2012年2月24日 第7号(通巻第301号)

シャープのバレンタイン携帯

西暦270年2月14日、聖ウァレンティヌスが、当時の婚礼禁止令に違反したためにローマ皇帝に処刑された。これが「バレンタインデー」の由来である。現在バレンタインデーにチョコレートを贈ることは、恋人同士、あるいは恋人でなくても知り合いの間で気持ちを表すための大切な方法になっている。しかしよく考えてみると、聖ウァレンティヌスが世を去った3世紀には、カカオ豆はアフリカにしかなく、ヨーロッパには「チョコレート」というものは存在しなかったのだ。では、バレンタインデーとチョコレートはどこで関連づけられたのだろうか?1960年、日本の菓子製造会社の森永製菓が、バレンタインデーに大きな広告を出して、「愛している人にチョコレートを贈ろう」と呼びかけた。5年後には百貨店の伊勢丹がバレンタインチョコレートの大型販売イベントを行い、ここで「バレンタインと言えばチョコレート」という社会的印象が徹底的に打ち立てられた。つまり、「バレンタインのチョコレート」は、すべて日本のメーカーが作り出したものだったのだ。このバレンタインデーの習慣と、もう一つ定着に成功した「ホワイトデー」は、現在世界の多くの国で新しい習慣となっている。
 
日本は「チョコレートのバレンタインデー」の発祥の地であるから、バレンタインデーがやってきたら、チョコレートという要素を極限まで発揮させることは、日本企業が当然やるべき義務であるとも言えるだろう。去年のバレンタインデーには、BMWが日本市場向けに作ったチョコレートの自動車をご紹介したが、今年は日本の大手携帯メーカー、シャープがちょっと変わったチョコレートの形のスマートフォンを発売した。
 
この携帯の名前は「Q-pot」と言って、シャープのスマートフォン、AQUOS PHONE f SH-13Cをベースに改造したものである。最大の特徴は、どこから見てもチョコレートに見えるということだ。チョコレート形の本体、チョコレート形のデスクトップテーマ、チョコレートの箱のようなパッケージ……ケースや塗料に特別の材料を使用し、触ってみても本物のチョコレートのような感触である。そればかりか、このチョコレート携帯には様々なチョコレートをテーマとしたストラップやケースもついている。こうしたアクセサリの造型も非常によくできている。無線充電と800万画素レンズも優れた点である。唯一不足なのは、アンドロイド2.3の操作システムがやや古いという点だ。それでもバレンタインデーにはものすごい人気で盛り上がり、予約しなければ、バレンタインデー当日に手に入れることができなかったほどである。シャープは3万台販売の予定だったが、殺到する予約にとても対処しきれず、5万台に増産してようやく市場の需要を満足させることができたのだった。(凱特執筆)

Q-pot http://www.q-pot.jp/jp/special/sh04d/


さよなら!新幹線

1964年10月1日、当時世界一の速度であった初代の新幹線0系電車が、最高時速210キロで歴史の舞台に登場し、東海道(東京−新大阪)と山陽(新大阪−博多)の二つのラインを疾駆した。先頭部が白いイルカのように優美な形の0系列車が細長い車両を連ねて富士山のふもとを走っていく、日本のシンボルのような光景は、当時の映画に頻繁に登場したものだ。それから47年があっという間に過ぎた。新幹線0系電車はとっくに舞台を去っており、0系の子孫である二代目の100系と三代目の300系も、今年の3月17日に引退することになった。

100系電車は東海道・山陽新幹線の二代目として1985年に運行を開始し、最高時速は275キロである。「ひかり号」「こだま号」として東京−新大阪、新大阪−博多間を往復したが、2003年からは山陽新幹線区間限定の「こだま号」として使用された。300系は東海道・山陽新幹線の三代目として1992年に運行を開始し、最高時速は280キロであり、東京−新大阪間をわずか2時間半で走る。300系は外観も以前とは大きく変わり、空気抵抗を抑えた先頭部の設計は「鉄仮面」の愛称で呼ばれた。だが世の中の進歩は速く、他の科学技術と同じように新幹線の更新も常に進み、100系と300系が今年の3月16日で退場することになったのだ。

3月16日に、東京駅と新大阪駅で新幹線300系の引退セレモニーが行われる。車体の正面と側面に「ありがとう。LAST RUN 300 2012・3・16」というステッカーが貼られた最後の鉄仮面、「ありがとう300系のぞみ号」は東海道線を新大阪まで走る。これ以後、東海道・山陽新幹線では300系を見ることはできないが、その雄姿は名古屋のリニア・鉄道館に残され、多くの鉄道ファンたちを引き付けることだろう。

3月16日に東京−新大阪間の最終運行となる「ありがとう300系のぞみ号」のチケットは、2月16日午前10時に駅窓口で発売されたが、一分間で完売となった。また、3月16日運行の300系最終の新大阪−博多間の「のぞみ号」のチケットと、同時に引退する100系最終の岡山−博多間の「ひかり号」のチケットも完売した。今後、東海道・山陽新幹線には、流線型の鰻のような500系とSFを思わせる700系が残される。遠くない将来に、きっとまた新しい新幹線(900系だろうか?)が東海道・山陽新幹線ファミリーに加わることだろう。(李薊執筆)

360°パノラマ新幹線 http://photo.sankei.jp.msn.com/panorama/data/2012/0216jr/



たま駅長に学ぶ

和歌山電鉄には広く名前を知られた「たま」という三毛猫の駅長がいる。今月15日、和歌山電鉄の小嶋社長が書いた、「日本一のローカル線をつくる たま駅長に学ぶ公共交通再生」が学芸出版社から発売された。もう少しで廃線になるところだった貴志川線を救ったのは、貴志駅の売店の飼い猫「たま」だった。「たま」は2007年に駅長に抜擢された。この本では、いかにして人々が興味を持つ話題づくりをして貴志川線の再生に至ったかの軌跡が述べられている。「たま」についてはこれまで、DVDや写真集が出版され、電車やバスのデザインにも採用されており、集客による地域経済の振興に大きな貢献をしてきた。

小嶋社長は、苦境にある地方の公共交通の危機について理解してもらい、将来の問題を明らかにすることが執筆の最大の目的だと語っており、この本が地方の建設と地方の公共交通の活性化のために奮闘している人々に具体的で実行可能なヒントを与えることができると考えている。本の内容は、以下の三つの部分で構成される。1.「たま」駅長誕生の秘話と、それが巻き起こした客招き効果の数々の奇跡。2.水戸岡鋭治氏のデザインによる両備グループの電車、バス、旅客船の開発の秘密。水戸岡マジックがよくわかる。3.地方の鉄道、バスの再生がもたらす地方経済再生の具体的な軌跡。「先進国の中で公共交通が完全に民間の管理運営に任されているのが日本だけであるというのは意外でしょうが、この現実を知らなければ本当の地域公共交通の再生はできません。」と社長は語る。

小嶋社長は仕事の合間にこの本を執筆したそうだが、学術書のように硬くなく、物語のように楽しく読みながら考えることができる本である。「たま」が駅長になってからすでに5年経ったが、和歌山県に対して年間約11億円の経済効果をもたらしている。「たま」の一番の楽しみは寝ることである。課長だった頃は、社長が来るとまじめに仕事をしていたが、現在は常務理事で大物になったため、社長が視察に来ても平気で寝ているという。本には、こんな笑ってしまう話もたくさん書かれている。この本は和歌山電鉄のオンラインショップと全国400のオンライン書店で販売されており、定価は1995円である。猫好きと鉄道ファンの必読の一冊となるに違いない。(緋梨執筆)

和歌山電鉄 http://www.wakayama-dentetsu.co.jp/ (日、英、韓、中)



一滴の水が大河となって

去年の「3.11」から間もなく一年になろうとしている。被災地の人々は毎日の生活を一日一日積み重ねる中で、故郷の再建のために努力している。懸命にがんばる姿を見ていると、我々も彼らを励ましたくなり、自分のできることを何かしてあげたいという気持ちになる。遠く離れた場所にいても、それぞれの心が地域と空間を超え、見えない「絆」で互いがしっかりと結ばれていく。恵比寿駅近くで整体院を経営する加倉井さんは、「10年後に振り返った時、何もしなかったと後悔したくない。」という気持ちを持っていたが、ますます強くなるその願いをついに行動に移したのだった。

すでに50代の加倉井さんだが、震災の後、何度もボランティアとして被災地に入り、被災者たちにマッサージをしてあげていた。だが長期滞在をすることができないので、気持ちは溢れるほどなのに力を出し尽くせないもどかしさを感じていた。そこで去年の6月、恵比寿駅付近の同業者たちと「チーム恵比寿」を結成し、彼らの活動報告をFacebookに載せたところ、多くの人々から熱い注目を集めることになった。そして「チーム恵比寿」のメンバーも、次第に整体師からネイリスト、ミュージシャン、落語家など様々な職業に広がっていった。

現在「チーム恵比寿」のメンバーは約100人である。9月からは、それぞれが費用を分担して自前の車を出し、毎月一回深夜に出発して、翌日の9時から午後7時まで岩手県で被災者を相手に活動を行っている。被災者たちは歌や落語を楽しんだり、マッサージやネイルのサービスを受けたりすることができる。被災地での長い生活で自律神経のバランスが乱れたために、肩や背中に痛みが出ている人たちにとって、これは願ってもない助けと言えるだろう。先日、本メールマガジンの記者はメンバーと共に陸前高田や大船渡などのまだまだ深刻な傷跡の残る被災地を訪れたが、ボランティアたちの熱い行動に対して被災者たちが深い感謝の気持ちを抱いている様子を直接目にすることができた。

みなさんに、彼らのグループに参加したいという気持ちがあったなら、すぐに「チーム恵比寿」で検索して参加してみてほしい。マッサージやネイルなどの技術がなくても、自分のできる範囲のことをすればいいのである。我々はごく平凡な普通の人間で、一人一人の力はとても小さいけれど、小さな力を集めれば、きっとそれは大河の流れとなって、被災地の人々の心を潤すことができるに違いない。(小雅執筆、Yao Yuan撮影)

復興支援 癒しのプロ集団 チーム恵比寿 http://ja-jp.facebook.com/team.ebisu



今日は反省しましたか?

前回日本に行ったとき、ある居酒屋の入り口に面白いポスターが貼ってありました。そこには、今日の反省「一人用飲酒セット」17:00から650円で、中生ビールと串焼き二本と書いてありました。それを見て、私はとても不思議に思いました。反省するのとお酒を飲むのと何の関係があるのだろうと思ったのです。

文字の意味だけを見ると、中国語の世界では「反省」という言葉はかなり深刻です。何か間違ったことや失敗をした時にしか反省はしないものです。その後、日本では会社やグループで試合やイベントなどをした後で、その内容や結果のよしあしを討論したり振り返ったりする集会を反省会と言うのだということを知りました。また反省会は、「反省」を掲げた慰労会の意味も含まれています。基本的にこうした反省会はアルコールを飲むことが多く、会食や飲み会などと直接言わないで、反省会という言葉でそれを暗に示すということもあるようです。多くのレストランでは反省会セットを用意していて、たいていは飲み物がたっぷり飲めるようになっています。よく調べてみると、反省会の食事や飲み物にはいろいろな種類があります。和風あり、洋風あり、朝食あり、夕食あり、宴会料理もあるなど、選択肢も広いのです。別の名目を使って、イベントの後で公明正大な名義で大いに飲み食いして自分の苦労をねぎらうというわけですから、角度を変えてみれば、なかなかよいストレス解消の方法と言えるのではないでしょうか。

しかし反省会ではないとしても、同僚と集まって食事をすれば、いくらかは職場の話をすることになりますし、杯を重ねるうちに仕事上の対応方法などについて先輩に教えを請うことにもなるでしょう。そうしてみると、退勤後に同僚や上司と交際することは、小さな反省会であるとも言えそうです。あるサラリーマン向けのサイトに、こんなことが書いてありました。「一日が終わる前に、その日の自分の行動をよく考えるのは適切ではないだろうか?自分を成長させるためには、一人で簡単な反省会をする必要がある。一日を三つに分けて、会議の後、家に帰る前、寝る前にそれぞれ5分間の反省を行えば、明日は二度と間違いを犯すことがないだろう。」ああ、私は考えただけで疲れてきました。

毎日毎日欠かさず自分を反省する必要があるでしょうか?反省する前に、自分をほめてはだめでしょうか?反省会の前に自分をほめる会をやって、まず自分がこの一日でよくやったことをほめた後で、もしうまくいかなかったことがあったら反省するというふうにすれば、もっと充実した気持ちになって、希望でいっぱいになるのではないでしょうか?みなさんには、反省会ではなく賞賛会をすることをお勧めします。賞賛会をやって飲み食いすれば、きっともっと楽しくなるのではないでしょうか?(笑)(哈日杏子執筆、撮影)

反省会とは http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C8%BF%BE%CA%B2%F1 哈日杏子のブログ http://harikyoko.wordpress.com/ (中、日)



第7回 豊洲

【豊洲の由来】豊洲は1923年の関東大震災の瓦礫で海を埋め立てて造られた人工島である。1937年7月に、将来豊かな土地になることを願って、「豊洲」と名付けられた。コンビニのパイオニア、セブンイレブンの日本での一号店は豊洲に開店したので、日本のコンビニチェーンの発祥の地とも言われる。

【豊洲の発展】豊洲はもともと「石川島播磨重工業」などのある重工業地帯だったが、近年はNTT DATAや芝浦工業大学など、未来と学問の雰囲気が加わった。2006年10月に、観光、娯楽、レジャー、ショッピングなどを一体化した超大型総合施設「ららぽーと豊洲」が誕生した。有名な築地市場を豊洲に移転するという計画も進んでいる。

【ららぽーと豊洲】銀座から約5分の海辺にあるららぽーと豊洲は、海の魅力を直接感じられ、のんびりした気持ちになれる空間を作り出している。木製の甲板で走り回る子供たちの笑い声、水上バスから手を振るカップルたちの姿、海辺の長椅子に横になってゆったりと過ごす時間。東京都心の海辺でこそ味わえる贅沢な気分だ。(姚遠撮影、執筆)

タイトル:「東京湾の午後」
場所: ららぽーと豊洲
撮影のポイント: 静かで、さざ波がたゆたうのを感じられるような情景で、遠近に層となった雲を際立たせるために、あえて空に三分の二の空間を取った。波の輝きが最も目を引きつける。
使用フィルタ:Hefe(陽光の暖かく柔らかい雰囲気を強調。フレームの装飾効果。)
タイトル:「街灯」
場所:豊洲/春海橋
撮影のポイント: 画面の三分の一に、高さが異なる三本の細長い街灯を集めた。元気に伸びるもやしのようでもあり、首を伸ばして周囲をうかがう異星人のようでもある。
使用フィルタ:Hefe(青空の透明感を強調する。フレームの装飾効果。)

タイトル:「壁の両側」
場所: 豊洲駅付近
撮影のポイント: 巨大な現代的彫刻。画面が三つに区分される。左右にはそれぞれ異なる年齢の女性がいて、服装の色やバッグなどの雰囲気もまったく違う。世相を観察することができる。
使用フィルタ:Hefe(画面の奥行の透視感を強調。フレームの装飾効果。)
タイトル:「出航」
場所: ららぽーと豊洲
撮影のポイント: ヒミコの出航を待つ決定的瞬間。船体が陽光を反射する美しい質感と、白い信号旗の隅の汚れが、画面に生き生きとした感じを与えるポイントになっている。
使用フィルタ:X-pro II(暗部に光を浮かび上がらせ、細部までよく見えるようにする。)

ららぽーと豊洲 http://toyosu.lalaport.jp/ (日、英、中、韓)   ユナイテッド・シネマ豊洲 http://www.unitedcinemas.jp/toyosu/index.html


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