2012年11月30日 第46号(通巻第340号)

カネボウが贈る美の冊子

美を愛する心は誰もが持っており、女性は特にその気持ちが強い。現代の世界は、ファッション、メイク、ヘアスタイル、エステなどのビジネスが発達しており、女性の美に対する果てしない追求を直接的に反映している。時代や場所が異なれば、美意識にも違いがある。ミス・ワールドを見ていると、肌の色や人種の異なる各国の美女たちの美しさはそれぞれ違っているのだが、一つだけ共通点がある。それは、健康的ではつらつとした生命力である。

カネボウは国際的に有名な化粧品ブランドとして、女性のいきいきとした美しさの重要性に注目し、「Generative Beauty Patterns」という冊子を作成した。これは「いきいきと美しく生きる」ことをテーマとし、シンプルかつ細やかな筆致で、女性たちの美に対する疑問と解決方法を記録したものである。これによってカネボウは、女性たちが輝きを放つ美を実現するのをサポートしようとしているのだ。この冊子が美容や化粧技術を教えるものであったら、他のブランドが配布しているものと大同小異になってしまうだろうが、カネボウは心の中の充実した活力から生まれる美に注目しており、まさに「美は生命力から生まれる」という理念を貫いているのである。

冊子は三つの大きなカテゴリーに分かれ、それぞれのカテゴリーにはさらに三つのグループが含まれている。「花、竹、土」グループは、女性の美しさを育むための心得を語っており、華麗な花、強靭な竹、そしてすべてを育む基礎となる土を表している。「虹、水、海」グループは、いきいきとした気持ちやパワーを生み出す方法であり、天を彩る虹、軽やかな水、尽きないパワーを持つ海を表している。「星、月、陽」グループは、さらに深く心の中に分け入って、豊かで深い生き方を分かち合おうとするものであり、輝く未来の星、神秘的な魅力を持つ月、優しく暖かい太陽を表している。これら九つのグループには48個の具体的な問題と自己啓発の人生哲学が含まれており、活力に溢れる美しい人生を作り出すための48個の方法と要点が記述されている。

カネボウがこの冊子を作った理由は、これらの内容を伝えて普及させるということだけではなく、女性たち自身が人生で得たことや実感したことを他の人々と分かち合い、「Generative Beauty Patterns」が「いきいきと美しく生きる」というテーマをめぐる女性たちのサロンになることを目指している。楽しさは他人と共有すると二倍の楽しさになると言われる。ならば、美しさを他人と共有すれば、二倍の美しさになるに違いない。

カネボウのこの計画の成果は、まずアメリカで発表され、国際的な注目を集めている。日本では、11月22日と23日の両日、六本木で慶應大学によるリサーチ・フォーラムが行われた。会場ではこの冊子が配られ、たくさんの美を愛する女性たちが参加した。(李薊執筆)

  (C)Keio Research Institute at SFC.

Generative Beauty Patterns  http://www.generativebeauty.jp/   知のbazaar http://orf.sfc.keio.ac.jp/

星の王子さまとススキの原

箱根の11月と言えば、みなさんの脳裏に浮かぶのは熱い温泉と山いっぱいの紅葉だろう。確かに、紅葉に囲まれて曲がりくねった箱根の山道を歩いていくと、渓谷を流れる水の音が聞こえてきて、秋の日を過ごすには理想的な場所である。だが、箱根の魅力は実はこれだけではないのだ。

新宿駅から小田急線のロマンスカーに乗って、約1時間で箱根湯本駅に到着する。紅葉を見たければ、箱根登山鉄道に乗らなければならない。真っ赤な電車が地勢の険しい山林の間を通り抜け、山の紅葉と緑の樹木のコントラストが絵のように美しい。強羅駅で下車して箱根登山バスに乗り換え、さらに山林の奥深くへと向かう。曲がりくねった山道を長年にわたって運転してきた運転手の技術はたいへん優れており、木々の間を通り抜けるバスはまるで翼をつけた鳥のように自由自在である。座席に坐って秋の涼風に吹かれていると、空気が爽やかで気持ちよく、都市の生活の疲れが風と共に飛び去って行くようである。

約20分ほどで、バスはフランス風の別荘のような庭園の前に停まる。ここは箱根町仙石原の「星の王子さまミュージアム」である。1999年に建てられたこのミュージアムは、「星の王子さま」とその作者、アントワーヌ・ド・サンテグジュペリをテーマとし、作者の数奇な生涯と「星の王子さま」の創作過程を展示している。ミュージアム自体がヨーロッパ式庭園になっており、庭園内にはバラを初めとする様々な花が植えられている。園内を歩くと、日本を離れてヨーロッパに来たような気分になる。展示ホールでは、作者の手書き原稿や挿絵、作者の生活を記録した写真などを見ることができる。また、映像シアターでは、作者と小説に関するドキュメンタリーも見ることができる。この物語が好きな人にとって、ここは絶対行くべき場所と言えるだろう。

ミュージアムを出て10分ほどすると、自然遺産の仙石高原に到着する。11月の仙石高原は一面に果てしなく金色のススキが広がっており、それが遠くの山々まで延々と続いている。まばらな鳥のさえずりが風の音と共に耳に残り、周囲のススキも風に揺れている。夕陽が西に沈むころになると、さらに美しい。ススキの中に一人立つと、温かい黄金色の夕陽の光がススキを通り抜けて身体に降り注ぐ。高くそびえる山とはまた違った、広大な海を前にしたような壮観で心揺さぶられる風景である。青空の下のススキ、暖かく降り注ぐ夕陽の光、そして吹き過ぎる秋風が、深秋の美しさに静かにしみこんでいく。何と穏やかで、何と荒涼とした美しさだろうか。

華麗な言葉を使い尽くしても、深秋の箱根のすばらしい景色を描写することは難しい。山中の紅葉に包まれたフランス式庭園も、晴れた日の夕陽に照らされたススキの原も、深まる秋に見逃すことのできない美しい景色である。(小雅執筆、撮影)

TBS星の王子さまミュージアム http://www.tbs.co.jp/l-prince/index-j.html

花嫁のメイクアップアーティスト

結婚式の日の女性は人生で最も美しいと言われる。厳かな式場で、親戚や友人の祝福の声の中、純白のウエディングドレスに身を包んだ花嫁の顔に美しい微笑みが溢れる。その情景にぴったりのメイクとヘアスタイルが、彼女の美しさを倍加させるのは間違いない。ウエディングメイクの良し悪しは、メイクアップアーティストのセンスによって決まる。そして今日みなさんにご紹介するさいとうあやこさんこそ、美のセンスを身に付けたトップクラスのメイクアップアーティストなのである。

さいとうさんは資生堂のメイクアップアーティストとして活躍した後、独立した。現在は花嫁たちのメイクを担当して、日本各地や、海外の結婚式として最も人気のあるハワイなどのリゾートを奔走している。多くのスターたちも彼女の顧客である。さいとうさんは、日本のウエディングメイクの代表的人物と言えるだろう。また彼女自身も優雅で美しく、肌のケアを重視しており、50歳を目前にしているのに、彼女の顔には歳月の痕跡が見られない。

東京の高級住宅街、広尾駅の近くに、「メイクマリエ」というメイクスタジオがある。これはさいとうさんが経営するスタジオで、シンプルで現代的な気分が溢れる内装と装飾がほどこされ、花嫁になる女性たちが来るのを待っている。西洋式であっても、日本の伝統的な結婚式であっても、さいとうさんは常に婚礼の雰囲気にぴったりで、花嫁の美しさを最大限に引き出すメイクとヘアスタイルを創り出している。

さいとうさんのメイクはうっとりするような美しさがあり、特に目のメイクがたいへん美しく、人々の賞賛を浴びている。このことについて彼女は、「どんな瞬間も花嫁が美しいたたずまいでいられるようにと、いつもそのことを思いながらメイクをしています」と言う。また彼女は、いろいろな色が入ったメイクボックスには無限の可能性があり、花嫁たちはきっと自分のための色に出会って、永遠に色あせることのないすばらしい一日を過ごすことができると考えている。メイクもヘアスタイルも、誰もが同じなのではなく、それぞれの花嫁に合わせて決めるというのが彼女のコンセプトである。

「メイクマリエ」のホームページには、こんなメッセージが書かれている。「その日、花嫁に誰よりも輝いてもらうために、綺麗になってもらうために、そしてなによりしあわせになるために、私たちメイクマリエは、自分の姉や妹を送り出すように、花嫁を最高のステージへとお届けします。」これこそ「メイクマリエ」の経営理念であり、さいとうあやこさんが心から願っていることなのである。(秋桜執筆)

写真提供:メイクマリエ

メイクマリエ http://www.makemariee.com/index.html

ガンダム豆腐の変わった食べ方

日本にはいろいろな種類の鍋料理があり、中国の「火鍋」と大体同じ感じである。違っているのは、日本の鍋料理はまず食材を芸術的に並べて、それを煮ながら食べるという点である。その食べ方には、日本の飲食文化のこだわりと細やかさが表れていると思う。ところで、東京で有名なさくら鍋、北海道の石狩鍋、山口県のふぐ鍋、さらには中国の火鍋でも、欠かせない食材と言えば豆腐であろう。日本料理に豆腐という食材がなかったら、なべ料理の魅力は半減するに違いない。

日本最大の豆腐製造会社、相模屋が作ったガンダム風の豆腐「鍋用!ズゴックとうふ」が、10月3日から発売された。この豆腐は、11月11日までで累計100万丁も売れたという。さらにこの豆腐をテーマとした、「ズゴック鍋写真コンテスト」が11月21日から始まった。このコンテストは、ズゴック豆腐を基本食材とした個性的なスタイルの料理作品を表彰して、宣伝を行うというものだ。もっと多くの人々に、この独特な豆腐について知ってもらい、食べてもらおうというわけだ。料理を作ると同時に自分の想像力も働かせて、家でも独創的なスタイルのおいしい料理が作れるに違いない。

日本では、いろいろな可愛い動物や人気アニメの主人公を、おいしくて個性的な形の食べ物にすることは、それほど珍しいことではない。だが、豆腐をこうした食材として用いるのは初めての試みである。しかも日本の超人気アニメ「ガンダム」との組み合わせなので、多くの人の注目を集めている。もちろん超人気のキャラクターであっても、おいしくなかったら誰もお金を出さないだろう。そこで、このガンダムをテーマとした豆腐は、作るのに当たっても大いに工夫をしている。まず最も上質な大豆を使って豆乳を作り、それをガンダムのジオン軍の代表的モビルスーツ「ズゴック」の頭部の形の容器に流し込み、高温で加熱して固め、ガンダム風豆腐を作り上げたのである。豆腐料理を作る過程では、様々な改造を行って他の形を作ることができる。例えば、二つの蟹の脚を加えれば、たちまち蟹そっくりの姿が目の前に出現するだろう。

相模屋が作った同類の製品には、女性たちの間で人気の高いハローキティ型の豆腐もある。いろいろな製品の中から、きっと自分の気持ちにぴったりのものを見つけて、秋から冬への季節に温かい料理を作ることができるに違いない!(Luc執筆)

鍋用!ズゴックとうふ http://sagamiya-kk.co.jp/zgok/z_concept.html   相模屋 http://sagamiya-kk.co.jp/index.html

姫路おでん

だんだん寒くなってきましたね〜。冬になると、あつあつのおいしいものを食べたくなります。今日は、生姜醤油をつけて食べる「姫路おでん」をご紹介して、みなさんのおなかを温めてさしあげたいと思います。日本のおでんは地方によって異なり、食べ方も味もだいぶ違っています。大体は、醤油を入れた昆布だしの中に大根、ゆで卵、ちくわ、豆腐、昆布、こんにゃくなどを入れて、味がしみ込むまで煮込みます。一般に「おでん」と呼ばれますが、関東地方から伝わったため、関西では「関東煮」と呼びます。東日本では味が濃く、西日本では薄いので、おでんは色の上でも大いに異なっています。作り方が簡単で食べるのにも便利なので、居酒屋やコンビニ、大衆食堂、さらには一般家庭の食卓にも、この料理はよく登場します。江戸時代に生まれて、たちまち人気を集めたおでんは、今でも多くの人に愛されています。街にはおでんを売る専門の屋台もあり、つゆの中で煮こんだ、あつあつの湯気を立てているおでんは、冬には特に好まれます。

私は普段はあまり食べないのですが、十月に兵庫県の姫路駅付近で食べたおでんは、味も非常に特殊で、今でも忘れられません。みなさんはご存じないかもしれませんが、姫路市は実はおでんの街で、住民たちはたいへんおでんを愛しており、姫路おでん普及委員会を設立した上に、おでんのキャラクターも作り、おでん新聞まで出しています。さらにはおでんのアイドル「おでんきレディ」までいて、おでんと姫路は緊密に結び付けられているのです。

おでんを生姜醤油につけるのは、姫路を中心とした、加古川から相生までの地区の特別な食べ方です。以前はとくに名前はありませんでしたが、2006年6月に姫路おでん探検隊が「姫路おでん」と命名してから有名になりました。姫路市の中心には、80以上のおでんを販売する居酒屋、レストラン、バー、立ち食い店などがあり、その数には驚かされます。姫路おでんは、小皿にたっぷりの生姜醤油を注ぎ、おでんをそれにつけながら食べるか、おでんを盛ったさらに大量の生姜醤油を注いで食べるか、あるいは生姜醤油を直接つゆに入れて煮る場合もあり、これらすべてを姫路おでんと呼ぶことができます。醤油に生姜と日本酒をたっぷり入れて調味しているので、食べるとすぐに身体が温まり、冬にはこたえられないおいしさです。

私は以前、赤塚不二夫の漫画で、手におでんの串を持った「チビ太」という子供がよく登場するのを見て、最初は漫画の中のストーリーに過ぎないと思っていましたが、姫路駅付近のあるおでんの店で似たようなおでんの串が運ばれてきた時、「本当にこういうものがあるんだ」と理解し、思わず納得の微笑みが浮かびました。日本の庶民の食事文化を深く知りたかったら、是非姫路に行って生姜味のおでんを食べてみてください。(哈日杏子執筆、撮影)

姫路おでん公式サイト http://himejioden.jp/   哈日杏子のブログ http://harikyoko.wordpress.com/ (中、日)

第46回 歌舞伎町

【歌舞伎町の概要】新宿の靖国通りの北側にあり、毎日三十万人が出入りする、東洋最大の歓楽街である。約35万平方メートルの区域内に、映画館、劇場、ゲームセンター、クラブ、ソープランドなどの他、レストラン、バーなどの飲食店が4000もあり、カジノや風俗店などが5700以上もある。夜になると、地域全体に夜通し灯りがともり、大変なにぎわいを見せるため、「不夜城」と呼ばれている。

【歌舞伎町の歴史】もともと「大久保」と呼ばれていた窪地の湿地帯が、明治以降は鴨場となっていた。第二次大戦後は歌舞伎の演舞場建設の計画が生まれて「歌舞伎町」と命名されたが、計画は実現しなかった。在日華僑たちは、ここで行われた博覧会で利用されなかった土地を購入して大いに発展し、地域の繁栄を担った。近年は中国や韓国からの観光客が多く、昼間はあちこちでツアーグループが観光する姿が見られる。

【歌舞伎町の治安】日本で犯罪率が最も高い場所で、暴力団事務所が約120ヶ所あり、構成員は1000人に達する。面積で単純に計算すると、刑事事件の発生数は、東京都内の平均の40倍である。2001年のビル火災では、死者44人を出した。翌年2月には街頭に50台の防犯ビデオが新設された。2004年に警察は大規模な取り締まりを行い、非合法の風俗店やアダルトショップなどが営業停止になった。(姚遠撮影、執筆)

タイトル:「龍が如く」
場所:ドンキホーテ新宿店
撮影のポイント:歌舞伎町を舞台とする人気ゲームの巨大ポスターの前を、華やかな服装の女性が通り過ぎる。架空と現実が交錯し、強烈な対比が生まれる。まず好ましい画面を選択してから人が通るのを待って撮影するという方法を採った。
使用フィルタ:Sutro+彩度(周囲が暗い映画の画面の雰囲気を出した。フレームの装飾効果。)
タイトル:「明と暗」
場所:ナビゲート東通り
撮影のポイント:たいへん色鮮やかな店の入口と背後の路地の対比。画面を二つに分ける構図を採用した。左側は明るいが、人を暗黒の世界に導き、右側の飲食店は暗黒の中に隠れざるを得ない。
使用フィルタ:Lofi+彩度(赤と黄の組み合わせと、明るい場所と暗闇のコントラストを際立たせる。フレームの装飾効果。)

タイトル:「高みから見下ろす」
場所:振興組合ビル
撮影のポイント:ホストたちがほほえむ電飾看板の上に、巨大なゴリラが目をむいている。看板の下から見上げ、ゴリラの手が顔の表情を隠さないように注意した。傾斜する対角線の構図で、画面の不安定感を強調した。
使用フィルタ:Sutro+彩度+対角のぼかし(明暗と色彩の強烈な対比を作り出す。フレームの装飾効果。)
タイトル:「街角」
場所:ギラギラガールズ
撮影のポイント:妖艶な背中、セクシーな刺青……歌舞伎町の縮図とも言えるような巨大な看板が、画面の四分の三を占める。残りの四分の一の明るい道が、これが夢ではないことを教えてくれる。
使用フィルタ:Lofi+彩度(線と色彩が極致まで表現されている。フレームの装飾効果。)

歌舞伎町ポータルサイト http://www.kabukicho.or.jp/   歌舞伎町の歩き方 http://homepage3.nifty.com/kuroodo/

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