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タイトル:[ep-finance] かくて、資本主義の基本は企業にあるのですが。。。  2006/07/19


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         edition: 19-Jul-2006

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おはようございます。
発行人しております、shi でございます。

emichanproduction.com
http://www.emichanproduction.com

で、毎週連載中の経済小話を紹介して行きます、本メルマガは
発行人の知識と経験をもとにいろいろな、社会人なら
知っておきたい話から、こんなこと知ってるのは、金融業界の
ほんの一握り!といったカルト話まで、盛りだくさんで進めて
いこうと思っております。

今更、ですが(苦笑)またひと月間が空いてしまいました。
細かい小ネタはちょこちょこと書いていましたが、 blog を書くスピードも
だいぶ下がってしまってますねぇ。

新しい商品の設定の準備をしていたのですが、諸般の事情で延期を
余儀なくされてしまったので、そのドタバタに巻き込まれていたのですが、
まぁ、これは致し方の無い部分がありますよね。世界的に株式市場のボラティリティが
あがってきているものの下方トレンドにある流れの中で、元々 BIS 規制 / Basel II のような
金融機関でも特に銀行の資産運用に大きな影響を及ぼす問題の、金融行政からの
(いつもの裁量的)見解が明示されない不安定な状況のもと、特に「村上」後、
ファンドというものに対するネガティブな取られ方が機関投資家としての金融機関に
二の足を踏ませてしまっている、というのが現状なのかも知れませんから。

しかし、銀行といえど収益を追求する企業なのでそれなりのリスクだって取らないと
いけなかったりするのですねぇ。さて、どうなることやら。

ということで、この半年以上見てきましたショートシリーズ、
「金融ってなあに?」の最終回です。

これは、知人からの「起業の際のファイナンス」に関する質問に対する
答えとしてインスパイアされて書きました。ですので、企業、というのを
起業して育てていく、と言う観点から見直してみました。

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 [金融ってなあに? - 近年の企業買収から見る金融とそもそもの基礎知識 
                           (6: 企業って、なに?)]
http://www.emichanproduction.com/nucleus/?itemid=560


このタイトルで書き始めて、もう半年以上が経ち、その間そのきっかけとなった
バベルの塔の住人たちは一人捕まり、また一人捕まり、でも、その代わりのプレイヤーが
出てきたり、ゲームのルールが変わろうとしたり、と、めまぐるしい動きを
見せていました。

このシリーズ、金融を常に中心において書いてきましたが、でも、金融は所詮
資本主義社会における資金供給役、すなわち脇役であり、本当の主役は
ほかでもない、一般の企業なのです。

このシリーズの最終回として、その主役に目を向けて、
ついでに、最近多い、自立したいと考えている人たちに
ちょっとしたエールを送りたいと思います。


話を始めるにあたって、まず、幼い頃の夢を思い出してください。
男の子だとスポーツ選手が大半な気がしますが、
女の子だとお店屋さん、という子が多かったと思います。

例えば、お花が好きだから「お花屋さん」、
ケーキが好きだから「ケーキ屋さん」などなど。

その商品が好きで、それに触れていたからそのお店をやる、
とても純粋でいい心持ちだと思います。


で、その好きは花、ケーキの材料を仕入れるための元手は?
お店の家賃は?と、始まる瞬間から、もう遠い昔の夢の世界は
醒めて、商売を意識しなくてはいけなくなるのです。

まぁ、この間の5月になるまでは、会社を始めるには
有限会社ならば 300万円、株式会社ならば 1000万円必要で、
まずそれが店舗を借り、什器を買いそろえ、売り物を仕入れ、
商品を売り、光熱費を払って、バイトさんの給料を払って、残りがお店のオーナーの
取り分になる、というのが一般的な会社のスタートでしょうし、
これなら、まだお花が好きだから売っている、という世界で
特に人にも迷惑をかけずにやっていけそうな気がします。

でも、これがもっと効率よく、より早く自分の取り分を増やしたい、という
欲に変わったとき、子供の頃の夢は単なるハリボテに変わってしまうのです。

自分の取り分を増やすには、例えば売り上げを倍に増やす。
そのためには材料費が二倍かかるからその資金が必要になる。
また、一つのお店では売り切れないからもう一つお店を増やしたい。
出店にだって費用はかかる。店を増やすと人も増やさないと回らない。
そのお金はどこから出るだろう。ポケットから出せればそれが一番
手っ取り早いけど、みんながみんな、そうは行かない。
そんなときのシナリオは多分こんな感じだろう。。。

1. 両親から借りる
2. 親戚のおじさんに出資してもらう。
3. 知り合いの投資家に一口乗ってもらう
4. 取引のある金融機関から借りる
5. サラ金から借りてくる

ま、1. も 4. も、5. も本質は変わらない。
借りたなら返すしか無い。あとは金利の多寡が問題だけど、
それは借りるときにどうしたいかによればいい。
仮に利益率が 100% を越えるなら 29.2% でかりたって確実に
返せるだろうから。でも、それは、借りた利率が 0.1% であっても
利益が上がらなければ返せないという意味では一緒。
借りる以上は確実に稼がないと後で自分が泣きを見る。
そのかわり、ちゃんと稼げれば、いわゆるレバレッジ効果が
きっちり働くから自分の元手に対する収益率は飛躍的に
あがることになる。それは低利になればなるほど、だ。
なんにせよ、債権者というのは、契約書の利率さえもらえば
何も言わない、ある意味いい人たちなのです。。。

さて、問題は 2. と 3. 
一口乗る、とか言っているが、要はあなたの会社の権利と引き換えに
お金を出すということ。なので失敗したときの責任は一緒に取ってくれるし、
責任を取ってくれるということは、「返さなくともいいお金」という説明を
よくちまたの本が説明していると思います。

しかし、そんなに都合のいい話でしょうか。うまくいっていれば、まぁ
何も言わないかもしれません。
プロの投資家だと、「もっと効率を上げろ」といって投資効率をあげるべく
いろいろ言うかもしれません。
ということは、失敗し始めて目減りし始めたらどうなるでしょう。
誰も笑って自分のお金が減っていくことを見る人はいません。
それがプロならばなおのこと。あなたの経営方法に、ビジネスモデルに、
どんどん口を挟み、経営権を取り上げて、あなたの夢だったお店を取り上げて行く
可能性もあるのです。

とはいえ、うまくいけば、2. や 3. は将来株式市場に自分の株を上場させられれば
ホリエモンのように大金持ちになれる、という夢を与えてくれるので
みんなどうしてもそちらの方に足が向いてしまいます。
そして、つぶれていった会社がいくつあることか。。。


いずれにせよ、経緯はどうであれ、会社の経営権、要は株をみんなで共有することは
創設者の夢はともかく、その事業を通じて投資した資金を最大活用して収益を
あげたい、と言う意味でみんなの目標が一致している、と見ることができます。


あれ、この表現どこかで見たこと無いでしょうか。

そう、「ファンド」の目標であった

「同じような投資目的を持った人たちの資金を束ねて、
その投資目的にそった形で運用する」仕組みが、今時呼ばれている
「ファンド」の広い意味なのです。

と、そっくりです。ファンドは、集めた資金を投資することで増やしました。
でも、企業は集めた資金を投資に限らず事業によって増やします。
要は、ファンドというものは、企業のうち、「(証券などへの)投資行為」で
資金を増やすことに特化した企業、という位置づけをすることが可能なのです。


そうなってくると、ファンドがその目標の成功の度合いを測る一つの目安である
「AUM(Asset under Management: 預かり投資資産)」の極大化を測るのが目標で
あるのと同じで、企業がその経営の目標として、株主への貢献として掲げる株価の増加、
すなわち企業の時価総額の極大化、というのは、株主の企業への投資に報いるという意味では
ファンドのそれと同じものなのです。そう考えると、最近の株価至上主義的な
動きというのは、本来の資本主義の観点で見ればあながち間違ってはいない、
という結論づけも悪くないはずなのです。

しかも、複数の企業のシナジーを求めるための会社の買収、合併 (M&A) の
手法の一つとして、現金での買収だけでなく、株式交換という形が
多く取り上げられていますが、当然会社の時価総額が大きい方が有利なわけなので
財務的に会社は「大きいことはいいことだ」ということになるのです。

あとは、その実現のための手段です。
それが合法であり続ける限りは(人のねたみはあるかもしれませんが)
それこそ「ルールに則ったお金稼ぎ」だから問題はないはずなのです。
# ま、社会貢献と言う尺度では問題はあるかもしれませんが。。。
問題は、ルールに反した場合、なのです。ま、それは多くの人が多くを
語っているのでそちらに譲るとしましょう。




最後に。

会社が大きくなっていくこと、それは多くの人をいろいろな形で必然的に巻き込んでいきます。
そうなると、気づいたら子供の頃の夢から遠く離れたところに気づいたら立っていた
ということになっているかもしれません。

今回紹介したもの、どれも大きな話ではあるものの、最終的には自分の夢の実現のための
道具にすぎないはずですが、その一方で大きすぎることから道具があなたを振り回しかねない
可能性を常に秘めているのです。所詮お金の話、ではあれ、お金は人を狂わせるのに
十分なくらいのちからをもっているのです。

夢は忘れないで。自分を見失わないで。

それが、自分でもしビジネスを起こすのであれば一番大事なこと、だと信じたいです。

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さて、ちょっとした告白になるのですが、私の嫌いな人種の一つに
MBA ホルダーというのがあります(笑)
いわゆる経営管理修士という奴ですが、残念なことに今までちゃんと口を動かす以上に
頭と手を使ってみんなと一つになって夢に向かって働く奴というのをみたのが一人きり。
それ以外は、決して尊敬できる人格はおろか、まともに使える知識と技能と、
なにより仕事をする上で必要な仕事への愛着を持ち合わせていない人ばかりでした。


で、この記事を書くきっかけになったのは古くからの友人が通信制の MBA のレポートと
してビジネスモデルを提出するにあたって、立ち上げたばかりの会社を瞬間に大きくするために
デット・ファイナンスとエクイティ・ファイナンスとどっちがいいか?エンジェルってどうなの?
という質問をしてきたのです。

プランとして、初期投資は。。。とか exit は IPO して資金回収する、などなど、
まぁ、詳細は見ていないものの 2000年直前の .com ブームの頃のビジネスモデルを
見ているような錯覚にとらわれたのです。そう、そこにはビジネスリスクが
全く検討されておらず、そうなれば、エクイティもデットもどちらでも
資金投下しても怖いものなし、というものなのです。


。。。そんないい話は詐欺以外ありえないでしょ?


MBA を取る目的の一つとしてよく聞くのが、人生の転換を図りたいから、というものが
あります。たしかによく聞く話として、 MBA を取る前は電機メーカーに居たけど
MBA を取ったら、ヒルズ族の一つの金融機関につとめるようになった、とか。

でも、よく考えてみましょう。世の中、 MBA ホルダーは毎年毎年、ある意味たくさん製造されています。
会社だって淘汰されてきているのですから、マネジメントのポジションだって減っているのです。
そうなってくると、就職活動はまさに競争でしょう。そうなると MBA らしい、学歴社会が
ものを言う世界になってきます。少なくとも、ファンドビジネスをする限りにおいては
そのあたりは重視されます。

そして、もう一つは仕事のキャリアです。
人のことは到底言えないものの、一つの仕事に長続きしないタイプは、その仕事も
長続きしないとみて任せられない、と判断されがちです。特に MBA の場合、自費留学
ともなれば、仕事が嫌になって、と言うケースだってあるのでしょうから。。。
そのあたり、ファンドビジネスを例にとって恐縮ですが、結構同業の人の
話を聞いて回って、ビジネスパーソンとしての評価の裏付けを取りにいきます。


ということで、 MBA 偏重もどうだかなぁ、それよりもちゃんと仕事をやり遂げてスキルを
重ねて行った方が人の信頼を得るという意味でもっと大きなものを得るように思うのですが。。。

なんて書くと MBA の人を敵に回しそうですね(笑)
でも、似たような使えない学位をもっていても同様なのですから他山の石として
とりあえずは聞いてくださいね:-)


さて、いわゆる外国為替の証拠金取引を始めた話の続きです。
最近の為替の傾向を考えると、長期的にポジションを張ってみるのが
いいのかなぁ、なんて思っているのですが、どうでしょう?

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 [スワップポイントの魔性。(Leveraged FX Trading)]
http://www.emichanproduction.com/nucleus/?itemid=557

前回、外国為替証拠金取引における、トレードのための簡単な目安を
紹介しました。証拠金 10,000円でポジションを作ると 為替が 1銭動くと
10円損益が動く、なので、10,000円でがんばれるのは 10円やられるまで(笑)

ということでしたね。

さて、今回は、証拠金取引をすると初めて耳にする「スワップポイント」という
言葉があると思います。

簡単に言ってしまえば、ポジションを建てた瞬間から、毎日毎日少額ずつ
儲かったり損したりする、という仕組みです。


仕組みがわかれば何のことはない話ですからちょっとした例でご説明しましょう。

例えば、1ドル 115円のレートでドル買い円売りしたとします。
計算の面倒があるので、証拠金を 100,000円使った場合で考えますと、
このとき、ドルを買って円を売っているのですから、実は証拠金100,000円で
115万円を借りて、それを売って 10,000ドルを手にしている、というのは
最初の記事でご説明した通りです。

で、お金を借りているのですから、その日のうちに返せば利息を払う必要が
なさそうですが(銀行間取引だと半日分の利息を払ったりするのですが。。。)、
さすがに日が変わってしまうと一日分は払わないといけないような気がしませんか?
同様に、せっかく 10,000ドルもっているのですからこれに一日分の利子がついたら
うれしいですよね?

では、計算です。面倒なので日本円の金利は 0% にしましょう(笑)
で、ドルですが。。。 5% で計算すると、
10,000 x 5% / 365 で、およそ 1.36ドルの日割りの利息になります。
これを 115円とすると。。。157円。

ということで、借りる円には無利息、貸しているドルから 157円の
差し引き 157円が一日の収益になる、と言う訳です。

実際には利率(正確には二通貨間の金利差)や為替レートの変動
(とスプレッド)があることから、こんなに高くはないものの、
 100,000円の証拠金に対して

ドル買い円売りであれば毎日 150円程度の利息がもらえ、
ドル売り円買いであれば毎日 150円程度の利息を払わねばならない

ことになるのです。

もし、身の丈モード(笑)にすると、 10,000円に対して 15円です。
すると、ここでいくつかのことに気づくことになります。

1. ドル買い円売りのポジションだと、放っておいても 15円稼げる
ということは。。。手数料とスプレッドで 240円が最初に負けていた
状態なのですが、16日がんばればこの分はスワップポイントで
チャラになる、言い換えると、一日 1.5銭ずつ取引の break-even ポイントが有利に
なる、ということです。

1'.でも、それってドル売り円買いの場合だと、逆に常に毎日 15円払わなければならない
から、毎日 1.5銭ずつ負けていくということになります。そうなると、為替も
日が経つごとに大きく動いてもらいたくなるのです。

2. もし、ドル買いのポジションで、為替が動かない場合を想像してみましょう。
一日で 15円、0.15% ですが、一年経つと 0.15% x 365 = 54.75% になります。

あれ?ドルの金利って 5% じゃなかった?

そうです。日付の誤差はあるものの、実は、10倍のレバレッジがここでも
効いてくるのです。「運良く」為替が動かなかった場合には、54%で回る
預金と同じなのです。当然元本のリスクはあるものの、そういう利率というのも
ありかもしれません。。。実際、ついこの間から大きく円高に振れてしまったおかげで
外貨買い持ちのポジションは放置してスワップポイントが日一日元本の毀損した
分を埋めてくれているのを見ています。ま、元本というか、日々の為替の変動での
証拠金の評価額の動き方はもっと大きいのですが。。。


ということで、額は小さく見えますが、スワップポイントは結構侮れないのです。。。

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ま、これも簡単な算数、といわれればそれまでなのですが。。。

ちなみに、私の今のポジション、一旦 117円台でドルロングにしたら、
一気に 110円を割り込まれ、さてどうしよう、と思ったときに、放置してみました。
そうしたら、今週の頭から 117円台に戻ってきているのでスワップポイント分だけ
ブレークイーブンポイントが円高になっている分、らくちんな気持ちで見ています。

しかし、ユーロショートのポジションは。。。もう一度円高に振れないかぁ
と思いながらも、まずは円安になって、と祈る発行人なのでした。。。


さて、いろいろな所にアンテナを張りながら執筆しておりますが、
「こんなネタ教えて?」
とか、
「これってどういうこと?」
というご質問から、
「それって嘘でしょ?」
というご指摘まで、いつでも大歓迎ですのでお気軽に
メールでも、blogに突っ込んでくださいね。

ちなみに、今回掲載していない、過激な記事も多数ありますので
ぜひ blog にも足を運んでくださいね。

では、また次回お楽しみに。

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ビジネス本レビューの ep-books
http://melten.com/osusume/?m=18931&u=18930 
では、今スキルアップ思案中です。

80年代や90年代のポップスの紹介をする ep-music
http://melten.com/osusume/?m=18932&u=18930 
 で、アンビエントハウスから派生した音楽を追いかけてます。

また、ep-update 
http://melten.com/osusume/?m=18652&u=18930 
でこの3つをダイジェストを中心にいろいろアップデートしたことや
はみ出したネタなどをご紹介して行こうと思っております。


そして、発行人のもうひとつの顔、浅草のお土産屋のお兄さんとしての
浅草ガイド、 info-asakusa 
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も、ぜひご覧くださいね。

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