935j:image:w220:left・・・2018年7月に刊行したロックストローム氏の関連著書『小さな地球の大きな世界/プラネタリー・バランスと持続可能な開発』(邦訳版/丸善出版)は、“回復力が高い地球システムは元の状態に止まろうとするが、転換点を超えると予期しないことが起こる”と書いている。因みに、スウェーデン・英国・フランス等の「原発」利用も、そもそもこのような視座から「過渡的な推進策(利用技術)」と位置付けられている。つまり、このような点こそが<日本の『フクシマ3.11“過酷”原発事故』を無視する“偽装”成長政策であるアベノミクスと連動させた国策「原発」>との決定的な違いである。

(関連情報)

◆生物の遺伝情報を自在に改変できる「ゲノム編集」技術で作られた作物について、EU司法裁判所は、「遺伝子組み換え作物(GMO)」と同じ規制を適用するとの判断を下した。ゲノム編集した作物、遺伝子組み換えと同一規制に EU:20180727朝日https://www.asahi.com/articles/ASL7W3HW1L7WUBQU003.html  
f:id:toxandoria:20180731032733j:image:w400・・・当画像はウイキメディア・コモンズより

◆人間に合わせ無理やり作物の遺伝情報を改変する作業は“アベ一強 or トランプ・マイファースト”主義らにも通じるThe Modern Bed of Procurstes式の<ブラック・スワン(めったに起こらないが壊滅的被害をもたらす事象)をムリクリ呼びこみか
ねない傲慢かつ異常で、しかも酷く愚かな発想>なので、上(ゲノム編集した作物、遺伝子組み換えと同一規制に)はGDPR(EU一般データ保護規則)と同じく欧州連合(EU)の極めて妥当な判断!

・・・<注>The Bed of Procurstes(プロクルステスの寝台)はギリシア神話にあるマイファーストの強欲な強盗プロクルステスの話であり、彼は旅人を自分の宿のベッドに無理やり寝かせたが、その旅人の身長が短すぎる場合には脚を叩き延ばし、ベッドが短すぎる時には旅人の身体の端を切り落として無理やりベッドに合わせたとされる。7:03 - 2018年7月28日 https://twitter.com/shinkaikaba/status/1022965752775749635

1 EUの視野に入る未来経済へのコリドー(廻廊)とは

1−1 展相(Potenz)経済学(未来経済へのコリドー(廻廊))の具体的イメージ

(文化史的なコリドー(廻廊)の意味)

f:id:toxandoria:20180801030517j:image:w300:leftシャルトル大聖堂のステンドグラスのコバルト・ブルーの美しい発色は13世紀の職人が創った。無論、現代の科学技術を使えばそのシャルトル・ブルーと同色の再現も可能であろうが、800年を超える歴史と自然環境の影響を受け続け風化した美しい発色をいま目前にして、その感動を素直に味わうのが正しい意味での「正統保守的な可視歴史観」(“直感的イメージと歴史経験イメージの含意的統合”により、現代人が普遍的に共感し得る新たな文化の創造(想像力による結合的イメージの創造/ドイツの心理学者W.Wundtによる)ということではないか(シャルトル大聖堂の北の薔薇窓(尖頭窓)の添付画像はCreative Commons、より)。

f:id:toxandoria:20180801030635j:image:w330:rightゴシック建築の構造的な特長(バシリカ型の場合)は、リヴ・ヴォールト(円形状天井)、尖塔アーチ、フライング・バットレス(飛梁/外壁を支える斜め上がりの構造物)の三つだが、その内側には身廊(入口から主祭壇に向かう中央通路の袖廊に至る迄の部分)、袖廊(十字形の建物の身廊に対し直角に配置された部分)、両
側廊、中央塔(orドーム)、周歩廊、内陣、アプス(後陣/最も神聖で重要な部分)等が配置されている。これら配置のなかで
先ず最初に最も重要なアプスの方向へ、その教会を訪ねた人々を正しく誘導する「身廊」の役割が如何に重要であるかは説明するまでもなく理解できるはずだ(画像はhttp://deo.o.oo7.jp/construction/study/Europeanchurch.htmlより)。従って、厳密
に言えば、『展相(Potenz)経済学(未来経済への廻廊)』の“廻廊”とは、特に「身廊」のことを意味している。

f:id:toxandoria:20180806052705p:image:w570:leftそれはともかく、欧州の人々の内面の襞の奥深くにはカトリック、プロテスタントの別を問わず、特に中世ゴシック期以降の教会建築内部での五感を介した感動的な宗教体験(荘厳な教会堂建築やステンドグラスの輝き、聖歌(ミサ)または讃美歌の美しいハーモニー等の共鳴がもたらした)の残照が持続しており、それが啓蒙主義に基づく普遍意識の胎盤として、特に近世以降のルソー「市民宗教」意識にも貢献したのではないかと思われる。このように書くと、それは「政教分離」原則に反するのでは?と疑問を呈する向きも少なくないが、政教分離はあくまでも公共空間でのこと、あるいは公共政策に特定宗派の影響力を大きく行使しないということであり、国民・市民の日常を支える共有基盤としての寛容な宗教観を人々が尊重し合うことは、ごく自然なことと考えるべきである。その意味での洗練された宗教観は、特に我が日本で問題となっているカルトや狂信の類(例えば安倍晋三政権と日本会議、靖国神社らとの結びつきなどで見られる通り、それが政治権力と癒着する傾向が強いこと)とは無縁である(詳しくはフランスのライシテ
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20170320、ドイツ型政教分離原則http://d.hatena.ne.jp/saisenreiha/20060913/115812930
などを参照乞う)。

f:id:toxandoria:20180801030904j:image:w190:right因みに、ティヤール・ド・シャルダン(世紀末〜20世紀全般に活躍した仏のカトリック思想家、古生物学者/キリスト教的進化論を唱え、当時のローマ教皇庁から異端視された)の影響を受けたマクル
ーハン(カナダの英文学者、文明批評家)が人間の精神の進化が地球を超えて宇宙的な共感へ昇華する可能性があると主張していたことの真意(Potenz経済社会時代への予感を持っていたらしいこと)が分かるようになってきたため、近年、その英ケンブリッジ時代に取り組んだトマス・アクイナス論、あるいは中世修辞学研究等との関りで高度情報化時代にも通じる非常に先見的なメディア論者として再認識されつつある。換言すれば、それはマクルーハンが「1.マッハ感覚論的素材性のエネルゲイア(日常世界で共鳴するリアル意識)、2.巨大WebネッットDB汎“知”が刻々と創造するデュナミス、3.ルソー「一般意志」(普遍観念)が象徴するエンテレケイア」という三つの異質な世界が鼎立する高度情報社会の到来をすら予見していたと思われるからだ(当マクルーハンの再解釈についての出典は、大黒岳彦『情報社会の哲学』―勁草書房―)。

言い換えれば、それは人間が広く繋がりつつ十分協力的に創造し続けるため必須の構造であるが、この21世紀にこそ意識化されるべき社会構造(1.日常のリアル生命連鎖、2.潜在力を秘めて巨大化する中立的・機械的高度抽象性、3.ヒトの間主観性が支えるべき感性親和的・開放的抽象性)という、いよいよ本格化するAI・BD−Web型高度情報化社会の時代においても、これらの生殺与奪権を握るのは矢張り飽くまでも「ヒューマンな倫理」が意識できる人間自身であるということだ。そして、、仮に2.(AIロボットらも此のジャンルに入る)が暴走することにでもなれば人類滅亡の危機に瀕する可能性すらあると思われる(関連参照/下記★)。

★20180701toxandoriaの日記/ボディーブローとなりつつ世界中へ拡散する安倍ネオ・ファッショ政権の恥!/高度Web情報化で本格的「出現」が懸念されるネオ“優生学”ファッショの超リスク http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20180701  

(EUの視野に入る未来経済へのコリドー(廻廊))

f:id:toxandoria:20180801160936j:image:w430:leftEUのグリーン成長戦略では、環境分野が重要な成長エンジンの一つと位置付けられてきた。しかし、それを具体的に見ると<グリーン成長/第7次環境行動計画(2014〜2020)>が打ち出した「相対的デカップリング」(GDP成長率を資源利用増加率より上回らせる循環型経済)でも、特に高所得国での消費レベルが地球の許容量を既に超えたと理解されるため、今では更に“GDPの上昇と共にそれとは逆に資源利用が絶対量で減る”「絶対的デカップリング」が必要と判断されて、その先には定常経済が視野に入っている(情報源:http://eumag.jp/feature/b0916/ 、https://www.theguardian.com/commentisfree/2017/apr/12/doughnut-growth-economics-book-economic-model )。つまり、これが、表題に掲げた「EUの視野に入る未来経済へのコリドー(廻廊)」ということである(デカップリング(GDPを環境への影響から切り離す政策)の図像は、下記資料★より転載)。

f:id:toxandoria:20180801161141j:image:w360:right★"Doughnut Economics", subtitled "7 Ways to Think Like a 21st
 Century Economist", is a recent book by Kate Raworth, February 2017, 320 pages.  http://portraitofthedumbass.blogspot.com/2017/06/doughnut-economics.html 

・・・高所得国でGDP成長が続くとすれば、経済活動を地球環境の許容限界に戻すためには相対的(relative)あるいは絶対的(absolute)なデカップリングdecoupling)でも足りず、十分な絶対的(sufficient absolute)デカップリングで成長に関わる資源利用を激減させなくてはならない(by Kate Raworth/プロフィール画像は
https://www.youtube.com/watch?v=qYpkRkPjZnMより)。

f:id:toxandoria:20180801161537j:image:w210:leftf:id:toxandoria:20180801161607j:image:w205:left ケイト・ラワース(Kate Raworth)は、国連の持続可能な開発計画の主要報告書の作成に携わり、国連を辞したあとは約10年間にわたりオックスファム(不公正と貧困撲滅に取り組む国際NGO)で上席研究員を務め、現在はオックスフォード大学環境変動研究所・ケンブリッジ大学持続可能性リーダーシップ研究所の上席研究員を務めるなど、国連・EU・米国(トランプ政権以外の)など世界の先行的な“グリーン・循環・定常”経済化の動向へ大きな指導力を発揮している人物である。なお、ラワーズの著書「Doughnut Economics(2017)」(Chelsea Green Publishing)の邦訳版が『ドーナツ経済学が世界を救う』(黒輪篤司・訳)として、20180218に河出書房新社から出版されている。

f:id:toxandoria:20180801163208j:image:w600:rightケイト・ラワースの「ドーナツ経済のイメージ図/21世紀のコンパス」画像は同書より)を見ると、我われ人類を含む全生物が、以下に述べる外側と内側の二つの境界線に挟まれた極めて狭隘なバ
イオスフィア(生物圏)で生きて(というよりも生かされて)いることが分かり愕然とする。つまり、その二つの境界線とは既述の「地球システム科学の国際研究グループが指摘した『九つの地球環境の許容限界』の上限(Planetary boundaries=Ecological Ceiling)」と「ラワースが提唱する『十二の人間の幸せの土台(Social Foundation)
』」ということだ。『九つの地球環境の許容限界』と『十二の人間の幸せの土台』の内容を具体的に見ると、次の通りである。

『九つの地球環境の許容限界』

=気候変動、海洋温暖化、化学物質汚染、窒素および燐酸肥料の投与、取水、土地転換(森林面積)、生物多様性の喪失、大気汚染、オゾン層の減少

『十二の人間の幸せの土台』

=食糧、健康、教育、所得と仕事、水と衛生、エネルギー、ネットワーク、住居、男女の平等、社会的な平等、政治的発言力、平和と正義

f:id:toxandoria:20180801164009j:image:w700:rightまた、この「ドーナツが破られている状況を示すイメージ図」(画像は同書より)を見ると、社会的な土台の内側の暗色で塗られた部分は、生活の基本的なニーズを欠く人々が世界にどれ程いるか
が直感的に分かるように示されている。環境的な上限の外側へ放射状に延びた濃い暗色の部分(気候変動、窒素および燐酸肥料の投与、土地転換(森林面積)、生物多様性の喪失)は、地球環境の九つの境界線からの超過を表している(薄い暗色はこれらに準ずることを意味する)。なお、ドーナツの外へ向かう矢印は「超過」を、内側へ向かう矢印は「不足」を示す。

ともかくも、これら「ドーナツ」のイメージが教えてくれる地球バイオスフィアを巡る深刻な状況について、ヨハン・ロックストローム、ウイル・ステファン、ケイト・ラワースらとの間で、いま最もシビアな危機感を共有しているのがEU(欧州連合諸国)、国連、米国(トランプ政権以外の)およびオックスファムらの国際NGOである。特に、トランプ政権下の米国は、地球環境問題およびバイオスフィアの危機的状況(ドーナツ問題)と特に関係が深い科学技術に関わる政策面で非常に深刻なジレンマに襲われつつある(関連情報↓★)。

★「科学政策なき米トランプ政権の危うさ:前米大統領補佐官、ジョン・ホルドレン氏の批判」/「科学政策なき米トランプ政権の危うさ:前米大統領補佐官、ジョン・ホルドレン氏の批判」20180508朝日、に関する紹介ブログ記事、https://blog.goo.ne.jp/narmuqym

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。