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タイトル:【vol.56】クラシカルMIDIマガジン06/04/1408:50Fri6〜なにがなんでもクラシック♪〜  2006/04/14


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■■◆ ク┃ラ┃シ┃カ┃ル┃M┃I┃D┃I┃マ┃ガ┃ジ┃ン┃  ◆■■
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◆   −−[vol.248] 2006.04.15 −♪なにがなんでもクラシック♪   ◆

┏━━━━━━━┓     ◆◆ 目 次 ◆◆         Total 356行
┃┌─────┐┃
┃│CLASSICAL │┃【1】クラシカルMIDI 新着紹介         【 15 曲 】
┃│ MIDI.NET │┃【2】渡辺純一のCDお気楽レビュ〜
┃└─────┘┃【3】おしらせ&編集後記
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  ♪♪♪♪♪♪     音楽&MIDIニュース     ♪♪♪♪♪

細川氏の協奏曲、世界初演 ドイツ3都市で

 【ベルリン10日共同】モーツァルト生誕250年の記念行事作品として日
本人作曲家の細川俊夫氏が作曲したピアノ協奏曲「月夜の蓮」が7日、ハンブ
ルクで世界初演された。8日にリューベック、9日にはキールと、ドイツ北部
の計3都市のお披露目となった。
 北ドイツ放送交響楽団が2006年の「モーツァルト年」を記念して5曲の
新作を世界の作曲家に依頼し、昨年9月から順次演奏してきた。日本人として
は細川氏だけが選ばれた。
 7日の初演では準メルクル氏の指揮で日本人ピアニスト児玉桃さんが、モー
ツァルトのピアノ協奏曲イ長調に続けて細川作品を演奏。「月夜に開花する
ハスの花が夢にまどろみ、夢の中にモーツァルト音楽へのあこがれが託される」
(細川氏)という神秘的な響きに会場からは「ブラボー」の声も出た。
(共同通信)
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◆◆【1】◆◆ クラシカルMIDI 新着紹介  4/07〜4/13 15 曲 ◆◆

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┃ 交 響 曲   ┠──────────────────────┤01│
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 ◆交響曲1番「古典交響曲」第2楽章             S.プロコフィエフ  MP3

  [交響曲][コピー][複数曲 部分][P] (2006/04/11)
  [掲載] DTMコンサート・スクエア [作者] プレスト
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4610&UserNum=4069
  シンプルな曲ですが、なかなかモダンな感じのところもある曲です。まあ、
   自然な表現に仕上がりましたので、お聞きください。

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┃ 管 弦 楽 曲  ┠──────────────────────┤01│
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 ◆交響組曲『三つのオレンジへの恋』Op.33b 
                          S.プロコフィエフ SC-8850 MU-90 MP3 GS,XG,MP3

  [管弦楽曲][コピー][複数曲 部分][P] (2006/04/10)
  [掲載] VIRTUAL SYMPHONY ORCHESTRA [作者] 小坂”たれしゃん”智裕
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4595&UserNum=3133
  第2曲「恐怖の情景」、第3曲「行進曲」です。「恐怖の情景」はハープと
   弦楽器が目覚ましい活躍を見せ、「行進曲」はプロコフィエフの全作品の中
   で最も人気が高い楽曲の一つです。

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┃  協 奏 曲   ┠──────────────────────┤04│
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 ◆ピアノ協奏曲第24番ハ短調K.491から第2楽章     W.A.モーツァルト  MP3

  [協奏曲][コピー][複数曲 部分][M] (2006/04/12)
  [掲載] あそびの音楽館 [作者] Jun-T
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4612&UserNum=4053
  モーツァルトのこのあたりのピアノ協奏曲は、木管の美しさが際立っている
   はずなんですが、なんだか情けないものになってしまいました。
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 ◆バイオリン協奏曲ホ短調                F.メンデルスゾーン SC8820 GS

  [協奏曲][コピー][複数曲 全曲][M] (2006/04/10)
  [掲載] ベーシストの休日 [作者] じゅうさん
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4442&UserNum=3146
  三大ヴァイオリン協奏曲のひとつと言われるメンデルスゾーンの代表作。
   全楽章完成しました。
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 ◆3台のチェンバロのための協奏曲第2番ハ長調 BWV1064  J.S.バッハ  GM

  [協奏曲][コピー][複数曲 全曲][B] (2006/04/10)
  [掲載] 鈴ちゃんの MIDI [作者] 鈴ちゃん
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4608&UserNum=3030
  散逸した3つのヴァイオリンのための協奏曲の編曲と思われています。
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 ◆ブランデンブルグ協奏曲第4番BWV1049            J.S.バッハ SC8820 GS

  [協奏曲][コピー][複数曲 部分][B] (2006/04/07)
  [掲載] ホルンオヤジのクラシックミディ [作者] ホルンオヤジ
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4604&UserNum=3108
  ブランデンブルグ協奏曲第4番の第1楽章をUPしました。独奏バイオリンと
   2本のリコーダーのための協奏曲です。

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┃ 室 内 楽 曲   ┠──────────────────────┤01│
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 ◆2つの悲しき旋律(Op.34)より 2.過ぎし春(Varen)      E.グリーグ  MP3

  [室内楽曲][コピー][複数曲 部分][G] (2006/04/07)
  [掲載] 「短調」の音楽のページ [作者] 短調
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4603&UserNum=4108
  弦楽曲です。とても和音が厚くて、春の感じが出ています。ホントいい曲
   だと思います。

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┃ 鍵 盤 曲    ┠──────────────────────┤06│
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 ◆軍隊行進曲第1番 D.733、Op.51-1                F.シューベルト XG GM

  [鍵盤曲][コピー][単一曲 全曲][S] (2006/04/13)
  [掲載] Andante comodo -音の住む館- [作者] 塩まぶし
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4615&UserNum=4029
  連弾版です。
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 ◆アヴェ・マリア (S 545)                                F.リスト  GM

  [鍵盤曲][コピー][単一曲 全曲][L] (2006/04/12)
  [掲載] PASSACAGLIA PROJECT [作者] Tamerlano
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4613&UserNum=4023
  
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 ◆ピアノソナタ第8番 イ短調 K.310                W.A.モーツァルト  GM

  [鍵盤曲][コピー][複数曲 全曲][M] (2006/04/12)
  [掲載] Ueno's MIDI Room [作者] ueno
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4611&UserNum=3035
  
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 ◆オジーブ                                      E.サティ 特になし GM

  [鍵盤曲][コピー][複数曲 全曲][S] (2006/04/10)
  [掲載] Craneのページ [作者] 音楽家Crane
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4605&UserNum=4112
  OGIVES 全4曲です。
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 ◆ジムノペディ                                  E.サティ 特になし GM

  [鍵盤曲][コピー][複数曲 全曲][S] (2006/04/10)
  [掲載] Craneのページ [作者] 音楽家Crane
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4606&UserNum=4112
  有名な GYMNOPEDIES 全3曲 
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 ◆交響曲第39番変ホ長調K.543                    W.A.モーツァルト  MP3

  [鍵盤曲][アレンジ][複数曲 部分][M] (2006/04/10)
  [掲載] あそびの音楽館 [作者] Jun-T
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4607&UserNum=4053
  モーツァルト3大交響曲の最初の作品。明るくのびやかなこの曲を、ピアノ
   連弾に編曲してみました。第1楽章をアップしました。

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┃ 歌    曲 ┠──────────────────────┤02│
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 ◆リーダークライス Op. 39 より                      R.シューマン  GM

  [歌曲][コピー][複数曲 部分][S] (2006/04/12)
  [掲載] PASSACAGLIA PROJECT [作者] Tamerlano
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4614&UserNum=4023
  第1曲「異郷にて」をアップしました。
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 ◆フロリンドが誠実なら                          A.スカルラッティ  GM

  [歌曲][コピー][単一曲 全曲][S] (2006/04/10)
  [掲載] Septuor [作者] 703x
  http://classicalmidi.net/db/d.cgi?cmd=j&DataNum=4609&UserNum=3122
  「もしフロリンドが誠実なら、私は恋をするでしょう」と迷う乙女心を綴っ
   た曲。

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◆◆【2】◆◆ 渡辺純一のCDお気楽レビュ〜 ◆◆

シベリウス:交響曲全集 (第 1 〜 7 番)
ネーメ・ヤルヴィ指揮エーテボリ交響楽団
[DG] 00289 477 5688 (4 SACD Hybrid)

 エーテボリ交響楽団創立 100 周年記念盤。シベリウスとエーテボリ響の関係
は深く、シベリウスは 2 番から 6 番までの交響曲といくつかの交響詩をエーテ
ボリ響で指揮したことがありり、シベリウスお気に入りのオーケストラだったよ
うです。そのエーテボリ響によるシベリウスの録音といえば、ご存じヤルヴィが
精力的に行っており、約 20 年前に BIS で交響曲全集を完成し、その他数多く
の作品もリリースしております。シベリウスの交響曲全集を何度も再録音する
指揮者は多い (多くない?) ですが、今回のように同一コンビによる再録音という
のは珍しく、それだけ両者の篤い関係というのもが伺い知れます。心情的には
 BIS が出して欲しかったですが BIS はヴァンスカの録音もありますし、一方
 DG は意外にもシベリウス交響曲全集を持っていないので(カラヤンとカムの
混成盤はありますが)、DG も喉から手が出るほど欲しいコンテンツだったのかも
しれません。

 ヤルヴィというと、アグレッシブながらも重く暗く、かなり疲れる演奏をして
くれることが多いという印象なのですが、この交響曲全集では「えっこれがヤル
ヴィ」と思わせる、期待(?)を見事に裏切る演奏を展開しております。とにかく
ヤルヴィとは思えないほど繊細な演奏。オケの美しい音色を存分に引き出して
おります。ひょっとしてヤルヴィでも、ネーメではなく息子のパーヴォだったか
…と確認したほどです。従来の重く暗いというイメージは皆無で、柔らかく時
には輝かしい音響で覆われており、ヤルヴィもまるくなったなぁと思えます。
だからといって演奏内容まで去勢されたようでは意味がないのですが、昔のよう
なごり押し感が無くなっただけで、積極的な展開は健在。これだけでは判断出来
ませんが、要するに指揮者として一番旨い時期を迎えているように聴こえます。

 この交響曲全集は番号付きの 7 曲が納められており、1 番と 7 番が 1 枚に、
後は番号順に聴けるように盤割りされていますが、ともかく番号順に聴いていき
ましょう。

 1 番は 2002 年 9 月、エーテボリのコンセルトハウスでのライヴ収録 (以下
会場は全て同じ。1 番と 2 番のみライヴ)。演奏はライヴらしく熱気あるもので、
かといって大味になっていない理想的なセッションでしょう。バーンスタインほど
どぎつくなく (曲の内容的に、バーンスタインの演奏も個人的には好きですが)、
聴き応えやスケール感は充分な演奏で、あの有名な 2 番の前哨戦として納得でき
る内容です。この作品はチャイコフスキーやブルックナーの影響を感じてしまう
のですが、そういうのを隠してまでシベリウスっぽくしようみたいな作為性は感
じられず、ありのままといった演奏です。ツウ受けは悪そうですが、それだけに
分かりやすく馴染みやすい。シベリウスらしさも特に緩徐部分で色濃く出ており、
書きたいように書いた部分と、交響曲としてまとめようと苦労している部分など
が垣間見れる興味深い演奏です。

 2 番は 2001 年 11 月収録。ライヴのためか音場がデット気味なのがちょっと
残念。厚い音響なのに響きが透明で、素材に例えるならまるでポリカーボネイト
のような音質。厚いハーモニーの中から細かい音が透けて見える様は、やはり
シベリウス向きのオケだと感じます。適度な湿り気を湛えた音色も美しい。演奏
内容は極めてオーソドックス。過度な感情表現を期待すると物足りなく思えるで
しょう。適度な距離感を持った大人の音楽に聴こえます。しかしソロ的な部分は
あまり上手くないし、4 楽章はもっとスケール感が欲しい。"サビ" が利いてない
と面白く感じないのは、日本人だからか。もっとも、シベリウスの交響曲全集を
買って 2 番ばかり聴く人ってそういないと思うので、まっ良いでしょう。

 3 番は 2003 年 8 月収録。ヤルヴィの演奏は細かい部分こだわらない大局的な
流れの良さを持っており、タイミング的には特に早い演奏ではないのに勢いよく
一気に描く爽快感があります。第 1 楽章の素朴な主題も安っぽくなく、堂々と
興奮的に描かれ気持ちいい。第 2 楽章もなよなよせず、ブラームスかドヴォル
ザークのように渋く歌い上げていく様子が良いです。第 3 楽章も自然な流れで
安定した良い演奏です。後半のエルガー風のコラール行進曲の主題が前半に芽生
える部分がさり気なさすぎて目立たないのが残念ですし、後半に入る前に曲が
錯綜していく部分もお行儀良すぎるというきらいもありますが、コラール行進曲
になると良い雰囲気で盛り上がっていきます。割とあっけなく終わる演奏が多い
ですが、最後に入ってくるトロンボーンにかなりアクセントを付けており、満足
感ある終わり方をするのも評価出来ます。右チャンネルに耳鳴り様の高周波ノイ
ズが断続的に乗っており気になりますが、一般的なスピーカーでは S/N に埋も
れるでしょう。

 4 番は、2003 年 11 月収録。最高傑作などと評価される一方、難解で寄せ付
けないところがある音楽。スコアを見て初めてこの曲の凄さが見えました。厳選
された素材で簡潔に書かれており、普通こういう書法は作曲家の晩年に到達する
領域と思えます。ヤルヴィは実に風格ある演奏をしています。拍を取りにくい
作品ですが、かなり正確な演奏が出来ているのにも好感が持てます。第 1 楽章
は冒頭から深く粘りのある音で良い雰囲気を出しています。金管も量感があって
良い。中間部はもっと切迫感があっても良かったと思います。第 2 楽章は、
あまりノリの良いテンポにしきってないことで夢想的な非現実感が生まれており
効果的です。また後半部分との対比がそれによって生きてきています。後半部分
はスケルツォでのトリオのように聴こえる演奏で、ダ・カーポを予感させる部分
でぱったりと終わってしまうことが、不安定感を煽ります。この曲の白眉である
第 3 楽章は 11 分台の演奏。じっくり描いており聴き応えがあります。こってり
とした音楽にせず、意外と淡泊なのが達観への境地なのかもしれません。
第 4 楽章もこなれた演奏。無窮動的というか、メッセージ性を排した無表情な
動きが良い感じ。後半のブレーキと共に建造物が崩壊していくような部分もなか
なかの出来ですが、バランスが悪くきっちりと音で埋まってなく、完璧ではあり
ません。たまにグロッケンの替わりにベルを使っている演奏がありますが、ヤル
ヴィは普通にグロッケンで演奏しています。ベルだと大仰すぎると思うのですが、
シベリウスはベルを使って欲しかったとする話しもあるようです。

 5 番は 2002 年 12 月収録。この全集で最高の演奏と思います。エーテボリ響
のシベリウスらしい音色がまず良い。押しつけがましくならない音の気持ちの
良いこと。またトレモロ一歩手前という細かい刻みも何気なく揃っていて、
演奏しなれた様子が伝わります。第 1 楽章では (スコアを見ると単一楽章の曲
だということがわかりますが、一応分けて記述します) 、音楽が一時も停滞する
ことなくコーダへ向かってどんどん流れていく爽快感が良いです。第 2 楽章は
《第九》(ベートーヴェン) の第 3 楽章を彷彿とさせる穏やかなカンタービレを
感じされます。しかし弦楽器はかなりガシガシ弾いており、長閑なだけでない
歯切れの良さも併せ持っており、ドラマチックです。第 3 楽章は、雰囲気で
いうと懐かしいさや郷愁感を強く感じさせてくれる演奏です。練習番号 L 
(4'27") 以降、弦楽器のスピッカートの刻みの上に木管が第 2 主題を乗せる
あたり、特に良い雰囲気だと感じます。ヤルヴィからこんなリリシズムが聴ける
なんて、意外な収穫です。

 6 番は 2005 年 3 月収録。なかなか良い演奏ですが、個人的にはもうちょっと
活気のある演奏が好みです。第 1 楽章は主部のテンポが若干遅く感じられます
が、広がり感が犠牲にならないぎりぎりのテンポとも思えます。ヤルヴィはこの
大きなうねりの上に音楽を構築しており、細かいメリハリが無くとも不思議と
魅力を感じる演奏になっています。第 2 楽章は曲想の変化をあまりハッキリと
描かない演奏ですが、それでも丹念な演奏で雰囲気は良いです。第 3 楽章は重
い足を引きずっているような演奏で、それ自体は曲が要求することなので良いの
ですが、内容的な変化が欲しいと思います。第 4 楽章も全体的な雰囲気は良い
のですが、中間部分の切迫して盛り上がるところが生真面目すぎで面白みに欠け
ます。そもそもヤルヴィは曲の細かい部分に機敏に順応するような器用な演奏は
あまりしませんが、この 6 番ではその点がマイナス面を生み出しています。
しかしこれが決定的になるのが次の 7 番です。

 7 番は 2003 年 8 月収録。単一楽章形式の曲ですが、もちろん交響曲ひとつ
分に匹敵する内容が盛り込まれており、また単純に複数の楽章がアタッカで繋が
っているような曲でもありません。かといって 4 番のような難解さは無く、
その独特な形式感さえ掴めれば、頭から離れなくなるような聴き応えのある名曲
です。しかし構成力のない演奏だと迷子になるのもたやすく、鬱蒼(うっそう)
とした森の一体どこに今いるのか分からなくなります。ヤルヴィの演奏は、
そういう迷子にさせる演奏です。最初の弦楽合奏による Adagio 部分は道のり
が平坦なので良いですが、その後のスケルツォ的な部分以降、十分な道案内が
無いまま様々な場所に連れて行かれるような感じがします。つまり十分変化
すべき部分での変化に乏しく、音楽の発展方向が感じられず、筋立てが大味に
聴こえるのです。音響は繊細で良い雰囲気なので部分部分を取り出すと良く聴こ
えますが、最も小説的な読み応えを要するこの作品は、メリハリのある展開が
重要で、ヤルヴィの演奏はその部分の面白みが欠けていると思います。

 録音は、曲によって違いはあるものの概して美しいバランスで、繊細で肌理
の細かい音が楽しめます。奥行きや広がり感は少ないですが立体感は十分と思
えるので、小振りなホールで奏者との距離が近いアットホームな雰囲気を連想
させます。

 悪く言い切ってしまえばナロウな演奏で、ダイナミックで切れのある演奏と
か厳しく凍てつくような演奏が好きな方にはハズレでしょうが、演奏しなれた
コンビによる品格ある風合いが強烈な魅力を放つ良演です。雰囲気は実に良い
ですし、詩的で淡泊な味わいもいわゆる "お国もの" でないと表現できない
良質なものと思います。かといって大人しい演奏ではなく迫力も充分。録音も
充分。特徴は少ないものの平均点は高いといった内容でしょう。シベリウスの
交響曲全集は廉価なものも多く出ているので、SACD の hybrid 盤しかない本盤
は割高に思えますが (それでも SACD のレギュラープライスよりは安い)、
個人的には満足度の高いものでした。

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◆◆【3】◆◆ おしらせ&編集後記 ◆◆

一昨日、東京都北区の引っ越しのアルバイトで現地に向かおうとしたら、所謂
『当り屋』の被害に逢いました。ドライバーさんが事情聴取を受けてましたが、
相手が『当り屋』って事で、警察も事情を察し、丁寧に応対してました。
作業開始が何時になるか不明だったので、ドライバーさんの指示で帰宅する
事が出来ましたが、何とも後味悪い気分だけが残りました。
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次回発行予定は、4月22日です。

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