2012年6月15日 第22号(通巻第316号)

「薬膳カフェ」ブーム

中国には昔から「医食同源」という言葉がある。これは中国の薬膳から生まれた言葉で、東洋医学の観点から見ると、薬膳には体を養って病気を治すのに一定の効果がある。だが多くの人は漢方薬の放つ独特な匂いのために薬膳を敬遠し、薬膳が高級中華であると考える人も少なくない。薬膳を日本人が受け入れやすい食べ物にするのは難しいようだ。だが今年の春から、伝統的な中国料理の枠を超えたカフェの形の店舗が相次いで開店し、薬膳が日常の食事の一部として少しずつ日本人の生活に浸透してきている。

東京虎ノ門の「りせっとcafe」では、お客さんがメニューを見る時に問診票を用意していて、個人の体質に合ったスープを薦めてくれる。手足が冷える、皮膚が乾燥する、むくみが出るなど、選んだ項目によって六種類の薬膳スープが用意されているのだ。前の晩に飲みすぎた人には、ウコンを加えた良薬ほろ苦スープはどうだろう?春菊やセロリを煮込んだ、くせのない爽やかな香りのホルモンスープは、好きな人なら夢中になる味だ。この他、クラムチャウダーや鶏と白身魚のつみれなど、薬膳らしくないスープもある。ランチセットはスープとサンドウィッチに一口デザートと飲み物がついて650円である。カロリーは320〜580の間に抑えられ、ダイエット中でも安心して食べられる。コーヒーは1杯わずか170円で、夜は1000円の入場料を支払えば、生ビールが1杯200円で、酒やつまみが格安になる原価バー方式を取り入れているのも、多くの人にとって受け入れやすい薬膳と言えるかもしれない。

4月に原宿に開業した薬膳料理「オリエンタルレシピカフェ」は、オープンエアタイプの店である。カフェを指導するのは国際薬膳師の新井友加里さんだ。新井さんは、季節や気候、体質、身体の状況の変化に応じて、食材と調味料で体に不足している成分を補い、代謝と排毒を促進するのが大切だと考えている。薬膳は体のバランスを整える食事であり、味がおいしくない漢方薬と違って、簡単な薬膳は家庭でも試すことができる料理なのである。海老の出汁が利いた「腎」を補うカレーは、おいしい上に食事の後で体が温まる、親しみやすい薬膳だ。オリジナルブレンドのクコと菊花のお茶は眼精疲労を取り除くので、長時間パソコンを使う現代人にはぴったりである。胡弓の音を聴きながら薬膳を味わうというような伝統的なイメージは、次第に払拭されつつある。故きを温めて新しきを知る。伝統がまもなく流行になりそうな気配である。(緋梨執筆)

カフェから専門店まで!おすすめ薬膳レストラン一覧 http://allabout.co.jp/gm/gc/301368/


群馬県の伝統工芸展

5月30日、群馬県と群馬県ふるさと伝統工芸士会の主催による「群馬県ふるさと伝統工芸品展」が、群馬県庁の1階で開幕した。5月30日から6月3日までの5日間、県内の各市や郡の伝統工芸品がここに集まった。会場では職人たちによる製造過程の実演が行われ、精緻な工芸品が誕生するすばらしい瞬間を見せてくれた。また自分の手を使って、伝統工芸製作の難しさと楽しさを体験するコーナーもあった。

【高崎だるま】室町時代に日本に伝わった達磨大師の坐像を原型として作られた。最初は「起き上がりこぼし」のような玩具として各地に流行した。その後さまざまに変化して、次第に特色を持った民間工芸品として形成されていった。真っ赤な色は、日本で古くから魔除け、災難除け、吉祥、慶事の意味を持つと考えられてきたので、江戸時代から達磨は赤く塗られるようになり、縁起のいいものとして幸福な生活を祈るためのものになった。達磨はこのように幸せのシンボルとしての意味があるので、地域の人々にたいへん愛されている。人々は毎年正月に群馬の初市で、いくつかの達磨を買って帰り、新しい一年の幸福を祈るのである。

【ぐんまのこけし】群馬県の伝統工芸品と言うと、多くの人がまず「こけし」を挙げる。生き生きとした姿で、ほとんど装飾を持たないこけしは、爽やかで洗練された印象を与える。こうしたシンプルで何も装飾がない製作方法が、日本のこけしにユニークさとすばらしさを与えているのかもしれない。こけしは早くも江戸時代に登場していたが、当時は子供の玩具でしかなかった。その後、長い間に発展と変化を重ね、そのすばらしい造形と図案によって人々に愛されるようになり、玩具から家庭内の装飾品へと生まれ変わった。地域によってこけしの形式はさまざまである。群馬のこけしは、こけし本来の精緻で細やかな特徴を保つ一方で、土地の民間の特色であるシンプルで細かく爽やかなイメージを加えて、群馬の風土や人情を表現している。

「群馬県ふるさと伝統工芸品展」はすでに終了したが、鑑賞に訪れた多くの観光客に対して、視覚と意識において衝撃を与えたに違いない。この展覧会は、伝統工芸品が単なるモノではなく、その地区の人々の深層の文化を体現したものであることを改めて表現して見せてくれたのである。(Luc執筆、撮影)

群馬県の伝統工芸品 http://www.gunma-cci.jp/e1.gunma/



日本で人気の段文凝

今年の4月、段文凝という天津から来た女の子が日本のネット上で人気となり、彼女の名前はグーグルやヤフーの検索キーワードでトップ5に入るほどになった。これらの日本語の記事は中国のサイト「百度」の日本のドラマやAKB48の掲示板で翻訳され、転載されて、中国国内に広がっていった。

だが、一人の中国人の女の子が日本で人気になった原因は何だったのだろうか?段文凝さんは女優でもないし、モデルでもなく、テレビ番組で中国語を教えただけなのである。2011年3月から、段さんは日本の公共放送NHKの教育テレビの「テレビで中国語」という番組で、中国語発音の模範を示す役割を担当した。そして彼女の正確な発音と可愛らしい性格に対して、大きな反響が起こったのである。

一年後、「テレビで中国語」は改編され、放送時間が深夜からゴールデンタイムに移った。この変化によって、中国語を学ぶつもりのない多くの視聴者もこの番組を目にすることになり、ネット上で「この可愛い女の子は誰?」という質問が飛び交ったのだ。こうして、段文凝さんは今年の春、日本のネット上で大きな話題の中心となったのである。その後、朝日新聞社とKBSテレビが彼女に単独インタビューを行った。これらのインタビューを通じて我々は、段文凝さんが天津テレビ局のアナウンサーで、2009年に日本に留学し、現在は早稲田大学のジャーナリズムコースで学ぶ修士課程の学生だということを知った。

段文凝さんはインタビューの中で、最初にアナウンサーの勉強を始めたのは、自分が内向的で人と話すのが苦手なのを変えたかったからだと言っている。すでに自分の性格的弱点を克服した彼女は、様々な日本人と接触してコミュニケーションすることによって、新しい視点から日中両国の人々の間でお互いの本当の考えを効果的に相手に伝えられるようにし、互いの理解をさらに深めたいと考えている。両国の民間交流の新しい架け橋となることが、段さんのこれからの夢なのである。

修士課程で学びながら、中国語学習番組で藤原紀香、阿部力、田中直樹などのタレントたちと共演し、段さんの日本での生活は充実してたいへん忙しい。また、中国語学習番組での可愛い笑顔とジャーナリストとしての強い意志を持つ彼女の日本での今後の活躍は、注目に値する。今年の8月には、段さんの初めての本が日本で出版される予定だ。大いに期待したい。(凱特執筆)

NHK中国語講座アシスタントの段文凝ちゃんが完全にカッワイイ! http://rocketnews24.com/2012/04/11/202135/
  NHK「テレビで中国語」で話題の超美人ナレーター画像&動画集 http://matome.naver.jp/odai/2133440838262538501



京の街で妖怪討伐! 新しい携帯GPSゲーム

日本で最も人気の観光都市・京都には、国内外問わず年中たくさんの観光客が訪れ、“リピーター”も多い。その京都の街を訪ね歩くのに最近、テレビなどのメディアで話題になっているのが、携帯電話のGPS(全地球測位システム)機能を使ったゲームだ。iPhoneやandroid携帯などのスマートフォンでも利用できる。価格800円(税込)

今回のテーマは『京都妖怪絵巻』。まず、1200年の歴史ある京都の街にひそむさまざまな「妖怪」たちがいる場所を携帯で探す。次に、指示された場所に行って携帯で調べると、その場所に由来する問題が表示される。問題に正解すると妖怪が携帯の画面上に出現。そして、その妖怪を倒す武器(アイテム)を選んで討伐して封印する。さらに、次の妖怪を倒すため、別の場所に行くよう指示される。

妖怪の出現スポットは、ユネスコ世界遺産に指定されている二条城をはじめ、誰もが知っている有名な観光地に近い場所ばかり。妖怪を討伐しながら京都の主要観光地も訪ねることができる、まさに“一石二鳥”のゲームだ。また、京都を何度も訪れている人にとっても、なかなか知られていない問題も含まれていて新たな発見も。妖怪を討伐して封印するたびに全日本妖怪推進委員会(京極夏彦氏)の判子付きカードを入手できるのも楽しい。

京都妖怪絵巻を企画・開発したのは、京都にあるGPSモバイルサービスなどを手がける会社「SUPERNOVA」。これまでも『京都検定迷宮ドリル』などのコンテンツを提供し、今年3月には米国・サンフランシスコで開催された世界最大のゲームカンファレンス「GDC」で高い評価を受けた。今回は、立命館大学映像学部中村研究室と京都市交通局の協力で実現。

同社代表取締役の殿岡康永さんは「今回、特に京都に拠点のある大手映画制作会社のスタッフも参加し、ドラマティックなシナリオができ上がった。古都・京都の観光とゲームの両方が楽しめる。まったく新しい京都の街歩きが体感できますよ」と話す。迫力あるオープニング映像も公開されているのでぜひチェックして欲しい。(世界旅ガール執筆)

(C)SUPERNOVA

京都妖怪絵巻 http://www.kyotoyoukaiemaki.com/



ハンカチ進化中!

みなさんはハンカチを身に付ける習慣がありますか?私は以前は身に付けていなかったのですが、日本に旅行するようになってから、自然に日本人の影響を受けてしまい、今では外出時にハンカチを持っていないと落ち着きません。みなさんも気づかれたかもしれませんが、日本の大手百貨店の一階には、必ずハンカチのコーナーがあります。このことから、日本人がハンカチをよく使っていることがわかります。私は、初めて日本人の女性の友人からハンカチと扇子をセットにしたプレゼントをもらった時、本当にびっくりしました。というのも、中国ではハンカチは涙を拭くためのもので「悲しみ」を表すと考えられており、扇子という言葉の中国語は「散らばる、別れる」という意味の言葉と発音が同じなので、どちらもたいへん縁起が悪いからです。でも日本との付き合いが長くなって、私は日本人がハンカチを徹底的に活用していることを知ったのです。

日本人はいつもハンカチを身に付け、暑い日にはハンカチで汗をぬぐい、トイレで手を洗った時にはハンカチで拭き、女性が食事をする時はハンカチを膝の上にかけて食べ物で服を汚さないようにします。カップルがデートする時は、公園のベンチにハンカチを敷いて坐ります。異性が泣き出した時は、涙を拭くために貸してあげます。日本人にとって、ハンカチは毎日外出する時の必携品なので、女性にも男性にもプレゼントするのに適しているのです。ハンカチがたいへん実用的な贈り物だとわかってから、私はだんだんハンカチに夢中になり、ハンカチ売場に行くのが大好きになりました。

ご存知ですか?ハンカチのデザインや模様や材質の多様性は、流行ファッションにも劣らないものがあるんですよ。季節感を表現するだけでなく、価格によってハンカチの布や工芸の細かさも異なります。可愛い刺繍がされていたり、有名ブランドのマークがついていたりするものは、もちろん値段も高いです。私は柔らかい材質の、触った時の触感がとてもよい木綿のハンカチにこだわっています。でも時には、きれいな図案のものに惹かれて、ついついいろいろなハンカチを買ってしまい、我が家のたんすはハンカチを入れるために大きなスペースを取られています。

ところで五月にまた日本のハンカチ売り場に行ってみて、ハンカチが進化していることに気が付きました!ただのハンカチではなく、多くの機能が付加されていたのです。ある商品は、眼鏡のレンズや携帯やカメラを拭くのに使えると書いてあり、表は木綿なのに、裏は起毛された多機能ハンカチになっています。また別のものにはファスナーがついていたり、袋状になっていたりして、小物を入れる小さなバッグにしたり、ペットボトルのカバーにしたりできるのです。それを見て私はびっくりして、ただただ讃嘆するばかりでした。日本のデザイナーは本当にすばらしいです。ハンカチの観念と形を覆して、新しい生命を与えているのですから。(哈日杏子執筆、撮影)

ハンカチギャラリー http://handkerchief-gallery.com/  哈日杏子のブログ http://harikyoko.wordpress.com/ (中、日)



第22回 秋葉原

【秋葉原の概要】秋葉原駅を中心として、250以上の電器専門店や情報産業の企業が集まっていることで有名な電気街であると同時に、漫画やアニメ、コスプレの好きな「オタク」の聖地でもある。大阪の日本橋、名古屋の大須と合わせて、日本三大電気街と呼ばれる。「AKIHABARA」は今や世界共通語であり、日本と海外の観光客の注目を集めている。
 
【秋葉原の歴史】江戸時代は下級武士の住む街であった。明治以降、電化の時代に入り、ラジオが急速に普及した。電線、配電設備、スイッチ、ラジオ部品などの卸売業者が、店舗をJRの高架下に集めたのが秋葉原発展の始まりだった。1945年の東京大空襲で、秋葉原一帯は焦土となった。1960年代から90年代は大いに繁栄したが、その後バブル経済崩壊で衰えた。2005年、つくばエクスプレスの開通で駅が大規模に拡張され、秋葉原は新たな春を迎えている。
 
【無差別殺傷事件】2008年6月8日、一人の男が、歩行者天国を歩く人々の中にトラックで突っ込み、多くの通行人をはねた後トラックを降りて、持っていた規制対象の刃物で逃げ惑う人々を刺した。男性15名と女性3名が病院に運ばれ、6名が死亡した。そのため秋葉原の歩行者天国は中止され、二年七ヶ月後に再開された。(姚遠撮影、執筆)

タイトル:「電器街」
場所:万世橋附近
撮影のポイント:このような光景はありふれているが、ここでは中、英、日の三つの言語が共存している空間を選んで切り取った。右側のエスカレーター部分が、画面に活気を与えている。
使用フィルタ:Lo-fi+彩度(それぞれの看板や垂れ幕の目を奪うような鮮やかさを強調する。フレームの装飾効果。)
タイトル:「史上最強」
場所:まんだらけ本店
撮影のポイント:赤い看板が画面を左右二つの部分に分けている。左側は目を引く白い垂れ幕、右は真っ暗な階段と手すり。背景の青い空と白い雲が、建物の高さを際立たせている。
使用フィルタ:Lo-fi+彩度(建築の質感を強調。フレームの装飾効果。)

タイトル:「人を待つ」
場所:ソフマップ本館
撮影のポイント:外国人と広告の美女の、大きさがかけ離れ、性別も異なり、年齢もまったく違って対照的であることが、できるだけ被写体に近づき、しゃがんだ姿勢で撮影した。
使用フィルタ:Lo-fi+彩度(巨大な壁の質感を強調する。フレームの装飾効果。)
タイトル:「街角」
場所:KFC秋葉原店附近
撮影のポイント:メイドカフェの店員がびらを配る可愛い姿を選び、背後から捉えた。街の人々を目の前に展開するために、携帯をやや高く持ち上げ、見下ろすような角度にした。
使用フィルタ:Sutro+彩度+円形のぼかし(周辺を暗くぼんやりとさせて中心を際立たせる。フレームの装飾効果。)

秋葉原電器街振興会 http://www.akiba.or.jp/ (日、英、中)  秋葉原マップ http://www.akibamap.net/


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