メルマガ:クラシカルMIDIマガジン
タイトル:【vol.60】クラシカルMIDIマガジン06/05/1214:48Fri5〜なにがなんでもクラシック♪〜  2006/05/12


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■■◆ ク┃ラ┃シ┃カ┃ル┃M┃I┃D┃I┃マ┃ガ┃ジ┃ン┃  ◆■■
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◆   −−[vol.252] 2006.05.13 −♪なにがなんでもクラシック♪   ◆

┏━━━━━━━┓     ◆◆ 目 次 ◆◆         Total 393行
┃┌─────┐┃
┃│CLASSICAL │┃【1】クラシカルMIDI 新着紹介         【 15 曲 】
┃│ MIDI.NET │┃【2】渡辺純一のCDお気楽レビュ〜
┃└─────┘┃【3】おしらせ&編集後記
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  ♪♪♪♪♪♪     音楽&MIDIニュース     ♪♪♪♪♪

ザ・ビートルズ、アップルコンピュータとの“リンゴ”をめぐる闘いに敗れる!

ザ・ビートルズが、アップルコンピュータとの法廷闘争に敗れた。ポール・マッ
カートニー卿、リンゴ・スター、そしてジョン・レノンとジョージ・ハリスンの
遺族がオーナーを務める英レコード会社アップルが、音楽産業に参入しないとい
う商標契約に背いたとして、音楽配信サービス「iTunes Music Store」を行なう
米アップルコンピュータを相手に起こしていた訴訟の判決がこのたび下された。
英高等法院のエドワード・マン判事は、アップルコンピュータはリンゴの商標を
音楽ではなくストアに使用しているのであって、契約に反するものではないと
裁定。BBCニュースによると、英アップルは損害賠償および米アップルコンピュ
ータの音楽配信事業でのリンゴの商標の使用差し止めを求めていたという。
米アップルコンピュータは'76年の創業時より側面がかじられたリンゴのロゴ
マークを使用してきた。一方、'68年にビートルズが創設したの英アップルは、
グラニー・スミス種の完全な形をしたリンゴのロゴで知られている。両社は
'91年にこのリンゴの商標の使用について取り決めを行ない、音楽ビジネスに
関しては英アップルにのみリンゴの商標を使用する権利が与えられていた。

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◆◆【1】◆◆ クラシカルMIDI 新着紹介  5/05〜5/11 15 曲 ◆◆

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┃ 交 響 曲   ┠──────────────────────┤01│
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 ◆交響曲 第4番 へ短調 作品36 第1楽章 
                                   P.I.チャイコフスキー SC-8850 GS,MP3

  [交響曲][コピー][複数曲 部分][T] (2006/05/08)
  [掲載] Pausa [作者] ラベンダー
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4660&UserNum=3145
  チャイコフスキーの交響曲の中で最も変化の多い、最も熱情的な曲だそう
   です。1878年に作曲されました。

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┃ 管 弦 楽 曲  ┠──────────────────────┤02│
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 ◆交響組曲『三つのオレンジへの恋』Op.33b 
                          S.プロコフィエフ SC-8850 MU-90 MP3 GS,XG,MP3

  [管弦楽曲][コピー][複数曲 全曲][P] (2006/05/08)
  [掲載] VIRTUAL SYMPHONY ORCHESTRA [作者] 小坂”たれしゃん”智裕
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4595&UserNum=3133
  第5曲「王子と王女」、第6曲「逃亡」です。これで全曲完成です。
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 ◆メヌエット ト長調&ト短調 BWV anh.114/115       J.S.バッハ AC-XG XG

  [管弦楽曲][アレンジ][単一曲 全曲][B] (2006/05/10)
  [掲載] Szene am Bach - 古楽MIDI工房 [作者] Obendorf
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4663&UserNum=4085
  「アンナ・マクダレーナ・バッハのための音楽帳」より、アノ有名なメヌ
   エット。バロック音楽らしさと古楽演奏風にこだわり、フルート(トラヴェ
   ルソ)とバロックオーボエ中心の管弦楽編成に編曲してみました。

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┃ 鍵 盤 曲    ┠──────────────────────┤04│
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 ◆ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 Op. 13 「悲愴」 L.van.ベートーべン  GM

  [鍵盤曲][コピー][複数曲 部分][B] (2006/05/11)
  [掲載] PASSACAGLIA PROJECT [作者] Tamerlano
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4664&UserNum=4023
  第1楽章をアップしました。
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 ◆謝肉祭 Op.9                                   R.シューマン XG系 GM

  [鍵盤曲][コピー][複数曲 部分][S] (2006/05/10)
  [掲載] Andante comodo -音の住む館- [作者] 塩まぶし
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4624&UserNum=4029
  「ピエロ」、「アルルカン」、「高貴なワルツ」をアップ。
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 ◆歌劇『ルスランとリュドミラ』序曲                   M.グリンカ  MP3

  [鍵盤曲][アレンジ][単一曲 全曲][G] (2006/05/07)
  [掲載] あそびの音楽館 [作者] Jun-T
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4659&UserNum=4053
  グリンカの有名な序曲をピアノ連弾でやってみました。
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 ◆ピアノソナタ K.547a(Anh.135) ヘ長調          W.A.モーツァルト  GM

  [鍵盤曲][コピー][複数曲 全曲][M] (2006/05/06)
  [掲載] Ueno's MIDI Room [作者] ueno
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4654&UserNum=3035

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┃ 歌    曲 ┠──────────────────────┤06│
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 ◆五つの歌曲『ヴェネツィア』作品58                   G.フォーレ  MP3

  [歌曲][アレンジ][複数曲 部分][F] (2006/05/07)
  [掲載] あそびの音楽館 [作者] Jun-T
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4658&UserNum=4053
  フォーレ中期の傑作歌曲集を、ヴァイオリンとピアノでやってみました。
   第1曲『マンドリン』と第2曲『ひそやかに』をアップしました。
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 ◆傲慢                                         M.ムソルグスキー  MP3

  [歌曲][アレンジ][単一曲 全曲][M] (2006/05/10)
  [掲載] あそびの音楽館 [作者] Jun-T
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4662&UserNum=4053
  ムソルグスキーの後期の歌曲です。チェロとピアノでやってみました。同じ
   歌詞にはボロディンも作曲しており、聴き比べてみるのも一興かと存じま
   すm(__)m
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 ◆みなしご                                     M.ムソルグスキー  MP3

  [歌曲][アレンジ][単一曲 全曲][M] (2006/05/06)
  [掲載] あそびの音楽館 [作者] Jun-T
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4656&UserNum=4053
  タイトルどおり悲惨な内容の歌曲です。ヴァイオリンとピアノでやってみま
   した。
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 ◆きのこ狩り                                   M.ムソルグスキー  MP3

  [歌曲][アレンジ][単一曲 全曲][M] (2006/05/06)
  [掲載] あそびの音楽館 [作者] Jun-T
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4655&UserNum=4053
  見た目は明るく楽しげで、その実は命を奪う毒キノコのような内容の歌曲
   です。フルートとピアノでやってみました。
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 ◆イェリョームシカの子守唄                     M.ムソルグスキー  MP3

  [歌曲][アレンジ][単一曲 全曲][M] (2006/05/06)
  [掲載] あそびの音楽館 [作者] Jun-T
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4653&UserNum=4053
  ムソルグスキーらしい重苦しい子守唄です。イングリッシュ・ホルンとピア
   ノでやってみました。
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 ◆デュパルク歌曲集                                 M.デュパルク  MP3

  [歌曲][アレンジ][複数曲 部分][D] (2006/05/06)
  [掲載] あそびの音楽館 [作者] Jun-T
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4619&UserNum=4053
  フランス近代の作曲家、アンリ・デュパルクのすべての歌曲を独奏弦楽器と
   ピアノ伴奏でやってみようという試みです。『ギャロップ』『セレナーデ』
   をアップしました。

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┃ オルゴール   ┠──────────────────────┤02│
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 ◆聖なる寺院の奥に                                      G.ビゼー  GM

  [オルゴール][アレンジ][部分][B] (2006/05/10)
  [掲載] Septuor [作者] 703x
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4661&UserNum=3122
  オペラ「真珠採り」より、美しい男声二重唱の一部分をオルゴールの音色
   でどうぞ。
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 ◆クラリネット協奏曲第2楽章         W.A.モーツァルト SC8820,GM GM,GS

  [オルゴール][アレンジ][部分][M] (2006/05/07)
  [掲載] ベーシストの休日 [作者] じゅうさん
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4657&UserNum=3146
  モーツァルトらしい優美で明るい緩徐楽章です。

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◆◆【2】◆◆ 渡辺純一のCDお気楽レビュ〜 ◆◆

プロコフィエフ:交響曲第 1 〜 7 番
ワレリー・ゲルギエフ指揮ロンドン交響楽団
Philips 475 7655 (4 枚組)

 2007 年 1 月からロンドン交響楽団の主席指揮者に就任するゲルギエフですが、
そのコンビによるプロコフィエフの交響曲全集が発売されました。ゲルギエフの
プロコフィエフはトレーゼとのピアノ協奏曲全集や《ロメオとジュリエット》
《アレキサンドル・ネフスキー》《スキタイ組曲》、それに歌劇など出ており、
プロコフィエフに注力している様子でしたが、いきなり全集で交響曲でというの
も凄いです。録音も 2004 年の 5 月 1〜8 日の間に全曲が集中的に行われており、
LSO での全曲演奏会とのタイアップと思われます。

 CD 4 枚組に 1〜7 番の交響曲と、嬉しいことに第 4 番の初稿版も収録されて
おります。

 さてまず録音ですが、これがかなり良くありません。ライヴ録音の関係もあっ
てか、かなりのオンマイクで、ホールトーンは呆れるほどありません。さらに
ゲルギエフ特有の中低域重視の録音バランス、しかもスピード感が無くまとわり
つく低音なので、かなりブーミーに聞こえます。そしてゲルギエフ本人にまで
マイクが付いているんではないかと思えるほど、ギョエ・ジュワ・ホォゥなどと
いう喘ぎノイズが多いのも興ざめ。プロコフィエフでは珍しく(私は初めて聞いた)
ヴァイオリンの両翼配置を取っていますが、ステレオ感に乏しい録音のためそれ
もあまり効果的に聞こえません。「CD 音痴論」じゃありませんが、根音の音程感
の無さや倍音の破壊などで、プロコフィエフのオーケストレーションの面白い部
分がまるで聴き取れない最悪の録音です。

 演奏の方も、情熱的な指揮ぶりは伺えますが、芸風としては画一的な印象を受
けます。全体的にかなり煽っている雰囲気で、テンポも走りぎみに感じられます。
じっくり聴かせる場面もありまずか、階調は少ない感じ。曲の行間があまり滲み
出てこない演奏ですが、ロンドン響のパワフルで確実な演奏のお陰もあり、総じ
て安定した高いクオリティの全集となっています。

 第 1 番《古典》。ヴァイオリンの両翼配置が一番効果的に聴こえる曲でした。
第 1 楽章は新古典主義的な演奏で、落ち着いてじっくり聴かせてくれるのでなか
なか良いです。ゲルギエフは 1 音 1 音のキャラクタ付けを明確に出すので、
こういう構造的な演奏は聴き応えあります。第 2 楽章はやや陰影を濃くし、
細かいダイナミクスの山を幾つも築いていきます。モダンな印象よりロマンティ
ックな演奏になってきています。後半で落ち着いたテンポに堪えられなくなって
急に早くなりますが、偶発的なものであまり狙ってやった感じには聴こえません。
第 4 楽章はかなり早めの演奏で、疾走感や爽快感が出そうなものですが、なぜか
ハンマー投げを早回しで見ているような無理矢理感が漂っています。このテンポ
ではフルート族たいへん。しかしロンドン響の合奏力は素晴らしい。

 第 2 番。2 楽章形式で、第 1 楽章は前衛的で堅い音楽。常にやかましくて
 mf 以下になることがほとんど無い爆音世界。ゲルギエフ向きの曲だろうと何と
なく想像していましたが、大雑把な解釈のためロンドン響の頑張りの割りには
報われていません。鳴らし方は巧いですが全部を聴かせようとするあまり重心
の持って行き所が狂っており、方向感覚が無く漠然としすぎています。第 2 楽
章は変奏曲。作品は打ってかわって牧歌的な様相を呈します。作品自体にメリハ
リがあるのでゲルギエフの演奏も良い感じになっています。第一変奏は Listesso
 tempo で、「テーマ」と同じテンポの指定ですが、倍早いテンポになっていて
びっくり。お陰で変奏された主題が知覚されやすくなっていますが、これで良い
のかしらん。その問題を抜きにすれば、ロンドン響の名妓が堪能できる良演であ
ります。しかし肝心な第 4 変奏 Larghetto のゲルギーの喘ぎ声のうるさいこと。
音楽に集中出来ません。それと、第 6 変奏でマラ2風 Tutti マーチへ向かう
までの強迫感などがもうちょっとありましたら、それこそ最高の演奏になった
かもしれません。

 第 3 番は、マーラーの 6 番のような破滅的ヒロイックさのある曲で、個人的
にプロコフィエフの交響曲のなかで最も好きな曲です。演奏から伺えるゲルギエフ
のテンションの高さも相当なもので、聞き手にも異常なまでの集中力を強います。
そして、あまりにも気合いが入るものだから走る走る。演奏の限界を超えてると
思えるほどですが、ロンドン響も良く付いて行けたなと感心します。顕著に走る
のは第 1 楽章ですが、私のリファレンスであるムーティ盤は 13'46"、ゲルギエ
フは 11'32" と約 20% 程度早くなっています。特に展開部からが猛烈な煽りで、
ハラハラします。はっきり言って演奏内容が凄いのか、演奏者的な耳でスピード
にどきどきしてしまっているのか判らない。この曲の本当の面白さではないと
思いますが、これはこれで記憶に焼き付く演奏です。後続の楽章も早い演奏です
が、こちらは落ち着いて聴けないというほどではありません。作品的に、第 4 
楽章はオケが鳴りまくるだけでそれまでの楽章に匹敵するドラマ性に乏しい楽章
なのですが、ゲルギエフはうるさい部分は猛スピードで駆け抜け、中間部の静か
な部分を際だたせており、3 部構成として巧いバランスを作り出しており、この
解釈はなかなかいけると思います。

 第 4 番の [初稿版] は端正で古典的なフォルムの交響曲です。古典的と言って
も第 1 交響曲ほどカリカチュア化されてはおらずロマン性をかなり湛えています
が、ロマン派のイディオムで解釈しようとすると、途端に現実味がなくなってし
まう曲でしょう。ゲルギエフの演奏は 2 番 3 番と比べれば滅私奉公ともいえる
内容で、かえってそれが良い具合の距離感で、きびきびとした演奏になっており
ます。第 1 楽章では、改訂版では完全に作り替えられてしまった展開部が 
(あまり展開部としては機能していない音楽ですが) 迫力の演奏で面白いです。

 4 番の[改訂版] の方は、初稿を全体的に水増しした作品で、スコアの厚みで
は 2 倍強、演奏時間では 1.5 倍ほどになっていますが、基本的な構造自体は
変更されていません。序奏部分が新たに追加され、初稿での序奏が経過句のよう
な扱いになっていたり、第 1 楽章の展開部や第 4 楽章の第 2 主題部など完全に
作り替えられたり、細かい部分の繋ぎの楽節が追加されたりで、印象は随分と変
わっています。またピアノとハープの追加も大きな違いとなっています。初稿版
はブロック的な構造で古典的な作風でしたが、改訂版はより中間色を配したロマ
ン的な作品に生まれ変わったと言えるでしょう。

 私の知る限り第 4 番の初稿版を含む交響曲全集はロストロポーヴィチ盤とヤル
ヴィ盤があります。しかしロストロポーヴィチ盤は初稿版は良いけど改訂版はい
まいち、ヤルヴィ盤はその逆と、初稿版と改訂版の両方が良い演奏はなかなか
なかったのですが、ゲルギエフは初稿版と同様のアプローチで素晴らしい演奏に
なっています。感情に溺れすぎず適度な距離感を保った純交響的アプローチで、
ロマン派的に大風呂敷を広げなかったのが良かったように思えます。第 1 楽章の
導入部など、作り込もうと思えばもっと色々出来そうですが、割とかっちりと
一気に描いたようになっており、その辺でもう演奏のカラーが決まっています。
第 1 主題の切っ掛けの部分をトランペットにも吹かせているのは(再現部がはっ
きり聞こえる)、初稿版からきたアイディアでしょうか。結構効果あります。
第 2 楽章は、3'20 からのクラリネット・ソロでまともな演奏を聴いたことが
なかったのですが、上手くいっています。途中凡庸な演奏になる部分もありますが、
最後の盛り上がりは流石。第 3 楽章はキャラクタの立て方がはっきりしており、
面白く聴けます。第 4 楽章はなかなかけったいな曲ですが、ゲルギエフが振っ
てもそれは変わりなかったです。しかし構造的に上手く捉えられていて、良く整理
された演奏になっています。最後 57 回連続するトランペットの 5 連符もきっち
り吹けていてお見事。

 第 5 番はもっさりとした印象を受ける演奏。第 1 楽章は、短い旋律が入れ替
わり立ち替わり現れ、曲を織りなしていきますが、ゲルギエフの演奏はそういう
横の線の表現が悪く、刻々と様相が変わっていく様を上手く描けていません。
とにかく最初から最後まで、ずっといきんでいるような演奏。コーダの Tutti 
の中でハープの剛毛なグリッサンドが聞こえ、派手な演奏です。第 2 楽章は、
演奏的には良いのですが、八分音符などの細かい動きが音程感ある明瞭な音で
ちゃんと録音されてないのが問題。ショスタコーヴィチ的な怪しい調正感である
はずのものがクラスターのように聞こえ、立ち止まれば足が埋まってしまうよう
な泥地を全速力で駆け抜けていくという不安定感がいまいち出ていません。
第 3 楽章は 3/4 と 9/8 のぶつかりなどいまいちで、あまり官能性を感じられ
ない演奏。その場その場を上手く作っているだけで、曲の先を読んだ指揮をして
いるとは思えません。終楽章は若干早めの演奏で、落ち着いた丁寧な演奏をして
欲しいところ。但し中間部のフーガのところでテンポをゆるめ表情を作っている
のは、なかなか効果あります。

 第 6 番はこの全集の中でも屈指の出来ではないかと思います。この曲はいたる
どころがトワイライトな雰囲気で、かなりつかみ所の無い曲だと思っていました。
第 1 楽章は 6/8 拍子だという以外の特徴が感じられない演奏が多いようですが、
ゲルギエフは細かい部分の濃淡を作り込んでおり、どこに向かおうとしているの
か判らないこの曲を的確に道案内してくれます。似たような楽節の多い曲ですが、
違いを上手く際だたせており、迷宮の中で紋様の違う道しるべを上手く見つけ
辿っている気分です。提示部・展開部・再現部の緩・急・緩を生かしたドラマ性
の描出も見事。第 2 楽章は分厚いオーケストレーションが続き、何をやっている
か判らない始まり方をしますが、ここも上手く整理されており稜線がはっきり
浮き立っています。その後もデフォルメの効いた判りやすい演出で (割とスコア
がこういう要求をしている) スケール感のある演奏になっています。第 3 楽章
の Vivace は早いながらも重みがあり、軽い音楽にならないところが良いです。
途中前のめりに走ってしまっている部分がありますが、曲想的には許容範囲で
しょう。ショスタコーヴィチのスケルツォを思い起こさせもする展開部をすぎ、
終楽章であることの証として第 1 楽章の再現を行い、ど派手なコーダに突入し
ますが、最後まで破綻無くまとめ上げています。

 第 7 番。このチャーミングな曲をゲルギエフがやると一体どうなるかと思っ
ていましたが、意外と良い演奏になっています。第 1 楽章の第 1 主題はかなり
ゆったり目で振幅の大きな演奏で、序奏部のような不安定な描き方をしており、
全体として彫りの深いドラマチックな演奏になっています。第 2 楽章はもっと
ガンガンやるかと思いましたが、割と平常心な演奏。それでもカロリー高そう
な音ではありますが。2'10" からの弱音器を付けた弦楽器の雰囲気が良いです。
第 3 楽章は "白鳥の歌" 的な切なさのある楽章ですが、ゲルギエフはどちらか
と言えば子守歌的な満ち足りた雰囲気にしています。2'28" からのオーボエ・
ソロで倍近くスピードアップ。ちとこれは頂けません。そもそも曲想がかなり
変わるシーンなので、わざわざテンポを変えなくともいけますし、それこそ
ベビーベッドの上で廻るメリーゴーラウンド的です。第 4 楽章は賑やかな演奏
で、コミックな演奏と紙一重といった微妙なバランスで成り立たせており、辛気
くさくなくそれでいて安っぽくない良い線を付いています。コーダで第 1 楽章
第 3 主題の宇宙的な音楽が再現されますが、剛毛なハープのグリッサンドが
聴かれ不思議な効果を出しています。なおエンディングはこのまま終わるオリ
ジナル版を採用。後に、ロンド主題で賑やかに終わるコーダが付け足されまし
たが、これはプロコフィエフの本意ではなかったとのこと。この CD の国内盤
にはボーナストラックとして、その賑やかエンディングの第 4 楽章が収録され
るようですが、特に無理して聴くほどのものではないでしょう。

 ゲルギエフが気合いを入れすぎた 2, 3, 5 番は、気迫以上のものが聴かれず
もどかしい思いをしましたが、それ以外の曲は適度に冷静さを保っているよう
で、なかなか素晴らしい演奏になっています。全集盤としてお薦め出来るディ
スクです。なんと言ってもロンドン響の合奏力の高さは素晴らしく、これで録音
が良かったらどれだけの名盤になっていたことか。EMI は最新録音とは思えない
ほど渋い録音をしてくれますが、Philips もこんな調子じゃお先真っ暗です。
録音部も Decca と統合して、Decca サウンドにしてしまえば良いのに。まあ、
Decca も近年は録音的には駄目になっていますがね。耳の良いエンジニアは一体
どこへ行ってしまったのだろうか。

Recording producer: James Mallinson
Balance engineer: Jonathan Stokes
Recording location: Barbican Hall, Barbican Center, London, 
Live recordings

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◆◆【3】◆◆ おしらせ ◆◆

次回発行予定は、5月20日です。

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