2006年10月6日第38号(通巻第54号) 毎週金曜日発行 ブログ 中文簡体 中文繁体
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ファッション・イベント

丸の内に現れた牛たち

牛!牛!!牛!!!

爽やかな秋の日。東京駅近くの丸の内は、もともと高いビルの林立するオフィス街である。ところが、9月1日から10月1日の間、突如としてとりどりの色彩と模様にいろどられた牛のオブジェが出現した。普段のまじめくさった丸の内の面影を一新する思いがけないその強烈な印象は、人々に日常を忘れさせるようなインパクトを与えた。

この世界最大のパブリックアートイベント「Cow Parade」(カウ・パレード)は、1998年にスイスで始まった。地元のアーティストがグラスファイバー製の実物大の牛400頭にペイントを施し、街中に展示して大反響を巻き起こし、翌年の夏にはシカゴでも開催された。その後ニューヨークでも行われ、著名アーティスト、一般市民、子供たちがこのイベントに参加し、牛たちをオークションにかけて得られた売り上げは教育福祉団体に寄付された。それ以来「Cow Parade」は世界各国の注目を浴び、あっという間にロンドン、パリなどに拡大し、2006年にはアメリカ、イギリスを初めとする全世界6ヶ国、8都市でそれぞれイベントが開催された。

日本では2003年にも開催されたが、今年は60名のアーティストと千代田区の二つの中学校、および一般参加者2名により、10社のスポンサー企業の協力の下で、65頭の牛が製作された。牛のオブジェは体長2メートル13センチ、幅61センチで、形は様々であり、体にいろいろな色でいろいろな図案が描かれている。今年のイベントには、若いアーティストを育成するという目的もある。審査員を担当した「Casa BRUTUS」の編集長、吉家千絵子さんは、「散歩の途中で牛に出会って、ハッピーに感じるかどうか」を審査基準にしたとのことだ。

丸の内、大手町、有楽町……店舗の中、大通りの脇、ビルの下……、いつもは「仕事」の雰囲気一色のこうした場所が、「Cow Parade」によって「ハッピーに感じる」アート空間に変化する。東京の一番の中心である丸の内の秋は、カラフルな牛たちによって新しい活力を与えられているようだった。
(C)2006, CowParade Holdings Corporation.
「CowParade TOKYO IN MARUNOUCHI 2006」公式サイト http://cowparadetokyo.com/
 
観光スポット・グルメ

豊洲に新大型施設が出現

「2006年に東京で最も注目される街」と言われる豊洲に、昨日(10月5日)、新しい大型総合施設「URBANDOCK LaLaport TOYOSU」(ららぽーと豊洲)が誕生した。豊洲はかつて日本の主要産業であった造船業の拠点だったところで、1988年の「臨海副都心計画」で今日のような新しい文化と未来情報の発信地に変身した。

「ららぽーと豊洲」には、紀伊国屋書店、東急ハンズ、無印良品、HMVなど、190あまりのショップと施設が集まり、庭園と花と水が海風の中に位置している。この東京の新名所には、他の同類の施設を超えるすばらしさがある。東京を訪れる機会があれば、豊洲に行くのを絶対忘れないでほしい。

キッザニア東京
本メルマガの本年27号で紹介した、子供向け職業体験施設。

ユナイテッドシネマ豊洲
2500席の配置が可能な映画館に、1777席のみが設置され、非常にゆったりした空間になっており、68席の快適なペアシートもあるのでデートにも最適だ。

この他、ららぽーと豊洲では、有名デザイナー鄭秀和のすばらしいデザインや、石鍋裕のおいしいスイーツなども楽しめ、きっと忘れられないすてきな思い出になるだろう。
(C)2006 LaLaport Co., Ltd.
ららぽーと豊洲公式サイト http://toyosu.lalaport.jp
 
先端技術・出版・雑学

伝統的な日本の家紋

日本の「家紋」についてご存知だろうか?

家紋は姓名と密接な関係がある。姓名は文字によって表現されると「名前」になるが、図案によって表現されると「家紋」になるのだ。約900年前の平安時代、公家たちが他家の牛車と区別するために車に様々な図案を刻印したのが家紋誕生の由来だと言われている。後に鎌倉時代には、武士たちが幟(のぼり)や陣幕に家紋を描いている。

西洋の紋章にも似たような意味があるが、西洋では個人を単位としているのに対し、日本の家紋は家族を単位にしている。西洋では、親子兄弟であっても紋章には厳格な区別をする慣例があった。

最も代表的な5つの家紋をご紹介しよう。

片喰(かたばみ)は、ハート型のかたばみを原型とする。木瓜(もっこう)は、卵や幼鳥が入った鳥の巣を変形して作られた。藤(ふじ)は、奈良時代の観賞用の藤の葉と花で構成される。柏(かしわ)は、新しい葉が出る前の古い葉が落ちない様子を描き、子孫を守る意味がある。鷹の羽(たかのは)は、鷹の勇猛果敢さを表現する。

現在、たった半数の日本人しか自分の家紋を知らないそうで、若者で知っている者は20%に満たない。家紋という日本独特の文化遺産は、継承され発展していくことができるのだろうか?(本文は雑誌「R25」の文章をリライトした)
家紋ワールド http://www.harimaya.com/kamon/
 
イベント掲示板
10月6日(金) 「ミクロポディウム」 広島西区
レナート・オンドラシュの独特な人形と操作法によるひとり人形芝居。
10月7日(土)「松尾貴史 折り顔展」 SPACE INTART
黒柳徹子さんや筑紫哲也さん、タモリさんなどの著名人の「折り顔」を展示します。
10月8日(日) 「2006 F1 日本GP決勝」鈴鹿サーキット
“皇帝”シューマッハと若き天才アロンソの戦い、目が離せません!
10月9日(月)「オクトーバーフェスト」 赤レンガ倉庫
ドイツビールを中心としたイベントの最終日。ビール・料理・音楽を堪能。
10月10日(火)「KIRUMONO MAKIMONO」 アルス
限り無く少ない要素で、どこまで楽しく面白いものが生み出せるのでしょうか。
10月11日(水)「土壌・地下水展覧会」 ビッグサイト
土壌・地下水浄化に関する技術、ビジネスを展示・アピール。ワークショップもあります。
10月12日(木) 「SEED大けしごむ展」 アシストオン
100円くらいのものから1万円する巨大な「Rader」あなたのIQを試すパズル消しゴム・・・
日本のナンバーワ
日本一奇妙なアイスクリームの世界
宮城県の風月堂のバラエティ豊かなアイスクリームが、その種類はなんと100以上。松茸、あわび、うに、馬刺し、真珠などの高級食材から、にら、のり、しじみなどの家庭食材まで、めずらしいアイスがいっぱい。

日本一高いビル
日本一高いビルの横浜ランドマークタワーは70階建て、297m。バブル期にプランされ、先端構築テクノロジーが惜しげなく使われている。また、横浜ランドマークタワーのエレベーターは最大分速750mで、世界一。

日本で最も検索されている言葉
ネットレイテリングス社が発表した「検索語ランキングレポート(2005)」によると、日本で最も検索される言葉は「Yahoo」で、同年7月の一ヶ月に32万8千人が入力していることが明らかになった。

およそ50万人の在日華人向けコミュニティサイト「1696」が、本メルマガの発行人である中嶌重富の著作、「56歳での起業。」を「在日華人起業の手本」として紹介しました。「56歳での起業。」の詳細はこちらへどうぞ。

●本メルマガが、国際交流基金の「日中交流センター」公式サイトのFLASH式の「月刊心連心マガジン」の企画制作に参加しました。創刊号が公開されましたので、どうぞお楽しみにご鑑賞下さい。

→日本の話題を中国語で体感できるサイト「東京流行通訊」。中国語で日本の話題をみると、また違った印象を受けますね!メルマガもおすすめです!!【日本 再び中国語検定3級合格を目指すブログ

→創刊号からずっと読んでいますが、最近の内容はますますすばらしく深くなったと思います!このメルマガが永遠に続くように、心から祈っています。【バンクーバー 老姜

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→選ばれて日本に留学した高校生たちが本当にうらやましいです。でもブログでごちゃごちゃ言う人がいるのは、理解できません!【中国 外辺的世界真精彩

豊洲副都心
大洗町マリンタワー
四万温泉
学習塾
配信サイト
ALAYA
芸能・ドラマ・音楽

草間彌生の栄誉

全世界の特に優れた芸術家たちの業績を讃える、日本美術協会主催の「高松宮殿下記念世界文化賞」が、先日第18回の5名の受賞者を決定し、前衛芸術家の草間彌生は日本女性で初めて絵画部門賞を獲得した。授賞式は10月18日、東京元赤坂の明治記念館で行われる。

草間彌生は、長野県松本市出身の彫刻家、画家、小説家である。少女時代から統合失調症を病み、繰り返し襲う幻覚や幻聴から逃れるためにそれらの幻覚や幻聴を描きとめた。反復増殖する水玉と無限に広がる蜘蛛の巣を駆使して、半世紀の間たゆまずに様々な作品を創作し、現代アートの最前線を走り続けてきた。

1957年にアメリカに渡ったことは、草間の芸術的生命に新しい契機をもたらした。「毎日朝から晩まで一生懸命描」き、白黒作品「無限の網」が一躍脚光を浴び、布で表面を覆った立体作品や、多くの反戦パフォーマンス、人体芸術、ファッションショーなどはニューヨークでたいへんな反響を呼んだ。

1993年、草間はベネチア・ビエンナーレに参加し、彼女の名声はますます高まった。芸術に対するとどまるところを知らない追求は、他の分野にも広がりを見せている。彼女は映画「草間の自己消滅」を自作自演し、小説や詩集も発表し、いかなる拘束も受けない斬新な表現形式を誕生させた。近年、松本市美術館の「幻の華」などの大型野外彫刻が、草間の非凡な芸術的才能をますます強く感じさせる。

今年10月、ニューヨークで草間の個展が開かれるため、彼女は百以上の黒白絵画シリーズの製作に没頭している。「今まで苦労してきましたが、ここまで努力してこられて嬉しいです。みなさんの注目の中で、全力で仕事を続けていきます。私の作品にみなさんがずっと興味を感じてくださることを祈っています。」草間は心からの言葉で喜びを表した。「今、注文が世界中から来て、作品を全世界で制作しています。日程はかなりきついのですが、人生はこれから始まるのです。新しい考え方で、新しい作品を創造し、新しい世界に向かっていくのです。」

尽きることのない探究心が、草間の新しい創造の魂に新しい火をつけたのである。
(C)2006 YAYOI KUSAMA
草間彌生公式サイト http://www.yayoi-kusama.jp/
 
世相・若者の生き方

十月十日は萌えの日

日本では10月10日と言えば誰でも「体育の日」を連想する(現在の法律では10月の第2月曜に変更されたが)。また、この数字を横にすると目と眉毛のような形なので、「目の愛護デー」でもあり、「銭湯」→「せんとう」→「千十」→「1010」ということから「銭湯の日」でもある。ところが今度は、10月10日は「萌えの日」であるという定義が出てきた。なぜか?理由は非常に単純だ。「萌」という漢字を分解すると、「十日」と「十月」になるというのである。

「萌え」というのは、もともとアニメ、漫画、ゲームなどで創造されたキャラクターに対して感じる高揚感のことである。この言葉は21世紀になって日本社会で普遍的に認められるようになり、その経済価値はビジネスの対象として注目され、研究と応用が進められている。2004年には、「萌え」は「流行語大賞」にノミネートされ、2005年にはベストテン入りした。浜銀総合研究所の調査によれば、人の感情に働きかける書籍、映像、ゲームなどの市場規模は、2003年には888億円に達したという。野村総合研究所では、オタクの消費者層の主な五つの分野(アニメ、漫画、ゲーム、アイドル、組立PC)の消費規模は2900億円に達したとしている。

「萌え」が名詞化されたのは、この言葉が「萌える」という動詞としてだけではなく、「もえもえ」あるいは「もえ〜!」という形で気持ちの表現に使われるためだろう。

「萌え」は「燃え」と同音であり、キャラクターに対する熱い愛情を表すが、「萌え」には「芽が出る」という意味もあり、愛情が芽生えるという意味も含むため、その細やかなニュアンスによって日本の若者の間で瞬く間に広がった。「萌え」に関わる言葉としては、「電車男」、「メイド」、「メイドカフェ」など枚挙にいとまがない。
萌え.jp画像掲示板 http://moe.homelinux.net/
 
編集後記

黒木メイサが世界遺産の「九寨溝と黄龍」で撮影したANA(全日空)のCMを見て、その青い山と碧の水、黄と緑が重なり合う美しさに心をひかれて、私が先週パンダのふるさとへと旅立った。
関連サイトは全部調べ、現地の天候の変化も把握して、準備万端で旅に臨んだ。ところが、思いがけないトラブルが起こった。同行の70歳近い日本の老婦人がひどい高山病の症状で突然倒れ、空港の救護室で酸素吸入と点滴を受ける事態になってしまったのだ。

すべてが落ち着いたのは午後3時で、行程を乱さないために我々は、観光客が下山を始めた頃に、雨をついて海抜3800メートルの高さまで登る黄龍登山道を歩き始めた。
初めのうちは水の流れも細く、松風と鳥の声に包まれていたが、次第に周囲に霧が立ち込め始め、空の色も暗くなって、チベット服の男女の作業員たちが暗くなる前に下山しようとして通り過ぎるのとすれ違った。山小屋はすでに閉まっており、でこぼこした山道には人影もなかった。

あたりがぼんやりとして、夜のとばりが下りてくる。山風が寂しく吹き、木々の影が重なり合い、歩くにつれて暗闇が目の前で静かに開き、背後で素早く閉じる。濃霧なのか瘴気なのかも判然とせず、骨にしみるほど冷たい雨が顔に注ぐ。滑りやすい道によろよろと足を進め、空腹でますます体の動きが鈍くなる。暗闇の中を永遠に歩き続けるような恐ろしさを感じ、絶望的な気持ちに襲われたのは初めてのことだった。

下山する時、後ろから携帯酸素ボンベを使う息づかいが聞こえてきた。それは栃木県から来た老婦人で、うっかり足を滑らせて右ひじに怪我をしたにも関わらず、小さなペンライトを持って暗闇の中を元気に歩いているのだ。彼女の息づかいを聞いて、突然勇気が湧いてくるのを覚えた。助け合ったり支えあったりしながら、2時間近くの苦しい山歩きが終わり、とうとう遥か先に観光バスの微かなヘッドライトが見えてきた。

翌日は遠くまで晴れ渡る天気で、空も水も澄み切っていた。我々は九寨溝の神話のような世界を逍遥した。陽光によって絶え間なく表情を変える翡翠のような緑の水、壮大に水しぶきを上げる中国で最も幅の広い滝……、テレビCMで見たのよりずっとずっとすばらしく、比類のない美しさに、陶然として去りがたい気持ちにさせられた。

栃木の老婦人は体調のために車内に残ったので、同行することはできなかったが、昨夜彼女が気持ちをこめて語った言葉は私の耳にまだ響いていた。「夜と昼の違いは紙一重です。どんな暗闇であっても、いつか明るくなる時が来る。だから、暗闇を恐れることはない。恐ろしいのは、我々の心の中にある暗闇に対する恐怖なのです……。」