音楽で食べていく方法 2005/08/27

メルマガ：音楽で食べていく方法
タイトル：音楽で食べていく方法 2005/08/27

　　　　　　　大胆企画　　　「音楽で食べていく方法」　　　　　　　　　　　　　トライトーン発行第７号　　　CM音楽制作会社で活躍しているアーティストたちが　　　音楽で食べていく方法について語ってくれています。　　　　　　毎回、持ち回りで各アーティストが音楽の実践を語ってくれます。　　　その中で、実践していくテクニック、楽しさ、裏話またプロとしての　　　初仕事、仕事をもらうきっかけ　などをもとに　　　どうやって音楽を生業としてやっていくのかを、探っていただければ　　　幸いです。（正直、我々も仕事を獲得するのに必死で頑張ってます。）　　　　＜＜お知らせ＞＞　　　この度、メルマガに記事を寄せてくれているアーティストら　　　(横井ラン、呑舎利、多美恵)がそれぞれ、　　　CDを制作、販売することになりました。　　　実際にどんな音を作っているのか　　　興味のある方は一度、試聴してみてください。トライトーンホ－ムページ http://www.mgtry.net/index.html お知らせ終わり。　目次　　　　1　音楽の現場から　「映像音楽の制作に関して　２」　　呑舎利　　　2　音作りについて　「誰でも分かるオーディオデータ圧縮　４桝屋直紀　　3　気になる音楽　　「ミッシェル・ルグラン」　横井ラン　　　　　　　　 ---------1　音楽の現場から------------------------------------------ 　　　　「映像音楽の制作に関して」　　呑舎利　 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 呑舎利（どんしゃり）　 "呑舎利組合"主宰。　　一応音楽の学び舎を卒業しているらしいが、多くを語ろうとしない。　　長い修行・熟成の期間を経て、　　いよいよ音楽業界へ本格的なダイブを画策中。「和」を声高に叫ぶ割に、時折妙な日本語が飛び出す。ラーメンより蕎麦好きなのは「和」どうこう以前に内臓年齢がヤバい　　　証拠。ちなみに、実年齢は内臓ほど年老いてはいない。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 　　　　読者の皆様、こんばんは。　　　勝手な映画紹介のコーナーでお馴染み？の、呑舎利です。　　　「音楽制作の現場から」ということで、　　　　先週に引き続き「劇判」のお話をします。　　　+++++前編からのつづき　　　　　　特に実写、生身の人間が演技をしている場合、映像が発する情報量は　　　アニメ等と比べても格段に多く、とても慎重で繊細な表現を要求されます。　　　ココの答えを読み解く力は、音楽的な才能とはまた違ったスキルです。　　　劇判として、最大の効果を引き出すには　　　作品全体のテーマ、台詞の間合い、役者の表情、カメラワーク、効果音等、　　　全ての要素を睨みつつ、0.5秒単位での作曲が必要とされます。　　　ただ、切り貼りやタイムストレッチの技術が進み、　　　この昔ながらの手法は現在、長篇映画でも（特に邦画では顕著に）　　　あまり使われなくなってきました。　　　結果が良ければ問題は無いのですが、　　　まるでテレビドラマのような音演出を、劇場に足を運んでまで　　　見せられては、やはり興醒めです。　　　確かに、作曲法は教えてくれる場所があっても、　　　音楽と映像の突っ込んだ関係を教えてくれる所は無いような状況です。　　　現場と経験で修得するしかないのです。　　　もう職人の世界ですね。　　　現在の邦画の状況は、そのような技を持つ職人肌の作曲家が　　　明らかに減ってきていることを思わせます。　　　なんか、大変な部分だけ紹介してしまいました。　　　確かにとても難儀な仕事です。　　　多くのジャンルに対応していなくてはなりませんし、　　　音楽だけでは無く映像の知識や、もちろん仕事の早さも要求されます。　　　・・それだけに、やりがいのある仕事である事は確かです。　　　自分の手掛けた作品を、一般の方々に混じって映画館で観る時の充実感は　　　言い表わし様がありません。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　呑舎利　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ---------２　音作りについて---------------------------------------------- ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 桝屋直紀明治大学理工学部卒、AMVOX で作曲、編曲を学ぶ。作曲家穂口雄右氏に師事。主な作品　東邦銀行（TVCM）　ほか。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 　　　メルマガ５号　でお話した　圧縮の方法　の後半です。　　　　　　　○『ジョイントステレオ』　　　：オーディオデータがステレオの場合、左右の音の相関関係からより多く　　　の冗長度を判別しデータを間引くという設定です。これは高圧縮の場合に　　　ステレオ感がなくなる場合があります。　　　　　○『LPF』　　　：ローパスフィルターといいますが、高圧縮でデータが削除された場合、　　　高域周波数のノイズが発生します。これを抑えるために高域の音をカット　　　するフィルターです。LPFをかけると低圧縮の場合、音質が下がる場合が　　　　あります。　　　ビットレートについてはさまざまな議論がありますが、まずご自分の耳で　　　　確認しながらデータ量との兼ね合いを考えて設定したほうがよいと思いま　　　す。参考までにmp3の劣化の判断基準として、高域の音を注意して聞いて　　　みてください。特にハイハットやクラッシュシンバルの音の違いで判断で　　　きることがあります。　　　圧縮ソフトやエンコーダによっても音質は違いますが、192kbps以上であ　　　れば、ほぼ劣化は気にならないと思いますので、ファイルサイズとの兼ね　　　合いからもお勧めは160kbpsか192kbpsです。　　　よく音質で16kHz辺りまで音が出ているかどうか議論されます。消したつ　　　もりになっていたTVが『ついている気がするな』と思ったことは無いでし　　　ょうか？実は、TVから発生しているある周波数を耳が感じているからです。　　　その周波数が約16kHzです。　　　　つまり感じる感じないの音ですので、音質云々と言う領域の話ではないと　　　思いますが、これも判断基準の一つになると思います。　　　　これで圧縮の話は終了です。　　　お付き合いくださった皆さんありがとうございました。皆さんにとって有　　　用な情報はあったでしょうか？　　　また次のテーマでお会いしましょう。　　　 ---------3　気になる音楽------------------------------------ 「ミッシェル・ルグラン」　横井ラン ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 横井ラン　　　日本音楽院（現AMVOX）で作曲、編曲を学び、　　　作曲家　すぎやまこういち氏に師事。　　　ＣＭ音楽制作会社　有）トライトーン設立。　　　主な作品　ニューバランスTVCM ほか。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 　　　　気になる音楽というよりは、私の一番、理想とする作曲家で、　　　　フレンチポップスの巨匠、　　　　映画音楽作曲家　ミッシェル・ルグラン　について　　　　語らせていただきます。　　　　ピンと来ない方がいらっしゃったなら　　　　「風のささやき」「シェルブールの雨傘」「おもいでの夏」の作曲者　　　　といったらおわかりだと思います。　　　　あの甘く、せつないメロディーに　　　　魅了された方も多いことと思います。　　　　　　　　メロディーメーカー　というだけでなく、自由奔放なアレンジは　　　　ちまちました（？）作曲法など知らなくても、思うようにやれば　　　　音楽なんてなんでできるさ、という錯覚（？）に陥るほど痛快に　　　　自由にアレンジしてしまいます。　　　　コンセルヴァトワールを首席で卒業するほど、アレンジの知識を　　　　熟知したうえでできる技、なので　　　　絵画でいうと、充分に技量を磨いた上で、あえて自由奔放に　　　　大衆を　え？　と思わせる　「ピカソ」にも　似た印象を　　　　（ある意味では）与えてくれます。　　　　決定的に違うのは、ミッシェル・ルグランのアレンジは、　　　　大衆を　「え？」　　　　ではなく、　　　　「あ～、いい～」　　　　と恍惚にさせてくれるところでしょうか。　　　　映画『ロシュフォールの恋人たち』（ドミー監督）では　　　　（TVCMにもこの間まで、この中の曲が使われていました。）　　　　まさに、メロディーもアレンジも美しいものばかりで、　　　　是非、一度、ご覧になることをお勧めいたします。　　　　（ストーリーはたわいのないものですが、　失礼！　）　　　　　　　　私も、ミッシェル・ルグランのアレンジの手法を　　　　今回制作したCD「クラシカルポップスⅠ」の中でも　　　　一部、使っております。　　　　不思議と　メロディーをまねると「盗作」になりますが　　　　アレンジをまねても「盗作」にはならないんですよね。　　　　「まねる」は「学ぶ」に通じてますので、そのような解釈で　　　　いいのでしょう。　　　　　　　　話はそれましたが、今回はここまで。　　　　次回からはまた　　　　　「サントラで嗜む極めて私的な映画紹介」　呑舎利　　　　　をお送りする予定です。　　　　　　　 ---------------------------------------------------------------- 　　　　　以上、今回も内容、盛りだくさんでした。　　　　お楽しみいただけましたか。　　　　　================================================ 　　　　　<注意> 　　　　「音楽で食べていく方法」に記載した全文は　　　　トライトーンはじめ、執筆者が著作権を有するもの　　　　であり、固く複製禁止をお願い申し上げます。 ================================================= 　　　　　大胆企画　　　　　「音楽で食べていく方法」　は　　　　　来週土曜日、発行予定です。　　　　　次号をお楽しみに！！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ご意見、ご感想は　　　　　　trytone@mgtry.net　　まで　　　　　　　　　　　　　トライトーン　　　　　　　　　　　　　http://www.mgtry.net/

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