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2008年6月6日第19号(通巻第126号) 毎週金曜日発行
 

懐かしい黒板を再現

東京に住む30歳のフリーエンジニアが開発し、今年の二月末から公開されたサイト「黒板.in」は、たった数ヶ月でネットの人気者になってしまった。このタイプのお絵かきサイトは決して珍しくないが、「ネット上で懐かしい学校生活を思い出せる」ところが、「黒板.in」の特別な魅力である。公開されてから四日間で、「黒板.in」に投稿された作品は9000件にのぼり、そこには漫画家、デザイナー、タレントなどの著名人の作品も含まれていたそうだ。

「黒板.in」は、黒板を模倣したお絵かきサイトである。チョークのような線が引けて、白、赤、青、黄など6色が使える。消す時はもちろん「黒板消し」を使う。また、書いている時に、チョークが黒板をこする音や、チョークの粉がゆっくり落ちる演出もあり、本物の黒板に書いているようなリアリティが感じられる。濃い緑色の黒板に最初の白い一本の線を引いたとき、無邪気だった学生のころを思い出すことができるのではないだろうか。

修正したいときは、黒板消しをドラッグすれば、絵がかすれてしだいに薄くなり、消えていく。「黒板らしくないことはしたくない」という考えから、一つ前に戻って書き直すという機能はつけなかった。「黒板.in」では、自分の作品を投稿することもできるし、他の人の作品を見ることもできる。また、「みんなのらくがき」機能で、数人が共同で作品を完成させることも可能だ。

特筆すべきなのは、「黒板.in」のすべての作品について、書かれる過程が自動的に記録されていることで、その過程をオンラインで見ることができて非常に面白い。また、他人の作品を鑑賞した後で書くメッセージも黒板式になっていて、隅から隅まで非常によくできている。今後はさらに、一気に黒板をきれいにできる「濡れぞうきん」機能も追加する予定だそうだ。「濡れぞうきん」で拭いた後は、完全に乾くまで新しい絵がかけないということで、ますます凝っている。

簡単な登録をすれば、黒板に思う存分らくがきができる!さあ、さっそく試してみよう!「黒板.in」のすばらしい作品の中から、ここにいくつかご紹介する。(劉詩音執筆)
【地獄からの使者、スパイダーマン!】http://kokuban.in/view/1211611125
【Lover Rose】http://kokuban.in/view/1211987181
【凱風快晴(富士山)】http://kokuban.in/view/1209800190 

(C)2008 voidelement
黒板.in公式サイト http://kokuban.in/draw

来春 大阪・なんばが変わる!

“食いだおれ”の道頓堀、日本橋でんでんタウン、高級ブランド街の心斎橋など、大阪の「ミナミ」は海外の観光客にも人気が高い。そのミナミのターミナル、なんばへの交通アクセスが来年の春、大きく変わる。

その理由は、2009年春に開業予定の「阪神なんば線」。兵庫・尼崎から大阪・西九条までを走る阪神西大阪線が3.4km延伸して近鉄難波駅とつながり、神戸の三宮から大阪、そして奈良までの直通電車が走るという、三都を結ぶ“新ルート”が誕生する。三宮〜奈良間を約70分〜80分で運行する予定で、乗り継ぎを余儀なくされていた現在よりも、所要時間が大幅に短縮される。

例えば、神戸港クルーズに乗船した後、大阪・ミナミでたこ焼きを食べ、奈良公園を散策するといった観光でのアクセスがとても便利になる。

このため、利用客の大幅増が見込まれる近鉄難波駅では、開業に先駆けて5月30日、駅構内に新しいショッピングモール「Time’s Place」がオープンした。関西初出店でバリスタによる本格エスプレッソが味わえるイタリアンバール「espressamente illy」や“ドネルケバブ”(肉の回転焼き)などのトルコ料理が気軽に楽しめる「KONAK DELi I」など、やや殺風景になりがちな改札内の“駅ナカ”とは思えないほど、まるでイタリアの路地を歩くような明るい雰囲気が漂う。

近畿日本鉄道秘書広報部では「港町・神戸と古都・奈良という、まったく異なる都市を結ぶ新しい空間を創り出しました」といい、早速、駅を利用する若者やサラリーマン、主婦らが立ち寄って賑わいを見せていた。

一方、近鉄、阪神それぞれの路線では試運転が行われている。開業を記念するラッピング電車も登場するなど、関西の鉄道ネットワークを大きく変えるプロジェクトに期待はふくらむばかりだ。(飾磨亜紀執筆)

近鉄電車ご利用案内・沿線情報 K's PLAZA http://www.kintetsu.co.jp/(日・英)
  阪神なんば線 http://www.nishiosaka-railway.co.jp/

今年上半期のベストセラー

まもなく2008年も半分が過ぎようとしている。ここで、今年上半期のベストセラーの上位ランキングにはどんな本があるか見てみよう。

【「夢をかなえるゾウ」水野敬也・著 2007年8月出版】インドの神様が突然目の前に現れて尋ねた。「自分、成功したいんやろ?」そして、「靴をみがく」などの簡単な方法を教えてくれたが、果たしてそれで成功できるのだろうか?この本は、だれでもできる一日単位の成功のための習慣を小説にしたものだ。読んだ人は、夢をかなえるとはこんなに簡単なことだったのかと驚くだろう。楽しく自分を変えて、生まれ変わった自分を好きになろう。(水野敬也のページ

【「脳を生かす勉強法−奇跡の『強化学習』」茂木健一郎・著 2007年12月出版】脳科学者の茂木健一郎が提唱する脳を生かす学習法である。年齢、性別、知能指数に関係なく、誰でも訓練によって大脳を飛躍的に進化させることができる!本書は、「鶴の恩返し勉強法」「瞬間集中法」などの37種の勉強法を伝授する。 (茂木健一郎のブログ

【「ダーリンは外国人 with baby」小栗左多里/トニー・ラズロ・著 2008年3月出版】200万部を突破した「ダーリンは外国人」シリーズは、語学好きのアメリカ人トニーと、日本の漫画家左多里の結婚生活を記録したマンガである。文化や習慣の違いがもたらす小さなエピソードに、思わず笑ってしまう。最新のこの本では、左多里とトニーに子どもが誕生する。二人の国のそれぞれ異なる育児法によって、またまた面白いエピソードが繰り広げられる。(小栗左多里のページ

【「熟年革命」渡辺淳一・著 2008年3月出版】世界中にファンがいる渡辺淳一の最新作品。まもなく50代になる人や、すでに50代になっている人に対して、積極的な「プラチナ」の生活スタイルを提唱し、いかにして時代の先端を行き、自己改革を行うかを論じている。(渡辺淳一のブログ

【「おつまみ横丁」編集工房桃庵・著 2007年9月出版】本書は、185種の簡単でおいしい酒のつまみの作り方を紹介している。まもなく夏がやってくる。ビールとおつまみ、そして友人たちとのおしゃべりで、人生の幸せを満喫しよう。(編集工房桃庵

紀伊国屋書店週間ベストセラー
  http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/best_wa.cgi?subj=tanko

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東京写真日記
【photo by Kazuhiro Matsumoto】
来週のイベント
世界最高・究極の木版画と謳われる浮世絵伝統木版技術で表現する作家、牧野宗則にとる展覧会開催。

6/6(金) 「伝統版画300年の奇蹟〜牧野宗則展」

アジア最大級の短編映画の祭典。今年は「ストップ!温暖化部門」 などが新設され、世界中のショートフィルムから選りすぐの94作品が上演される。

6/7(土) 「Short Shorts Film Festival & Asia 2008」

中国現代アートをけん引する作家たちの絵画、67点を展示。

6/8(日) 「上海美術館コレクション1979-2007」最終日

墨や和紙など、日本ならではの素材を使って絵を描く、神田美佳の個展。

6/9(月) 「神田美佳展」 銀座Oギャラリー

江戸時代からの歴史を持つ「つきじ獅子祭」 大祭式が行う。

6/10(火) 「つきじ獅子祭」 波除稲荷神社

東京近郊のある港町を舞台にした、埋め立てられた海をめぐる家族の物語。失われた海、失われた命、失われた愛…。人々がそれぞれの「失われた何か」を見つけるために過ごしたある夏の日が描かれます。

6/11(水) 「鳥瞰図」公演 新国立劇場

お洒落な雑貨が揃うアフタヌーンティがエビアンとコラボレートした新商品を発売。水のしずくをイメージしたイラストや、ボトルのシルエット柄がとてもキュート!

6/12(木) Afternoon-teaとevianコラボアイテム発売

交流の広場

→凄い凄い!本当にナイスショットですね!(「第27回デザインフェスタ」特別増刊号を読んで)【東京 プライズモール

←お褒めの言葉をありがとうございます。今回の取材で、我々は約1500枚の写真を撮りました。特別増刊号では、精選した20分の1を掲載しましたが、残りについては、今後「東京流行通訊」のブログに載せていく予定ですので、ご期待ください!

→すばらしいですね。杭州にもこんな店があったらいいのに。(第18号の「新しいタイプのテーマレストラン」を読んで)【杭州 格桑美朶kobe

←日本のレストランは、常にいろいろ新しい創意工夫を行って発展しています。今後も我々はより面白いレストランを発掘して、写真満載でお伝えしたいと思っています。

→環境のために、がんばっていますね!(第18号の「渋谷に咲いた傘の花」を読んで)【台湾 手指馬

←「東京流行通訊」を愛読いただき、ありがとうございます!我々も、お二人が共同運営するブログを訪問しましたが、デザイン関連のコンテンツが盛りたくさんですばらしいですね。今後も、お互いに大いに交流しましょう!

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運営会社
ALAYA

島耕作が社長に

「週刊モーニング」で課長からスタートして、今年で25年。弘兼憲史さんの超人気漫画シリーズ「島耕作」の主人公が、ついに企業のトップの座に就くことになった。1983年に漫画界に初めて登場した「課長島耕作」は、現実のサラリーマン生活を生き生きと描いて人気を博し、連載は1992年まで続いた。

その後、「部長島耕作」になり、さらに2002年には「取締役島耕作」、2005年には「常務島耕作」、2006年には「専務島耕作」と順調に昇進を重ね、漫画のタイトルも肩書きに合わせて変化し、映画やテレビドラマでも波乱のストーリー展開を繰り広げ、「島耕作」はいつの間にか、日本で最も有名なサラリーマンになってしまった。

そして5月28日、東京の品川で「島耕作社長」の就任会見と乾杯式が行われた。巨大なスクリーンに黒のモーニングに白いネクタイの島耕作の全身像が映し出され、7分間の就任演説と記者への質疑応答が行われた。「社長になれたのも、みなさんのおかげです」と謝意を述べ、「今後は自社や株主の利益だけでなく、社員や顧客の利益も重視する」と誓い、「今後需要が急速に拡大する液晶、燃料電池、大型有機ELスクリーンなどの供給に力を入れたい」と戦略宣言を行い、創作ながら、なかなか真に迫った内容だった。

「島耕作」シリーズの人気が衰えない理由は、いつも女性にもてる、会社内部の派閥に関わらない、のんびり出世していく、そして出世しても年をとらず、いつも活力に溢れていることなどであろう。これらは、日本の現代社会の中堅に位置するサラリーマンたちの内心の願望を反映しており、「団塊の世代」が実現できないでいる夢と憧れなのである。

就任会見と乾杯式には、俳優の中川翔子と辰巳琢郎、そしてお笑いコンビの次長課長が、新社長の就任を祝いに駆けつけた。作者の弘兼憲史さんは、「島耕作は一人で今日まで歩いてきた。漫画は彼の指示によって描いているだけ。」と述べて、「分身」による成功であることを強調した。漫画好きの中川翔子は、「最初島耕作に出会ったのは、小学生の時だった。サラリーマンがとても羨ましかった。島耕作はかっこよくて、いつか彼の部下になりたいと思った。」と述べた。「島耕作」は今日までがんばってきて、これ以上出世することはできないので、今後は政界に入るしかないと予想する人もいる。だが、心の中の憧れの人には、つまらない政治家にはなってほしくない。そう思いませんか?
(C) 弘兼憲史/講談社

「社長島耕作」公式サイト http://shimakosaku.net/

楽しいファミリーバザール

読者のみなさんの中には、よくフリーマーケットに行かれる方もあるだろう。今日ご紹介するのは、秋葉原駅近くの岩本町の「東神田商店街」で毎年二回行われる、ファッションを中心として卸価格販売が行われるイベントである。ここでは、市場価格の半値か、それ以下の価格で同品質の商品を買うことができ、すべて新品である。商品は様々なファッション、靴などから日用品、台所用品、各種装飾品、水泳用具、化粧品など、たくさんの種類がそろっている。

革のバッグをちょっと手にとってみたら、たった500円だった。日本製の背広も原価の39000円から8000円まで下がっている。化粧品は80%オフである。……どうしてこんなことが可能なのだろうか?品質は信頼できるのだろうか?イベントに参加するメーカーは、厳しい品質検査に通らなければならず、セールの規定を守らなければここで販売することはできない。それでは、高品質の商品をこんなに安く売って、メーカーはもうかるのだろうか?

「ファミリーバザール」とは、家族によるチャリティという意味である。最初各メーカーは、毎年売れ残った服を会社の社員やその家族に売っていた。安売りイベントの目的は、従業員に対する福利活動であると同時に、ストックを空にして新しい商品の場所を作るためのものだった。35年前に1回目のイベントを行った時は、当地の13のファッションメーカーが参加しただけだった。後にメーカーがどんどん増え、内部の福利活動を社会福祉に転換しようという意見が出て、この利益を普段は得られなかったお客さんも、安くて高品質のサービスを受けられることになったというわけだ。

第1回から今回の第58回まで、メーカーは一貫して、高品質低価格の社会還元の精神を持ち続けている。参加するメーカーは、当初の13から130あまりにまで増加した。今年のイベントは、5月30日、31日、6月1日、6日、7日、8日の六日間である。5000円の買い上げについて一回くじを引くことができ、五つ星ホテルの食事件などが当たる。また500円以上の買物をすると、500円の割引券が当たるスクラッチくじがもらえる。

東京に遊びに来る機会がおありの方は、是非ファミリーバザールをのぞいてみてほしい。外国人にとって、日本社会がよく理解できるチャンスだと思う。(徐亭亭執筆)

(C)2008 family-bazar

ファミリーバザール公式サイト http://www.family-bazar.com/

以前電通に勤めていた頃、同僚がひそかにこんな言葉を教えてくれた。「無名の時はやむをえず広告を出す。有名になったら広告を出さないわけにいかなくなる。」短い言葉の中に、広告の本質が的確に表現され、正にその通りだと思った。ある時東京タワーから美しい夜景を眺めていて、ふと、夜も消えることのないこのネオンを消してしまったら、広告の「不夜城」はどんなにひっそりと寂しくなることだろうかと思った。

東京が繁栄とファッションの代名詞になることができたのは、屋外の広告によるところがかなり大きいと言っても過言ではないだろう。それぞれが個性的で美しいショーウインドウ、広告灯、のぼりなどが、世界で最も密集した人口と共に、この近代都市の現代的な空間と時間を構成している。それによって東京の銀座は、ニューヨークのタイムズスクエア、ロンドンのビッグベン前広場、パリのシャンゼリゼ、香港のコーズウェイベイなどと共に、世界で最も華やかな広告の街に名を連ねているのだ。

先日、「読売新聞」のニュースがネットを通じて中国語圏の読者に伝わった。「古都の景観を守るため、京都の旧市街では建築物の屋根に屋外広告やネオン表示などをつけることを全面的に禁止し、市の景観の美しさを保っている。」このニュースは中国国内の世界遺産管理部門の関心を集め、是非参考にしたいという話になったのだそうだ。確かに、古い伝統と現代文明の衝突に対してこのように細やかな対応をする態度には大いに感服させられる。広告関係者からは不満の声が上がるだろうが、大多数の人はこの決定にもろ手を挙げて賛成するに違いない。

さて、東京に目を転じてみよう。広告と東京は密接な関係にあるが、東京の大通りを行きかうバスの車体に広告をつけることを「解禁」したのは、ほんの数年前のことだ。街の景観を壊さないために、車体の広告には色に関して多くの制限があるのだそうだ。このことを聞くと、多くの華人のみなさんは驚かれるに違いない。また最近になって、バスの停留所に広告を出すことも許可され、去年から東京の百ヶ所の停留所で試験的に広告が行われている。これらの停留所では、時刻表に大きな文字を用いるほか、太陽電池やLEDなどの省エネルギーの照明を導入して、バスの乗客にも環境にも配慮している。

日本の建築界の権威である黒川紀章氏は、20代前半であった50年前からすでに、「人と自然の共生、都市と自然の共生、科学と技術の共生」の研究と普及に力を注いでいた。現在、近代都市の血管には広告の遺伝子が脈々と流れており、我々はそれをすべて追い出してしまうことは不可能だ。近頃、宇宙でカップヌードルのCMを撮影するというニュースが届きたり、地球から見えるように、ロシアが太陽光線を反射できるたくさんの衛星を宇宙に打ち上げ、文字と画像を組み合わせるという構想が伝わったり、広告業界がますます熱くなってきた。我々は、東京のバス広告の大いなる努力を顧みて、歴史への反省と未来への鑑みとすべきなのではないだろう。

 
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