メルマガ:toxandoriaの日記
タイトル:直近記事の一部に若干の書き直しがあります  2008/01/29


●直近記事の一部に若干の書き直しがあります。

●[タレント型大阪知事選に潜む二つの疑問/無限責任原則の放置と主権者意識の崩壊]の下記の一部を書き直しました。

●論旨に変更はありませんが、「ヒトラー流・弱者の糾合」→「ヒトラー流・政治の美学化戦略」へ言い換えたため、関連する部分を訂正しました。

お騒がせして申し訳ございません。

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[大阪府民の“主権者意識の崩壊”を見過ごすマスメディアの無責任への疑問]


産経新聞・朝日新聞等の報ずるところによると、今回の大阪知事選での投票関連のデータ(概数)は下記のとおりです。この数字を見て、なんら“大阪府の民主主義の異常性”を感じ取ることができないのは、そのこと自体がとても異常なことです。


(当)橋下 徹(1,832,759)熊谷 貞俊(999,054)梅田 章ニ(518,400)高橋 正明(21,955)杉浦 清一(20,030)合計(3,392,198)
投票率=48.95.%% 棄権率=51.0% 有権者数=6,929,924 棄権者数=3,537,726 当選者得票率=54.0% 


メディア一般の論調では、今回の大阪知事選は、過去の実績データと比べると、過去最低だった前回(2004年)の40.49%から8.46ポイントも投票率が上昇したとして大いに評価する分析が多いようであり、しかも、その原因が候補者のタレント性にあると見做しています。これは、驚くべきほどノーテンキで無責任なジャーナリズム感覚です。


一般に投票率60%未満の選挙が、その正当性を疑われるというのは統計学上の常識であり、本来であれば再投票の対象となるべき結果です。例えば今回の場合も、仮に棄権者総数の約1/3が熊谷 貞俊氏へ投票したとすれば当落は逆転してしまいます。


ついでながら、今回のようなタレント候補をめぐる異様な熱狂で無党派層の多くの有権者が、そのタレント候補へ一気に雪崩れ込むという現象は明らかに、あの「小泉劇場」の再現です。そして、「小泉劇場」が使った手法こそがヒトラー流の『政治の美学化戦略』(=弱者のルサンチマンを集団恍惚催眠(集団オルガスムス/Kollektiv-orgasmus)的に利用する戦略)です。


それは、意図的に「改革派」と「抵抗勢力」の対立構図を創出し、タレント性のある候補者へ弱者層のルサンチマン(怨念の情)を糾合して(自らの方へ引き寄せて)異常なまでの高い支持を集めるという、あの手法です。しかも、そこで留意すべきは、この弱者層のルサンチマン意識が、実は、「親方日の丸意識」(利権構造の主である権力者側への隷属願望意識=常に“強く太いもの”に巻かれていたいと願う他律的な意志)と親和力が大きいという現実があることです。別に言うならば、それは、おおむね過半の庶民層は他力本願的で意志薄弱なものだということです。


従って、それは決して大阪府だけに限ったことではありませんが、「残酷なほどの劣化」を日本社会へもたらした根本は「IT革命による凡ゆる業務の平準化、グローバル市場経済化(=経済のマネーゲーム化)、誤った自己責任論(公正・公共意識の放棄=異常分配システムの放任)」であることは明らかです。そして、そこでは獰猛な<格差拡大の牙>が弱者層、若年層、そして高齢者層を狙い撃ちしています。しかも、問題はそれに留まらず民主主義の基盤たる中間層の破壊も着実に進んでいます(無貯蓄世帯の割合が1/4→1/3へ接近中)。


●日本の総雇用者数6,400万人の約34%(2,200万人)が年収200万円以下へ転落
・・・実に日本の総勤労者数の1/3強が「年収200万円以下」となっており、その殆どは20〜40代の非正規雇用者(パート、アルバイト、派遣社員など)と重なる。


●日本全体の107万に及ぶ生活保護世帯数で高齢者世帯が占める割合は約44%(しかも、これは拡大傾向!)


言うまでもなく、このような「日本の悲劇」の始まりは「小泉劇場」(“竹中チーム”に導かれた!/参照、http://pokoapokotom.blog79.fc2.com/blog-entry-557.html)であり、その流れが「小泉→安部→福田」と殆ど無反省に受け継がれてきたことは周知のとおりです。


このような観点からすれば、今回の大阪知事選の結果(事実上の“民度の劣化促進”→“弱者の糾合へ誘導”の大成功!!)は、再び日本の国政における「小泉劇場の再現」の可能性を予感させて不気味です。


例えば、目下、議論されつつある『ガソリン税(道路特定財源)の矛盾の追求』(欧米諸国の自動車道路整備関連予算が日本の数分の1以下の規模であるという根拠などリアルな海外事情との比較データ等が明らかにされつつある → 参照、http://luxemburg.blog112.fc2.com/blog-entry-49.html)、『防衛疑獄政界ルートの追及』、あるいは『特別会計の闇の追求』などが本格化し、いよいよ数十兆円規模の国家的浪費(無駄遣い)に群がる政・官・財等の悪徳な腐敗利権構造(埋蔵金埋立・秘匿構造)が攻め立てられたとき、姑息な<国民一般への恫喝とヒトラー流・政治の美学化戦略>が再演される恐れがあります。

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