2012年12月7日 第47号(通巻第341号)

エヴァが羽田空港に降りてくる

日本のアニメ史上に新しい時代を開いた画期的な作品と言えば、その中に「新世紀エヴァンゲリオン」(通称エヴァ)を含むことに誰も異存はないだろう。華麗な戦闘場面の下に展開する圧倒的な情報量を含む物語、延々と続く記号化された精神分析、意識の流れによるモンタージュの編集法、そして大量の哲学的イメージの描写が、このアニメをポストモダンのスタイルを切り開く代表作にし、さらには21世紀のハリウッド映画の物語スタイルにも影響を与えているのだ。日本の80年代の普遍的意識構造を代表する碇シンジ、無口で無感情で無表情な少女綾波レイ、強がってはいるが心は弱いアスカなども、誰もが知っている典型的なイメージとなっている。

だが「新世紀エヴァンゲリオン」は、一つの作品として文化史に加えられるだけではない。日本の基幹産業であるマンガ・アニメのフラッグシップとして、日本のアニメ史上最も多くの収益を上げた作品という、もう一つの画期的な記録を打ち立てているのだ。1995年の最初の放映から現在までに、「新世紀エヴァンゲリオン」が送り出した製品の豊富さと価格の高さは、想像を絶するほどである。2007年に、映画製作を行ったGAINAXが、その製品の売り上げ総額が1500億円を超えたと発表したが、それからさらに5年が過ぎ、新しい映画版も「序」「破」「Q」が次々に上映され、マンガ版が最終的に完結した今、この数字はどのぐらいに膨れ上がったことだろうか?

「新世紀エヴァンゲリオンQ」が上映された今年、GAINAXのプロモーション活動は最高潮に達した。秋葉原のクレーンゲーム機の中や、渋谷109のジーンズ、ハローキティのバッグ、あるいはアートデザイン展など、エヴァの要素はあらゆるところで見ることができた。中でも最も面白かったのは、GAINAXと全日空(ANA)がコラボして、羽田国際空港で行ったハイテク体験イベントである。今年の6月、Androidのスマートフォンでアプリケーションをダウンロードして、カメラを空港の滑走路に向けると、何もなかったはずの滑走路の上にエヴァ初号機の堂々としたロボットが現れたのだ。このイベントは大きな反響があったので、10月末から来年の1月14日まで、羽田空港にはエヴァのロボットが再び登場することになった。今回は初号機だけでなく、真っ赤な二号機も登場し、飛行機と共にロボットが降りてくる画像も加わった。羽田空港を利用する時は、スマートフォンを取り出して体験するのをお忘れなく。(松鼠執筆)

(C)カラー

ANA×EVANGELION公式サイト http://ana-evangelion-2.com/

便利な小型電気自動車

「科学は人間本位」のものではあるが、美しい地球の住人として、我々は自分たちの生活をますます充実した便利なものにすると同時に、科学技術を用いて、地球や、我々と共に地球に住む生きものたちを保護するための努力をしている。自家用車の普及に伴って、地球の資源の問題、温室ガス排出の問題、交通渋滞の問題など、自動車に関わる環境保護の問題が、メーカーや研究者や消費者の注目を集めるようになってきている。世界十大自動車メーカーの一員であるHondaも、自動車の環境問題に常に注意を払い、科学技術によって、より環境に優しい走行を実現することを目指している。

国土交通省が提起し、Hondaが開発した近距離移動用の超小型電気自動車「マイクロコミュータープロトタイプ」が先ごろメディアに公開され、2013年から実証実験が始まる。現在のところ、この超小型電気自動車の設計では、大人1名と子ども2名が乗車でき、子どもの通学の短距離送迎などに使用可能である。これによって普通の自動車を購入したり維持したりするための膨大な費用は不要になり、日々値上がりするガソリン代も節約できる。しかも完全に電力によって動くので、環境保護と省エネも実現している。

現在の研究においては、太陽エネルギーによる充電の可能性も検討されている。そうなれば、100%の環境保護車両になるわけだ。現在開発中のこの電気自動車では、バッテリーやモーターなどの設備はすべて床下とリアスペースに配置されているため、ユーザーの必要に応じて、高齢者の使用に適した車両にするなど、自動車の内装を変更することも可能である。またこの自動車は、ユーザーのタブレット端末を使用して走行距離などのデータを表示したり、ナビゲーションやバックモニターを行ったりすることもでき、真の意味での自家用車のインテリジェント化を実現しているのだ。

現在の研究では、Hondaの研究チームは、自動車用バッテリーを家庭用蓄電池としても使えるものにしようとしている。周知の通り、世界の中でも地震の多い国である日本では、災害後の電力供給が、多くの科学者が解決方法を模索している重要な研究課題である。この電気自動車があれば、深刻な災害が起こって電力がすぐに供給できない場合も、家庭に電力を送ることができるのである。

この小型電動自動車はまだ研究の段階だが、各大手メディアを含む広い範囲からの注目を集めている。そう遠くない未来に、Hondaの研究チームが、環境に優しい走行という我々の理想のために、すばらしい解答を与えてくれることだろう。(小雅執筆)

(C)2012 Honda Motor Co., Ltd.

Hondaニュースリリース http://www.honda.co.jp/news/2012/4121113.html

人と対話するロボット

アニメ映画などで見慣れてしまったせいか、人間と対話するロボットと聞いても、多くの人はあまり驚かないかもしれない。だがコミュニケーション能力を持ったロボットと一緒に生活することは、我々の現実の生活とはまだかなりかけ離れたことなのである。電通、東京大学先端科学技術研究センター、ロボ・ガレージは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の協力の下で、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」内で宇宙飛行士、若田光一さんと過ごすヒト型コミュニケーションロボットを共同開発している。

この計画は「KIBO ROBOT PROJECT」と呼ばれ、JAXAが公募した「『きぼう』を利用した社会課題解決テーマのフィージビリティスタディ提案」に採択されたものであり、2011年から1年にわたって検討が重ねられた。具体的には、「きぼう」の中で、宇宙飛行士と自律動作および遠隔操作によるコミュニケーションを行ったり、地上に向けて情報を発信したりするのに必要な2体のロボットを開発中で、そのうちの1体は予備ロボットで、地上で本プロジェクトの活動紹介を行う予定だ。

ロボットの身長は34cmで、想像したものよりはるかに小さい。全幅は18cm、奥行きは15cmで、重さはわずか1kgである。日本語を話し、音声認識、自然言語処理、音声(発話)合成、情報通信機能、コミュニケーション動作、顔認識カメラ、記録用カメラを備えている。宇宙用のロボットと地上用のロボットは、一部の色が異なり、発話内容と音声も多少違っている。

ロボットの本体は東京大学とロボ・ガレージが、会話コンテンツは電通が開発中である。このプロジェクトは多くの企業の協力を得ており、トヨタ自動車も参加している。トヨタは、音声認識技術と自然言語処理の開発を担当し、ロボットの知能化を行う。完成予定は2013年2月で、同年夏には宇宙に旅立つ。「KIBO ROBOT PROJECT」はもともと社会課題解決のためのものであるから、その任務はもちろんただの宇宙飛行だけではない。その本来の重要な目的は、「単身化社会」から生まれるコミュニケーションレスの問題の緩和である。人類の高齢化とライフスタイルの多様化により、単身人口はますます増加しており、ロボットとのコミュニケーションによる問題の解決が、一つの方法になるかもしれないのだ。2体のロボットはまだ名前を持っていない。公式サイトでは、彼らの名前を募集中である。(緋梨執筆)

(C)2012 KIBO-ROBOT

KIBO ROBOT PROJECT http://kibo-robo.jp/ (日、英)

キデイランドの年末商戦

毎年クリスマスから年末年始にかけて、日本のデパートやショップでは全力を挙げて宣伝を行い、販促を展開する。まだ12月初めだが、日本のあちこちの大小の店舗では華やかな飾りつけをして、すでにクリスマスの気分が濃厚に漂っている。さて、トレンドの発信地、原宿にある、キャラクターや玩具の専門店キデイランド原宿店は、一年で最もにぎやかな季節に、我々のためにどんなサプライズを用意してくれているのだろうか?

7月にグランドオープンしたキデイランド原宿店は、年末のテーマを「ワクワク ドキドキ クリスマス」とした。これは、夢を形にし、一人一人のお客様に楽しく夢のある世界観や感動を与え、遊び心を満たしてくれる買い物の場所を提供するという意味である。原宿店は地下一階から地上四階まである。地下一階は"PEANUTS(ピーナッツ)"グッズの専門店で、「Happiness is…a warm puppy(幸せは…あたたかい子犬)」をテーマに、スヌーピーと仲間たちの様々な可愛らしいグッズが集められている。ひざ掛け、クリスマスグッズ、フィギュアなどもあるし、年末年始には干支タオルやオリジナル年賀商品などもそろえられ、お正月を楽しく彩ってくれる。

一階はファッション&バラエティで、生活雑貨、ステーショナリー、スマートフォン、ミュージックプレイヤーなどの電子製品やアクセサリがいっぱいである。この階のクリスマスのテーマは、「クリスマスの朝〜ポップでキュートなクリスマス〜」である。クリスマスの朝に目覚めると、クリスマスツリーの下にはプレゼントがいっぱい置いてある。一年の願いがこの瞬間にかなうのである!年末年始には、「New Year! New KIDDY LAND!」にテーマが変わり、干支や和風のグッズ、ニューキャラクター、貯金箱などの商品が、新しい年をもっとわくわくするものにしてくれる。

二階はディズニーコーナーだ。ここでは古き良きアメリカの雰囲気を再現しており、生き生きしたキャラクターたちをここですべて見つけることができる。ディズニーランドに行く時間のない人は、是非ここに来て楽しんでほしい。三階は各種おもちゃやぬいぐるみなどがそろっている。子どものためのおもちゃだけでなく、大人も楽しめるさまざまな珍しいおもちゃがある。人気キャラクターの玩具、ラジコン、ボードゲームなど、クリスマスから年末年始にかけて大いに期待できそうだ。

そして四階は、日本生まれの人気キャラクター、リラックマとハローキティの世界である。「Happy life with Rilakkuma(幸せな生活はリラックマと共に)」をコンセプトとしたリラックマストアでは、のんびりした可愛いリラックマの姿があちこちに見られる。ここにいると時間が止まったように感じられ、リラックスした時間を楽しめる。もう一方には、みんなに愛されるハローキティ、マイメロディ、リトルツインスターズなどの選び抜かれたキャラクターと実用的なグッズがそろい、新年のために準備された限定商品もあって、女性たちはここに来たらきっと夢中になるに違いない。(Michelle執筆)

写真提供:キデイランド広報部

キデイランド公式サイト http://www.kiddyland.co.jp/ (日、英)

神秘的な道後温泉

宮崎駿のアニメ「千と千尋の神隠し」をご覧になった方は、アニメの中の主要な場面である温泉旅館の印象が強かったのではありませんか?現実の生活で実際に行ってみたいならば、それは夢ではありませんよ。というのは、四国の松山市にある道後温泉本館は、まさにこのアニメの舞台を出現させているからです。

道後という地名は、「日本書紀」や「源氏物語」などの古典にすでに登場しており、兵庫県神戸市の有馬温泉、和歌山県の白浜温泉と共に日本三古湯と呼ばれている、日本国内最古の温泉です。伝説によれば、足に怪我をした白鷺が岩の間から噴き出す温泉を発見し、毎日飛んできて怪我をした足をその中に浸していたそうです。やがて白鷺の怪我が治って元気に飛んでいくようすを近所の住民が目撃して、不思議に思って同じように入浴してみたところ、この温泉には疲労回復や心身をゆったりさせる効果があることがわかりました。それが口から口へと伝わって、この温泉は広く利用されるようになり、道後温泉の名は遠方にまで広まったのでした。

道後温泉の本館は、1984年に建てられた3階建ての建築で、保存状態が良好なので、1994年に国の重要文化財に指定されました。入口は改札口のような形になっており、ここで温泉の入浴券を買って入ります。館内の浴場は二種類の形があり、男湯が3つ、女湯が2つの計5つの浴室があります。1階の大浴場は神の湯、2階の小浴場は霊(たま)の湯と呼ばれ、浴槽はすべて花崗岩で作られています。浴場の壁に描かれた伝説と神話の色彩に溢れた壁画や、湯釜など、たいへん特色があります。ここへ来ると、温泉に入る前に館内のあちこちを歩き回って見学する観光客が多いに違いありません。この木造の温泉旅館は実に特別だからです。2階には明治32年に作られた皇室専用の湯殿があり、昭和天皇は昭和25年にここを訪れています。桃山時代の風情がある優雅な建築で、「又新殿」と呼ばれています。宝物がたくさん収められている展示室もあります。3階にある、明治28年に英語教師の夏目漱石が泊まった「坊ちゃんの間」も必見です。館内は撮影禁止なので、この国宝級の歴史的建造物を自分の目でしっかり鑑賞しなければなりません。

本館の前には、道後温泉駅に通じる、にぎやかな商店街があります。時間に余裕があれば、駅前の商店街入口にある坊ちゃん時計や、伊佐爾波神社、松山生まれの俳人、正岡子規の記念博物館などの人気観光スポットも訪ねてみてはいかがでしょうか?私が10月に道後温泉に着いた時はもう夜で、アニメを見ていたせいかもしれませんが、空の高いところにかかった名月の下にそびえ立つ道後温泉本館は、霊気と存在感に溢れていました。本当に神隠しに遭うことはあり得ませんが、ここに来ると世俗のわずらわしさを離れた静かで穏やかな気持ちがわいてくるようで、その感覚はなかなかすばらしいものでした。(哈日杏子執筆、撮影)

道後温泉物語 http://www.dogo.or.jp/  哈日杏子のブログ http://harikyoko.wordpress.com/ (中、日)

第47回 東京国際フォーラム

【東京国際フォーラムの概要】有楽町駅そばの公共総合文化施設であり、国際会議場の一つでもある。ここは旧都庁舎の跡地で、都庁が新宿副都心に移った後に建設された。アメリカの建築家、ラファエル・ヴィニオリの作品である。中には7つのホールと展示ホール、33の会議室、ショップ、レストラン、相田みつを美術館などがある。

【前衛的なガラス棟】「ガラス棟」は船をテーマとし、地上11階、地下3階で、二本の巨大な柱に支えられ、帆船の骨格のような構造体が宙に浮かんでいる。大胆に組み合わせたガラスと鉄筋が、狭い空間に見えない張力を作り出し、回廊で連結された無数の小さな会議室が、迷宮のように両側に分散している。構想が非常に前衛的なので、関西国際空港と共に「日本の現代の建築構造の両雄」と言われている。

【多彩なイベント】毎年ゴールデンウィークには、「熱狂の日」と呼ばれる200以上のクラシックコンサートが行われる。毎年夏の「丸の内キッズフェスタ」は、子どもたちに無限の楽しみを与えている。年末のカウントダウンを行う「ハルモニアTIF光と音のハーモニー」では、ミレニアムなどのたくさんの楽しく幸せな時が過ぎて行った。国際的な大都市東京で、人の世の喜びと悲しみを見てきた「証人」と言えるだろう。(姚遠撮影、執筆)

タイトル:「出航」
場所:東京国際フォーラム東、交差点
撮影のポイント:場所の制約があるので、建築のすぐ前で「船首」を撮影することはできない。通りの反対側に下がって、遠くからローアングルで撮影した。テーマに影響を与える不要なものを除去して、画面をすっきりとさせた。
使用フィルタ:Lo-fi+彩度(空に広がる黒雲とガラス上の反射を強調した。フレームの装飾効果。)
タイトル:「まばゆい光」
場所:東京国際フォーラム、「ガラス棟」
撮影のポイント:立体的な建築をわざと平面的に撮影した。建築が画面の半分を占め、残りの半分は空と大樹である。画面の中心にある太陽が四方に光芒を放ち、画面がエネルギーに満ちて、生気に溢れている。
使用フィルタ:Kelvin+彩度−フレーム(虹のような夢幻的な効果を作り出している。フレームを除去して情報量を増加する。)

タイトル:「船底」
場所:「ガラス棟」の内天井
撮影のポイント:エレベータで最上階まで上り、建築物全体で最も重要な骨組に最も近づいたところでしゃがんで撮影した。完全に対称な構図で、画面の底部から中央に向けて放射状の弧線が線の美しさとカラーブロックの美しさを表現している。
使用フィルタ:Lo-fi+彩度(建築の骨格の線の美を強調する。フレームの装飾効果。)
タイトル:「俯瞰」
場所:東京国際フォーラムホールD
撮影のポイント:沸き立つ喧騒が聞こえてきそうだが、画面はむしろ荘厳で厳粛である。販促活動をしている人々の群が、画面の下三分の一に圧縮され、巨大な支柱と天井が張力を発揮している。
使用フィルタ:Lofi+彩度(各種建材の質感を誇張する。フレームの装飾効果。)

東京国際フォーラム http://www.t-i-forum.co.jp/ (日、英)   ネオ屋台村 http://www.w-tokyodo.com/neostall/

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