メルマガ:toxandoriaの日記
タイトル:啓蒙主義ルネサンスを説く『民主主義の内なる敵』著者、T.トドロフ『日常礼賛』の・・・  2016/11/11


■啓蒙主義ルネサンスを説く『民主主義の内なる敵』著者、T.トドロフ『日常
礼賛』の多元的な眼差し/一方、<新国家観>欠落の偏狭『AI万能GDP600兆円
の未来=アベノミクス教』は日本瓦解のプロセス!(4/n)

<注記>お手数ですが、添付画像は下記URLでご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20161107
3 再び襲来した啓蒙主義の危機、そしてポスト新自由主義時代における「啓
蒙主義ルネサンス」への希望


3−1 第一次世界大戦で、いったん潰えた啓蒙主義のプロセス

●【早瀬晋三の書評/国家主義と結びついた「戦争の記憶の再形成」は平和主
義へ向かわず人々を第二次大戦へ導いた!『英霊−創られた世界大戦の記憶』
G・L・モッセ著、宮武実知子訳/柏書房】

・・・G・L・モッセはドイツ出身の歴史学者で、米ウィスコンシン大学名誉
教授。ポスト第一次世界大戦の世界(特に欧州と日本)は、今の「アナクロ
安倍政権」が一強支配する日本と同じく、右傾化と暴力的「愛国」の感情が常
態化していた!・・・以下、その要点の抄録・・・
http://ur0.work/zq0h 


・・・


第一次大戦の戦争体験「神話」が、戦争に参加した各国の国民に対し<国民的
・個人的再生の手段>という新たな側面をもたらしたが、それは人命に対する
無関心を高じさせることにも繋がるため、必然的に各国の「政治の野蛮化」を
促進し、結局、それが「啓蒙主義」の中庸の意義を忘れさせることに結びつい
た。これが「第一次世界大戦で啓蒙主義は死んだ」ということの意味である
(関連情報/再び日本ではこのアナクロ二ズム現象が起きつつある!⇒『明治
の日を求め“維新精神”を取り戻す!与野党を超えて自民議員らが集会』
20161102朝日http://ur0.work/zpXH)。


第一次大戦より前の戦争の時代でも、友の死と仇敵の死への態度の違いは理解
しやすく、同じような野蛮化の効果をもたらし続けてきた。しかし、例えば
1870〜1871年の普仏戦争の前後には、時として独軍と仏軍の兵士は共同墓地に
葬られることが多かったが、第一次大戦以降になると、もはやそうした事態
(時には、敵と味方の戦死者を同等に追悼する風景が見られること)は起こら
なかった。


ヴェルダンの戦場(第一次世界大戦、西部戦線・独仏戦)に散逸した遺骨を納
めるためドゥオモンに建立された霊廟は砦の上に仏の三色旗だけが掲げられた
ためドイツから糾弾を受けた。このように<戦争の結果としての死を扱う態度
が野蛮化(仇敵の死を無視し、味方の死を愛国英霊視する)へ変化した>こと
を、特にドイツでは極右がプロパガンダで巧みに政治利用した。


これが英霊(靖国英霊)の誕生で、一旦そうなれば多くの人々は、自分に累が
及ばぬよう自己の未来のために内外の敵に対する無慈悲な戦争を支持する覚悟
を持つようになる。日本の靖国「英霊」に対する「愛国」信仰(総国民玉砕の
←補足、toxandoria)も、この世界的な流れの中で生まれた(安倍政権下でコ
レが復活中!)。


3−2 アナクロニズムと癒着する『暴走資本主義(自由原理主義)』に組み
敷かれた日本の惨状、事例アラカルト


・・・世界が極右化する今こそ、我々は第一次世界大戦で啓蒙主義が一度死ん
だことを想起すべきである!・・・


●現代に直結する陰謀と愛国心の病(悪意で創作された陰謀論と異常な愛国心
を権力が利用し、広く一般大衆が受け入れるナチス型リスクの拡大)沼野充義
・評 『プラハの墓地』=ウンベルト・エーコ著、20160327毎日 http://ur0.pw/zsCL  

・・・「ある意味で陰謀論は悪徳権力への批判力の源泉ともなるが、留意すべ
きは“悪意で創作された陰謀論(偽書・プロパガンダ等による)と異常化した
愛国心を権力が巧みに利用”し、広く一般大衆がそれを受け入れてナチス型リ
スクが拡大する危険性がある!

・・・また、『プラハの墓地』は、ナチス感情的なモノが国境と歴史時間を超
えて世界へ伝染し拡散する現象)もあり得ることへの警告でもある。つまり、
ゲーデル不完全性定理の意味である「同一次元の論理で完全なアンチテーゼは
成立し得ない!」が理解できれば、陰謀論の罠のリスクはリアルに理解できる
はずだ。

・・・Cf. 「秋元康氏=東京五輪・大会組織委員会理事」なので「安倍内閣=
ナチス・シンパ」の傍証“情報”が世界へ発信されたことになり、あるいはコ
レは<怪我の功名>鴨神社?w ⇒欅坂46、炎上!ナチス制服酷似のハロウィ
ン衣装―各国メディアも報道、ドイツでは処罰対象 20161031只のオッサンが
ツイート http://ur0.link/ztnZ


f:id:toxandoria:20161107051122p:image:w450:right●【『論壇時評/世襲化
と格差、社会ビジョンはあるのか? 歴史社会学者・小熊英二氏20161027朝
日』)は、自民党政治と国民意識の<野蛮(好戦、英霊愛国志向)化>を抉っ
ており、重要!!】 同感!⇒ >この自民党の変質が日本右傾化の一因 /
 ∵当選可能(日本のポピュリズム社会化を背景に)なのは地域の世襲議員2
・3世or芸能・スポ系立候補者ばかリ!故に、彼らの脳内にあるのは<日本会
議、安倍らと同じ古色蒼然たる追憶のカルト>か<喫緊の社会・経済ニーズ
(社会保障と税の一体改革)>と真逆の「対社会・家族重圧型」又は「ネオリ
ベ・リフレ型」の<タコ(脚)自食>政策ばかり!・・・只のオッサンRT 
@ま @MKT_ULTRA 敗戦から1954年までの首相は元外交官だ。占領軍と交渉する
のが首相の重要な仕事だったからだ。55年から80年代までの首相は元官僚か地
方のボスで、自民党の黄金時代を築いた。90年代以降の首相は多くが2世か3
世で、日本は長期低落している。(小熊英二氏) 
20161027 http://ur0.pw/zsD6


f:id:toxandoria:20161107051123p:image:w470:left【ISDS条項(投資家対国
家の紛争解決“特権裁判”:自民・公明・日本維新が20161104強行採決のTPP
付帯)のリスク(日本の医療等“皆保健制度”および福祉制度全般を根底から
破壊する恐れが遂に巨大化!)について/20161027衆院TPP特別委 笠井亮
議員の質問】


・・・このISDS(グローバル企業(株主)利益最優先)条項の問題については、
下記◆6(特に第2集)でも取り上げているが、日本国民の多くが未だに殆ど
理解していない(自分とは無関係だと思っている?)かに見えるのは何故か?
ソレ解散だ〜!何たらかんたらの政局報道で、一強・暴政化した安倍政権へ過
剰に気遣いするばかりでなく、もっと主要メディアは国民一般の現実と近未来
に対する警鐘・啓蒙に力を入れるべき。日本の医療等に関わる“皆保健制度”
と“福祉制度”全般が根底から破壊された(事実上の憲法破壊・国民主権破
壊!)後では幾らワーワー大騒ぎしても“後の祭り”だ!


◆6 NHKスペシャル/マネー・ワールド 資本主義の未来(第1〜3集)http://ur0.pw/zsDf


3−2 独裁・強権的な「右傾権力」化へと進みつつある世界での希望の光/
アンジェイ・ワイダ(ポーランド)の遺産


・・・第一次世界大戦で、いったん潰えた啓蒙主義は第二次世界大戦後に蘇生
したが、戦後70年超を経てその理想の生命は今や再び死に瀕しつつある。従っ
て、我々は今こそ<第二次世界大戦後に蘇生した啓蒙主義の象徴的存在である
A・ワイダ>の芸術作品(映画)の意義を想起すべきである・・・


●アンジェイ・ワイダが映像化した権力暴走への抵抗は本物の愛国心!「その
個性的な文化と政治的意味の多義性、および過酷さの縮図の如き悲惨な歴史経
験」からポーランドは欧州の心臓と呼ばれることもある。ワイダはそのような
祖国への深い愛と民主主義への期待を描いた!残念ながら今のポーランドは、
EUが抱える難民問題の極端なジレンマに襲われ極右化中?だが、やがてワイダ
の偉大な遺産が必ずや若者らを覚醒させるであろう!Cf.@只のオッサンRT to @sugiura taisuke ⇒ 日本文化とも関わり A・ワイダ監督死去20161012朝日
(ワイダの画像はポーランド広報文化センターよりhttp://instytut-polski.org/wajda/)http://ur0.work/zq0k


・・・イェジ・アンジェイェフスキが1948年に発表した小説の映画化、「灰と
ダイアモンド/1957」はワイダの代表作の一つ(http://urx.red/zn0O)で、
それは1945年当時の独裁化したポーランド労働者党(PPR)の病巣を描いた。


・・・この作品の含意は、「強大化した権力は自らに都合の良い見方(情報)
だけを偏愛しそれを他者へ強制するようになる。結果、権力側はリアリティー
を正しく解釈出来なくなり、重要な事実を示されても真実が一切見えなくなる。
右であれ左であれ、強大な力を誇った為政者がその座から滑り落ちる原因の多
くは客観的情報が入って来なかったか、それが入っても正しい解釈が全く出来
なかった」ことにあるという、時代を超えた普遍的な警鐘である。


・・・【作品の背景】ナチス・ドイツ軍の攻撃でワルシャワは徹底的に破壊さ
れ、レジスタンス参加者はテロリストと見なされ市民約22万人が戦死あるいは
処刑された。1945年1月に入り漸く進撃を再開したソ連軍は1月17日に廃墟と化
したワルシャワに入るが、レジスタンス幹部を逮捕したため自由主義の芽は完
全に摘み取られた。生き残った少数のレジスタンスは地下水道に逃げ込み、彼
らが進駐後のソ連を攻撃目標としたため共産主義(PPR)政府の樹立後も、要
人暗殺未遂などの混乱が続いた(http://urx.red/zn1H )。


3−3 「暴走資本主義の制御」と「節度ある自由主義」再生への希望/カギ
は「科学知と人文知の融合」(コンシリエンス)による啓蒙主義ルネサンス


(『日本会議なるボタンの掛け違い』と『AIドラえもん“なんでもポケット”
GDP600兆円の未来像』の不可解)


・・・「アベノミクス教(狂)」で益々混迷を深める一強「安倍複合カルト権
力」なる、底なしの怪奇アナクロニズム現象に包まれ、原発に続き<先端科学
技術AI>もカルトの小道具化の恐れ!?・・・


f:id:toxandoria:20161107051728j:image:w340《根本理念のボタン》の掛け違
い(アンチ啓蒙主義、反立憲民主主義、反知性主義)の奥底に潜む「“追憶の
カルト” 安倍政権の“日本会議”病」については、フェルナン・デュモン
「記憶の未来」(翻訳叛−白水社−/Fernand Dumon/1927−1997/カナダ・
ケベック州ラヴァル大学などで活躍した社会学者)の序文を書いたセルジュ・
カンタン(ケベック研究専門のケベック大学教授/政治哲学)が、“日本のナ
ショナル・アイデンティティー(記憶の未来なる希望のエトノスとしての国家
日本の未来像/toxandoria補足)をリアル政治の小道具だと軽視してはならな
い”と批判している。

だから、日本会議一色で超復古的な政治的価値観(明治の日の制定を求め国会
内で開かれた集会で自民議員ら出た発言=五箇条の御誓文こそ本来の憲法!
20161102朝日http://ur0.work/zqgP)が支配する「シンギュラリティ時代の新
しい日本」に備えて、<アベノミクスの目標GDP600兆円達成のため、愈々、AI
を『ドラえもん“なんでもポケット”』型プラットフォーム(新しい社会基盤)
としてフル活用するという、国家政策に関わる余りにも軽佻浮薄な発想!/
20161026日経ほかで発表の【政府広告】>は笑止千万であり、国民益を根こそ
ぎにする有害な倒錯以外の何物でもない!AIは、決して<打ち出の小槌(づち)
>ではない!(関連参照↓◆7)


◆7【永遠の結果先送り(or 永遠のゼロ?)、アベノミクスは「名ばかり科
学・客観主義」の典型!】安倍政権にバカの壁(#日本会議 の脳ミソ?w)があ
る!20161025日経の「政府批判」記事(大機小機)は正鵠!同掲「名目GDP
600兆円の未来像/AIがアベノミクス新・三本の矢?」(政府広告)はバカバ
カしい傑作か? w苦w http://ur0.pw/zsDZ


◆8 「朴支持5%↓!崔順実ゲート」の暗部で蠢く、日韓両政権に跨る「世
界平和統一家庭連合」(旧称・統一協会/日本でも安倍政権下で2015年8月に
改称)の影!両権力が共有する歴史(特に朴=岸(安倍)関係)と確執!
1104・TPP採決強行も強ち無関係ではない?深部で日本へ飛び火かも? 
2016116只のオッサン@hanachancauseRT@金子勝 

http://ur0.link/zt72【隣国の民主主義】隣国韓国には光化門広場に集まる
10万人もの人々がいる。その背景を知るために一読すべき、パククネ政権の
「崔順実(チェ・スンシル)ゲート」の詳しい経緯が書かれた記事です⇒http://ur0.link/zt7t 20161105@金子勝http://ur0.link/zt73

・・・Cf.1 朴槿恵大統領と統一教会 チェ・スンシルゲート事件
http://n-seikei.jp/2016/11/post-40524.html

・・・Cf.2 日・韓両「国家主義」政権が共有する(20世紀以降)歴史的 
“カルト超然権力の病巣”、それは恰もフィルム画像のネガ=ポジの如き同一
カルト遺伝子の共有関係!/戦中〜現代に渡り日韓両国家権力層が共有する関
東軍仕込の軍事国家主義史観(但し、その内実は既得権益死守の“いいとこ取
り”なる守銭奴式、超強欲の価値観で一致しているだけ!w)なる特異歴史観
念!当座、日韓両国の支配層(安倍・朴両政権)が米国傀儡として共有すべき
ことは《国民主権の制限、朴槿恵:朴正煕と安倍:岸の偶像化、両軍事愛国極
右政権の国内支持固め(韓=国定教科書、日=改憲強行、等)。http://ur0.link/zt74


・・・


そこでは、本格的な情報社会哲学の視点(1−1)、現代的な意味での実在論の
視点からのAIシンギュラリティ批判(1−2)、“AIと新自由主義”の癒着によ
る資本主義の新たな暴走への懸念(2−1)などの、日本国民の近未来のため有
意義な<新しい国家理念(日本の民主主義と資本主義の持続性を些かでも高め
る努力に取り組むという決意)と国民への思いやりの視点>が全く欠落してい
る。


しかも、いわば子供騙しの『ドラえもん“なんでもポケット”』型プラットフ
ォームとして、近未来の万能神器と見立てたAI&IOTを一般国民に対する更な
る気合入れの小道具として全く野放図にフル活用するという無責任さとノー天
気ぶりからは、安倍内閣に深く憑りつくアナクロ二ズム教の不気味さが滲み出
ている。特に、ヒューバート・ドレイファスとチャールズテイラーが抉った
「17世紀デカルト二元論の描像/AIに潜む媒介説のリスク(病理)」(1−2)
なる呪縛について、愈々、AI&IOTをフル活用しようとする、安倍政権を取り
巻く御用専門家・御用経済学者らが全く無知である(あるいは、御身大事でそ
の場限りのヒラメ(平伏)主義を通している?)かに見えるのは心もとない限
りだ(関連参照↓◆9)。


◆9 アベが私物化する原子力寄生委員会や何ちゃって政策委員会に、まとも
な批判すらできない主流派経済学者や原子力ムラの専門家。今や、圧力に屈す
るマスコミが右往左往する内に市民や市場がノーを散発的に発している構図。
まともな制度運営(のための国家ヴィジョン)を取り戻さぬとバブル崩壊と過
酷事故が待つ日本の自爆です。20161026日@金子勝 http://ur0.work/zql0

・・・Cf. 今や、<主流派経済学(M.フリードマンら)が前提としてきた合
理的経済主体(ホモエコノミカス)仮説>が強欲(不合理)という人間の正体
に振り回されている。従って、それと真逆へ発想を変え、<不合理(強欲)を
前提としつつ、その強欲の制御が可能な「啓蒙主義の再生(ルネサンス)」を
図り、新たな知見である進化心理学等の活用が可能な方向へ我々自身の「価値
観」を転換すること>が必須である!】「契約理論を企業統治などに応用、貢
献」は良いが、新自由主義者サッチャーの「社会は存在しない」が象徴する如
く、「法」の「一部である契約」を拡大(その情念的な固着設計主義で)させ
「法全体の役割」を後退させたため国民主権の砦である「法」自体から、ゲー
ム化した資本主義が逃げ始めたという恐るべき現実も直視すべき!20161019只
のオッサンRT to もったく@mottakuro ノーベル経済学賞のハート氏ら 契
約理論、経済分析に新視点:日経http://ur0.work/zqly


(抑制的なAI活用を視野に文化進化論・進化経済学らによる新しい知の総合、
コンシリエンスの視点で21世紀の多元的『啓蒙主義ルネサンス』を目指すべ
き)


・・・【日本の対教育支出の実態から今の日本が『日常礼賛』から程遠い名ば
かり先進国であることが分かる!】何よりも絶対に最優先すべきは“教育への
十分な先行投資”!・・・Cf.『日本はGDP対比で見た公的支出の割合が、比較
31カ国中で最下位。また、日本の対教育支出で家計負担が占める割合33.6%は
OECD平均16.5%の約2倍!その割合が加盟国中ではチリ、韓国に次ぐ3番目の
大きさであることを恥じるべき!』情報源:http://urx.mobi/ztUJ・・・


E.O.ウイルソンは著書『ヒトはどこまで進化するのか』の中で、「科学知の限
界」を「人文科学知が切り拓く」というエトノス的発想(または、エトノス環
境を重視する進化心理学の視点とも言える)でコンシリエンス(知の総合/こ
れはウィリアム・ヒューウェルの造語)の重要性を再発見している。つまり、
ウイルソンは「コンシリエンス(consilience)による啓蒙主義の再定義が可
能であり、人類はそれを目指すべきだ」と考えている。しかも、同じことはウ
イルソンに限らず、後述する「文化進化論」のアレックス・メス−ディも主張
する。


また、ツヴェタン・トドロフ、ヒューバート・ドレイファス、チャールズテイ
ラー、E.O.ウイルソンらは、「民主主義と資本主義が持続する未来」を保証す
るのは「地球環境エトノスに基づく多元主義」だという考え方を共有してい
る。尤も、これらの人々は「地球環境エトノス」(身体内外の自然・文化に関
わる全環境の自覚)という言葉は使っていないが、彼らの主張は正にこのこと
を意味していると考えられる。


それは、「今はそれができない人々や、今は使い道が全く分からないモノやコ
ト、あるいは無用に見える資源や異文化等でも何時かは、自分も含めたより多
くの世界中の人々や地球そのもののため役立つと考えるべきだ!」という身体
内外の全環境を視野に入れた「多元主義」が彼らの共有思想であるからだ。


つまり、今や量子物理学の知見を得た時代であるからこそ<エトノス生命体で
ある“人間の中庸で適度な自由意思を尊重する意識(2−1/ヨハネス・ドウ
ンス・スコトウス)”>が、これからも人間社会を持続させるためのプラット
フォームであり、AIロボットやITネットワークらがそれに取って代わることは
不可能だ(無論、合理主義を騙りムリヤリAIに取って代わらせるべきではな
い)という共通認識である。


言い換えれば、「民主主義と資本主義がこれからも持続する未来を“保障”す
るのは、「内外エトノス観に基づく多元主義」であり、その社会的作用の品質
を“保証”するプラットフォームは決してAIやITネットワークではなくリアル
を『日常礼賛』しつつ生きる人間、およびその人間どおしの相互扶助と信頼関
係」だという、人間の尊厳性を前提とする自律意識の構築(歴史・哲学・数学
・生命科学など普遍知の教育とAI・IOT等リテラシーのバランス維持)こそが、
21世紀における「啓蒙主義ルネサンス」の可能性を拓くということである。


そして、この可能性について脚光を浴びつつあるのがAIやITネットワークの利
点を“積極的に、かつ同時に抑制的”に活用しようとする進化心理学・社会心
理学・進化経済学・文化進化論らの新しい発想と視点である。例えば、“文化
は生物進化の延長“と考える立場から、より高次なレベルで文化を研究しよう
とする「文化進化論」が世界的に注目を集めている。


また、進化心理学の培養土から誕生した「文化進化論」には、「(1)ソリッ
ドな数理的基礎が存在すること、(2)生物学・人類学規模の長大な時間軸を
視野に入れるという意味で決定的に動学的であること」という二つの特徴があ
り、その点で旧来の社会進化論(ヘーゲル、コントらの社会の進歩に関わる議
論をベースに、主にダーウィン進化論を取り込みつつ作られた、やや静学に傾
斜する社会理論)とは異なることになる。


その最先端を担う研究者アレックス・メス―ディ(Alex Mesoudi/英エクセタ
ー大学准教授https://goo.gl/PjE2LH)の著書「文化進化論/ダ―ウイン進化
論は文化を説明できるか」が、漸く日本でも2016年2月に出版(NTT出版)され
た。なお、(1−1)で触れたE.O.ウイルソンと同じく、メス−ディも究極的に
は科学知と人文知の融合(コンシリエンス)が望ましいと主張している。


メス−ディによると、現実世界で起きる文化進化は「ラマルクの遺伝的適応」
(後天的な獲得形質の遺伝)や数理モデルが仮定するより以上に強く作用して
おり、同じく予想以上の短い時間にその文化進化上の変化が起こることが分か
ってきた。なお、「ラマルクの遺伝的適応」は、事実上、ダーウイニズム(突
然変異説)が否定したラマルキズム(ラマルク論)復活の意味なので、厳密に
言えば、それは「ネオラマルキズムの遺伝的適応」と呼ぶべきであろう。


21世紀に入りAI研究の進化等と共鳴しつつ急速に研究が進んできた「文化進化
論」のルーツである「進化心理学」(身体の自然環境への適応と同様に、また
人間の心も生物学的な進化の産物と理解する心理学、http://ur0.work/zqmQ)
は、文化進化論と共有する二つの方向性、「(1)伝達される文化」と
「(2)誘発される文化」を見据えている。


考えてみれば、(1)は盛期イタリア・ルネサンスの画家アンドレア・デル・
サルトの「ミメーシス」に、(2)はAI研究におけるニューラル・ネットワー
ク技術に、それぞれ通じるものがある(関連参照⇒2016-08-22toxandoriaの日
記http://ur0.link/zt5o)。なお、古代ギリシアで「模倣」を意味したミメー
シス(mimesis)の現代の定義は、<内外自然環境であるエトノスとの交流・交
歓のプロセスで自然に内在する本質部分を視覚的・感覚的に強化しつつ抽出・
再現し、それを造形的に再提示する芸術上の模倣技術>ということになる。


また、(1)は旧来の伝統文化にほぼ重なることが理解できるが、これから
は(2)が<教育の意義の再発見>が必須となる教育現場で特に重要視され
るだろう。なぜなら、「人の心、つまり意識の培養地である脳


この観点は「2016-08-22toxandoriaの日記(第3章)http://ur0.pw/zsJH」で
触れた井手英策氏(財政学、慶応大教授)が財政・経済学上の観点から<義務
教育〜大学教育までの完全無償化>の実現を非常に重視していること、および
(1−2−d、で触れた“節度ある自由意思と政治倫理”の問題にも重なると思
われる。しかし、今の日本の安倍内閣が取り組む教育政策は、非常に残念なが
ら、これと全くアベコベである(参照、添付画像)。(完)

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