メルマガ:公務員・行政書士試験にチャレンジ
タイトル:実務家による行政書士試験合格講座  2005/07/13


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     ★★★  東京ちゅうおう法務事務所:編集 ★★★ 
      ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
    ●○●○●実務家による行政書士試験合格講座●○●○●
      ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

         第19回配信 2005年7月13日(水)
         東京ちゅうおう法務事務所
         行政書士 初鹿真一
         マガジンコード MM4238F905C5CCD
         配信数 4部(±0部)
         2005年度行政書士試験(10/23)まで、
                      あと102日 
         http://www5e.biglobe.ne.jp/~chuo-law/

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             ≪条文順位版≫
           【 憲法判例 第1位 】
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読者のみなさん、こんにちは。
また、新規登録をいただいた皆さん、ありがとうございます。

先ほど、配信いたしましたが、きょうは
もう一部、配信します。
たいへんではありますが、頑張ってください。

今号からしばらく、憲法判例をお送りします。
きょうは憲法判例で一番多く出題されているものを
お送りします。

まずは憲法判例の分析からどうぞ。



■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
 1 過去15年の分析 憲法判例 
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■

●過去15年の出題された問題をすべて分析し、もっとも
多く問われた問題とその根拠になる条文を分析しました。

その結果は以下の通りです。
■を肢一つとしました。出題数が多いほど
上位で表示されています。

●データは1990年−2004年までの15年間

北方ジナ事■■■■■
議員定数訴■■■■■
税理士会事■■■■■
マクリン事■■■■
博多駅事件■■■■
税関検査事■■■■
教科書検定■■■■
旭川学テ事■■■■
三菱樹脂事■■■
朝日茂訴訟■■■
教科書無償■■■
北海道猿払■■
京都府学連■■
前科照会事■■
外務省秘密■■
レペタ訴訟■■
津地鎮祭事■■
ポポロ事件■■
喫煙の自由■
速度違反事■
指紋押捺事■
八幡製鉄事■
外国人選挙■
よど号事件■
愛媛玉串料■
『逆転』事■
家屋張り紙■
皇居前広場■
東京都公安■
新潟県公安■
全逓東京事■
石井記者事■
帆足計事件■
小売市場事■
公衆浴場事■
薬事法距離■
ため池条例■
第三者所有■
刑訴高田事■
刑訴黙秘権■
自白と証拠■
堀木併給事■
食糧管理法■
少年院学習■


【コメント】
・憲法は近年、下記の傾向があります。
「条文中心」→「判例中心:解釈中心」

・こうした中で、憲法判例で一番出題が多いのが
「北方ジャーナル事件」です。ほかに、
大問として「議員定数訴訟」「税理士会事件」も
多く出題されました。


きょうはこの中で第1位(一番出題された判例)をお伝えします。


■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
 2 憲法判例 第1位 北方ジャーナル事件の分析 
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■

きょうは、一番出題された判例から、
「北方ジャーナル事件」
についてかなり詳細な分析を
行っていきます。
 
まずは事件の概要を見ていきましょう。


==【 事件の概要 】=========================================


【事件の形態】
●民事訴訟

【原告】
●月刊雑誌「北方ジャーナル」社

【被告】
●国
●仮処分申請人=北海道知事立候補者I

【原告の訴えの理由】
(イ)被告Iは、自身に関する「名誉毀損記事」に際し、
自分の名誉を著しく毀損するものであるとして、
札幌地裁に名誉権の侵害を予防するとの理由で、
印刷、製本及び販売または頒布の禁止を命じる仮処分決定を求める
仮処分申請をし、札幌地裁がこれを受け入れた。

(ロ)同日、札幌地裁は、仮処分の決定に基づいて
札幌地裁執行官において、これを執行した。

(ハ)こうした一連の行為、とくに「仮処分申請」に
もとづく「出版の禁止」は検閲にあたり、表現の自由を侵害する。

(ニ)かりに「検閲」にあたらなかったとしても表現の自由を不当に
侵害するものである。


【原告の訴えにおける要求】
被告に損害賠償を要求


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それでは、裁判所の基準・結論を見て見ましょう。
まずは「判例」を見ていきましょう。
ちょっと長いですが、頑張ってください。

※読むのがたいへんな方は「結論」部分に
飛んで読んでも構いません。








==【 判例 】=========================================

最高裁大法廷判決 昭和61年6月11日 
(民集40巻4号872頁 判時1194号3頁)

本件上告を棄却する。


●検閲と事前抑制

…上告人の上告理由に、憲法21条前段は、
検閲の絶対的禁止を規定したものであるとある。

…憲法21条前段にいう検閲とは、行政権が主体となって、
思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の
禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき
網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、
不適当と認めるものの発表を禁止することを、その
特質として捕らえるものと解すべきである。

…個別的な私人間間の紛争について、司法裁判所により、
当事者の申請に基づき差止請求権等のの私法上の
被保全権利の存否、保全の必要性の有無を審理判断して
発せたれるものであって、右判示にいう「検閲」には
当たらないものというべきである。

…月刊雑誌「北方ジャーナル」昭和54年4月号の
事前差止を命ずる仮処分を発したことは「検閲」に
当たらないとした原審の判断は正当であり、
論旨を採用することは出来ない。


●差止めは検閲とはいえないが事前抑制であり、違憲ではないか。

…上告人のその余の上告理由について、論旨は、
本件仮処分は、「検閲」に当たらないとにしても、
表現の自由を保障する憲法21条1項に違反する旨の主張をする。

…名誉は生命、身体とともにきわめて重大な保護法益であり、
人格権としての名誉権は、物件の場合と同様に
排他性を有する権利をいうべきである。

…しかし、あらゆる表現の自由を無制限に保障しているわけでなく、
他人の名誉を害する表現は表現の自由の濫用であって、
これを規制することは妨げない。

…表現内容が真実でなく、又はそれが専ら公益を図る目的でない
ことが明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な
損害を被る虞がある時は、当該表現行為はその価値が被害者の
名誉に劣後する事が明らかであるうえ、有効的適切な救済法法
としての差止めの必要性も肯定されるから、かかる実体的要件を
具備するときに限って、例外的に事前差止めが許されるものという
べきであり、このように解しても憲法の趣旨に反するものとはいえない。

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上記を簡単にまとめると
以下のようになります。







==【 結論 】=========================================

(イ)そもそも、仮処分申請は「検閲」にはあたらない。
   ・検閲とは、「行政庁」がおこなうもの。
      →今回は「司法」が行っている。
   ・検閲とは、「一方的」におこなうもの。
      →今回は「双方の審尋」の機会があって、
       その上で決定している。

(ロ)北方ジャーナルにおけるIに関する記事は、
「名誉毀損的表現行為」であるため、
例外的に事前差止めが許される。



原告敗訴
(出版差止めの仮処分は「手続きを経ていれ」ば合憲)

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ここからは私なりの解説です。

【実務家からのコメント】

一 利益論(1)

北方ジャーナル社の行為は憲法上、認められた自由です。
したがって、基本的にどのような表現であっても憲法で
認められ、国家が侵害してはいけないことになっています。
これは「憲法上の要請(憲法上、保護されるべし、侵害されるべからず、
という意味)」
です。

この点、表現をなされる側も、憲法上、人格権の保護が
なされており、その保護も「憲法上、要請」されています。

これを分析すると、以下のようになります。


          

   憲法上の要請  VS  憲法上の要請
 ┗━━━━━━━┛    ┗━━━━━━━┛


具体的には、、、

     


          制 約

    表現の自由  ←  人格権利益(出版差止め)
 ┗━━━━━━━┛   ┗━━━━━━━┛




二 利益論(2)
前記の場合、こうした「憲法上の要請」同士が衝突しています。
他者における憲法上の自由と衝突した場合は
一のルールはどちらかの利益・要請が制限されざるをえません。
その形態は以下の通りです。

(イ) どちらかの自由が一定のレベルで「制約」される。
(ロ) 両方の自由が一定のレベルで「制約」される。

三 私見
それでは、「一定のレベル」というのはどういうものでしょうか。
これは誰が見ても「行き過ぎた自由への制約」になりえない程度の
「制約」とされます。

これは「憲法上保障された表現の自由が萎縮されない程度の制約」と
いうこともできます。この基準に反した場合は「違憲」(制約は無効)
そうでない場合は「合憲」(制約できる)とされます。

あとは、その制約手段として「出版差止め」という手段が
肯定されるのか、という議論になります。

出版差止めは通常、司法裁判所が介在し、双方の意見を聞く弁論機会も
確保されているので、検閲と異なり、肯定しうる、と思われます。
(検閲は行政権が行う一方的措置のため憲法上、禁止されています。)

本件は、表現物を発表することにより、人格的損害は
はなはだしいケースといえます。
したがって、そのケースは憲法が想定していませんので
原則として人格権を保護することになります。

ただし、これは「私人」に該当する話です。
「公人」「公的人物」の利益は、「公益」に資する範囲で
表現行為の利益が上回ることがありえます。

北方ジャーナル事件の場合は、取材対象が公的な関心を集める
公職立候補者であったことを考えると、もう
一考察あってよかったことは指摘できるでしょう。




それでは、みなさんの関心のある、過去問を見ていきましょう。
過去問は比較的やさしく出題されています。





┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

 第11回基本知識確認試験は、下記要領で行います。


【日時】2005年7月18日(日)(90分)
【科目】民法・物権
【形式】条文穴埋めドリル形式
【問題数】100問
【費用】1000円
【形式】電子メール添付ファイルで送信
【申し込み】下記アドレスからどうぞ

  ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

  http://www5e.biglobe.ne.jp/~chuo-law/mail3/mail.html

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● 第11回基本知識確認模試(民法条文穴埋め)のお知らせ
  
 http://www.rak1.jp/one/user/tokyo_chuo/

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それでは、最後に
過去問にチャレンジしてみましょう。
よーく考えてみて下さい。
ここまでよく読んできていれば
全問、正解できますよ!


==【 過去問にチャレンジ 】================================

【問題】
 
●名誉を違法に侵害された者は、人格権としての
名誉権に基づき、将来生ずべき侵害を防止するため、
侵害行為の差止めを求めることができる。○か×か。




解答はこの下です。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓






【解答】
 ○
 
【解説】
 …その通り。上記判例を確認しましょう。

【法的根拠】
 …憲法21条

【間違いのつぼ】
 … × 差止めできない → ○ 差止めできる

【出題】
 …判例知識を当てはめてできる問題

【出題年】
 …1990年

【難易度】
 …★☆☆☆☆

【キーワード】
 差止め 表現の自由 名誉権

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==【 過去問にチャレンジ 】================================

【問題】
 
●裁判所の仮処分による出版物の事前差止めは、
日本国憲法で禁じている検閲に当たるので、許されない。
○か×か。




解答はこの下です。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓






【解答】
 ×
 
【解説】
 …「検閲」というのは「行政庁」が「一方的」に
  行うものをいいます。
 …「司法」は審尋などで、双方の意見や主張が
  示されているため、「検閲」には当たりません。

【法的根拠】
 …憲法21条

【間違いのつぼ】
 … × 検閲になり、禁止 → ○ 検閲でない。

【出題】
 …判例知識を当てはめてできる問題

【出題年】
 …1994年  2003年

【難易度】
 …★☆☆☆☆

【キーワード】
 差止め 検閲 禁止

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==【 過去問にチャレンジ 】================================

【問題】
 
●検閲とは、公権力が主体となって思想内容等の表現物を
対象として発表前にその内容を審査し、不適当と認めるときは、
その発表を禁止することであるから、裁判所が表現物の事前
差止めの仮処分を行うことは、検閲に当たる。○か×か。




解答はこの下です。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓






【解答】
 ×
 
【解説】
 …「検閲」というのは「行政庁」が「一方的」に
  行うものをいいます。
 …「司法」は審尋などで、双方の意見や主張が
  示されているため、「検閲」には当たりません。

【法的根拠】
 …憲法21条

【間違いのつぼ】
 … × 検閲になり、禁止 → ○ 検閲でない。

【出題】
 …判例知識を当てはめてできる問題

【出題年】
 …1997年

【難易度】
 …★☆☆☆☆

【キーワード】
 差止め 検閲 禁止

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==【 過去問にチャレンジ 】================================

【問題】
 
●裁判所が仮処分の形で、名誉毀損的表現を含む書物の出版
を前もって差し止めるのは、当事者に充分な意見陳述の機会が
与えられていれば、合憲である。○か×か。




解答はこの下です。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓






【解答】
 ○
 
【解説】
 …「検閲」というのは「行政庁」が「一方的」に
  行うものをいいます。
 …「司法」は審尋などで、双方の意見や主張が
  示されているため、「検閲」には当たりません。

【法的根拠】
 …憲法21条

【間違いのつぼ】
 … × 検閲になり、禁止 → ○ 検閲でない。

【出題】
 …判例知識を当てはめてできる問題

【出題年】
 …2002年

【難易度】
 …★☆☆☆☆

【キーワード】
 差止め 検閲 禁止

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■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
 3 編集後記
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こんにちは。


さて、
100円ショップダイソーの「脳のトレーニング」シリーズ12巻が
200坪以上の店舗にて発売されています。

9・10・12巻は当方で作成しました。
名前も一番後ろに紹介されています。

行政書士試験にも使える内容を意識したので
どうぞ、お読みください。

では。

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きょうもありがとうございました。

〒169−0074
東京都新宿区北新宿二丁目2番24号
東京ちゅうおう法務事務所 
行政書士 初鹿真一
TEL 03−5389−6563
HP http://www5e.biglobe.ne.jp/~chuo-law/
mail tokyo-chuo-tochu@muj.biglobe.ne.jp

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