メルマガ:toxandoriaの日記
タイトル:[希望のトポス]仏マクロンが感知したリベラル共和への希望(1/4)  2017/07/15


[希望のトポス]仏マクロンが感知したリベラル共和への希望/ノモス、文化資
本、エトノス・パターナリズムが“新自由主義(アンシュタルト)”克服のカ
ギ(1/4)

*お手数ですが、当記事の画像は下記URLで御覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20170713 

(Cover Images)飛騨(下呂・高山・古川)の風景、2017初夏

1 仏マクロン政権でニコラ・ユロ環境大臣が誕生した画期的意義


・・・原発17基廃棄は『リベラル共和主義』でフランス再生!の象徴・・・

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・・・Cf[20170713朝日社説]民進党 勘違いしていませんか、http://urx3.nu/EGNp


・・・


<注1>エトノス・パターナリズム

・・・ここでのパターナリズム(父権主義)の定義は「自由な個人の自己利益
を保護するため、当人の意に反し、その“選択”(市場における選好)に抑制
的に介入すること」を正統視する立場とする。エトノス・パターナリズムは
「広義の内外環境(エトノス)とヒトの内面の両方の関係」に配慮したパター
ナリズムを指す(エトノスの委細は後述)。


<注2>アンシュタルト(Anstalt)

・・・一般的には、公共施設、刑務所・病院・学校などの公的営造物、観測所
などのことであるが、マックス・ウェーバーはこれを「家以外の私的統治権力
の拠点としての教会、修道院の官僚機構、労働組合、更にそれらをモデルとし
ている学校、軍隊、工場、病院」などによる私的な統治権力の意味として使用
した。

・・・この概念を援用しつつ、より広く理解すれば、今や「果てしなき格差拡
大装置」と見るべき新自由主義なる“ホモエコノミクス(経済合理的人間)が
重宝する怪物と化した市場原理が支配する内外の空間“こそ現代世界の代表的
なグローバル・アンシュタルトということになる。

・・・但し、この私的な統治権力であるアンシュタルト(市場原理)をオール
悪と一括りに断定するのは短絡であり、むしろそれは善と悪が混在する両義的
なものと見るべきだろう。それどころか、悪へ傾斜したアンシュタルト、例え
ば「市場原理主義の暴走」で出現する<格差>の放置など、種々の不条理を逆
説的に気付かせるのはそのアンシュタルトに関わる冷静な観察であり、次に、
その気付きへ如何に対処すべきかという政治的思考の地平に浮上するのが「リ
ベラル共和主義」の問題である。

・・・また、そのような深層に潜む最も肝心な問題を発見し、絶えず<アリの
一穴>を穿ち続けるのがジャーナリズムの本来の役割であるが、特に近年の日
本メディアは、暴走権力側が一方的に下賜する情報に対し、いそいそと過剰な
<忖度>回路を提供するだけの<倒置・倒錯のジレンマ>に嵌っている。 


・・・

ニコラ・ユロ氏は元「緑の党」である。更に情報を集める必要があるが、仏
「緑の党」は新環境相ユロ氏ら現実主義派と極左系急進派『服従しないフラン
ス』(多くがコチラへ移動)に分裂したため『緑の党』自身の国民議会での議
員数は減少した模様?しかし、おそらくマクロン新大統領は「リベラル共和主
義」を近未来の視野に入れたようだ?(関連情報、http://urx.red/EsDd、http://urx.red/EsDn)

このため、ユーロ・コミュニズムor欧州エコロジー急進派の可能性からすれば
後退とも見えるが、この流れが「仏新自由主義」路線の大きな変革(アンシュ
タルトとしての暴走“新自由主義”の超克)の可能性、および「市場原理上の
効率性」と「原発なる核平和利用の技術リスク」(戦争リアリズム経済論の裏
ヴァージョンにすぎない代物!)の両面評価による、仏原発政策の大きな転換
という新たな希望の道筋への可能性が高まったともいえる。


また、その現実主義はフランス民主主義(仏革命以来の伝統を引き継ぐ仏第五
共和国憲法下の)、ひいてはEU全体の民主主義を、ドイツとの協力一致で更
に深化させ得る「権限=権限問題」の克服の可能性が大きくなりつつあり、そ
の新たな胎動の芽生えがフランスで見られる可能性が高まりつつある。それが
「リベラル共和主義」への新たな動向だと思われる。


『“EU⇔各国”の権限分担』の問題は、G.H.ミード(米国プラグマティズム
の社会学者)の「客我(社会的自我)/I」と「自我/me」による「ヒトの社
会関係におけるダイナミクス“進化”」を連想させる。仮に、「リベラル共和
主義」へ深化するとしても、そのプロセスは容易ではないが、そこでは必ず
“他者の態度の内面化”の繰り返しが伴うはずなので、時間は必要としても格
差・移民の難問も解決方向への新たな展望が期待される。


具体的に見れば、EUの『権限=権限、問題/“EU⇔各国”での分担』は、マー
ストリヒト条約(1993発効)、リスボン条約(2009同)を経て、個別授権原則、
補完性原則、比例性原則の三つの内容が明確化されてきたが(参照、http://urx.red/EsG5 )、今後はEUのリーダーである仏・独の両国が、おそ
らくリベラル共和主義的な方向性の中で現実的なっ対応を採る可能性が高い
(特に環境・エネルギー政策、経済格差是正、人権・移民などの分野)。


因みに、20170702都議選で小池都知事が率いる都民ファーストが、安倍政権
(ウルトラ極右ファッショ/19〜20世紀型の戦争リアリズム経済論なるアナク
ロ妄想の虜、追憶のカルト/侵略戦争〜冷戦構造型戦争リアリズム経済論/原
発(原子力平和利用なる巧妙な印象操作)も同じジャンル)が応援する都議・
自民党に圧勝したことを称賛する報道が溢れる一方で、その小池知事の正体
(安倍と同じ日本会議のウルトラ極右ファッショの異常価値観で同衾)を暴き、
指摘する報道が皆無に近いのは何故か?


それは、所謂ウソ・ニュース(ネット上のSNS等で穿たれ多孔化した現実世界
のアナから、十分な文脈が省かれた部分的な意味だけが他の断片化した意味と
容易に接着しつつ日常的に発生する/社会学者・鈴木健介、
http://urx.red/EsI1)の爆発に、主要メディアが怖気づいているのも一因と
思われる。従って、日本メディアはトランプ禍の米国の現況を他山の石とする
べきであろう。


もし、それがなければ、仏マクロン政権の「アンシュタルトとしての新自由主
義」を超克しようとする先進的な動向はおろか、おそらくポスト・トランプの
米国ではフランス同様に「リベラル共和主義」型の民主主義(格差が解消不能
な新自由主義の修正)へ向かわざる得ないと予想されるため、日本は最大の同
盟国として頼む肝心の米国の最新動向にも益々大きく後れをとる可能性が高い。


(関連情報)

・・・以下は、フランス環境相に元“緑の党”二コラ・ユロ氏が就任したこと
を報じる、「緑の党グリーン・ジャパン」と「時事コム」の部分転載・・・


◆フランス環境相に元緑の党二コラ・ユロ氏/20170519緑の党グリーン・ジャ
パンhttp://greens.gr.jp/world-news/20304/ 


・・・途中、省略・・・マクロン政権の経済政策は新自由主義的な面があり、
原発推進派が環境大臣に任命されると予想されていただけに、この人事に衝撃
が走っている。特に、ユロ氏の入閣が報じられると株価が下がった電力会社は
警戒心を露わにし「今後も原発がこれまで通り推進されることを望む」という
文書を公表した。・・・途中、省略・・・ユロ氏はメディアの取材に、「原子
力産業のビジネスモデルは、過去のものだ、再生可能エネルギーの方が競争力
がある」と語り、再生可能エネルギーへのシフトを目指すとしている。・・・
以下、省略・・・


◆ユロ環境大臣誕生/イタリア・ボローニャで開かれていた先進7カ国(G7)
環境相会合に出席したフランスのニコラ・ユロ環境大臣=20170612/AFP・時
事 山口昌子 702jiji.com 
http://www.jiji.com/jc/v2?id=2017franceactu_02 


ついに、ニコラ・ユロがマクロン新政権で環境移行連帯相に就任した。首相、
内相に次ぐ政府のNo.3のポスト。しかも内務、法務相とともに国務相(副首相
格)の肩書付き。新政権の環境問題重視、市民参加の象徴である。・・・途中、
省略・・・ユロは政府の指南役として活躍した実績があり、パリで昨年末開催のCOP21(第21回締約国会議)では大統領特使として参加国を回り、根回しもした。・・・途中、省略・・・今回、大臣への誘いを快諾したのは、「希望と未
来」を託した若いマクロン大統領に期するところ大だからかもしれない。=
「ふらんす」2017年7月号掲載=

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