2012年4月20日 第20号(通巻第309号)

新幹線の歩数計

中国では「食事の後に歩けば、九十九まで生きられる」とよく言われる。健康のためには激しい無酸素運動だけでなく、新鮮な空気の中で散歩などの有酸素運動をする必要がある。散歩は全身の筋肉と骨格を調整できる整体運動で、呼吸系統の機能を高めて消化を促進すると共に、大脳皮質の状態を整えることもできる。学生やサラリーマンにとって、散歩は頭をすっきりさせる作用があると同時に、精神的ストレスを効果的に緩和してうつ病を予防することもできるのだ。

ところで、散歩を一つの運動として考えた場合、ただの「歩くこと」とは異なる部分があるはずだ。他のスポーツと同様に、運動としての散歩には自分にとっての基準が必要である。どれくらいの時間歩くのか?距離は?そして服装は?時計、そして歩数計も大切だ。散歩の目的は、頭の中をすっきりさせてストレスを緩和することなのだから、しっかりと歩く一方で、眠る時のように羊を数えるような作業をすることは、運動の意味が激減してしまうに違いない。そういったことから、歩数計はとても重要になってくる。

我々の歩数計のイメージは、大まかに、液晶スクリーンがついた小さな物体で、中にあるプラスチックの小さな球が弾むたびに液晶の数字も変化する。最も面白みのない歩数計の色は黒一色で、やや可愛いものでも外形を工夫した程度だ。だが毎日歩くには、数字が変わるだけでは少し退屈ではないだろうか?そんな皆さんに耳寄りな情報がある。今年の3月、大手時計ブランドのセイコーが新型の歩数計を発売し、我々の歩数計に対する概念を完全にくつがえした。――何と歩数計は、ハイテク製品だったのだ!

セイコーは新幹線の許諾を得て、歩行距離を鉄道の距離に換算し、ユーザーが目標を設定することによって自分好みの表示を行うことができる歩数計を開発した。例えば、「東京駅から新大阪駅までに相当する」散歩距離を設定したとする。実際は毎日家の周りを歩き回るだけだが、歩数計には散歩の距離の累計が出るだけでなく、「名古屋まであと300メートル」「京都到着。次は新大阪」など、わくわくするような情報が表示される。これを持って散歩をすれば、気分も大いに変わってくるはずだ。この歩数計の究極の目標は、もちろん日本全土制覇である。セイコーの歩数計を持って暖かくなってきた春の日差しと足並みをそろえて、さあ、散歩を始めよう!(凱特執筆)

セイコースポーツライフ株式会社 http://www.seiko-sl.co.jp/


銀座線は85歳

東京メトロの銀座線は、東京で最も古い地下鉄である。地下鉄の父、早川徳次が生涯、情熱を傾けて作り上げたものだ。早川は1914年にロンドンを視察した時、地下鉄の魅力に感動し、帰国後に東京で地下鉄を作ることを決意した。そして不況や資金難、関東大震災などの多くの困難を乗り越えて、1927年12月30日に浅草−上野間にアジア初の地下鉄を開業させた。2008年に浅草−新橋間の土木建築が土木学会によって選奨土木遺産に認定され、2009年には浅草−渋谷間、幻の新橋駅、地下鉄車両1000形などが経済産業省によって近代化産業遺産に認定された。今年の12月30日に銀座線は85回目の誕生日を迎える。銀座線の新型車両である1000系は、環境への負荷を低減するために永久磁石同期モータやLED照明を使用し、走行時の騒音を低減するために新型操舵台車などの各種新技術が採用されている。車体の色は、開業時から40年間愛用された旧1000形のレモンイエローを模しており、レトロな雰囲気にあふれている。

4月、銀座線の歴史と和光の時計塔を紹介するフォトギャラリートレインが走っている。和光の時計塔は、セイコー時計のシンボルとして1932年6月10日の記念日に、服部時計店(現セイコーホールディングス)の新しいビルと共に銀座四丁目交差点に誕生した。その後、高級専門店の和光が独立したためビルの名前が和光本館となり、時計塔は銀座のシンボルとなって、人々に愛されている。銀座と言えば、時計塔と銀座線が自然に人々の心に浮かぶほどで、歴史的価値がたいへん高い。フォトギャラリートレインは、これまでの銀座の歴史を振り返り、珍しく懐かしい写真と物語を紹介している。

このイベントは4月11日から30日まで行われる。媒体は車内ポスター、ステッカー、車内ビジョンである。11日から24日までは、銀座駅構内でも写真展が行われる。4月1日には和光本館内にセイコーミュージアムがリニューアルオープンしたが、フォトギャラリートレインでは、そこに展示されているセイコーの各時代のコレクションや銀座線の個性的な駅をめぐる物語についても紹介している。また、Seiko Lukiaは、セイコーが働く女性向けに発売したブランドで、そのLukiaのキャラクターである真っ赤なルキベアが、11日からセイコーのFacebookで新型車両について紹介している。銀座線に乗る機会がない方は、Facebookでこのイベントについての情報をのぞいて参加してみるのも楽しいかもしれない。(ff執筆)

東京メトロ銀座線 http://www.tokyometro.jp/station/index02.html#anc01 (日、英、中、韓)



第38回川端康成文学賞が発表

地理的に近い国は文化も似ているとよく言われるが、日本の文学作品は中国人にとってもなじみやすいものが多く、内心の独白を綴った「人間失格」(太宰治)も、人の本性を鋭くえぐった「ノルウェーの森」(村上春樹)も、労働者の苦難を描いた「蟹工船」(小林多喜二)も、多くの中国人が共感している。

4月12日、第38回川端康成文学賞が発表され、短編小説「犬とハモニカ」が受賞した。著者は実力派作家の江国香織である。彼女は2004年に直木賞を受賞しており、その豊かな表現力は評価が高い。今回の川端康成文学賞は6月29日に東京虎ノ門のホテルオークラで授賞式が行われる予定で、賞金は100万円である。ここにまた中国人読者の心を打つ傑作が一つ、登場したのである。

江国香織は1964年生まれの小説家で、児童文学、翻訳、詩作も手がける。父親は有名なエッセイストの江国滋である。20歳の時に詩作品を初めて雑誌に投稿して掲載され、その後、童話賞や文学賞を次々に受賞する。1992年に紫式部文学賞を受賞した「きらきらひかる」は映画化もされて話題になった。直木賞受賞作は「号泣する準備はできていた」である。

最近は、辻仁成との共作による「冷静と情熱のあいだ」や「右岸」「左岸」、20代の青年と40代の女性の恋愛を描く「東京タワー」、純粋な二人の兄弟を描いた「間宮兄弟」などの作品があり、いずれも映画化された。今、最も人気を集める女性作家の一人である。

注:川端康成文学賞は日本の有名な文学賞で、その年度で最高の完成度を持つ優秀な短編小説に与えられる。主催は、川端康成の功績を記念して1975年に設立された、川端康成記念委員会である。川端康成は日本で初めてノーベル文学賞を受賞した作家で、落ち着いて細やかな文体を持ち、その作品は日本的な特色が濃厚である。「伊豆の踊子」「雪国」「古都」「千羽鶴」などの作品が、今も愛されている。(Michelle執筆)

新潮社 江国香織 http://www.shinchosha.co.jp/writer/955/



大人だって楽しみたい

公園でブランコを見ても、なぜ乗るのをためらうのだろう?子どもの頃大好きだったプリンを見て、どうして背を向けるのだろう?20代後半ごろから、我々は「大人」という重い看板を背負うことを学ぶようになる。子ども特有の権利を再び味わうことがなくなり、子どもの頃の趣味を捨ててしまう人もいる。こうした無形の圧力によって、我々は現代の都市生活での疲れを倍加させてしまうのだ。

しかし今、「大人」たちも次第に変化して、「子どもの頃の楽しみ」を取り戻そうとしている。他人の目を気にせず、今再び、楽しさや面白さだけのために遊んだり挑戦したりし始めているのだ。2010年に、城西大学の羽崎教授が「鬼ごっこ協会」を設立し、大人だけが参加する「鬼ごっこ大会」をお台場で開催した。大人たちは年齢も社会的地位も関係なく、一緒に楽しく走り回り、童心を取り戻した。みなの顔に浮かぶ笑顔は、子どものように可愛らしかった。

先ごろ森永乳業が発売したアイスクリーム「PARM(パルム)」は、「大人限定」をテーマとしたイベントを行った。満25歳以上の人が抽選に参加でき、抽選に当たった20名の幸運な参加者は、学校で大人のために準備された給食を食べることができるのだ。メニューは、ソフト麺ミートソース、揚げパン、牛乳など、みんなが子どもの頃にいつも食べていたものばかりである。懐かしさいっぱいの味に、誰もが心から満足していた。またデザートとしては、森永乳業がこのイベントのために「大人限定」の「PARM」を準備した。

楽天トラベルでも、特別に大人のための「お年玉」を準備した。我々は子どもの頃に「お年玉」を受け取った時の嬉しさを再び味わうことができるのだ。JR東日本の「大人の休日倶楽部」ではダンスや工芸や楽器などを習うクラスが用意され、余暇を使って、子どもの頃好きだったことを再び始めることができる。また高島屋では正月に、茶道体験会など各種イベント体験型の「商品」を福袋に入れていた。我々は豊かな物質生活を楽しむだけでなく、精神生活も充実させることができるのである。

また海外には、大人だけのためのデザートプレゼントマシンがあるそうだ。マシンの識別機能によって、大人であれば自動的にデザートがもらえるが、子どもはこの「特権」を与えられない。大人たちの満足した表情と子どもたちの怒った顔を見ていると、この小さな無料のデザートで大人たちの心が癒され、再び童心に返って温かい気持ちになっているのが感じられる。(小雅執筆)

「大人限定」去来荘 http://www.kyorai.net/



竹下通りのクレープを食べたことはありますか?

東京原宿の竹下通りでいちばん有名なお菓子と言えば、クレープです。みなさんは食べたことがありますか?

現在竹下通りで販売されているクレープは、1976年に登場しました。当時は、実験的に東京渋谷の公園通りの駐車場の一角で、小さな一台のワゴン型の店舗を使って販売が開始されたのです。紙でクレープを巻いて片手で持って食べられるようにしたフランス式の食べ物は、この年に日本に初めて登場したスタイルで、若者の口コミによって広まり、大きな話題になりました。この販売戦略が成功したので、1977年に原宿の竹下通りに「マリオンクレープ」として第一号店を開店しました。それから30年以上の間、この日本の味のクレープは人気が衰えず、日本国内に89の店舗が広がっただけでなく、外国人の嗜好まで征服してしまったのでした。

ちょっと恥ずかしいのですが、私が初めてクレープを食べたのは原宿で、最初これを「日本の食べ物だ」と思っていて、後になって「フランスの田舎のある地方のお菓子だ」と知りました。もともとクレープはそば粉を使って作られていましたが、その後小麦粉、水、塩を使い、さらに牛乳やバター、卵、砂糖などを加えるようになったそうです。原宿の「竹下通り」にはクレープ店がいくつかありますが、どの店もとても可愛く明るい内装で、前を通っただけであの食欲をそそられる甘い香りが流れてきます。休みの日には、店の前に長い列ができ、日本各地から来た修学旅行の学生たちの姿もよく見られます。原宿で販売されているクレープにはいろいろな種類があり、甘いものや食事用のものなど、クレープのサンプルがショーウインドウに並んでいる様子は実に壮観です。立って見ているだけで、満足した気分になってしまいます。バナナチョコカスタード、イチゴスペシャル、小豆マロン生クリーム、ツナカレー、ピザチーズ……みなさんはどれを食べたいですか?

原宿のクレープで嗜好がおかしくなってしまったのかもしれません。その後フランスのレストランで正当なそば粉で作った食事用のクレープを食べた時、その味と作り方にかえってなじめない感じがしました。ついでに言うと、台湾で売っているクレープは食感が硬めで、食べるとサクサクしてクッキーのようなので、原宿のクレープの食感とまったく違います。この両者が同じものだとはとても思えません。今クレープを食べるとしたら、私はやはり原宿のクレープの方が食べたいと思います。原宿に行ったら、みなさんも是非クレープを食べてみてください。甘くて柔らかいクレープを手に持って、食べながら竹下通りを歩き、たくさんの人が行き来する様子やショウウインドウの商品を眺めていると、本当に楽しくて幸せな気分になります。(哈日杏子執筆、撮影)

原宿マリオンクレープ http://www.marion.co.jp/index.html  哈日杏子のブログ http://harikyoko.wordpress.com/ (中、日)



第15回 新橋

【新橋のランドマーク】銀座に近い新橋駅は、東京で最も早くできた鉄道駅である。都心にあるため、東京で人の流れが最も密集した地区の一つでもある。日本の鉄道発祥の地であり、1872年に「新橋−横浜」間を最初に走った蒸気機関車が、駅前のSL広場に展示され、一日三回汽笛を鳴らして、昔を思い起こさせてくれる。

【サラリーマンの聖地】新橋には東京全体の30%のオフィスが集まっているので、テレビでサラリーマンの取材をするときは、新橋で行われることが多い。ビルの間にはたくさんの細い路地があって、そこには多くの居酒屋が集まっている。昼間はここで立ち食いなどで簡単に昼食を摂る人が多く、夜になると退勤後に酒を飲んで楽しもうとするサラリーマンがたくさん集まってくる。

【烏森神社】駅前のビルの間に、あまり目立たない稲荷神社の「烏森神社」がある。この神社の歴史は西暦940年まで遡り、藤原秀郷が「カラスの集まる場所」についてのお告げを受けたため、「烏森稲荷神社」という名前になった。1873年には「烏森神社」と改名し、1971年には近代建築になった。二年に一度、定例の烏森神社大祭が五月に行われ、夏の到来を告げてくれる。(姚遠撮影、執筆)

タイトル:「蒸気機関車と美女」
場所:新橋駅前SL広場
撮影のポイント:望遠効果で遠くの巨大広告と機関車を一緒にし、「田」の字型の構図が画面をシンプルで整然としたものにしている。日本のサラリーマンの生活と美意識を暗示している。
使用フィルタ:Hefe+彩度(機関車の鉄の質感を強調し、背景の露出が過度にならないようにする。)
タイトル:「路地の酒場」
場所:新橋駅附近
撮影のポイント:サラリーマンが退勤後に楽しく酒を飲む典型的な情景。放射的な構図が視点を路地の奥のスーツの人物に集中させ、ぼかしの特殊効果が夢のような錯覚をもたらす。
使用フィルタ:Hefe+上下ぼかし(画面の周囲をやや暗くし、路地の奥行きを際立たせる。)

タイトル:「都市観察」
場所:新橋駅附近
撮影のポイント:眼鏡店のスタンド看板に近づき、大胆な構図で静、動のバランスが取れた不思議な雰囲気を作り出す。車両、看板、歩道、信号待ちの人・・・まるで新橋の縮図のようだ。
使用フィルタ:Hefe(画面の中央をやや明るくする。フレームの装飾効果。)
タイトル:「ヒノマル」
場所:新橋駅附近
撮影のポイント:しゃがんだ姿勢で撮影し、壊れた招き猫、昔の軍旗のような暖簾、昭和を感じさせる看板を画面の対角線上に並べる。今にも崩れそうな雰囲気だ。
使用フィルタ:Earlybird(画面全体に黄昏の色調をかぶせ、レトロフィルムの効果を出している。)

新橋ねっと http://www.shinbashi.net/ 新橋経済新聞 http://shinbashi.keizai.biz/


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