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タイトル:[ep-finance] ホワイトリングにみる価値観は、あなたはどうですか?  2005/10/13


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         [[ e p - f i n a n c e ]]

         edition: 13-Oct-2005

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おはようございます。
発行人しております、shi でございます。

emichanproduction.com
http://www.emichanproduction.com

で、毎週連載中の経済小話を紹介して行きます、本メルマガは
発行人の知識と経験をもとにいろいろな、社会人なら
知っておきたい話から、こんなこと知ってるのは、金融業界の
ほんの一握り!といったカルト話まで、盛りだくさんで進めて
いこうと思っております。

さてさて、blogにかえてはや2ヶ月以上、出来るだけ毎日
何かしらのコンテンツを書こうとしているのですが、
逆に、何でも書いてしまうので、大手町のお昼事情(笑)や
今はやりの自転車通勤の実態、そして、さらに押し進めた徒歩通勤など、

一体誰が読んでくれるのだろう。。。

という、今まで以上に自己満足なサイトになりつつあります(笑)

やっぱり人様に見られている、という監視の目と厳しい一言というのが
いい薬になろうかと思いますので、ぜひとも、毎日一度は(笑)見に来てくださいね

http://www.emichanproduction.com/nucleus/

で、今回のコラムですが、もう一度信託の話を一つ休ませてください。
また、しょうもない暴論を書いてしまったものですから。。。

<<<<<<<<<<<<<<<<<< financial talk >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
 [お金について思うあれこれ :  
ホワイトリングにみる価値観の裏側に潜む矛盾 - 単純な資本主義から覗くと]

このネタ、そろそろ書こうかなぁ、と思っていたら、某週刊誌に先に
取り上げられ、また、一昨日のJ-Wave の15 minutes のコーナーでも
取り上げられてしまっていたので、慌てて書きます。

ちなみに、まだその週刊誌は読んでませんし、このアイデアは
古くはアイザックアジモフの科学エッセイの一つにある、
アメリカがどうやってインフレと戦えばいいか、
という古いエッセイからヒントをもらっている事を、書き始める前に宣言します(笑)


さて、ほっとけない 世界のまずしさキャンペーン。
http://www.hottokenai.jp/

ご存知の方は多いと思います。
著名人が白い腕輪をして、白黒のポートレートに収まっている、あれです。
あのキャンペーンは基本的には、

3秒に一人の子供が貧困により死んでいるその現実を知り、
「貧困をなくす政策をみんなで選択する」意思表示をすること

なのですが、その先にあるものは

最貧国の債務を帳消しにする。
援助の質を高めて量もふやす。
貿易を公正にする。

ことなのです。

さて、ここでは、その志についてどうこう言うつもりはありません。
それはそれ、賛同する人は賛同すべきですし、それで世界がよくなるので
あれば、それはそれでいいことだと思います。

とはいえ、少なくとも一つのキーワードをもとにすると、実はある種の矛盾があるんじゃない?
と思ったのです。

それは、あのホワイトリング、300円ですよね?
確か中国産ですよね?
もし日本であれ作ったらいくらになるのでしょう。

そう、実は、既にここで私たちは
「誰かが

自分たちより低い物価水準

であることによるメリットを享受している」
という事実の存在も確認すべきなのです。

もし、同じ製品を作るとしたら、当然ながら物価の安いところで作ったほうが
より安価なものが出来るわけで、その論理を使って、ユニクロをはじめ
多くの日本の企業は中国をはじめ、東南アジアの各国に進出し、
工場を建てて物(衣料から機械、そして野菜まで)を作り、日本に輸入し、
国内ではお手ごろな値段で販売しているのです。

貧困と内外の物価の差を取り違えていないかって?

確かに、この議論はその危険性をはらんだものだとは思います。
しかしながら、貧困とは物的生活水準の問題であり、国際間の
物価水準の差とは異なるのは、半年に一度世界の各都市の
物価水準比較を見ればわかるとおり、物価が安いとされるG8の国の
都市が果たしてその分だけ貧困であるか?という質問で解決すると思います。

Note: もっと言えば、よく旅行者が使うマクドナルド指数でいうならば
私がこの間いた香港で、big mac のセット(big macとフレンチフライ、そしてドリンク)は
あわせてHKD 20.00- (= JPY 280)。日本だと 500円。といって香港が言うほど貧困な
世界とは思えません。

P.S. で、もうひとつの指数、スターバックス指数だと。。。香港のほうが割高です(苦笑)


さて、資本主義の名の下に、人が商業活動を行うときに、その利潤を求めるために
二つの方法を取ります。

安く買うか、高く売るか。

古くから、国の外に安価で付加価値のあるものを求めているのは、至極まっとうな
行為であるわけで、遠い昔は略奪でしたが、21世紀の今の時代は、如何に
安く手に入れてくるか、そう、物価の安いところにいくか、という問題になるのです。
それは、今で言えば、ホワイトリングを身につけながら、ルイ・ヴィトン(シャネルでも
グッチでもいいですよ)のかばんを探しに全世界のフリーポートで買いあさる人たちと
変わらないのです。



で、本論。

残念ながら、貧困とされる国の物価は安いです。
3秒に一人が亡くなるのと同じくらい、一人が1ドル未満で生活せざるを得ない
ことも報道されています。

その国の、人が死ぬくらいの貧困が解消され、産業国としての基盤が整い、
労働力を世界に提供できるようになり、今のインドや中国のように世界の工場となったとき、
自然と人一人の一日の生活に必要な金額は増えるでしょう。
最初のうちは、輸出先との物価格差は大きいからいいでしょうけれども、
そのうち小さくなります。そうなったら、私たちが安価なものを手に入れられる時代は終わります。

言い換えるならば、貧困が解消された後、その国は解消されただけの状態では
あり続けないでしょう。自分たちだってG8 など、先を走る国のように裕福になりたい
のは当然ですから、何とかして発展しようと努力するでしょう。その結果、最終的には
世界中の物価は理論的には均衡するでしょう。そうなったら、私たちの生活はどうなるでしょう。


ちなみに、いまだ中国やインドでの物価はG8並にはなっていません。
そして、もし彼らが追いついたとしても、その頃にはアフリカ諸国が世界の工場に
台頭してくるでしょう。それは 100 年掛かるかもしれませんが、いつか来るでしょう。
こうやってホワイトリングの目的が果たされたあと、今度は私たちが物価の格差をてこに
楽しんでいた Quality of Life も時間を経て解消されるということも
念頭においておかねばならないのかもしれません。

そこで、質問です。
自分の生活を失ってまでも、それでも他人の生活向上を求めたいですか?


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                          -> "Finance"
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さて、ここでは、blogでしなかった、いくつかの解説をしようかと思っています。

まず、この議論をインスパイアした、アイザック・アジモフのエッセイについてですが、
当時インフレに苦しむアメリカにおいて、その打開策が方々で議論されていた中で、
きわめてSF作家であり、(化学の)大学教授らしい、机上の空論というか、打開策の
議論を皮肉する策を披露したのです。

それは、
アンクルサムのために何でも出来る国民がいるのだから、インフレを是正するために、
対インフレ戦争の志願兵として
「失業者」
を募る
というものだったのです。確かにそうすれば、国全体の所得も下がる訳ですから
インフレも収まる、という理論上は確かにそうかもしれないけど。。。という
まぁ、そうやって笑って読み流す話ではあったのです。

さて、ホワイトリングに関しては、その300円があたかも世界を救う募金のように
説明されたり、高々300円のリングがオークションで取引され、当然その売却価格は
主催する NPOには入らず売り抜いたリングの元オーナーの懐を温める、という
意味の無い結果を有無にも関わらずそのあたりを理解しないでリングを持つ事が
あたかも免罪符たらん印象を持たせたり、と、掲げた主義主張と起きている現実との
ミスマッチが散見されているように思うのです。

確かに、引き合いに出される 20年前のバンドエイド/ライブエイドで集まったお金は
3日分の利息にしかならなかったのはわかります。でも、メッセージは直接的で
あったがために、多くの人があのムーブメントに賛同し、ある24時間に誰もが
テレビモニターに釘付けになり、そしてアフリカの惨状を目の当たりにして
理解を得たのだと思います。

今は 21世紀であり、 Linux の開発モデルのような緩やかな人のネットワークが
あたかも地球を支配するような考えが台頭している中で、今回のようなことが
行われたのだと思うのですが、どれだけリングの内側にある背景が説明された
のでしょうか?web サイト一つと、街に乱立したリングの販売員で、その
崇高な目的が確かな形で伝わったのでしょうか?

そして、リングを持つ事が
「ああ、自分は貧しい人に寄付出来て、自分はなんていい人なんだ」
という自己満足しかうまない結果に終わってないでしょうか?

そして、今の世界を動かせば何が起きるのか?
みんな考えてわかって賛同しているのでしょうか?

敢えて、今回理論上の馬鹿げた世界を掲げてみましたが、
実は、同じ議論は国の中での所得格差の話にも当てはまるのです。
今、ニートと呼ばれる人たちの存在がクローズアップしていますが、
彼らは実は短期のアルバイトとして雇えば、雇う側にしてみれば
低コストの労働力としてフィットするので、定職に就かないなんて、と
鼻をつまむべき人たちではない、という味方だって出来るのです。
同じ事は、就業環境の整わない、外国人労働者に対してだって言えるのです。
彼らも、日本人がいやがってやらない、低賃金重労働の仕事を
引き受けてくれるのですから雇用する側にすれば受け入れるべき人たちで
あるはずなのです。

でも、あたかも自分がその上から
「手に職つけて定職に就かねばならない」
「外人なんて。。。」
と、自己満足の上に立って人に押し付けることが本当に正しいのか、
私を含めて、考え直すにはいい機会なのかなぁ、と思って書いてみました。

ま、こうやって問題提起している時点で人様に押し付けている、
という見方もできますね(笑)失礼しました。
でも、出来たら、いろいろな人に意見を聞いてみたいですね。
本当に気軽にメールなり、blog のコメントなりしてくださいね。

いろいろな所にアンテナを張りながら執筆しておりますが、
「こんなネタ教えて?」
とか、
「これってどういうこと?」
というご質問から、
「それって嘘でしょ?」
というご指摘まで、いつでも大歓迎ですのでお気軽に
メールくださいね。

さて、9月末で予定通りファンドを二つ立ち上げて、今一息ついていますが、
そろそろ新しいファンドの話も出てきています。いろいろなところに
ファンドを立ち上げたい人と、ファンドに投資したい人がいるんですねぇ。。。
そのおかげで食べて行けるので。。。感謝です。

では、また次回お楽しみに。

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はみ出したネタなどをご紹介して行こうと思っております。


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