メルマガ:toxandoriaの日記
タイトル:客観知を心底で憎む追憶のカルト/希望はAIら最先端でコンシリエンス・・・(1/6)  2017/01/05


■客観「知」を心底で憎む追憶のカルト、その靖国『顕幽論』是非の意識が日
本の命運を分ける/希望は量子論・AI・脳科学らの最先端で必然の流れ「自然
・人文科学」融合(コンシリエンス)が生まれつつあること!(1/6)

<注記>お手数ですが、当記事の画像は下記URLでご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20170104

(プロローグ)ヒエロニムス・ボッス『荊を冠ったキリスト』の意味

f:id:toxandoria:20170104032910j:image:w400
Hieronymus Bosch(ca1460-1516)「Christ Crowned with Thorns」 
1500s. Oil on panel 73×59cm National Gallery 、London

f:id:toxandoria:20170104033023j:image:w200:leftマトウラーナとバレーラ
の名著『知恵の樹』(ちくま学芸文庫、http://urx2.nu/AGF8 )は、ヒエロ
ニム・ボッスのこの絵の意味を決定するのは右下にいる人物の描写だと述べ
る。その男は衣をシッカリ掴んでイエスを地面へ向けて強引に抑えつけている
ように見える。その人物はイエス(この場合は英知の象徴)の自由を制限し、
イエスの注意を自分の方へムリヤリ向けさせようとしており、その男はこんな
風に言っている。「さあ、私の言うことを聞いて、私が言うことは絶対に間違
いないのだから!」

マトウラーナとバレーラによると、これは「確信の誘惑」と呼ばれる“カルト
(非分析的・閉鎖的で客観知を憎む、しかも暗い情動の方へ過剰傾斜した反知
性主義的で異常な精神環境(カルトなど)←補足、toxandoria)への誘いの描
写”だ。とはいえ、普通、我われ人間が“これは正しいと思う確信の世界にし
か生きられぬ弱い存在”であるのは事実であり、“そのこと自体に善し悪しの
区別はない”のも現実だ。そこで、その意味での確信的思い込み(人間一般が
抱える弱み)のことを、マトウラーナとバレーラは“盲目の孤独”と呼ぶ。

この“盲目の孤独”を乗り越えるため必須となるのが、周辺と生命個体内の自
然・社会両環境(エトノス環境/関連参照http://ur2.link/AIgK)との間に形
成される“広義の愛に満ちた虚構世界”の広がり、つまり“信用・信頼・交歓
・交換”を繋ぐ「観念、感性の両面から成る間主観性」(インテマシーとイン
テグリティーが調和する社会性/委細、後述)に満ちた世界である。

1「AIシンギュラリティー信仰」へのアンチテーゼ/量子論・AI・脳科学ら先
端研究が暗示する「自然・人文科学」融合(コンシリエンス)の必然性

<注>AIシンギュラリティー信仰

・・・例えば、“まさか(不確実性)”への運任せが前提条件のため確率計算
が不可能な安倍内閣の「嵩上げGDP支援によるAI&原発一極利用式バクチ経済
政策」などを意味する(Cf.⇒ http://qq1q.biz/AHHH )。

1−1 人文・自然科学融合の地平(1)量子論・AI研究フィールド

<注>人文・科学知の融和的統合(コンシリエンス/consilience)の委細に
ついてはコチラを参照!⇒20161107toxandoriaの日記、http://urx3.nu/AH4L 

(西川アサキの情報基礎論)

f:id:toxandoria:20170104033437j:image:w250:right西川アサキ(東大大学院
情報学環助教/基礎情報学、AI研究・情報哲学者)は、著書『魂と体、脳』
(講談社選書メチエ)で人間の意識をクオリアと呼び、それは「内外世界の認
識力、意思(志)、理解・共感力、知識などを総合したもので、かつ対外部的に
秘密(私的かつ入れ子的に幾重にも内向)化する性質の脳の統合作用」と説明
しているが、興味深いのはこの理解の後段の部分の「対外部的に秘密化(過激
なまで暗く内向化)する性質」である。

それは、(第3章−1)で後述するトマス・カスリス「インテマシー/インテ
グリティー」論の「神道スピリチュアリティー」(真珠湾奇襲攻撃を端緒とし
て、日本を太平洋戦争の悲劇的プロセスへ連れ込む主な原因となったマイナー
精神環境の内側の暗部、いわば国家神道の核心である靖国『顕幽論』(委細、
後述))と強く共鳴するものがあるからだ。

つまり、カスリスが、「先史時代〜奈良遷都までの古神道期の神道スピリチュ
アリティー」と「終戦期までに及ぶ1801年(本居宣長の死)以降の神道スピリ
チュアリティー」は全く別物と見るべきだと主張するとおりで、西川アサキが
定義する人間のクオリア内部の「対外部的に暗く秘密化する性質」が極限まで
内向(過激なまで秘密化)したものが日本会議・神社本庁・安倍晋三らに取り
憑く「追憶のカルト」((a)“国民主権”削除、“象徴天皇制”廃止、“国
家神道/靖国軍神”復活等が前提の改憲、と(b)敗戦否定et al.)の正体で
はないか?と考えられる訳だ。

(a)については、「自民党改憲草案」があからさまに書いているので、一般
にも徐々に知られつつあるのだが、(b)安倍晋三・首相らの敗戦否定のホン
ネについては、今のところ表面的な取り繕いと安倍政権に迎合するメディア・
プロパガンダ(↓★1)が功を奏しており、一部の海外知識人らの「安倍晋三
・首相らの危うい発言(敗戦否定を過去に明言した事実)についての厳しい指
摘と警告」(↓★2)にもかかわらず、まことに残念ながら此の点に関する危
機意識を多数派の国民層は殆ど持っていない。

★1 「アリガトウ」96歳の元米兵、安倍首相とハグ(「日米関係の"癒し
の頂点"だ」 安倍首相の真珠湾訪問、海外メディアが好意的に伝える
(NY.Timesなどは謝罪の言葉ナシ、と報じているが?)/Huff.P. 日本版)
20161228朝日、http://qq1q.biz/AHHQ

★2 オリバー・ストーン監督、米日韓加中英豪沖台の専門家など53名 真
珠湾訪問に際し安倍首相の歴史認識(の正体とホンネ)を問うSunday, 
December 25, 2016/Oliver Stone and internatonal scholars and activists send an Open Letter to Prime Minister Abe on the eve of his Pearl 
Harbor visit.  http://qq1q.biz/AHHR

f:id:toxandoria:20170104034233j:image:w570

ところで、西川アサキは、<基礎情報学理論、哲学[特にジル・ドゥルーズ
(1925-1995/数学的素養がある哲学者)のライプニッツ論『襞』]、科学哲
学[特にG.W.ライプニッツ(1646-1716/哲学・科学哲学・数学者)のモナド
論]>、および<AIシュミレーションが日々にもたらしつつある新たな知見
・発見>を結合する思考実験(科学原理に反しないことを前提に行われる論
理思考)で、まことに興味深い複数の「社会心理学上の、あるいは政治学上の
未来に関わる新たな可能性(希望の方向性)」を推論している。それらの中か
ら、特に興味深い三点を以下に紹介しておく。

(1)「意識が生まれる瞬間」についての重要な推論/西川アサキは、最大の
関心事がAIロボット内で生まれる可能性がある「わたし」(つまり意識)の問
題だとしているが、現時点でその「わたし」は(a)自己組織化させる、(b)研究
者(orプログラマー)が外部からプログラムする、という二つの方向からのア
プローチが進んでいる。そして、ここで最終的に必須のモジュール(そこに至
る迄の前のプロセスでは、脳内でもそうであるが夥しい数の複数のデッドロッ
ク(堂々巡り)・ペアが存在する)は、「デッドロック・ペア」(二対のデッ
ドロック)と「デッドロックで対峙するモジュール双方の能力(夫々が相手方
の中に期待して求める能力)に関わる未来への信用(確率論的な意味での)で
あること」が分かってきた。

・・・上の図は、同書の中に掲載されている川人光男著「脳の計算理論」(川
人光男/国際電気通信基礎技術研究所・所長、http://ur2.link/AIgR)にある
「川人の自我モデル」の部分転載である。

・・・西川アサキが言う「デッドロック・ペア」は右端の二対のモジュール・
モデルで、そのうち左側の順(ベクトル)モデルは「自分が属する脳の動きの
シュミレーション」(知覚や体験を仮に創り出すキャッシュ(一時記憶的)動
作)、右側の逆(ベクトル)モデルは「自分の属する脳の動作規則の抽出」
(世界と自分は、今このような構造を持っているはずだ、という信念を創り出
す動作/これが意識化の第一歩、自我創成への入り口?)ということになる。

・・・西川アサキによれば、左側の順モデルのペアは、お互いの能力を必要と
するからこそ動きがとれずデッドロックしているが、外部からプログラマーが
仮の「信用」を与えると(未だ、この部分(デッドロック解除のプロセス)の
自己創出は実現していない)、「たとえ矛盾が起きても何回かのやりとりのな
かで何とかなる」という「未来への信用」が双方で創出され、そのデッドロッ
クは解消されて右端の逆(ベクトル)モデルのペアが創出される。このプロセ
スと、以下に述べる「リスク(確率計算が可能)と不確実性(同計算が不可能
な“まさか”の世界)の違い」の問題は、ダ―ウイン進化論の限界(矛盾点)
を補完すると考えられる<「進化論的軍拡競争」と「(生物種の)永続性の原
理(仮説)/人文・科学両「知」融合(コンシリエンス)の地平で立ち上がる
原理!」>(下記★3、参照)にも関わってくる可能性があると思われる。

★3【進化論的軍拡競争、永続性の原理】を無視する<“日本会議”指南、無
謀「軍拡競争」の意思>を隠蔽する悪徳工作の一環! ⇒ 安倍晋三首相「パ
ールハーバーは和解の象徴」20161228産経フォトhttp://ur0.biz/AGbk

f:id:toxandoria:20170104034658j:image:w360:right・・・「進化論的軍拡競
争」は、カッコウやホトトギスなどの鳥がオオヨシキリなどの巣に卵を産んで
育てさせる「鳥の托卵」の研究から、「托卵されたオオヨシキリがその托卵さ
れた卵を巣の外に捨てたり、あるいは逆に托卵した卵が巣の外へ捨てられない
よう、カッコウやホトトギスがオオヨシキリに似た卵を産んで托卵したりする」
ようになる「リスク分散の行為」であることが確認されている。

・・・この「進化論的軍拡競争」や「一つの巣の中に必ず1〜2割出現する、
普通の状態では一切働かない怠け者アリの存在(働きアリが力尽きた時に働き
出しバッファ役を担う)」などが、いずれもダ―ウイン進化論と矛盾しないこ
とが理解されてきたため、ダ―ウイン進化論を包摂する上位概念として仮説さ
れているのが「永続性の原理」(結局、“エトノス環境と調和しつつ自らの種
の永続性を最重視し行動する生物”だけが絶滅を免れるという原理!:長谷川
英祐・北大大学院農学研究院・准教授/関連参照⇒http://urx2.nu/AGL5 )。

f:id:toxandoria:20170104035231g:image:w330
<注>自動掃除機(ロボット)への応用で実用化に成功した米国ロボット工学
者ロドニー・ブルックスが作ったAI「ゲンギス」(http://urx2.nu/AGL7 )
は、そのタスクを極めて単純なものに絞った自己組織化の成功事例なので、
「意識の自己創成」過程を研究する、上で取り上げた「川人の自我モデル」の
シュミレーション回路とは異質の「脳を持たず、神経ネットワークのみで環境
から学習する包摂アーキテクチャ」である。

・・・

・・・因みに、この「信用」の問題で重要となるのが西川アサキによる「リス
ク(確率計算が可能)と不確実性(同計算が不可能な“まさ”かの世界)の違
い」を理解することである。つまり、リスクは一定の確率計算が可能な予測
(推計)であるので、その確率分布に応じてある程度の「信用」(必要とする
相手の能力への期待)が関係者の間に生まれるが、不確実性とは、例えば現下
・日本の安倍政権が「アベノミクス失敗を認めず、次から次へと繰り出す弥縫
策」の連続で、あるいは「まさか男、米トランプ大統領の登場」で、日本と世
界が“まさか”の混沌化(先が読めない不幸な状況)に深く嵌りつつあるが如
きことである(Cf. ⇒ 安倍内閣と多数派国民が失敗アベノミクス直視を忌
避するのは何故http://urx2.nu/AGLx )。

・・・また、この<意識が生まれる瞬間>に必須となる「未来への信用」は、
後述する西垣 通(東京経済大学教授、前東京大学大学院情報学環教授/基礎
情報学)の「ネットによる集合知民主主義の統合モデル/HACS(階層的自律コ
ミュニケーション・システム)」および金井良太(意識の研究で国際的に活躍
する認知神経科学・脳科学者、アラヤ・ブレイン・イメージングCEO)の「脳
の構造に本能的感覚(但し、おそらく進化論的プロセスで蓄積した!)として
備わっている倫理観」との関連性があると考えられる。

f:id:toxandoria:20170104035819j:image:w250:right
(2)同じ不確実性でも、例えばEU統合のような“『権限⇔権限』関係を包括
する入れ子モナドロジー的な囲い込み環境”に因る内在リスクを前提する不確
実性の場合のAIシュミレーションでは、意外にも共可能性(共存と常識を支持
する多数派集団(社会))が現れ、それを前提しない場合では逆にデッドロッ
ク(対応・処理不能の堂々巡り)状態が観察される。

・・・Cf.1 20171204日本経済新聞に森井裕一氏による遠藤乾著『欧州複合危
機』の書評が掲載された。「来年は独仏でEUの将来をも決め得る選挙の年と
なる。中間層を納得させながら国際環境の変化に対応する政策を展開する時間
は独仏やEUに残されているのか」20161219@中公新書http://qq1q.biz/AHLp 

・・・Cf.2 脳科学者・金井良太(委細、後述)の『政治的信条に関わる脳
構造』(著書『脳に刻まれたモラルの起源』収録)の脳の情動部位に関する観
察によれば、極右・超保守派は恐怖心や臆病な性質との相関が高く、逆にリベ
ラル派は太っ腹や鷹揚な性質との相関が高いことが観察されている、ことは興
味深い!(苦w)

f:id:toxandoria:20170104035957j:image:w230 f:id:toxandoria:20170104040044p:image:w350:right
(3)【人間社会における、「リアル支配力」と実存重視の「知性主義」は基
本的に無関係であることを再認識すべき!/ライプニッツのモナド論を取り込
んだAIシュミレーションでは、仮想エージェントが多数派に対して「同調する
振る舞い」が観察されるが、より驚くべきは、同じことが自然界の原子・分子
レベルでも起こっていることだ!】

・・・Cf.1 因みに、自然現象ではベクトルに任せ放置すると、人間社会の
虐殺へ至るプロセスとソックリのこと、例えば相転移現象が起こる。しかし、
個々人が自由意思を持つ人間社会では、どんな環境下でも最後の瞬間まで誰も
奪うことができない精神の自由(実存選択の意思)が残されている(フランク
ル『夜と霧』)。よって、人間は無機質な原子・分子の世界とは異なることを
最認識すべき!そして、このような知見に立ちつつ改めて「堕落した日本メデ
ィア」の役割を問い直すべし!

・・・Cf.2 森千香子『排除と抵抗の郊外/フランス〈移民〉集住地域の形
成と変容』(第16回大佛次郎論壇賞)は西川アサキ『魂と体、脳』と併せ読
むべき(困難な問題でこそ人間は多数派に同調する傾向がある。それは伊坂幸
太郎『マリアビートル』にヒントを得てライプニッツ・モナド論を取り込んだ
西川アサキのAIシュミレーションでも観察される/ 虐殺はなぜ起こるか?を
考えさせる西川アサキのAI シュミレーションの意義!)、そして森千香子氏
の観察は今こそ全ての人々が理解すべき重要な人間社会の現実!20161220只の
オッサンhttp://ur0.biz/AGcL 

・・・Cf.3 森千香子さんが『排除と抵抗の郊外 フランス〈移民〉集住地
域の形成と変容』で第16回大佛次郎論壇賞を受賞。おめでとうございます!
弊社からは『国境政策のパラドクス』『排外主義を問い直す』(共に編著)が
刊行されています。@勁草書房編集部 http://ur0.biz/AGcM

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3年前・・・https://twitter.com/hanachancause/status/816553740920422401 

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