メルマガ:ep-finance
タイトル:[ep-finance] 銀行じゃない方が資金調達のニーズは多いんです。。。  2005/06/27


============================================================

         [[ e p - f i n a n c e ]]

         edition: 27-Jun-2005

============================================================

おはようございます。
発行人しております、shi でございます。

emichanproduction.com
http://www.emichanproduction.com

で、毎週連載中の経済小話を紹介して行きます、本メルマガは
発行人の知識と経験をもとにいろいろな、社会人なら
知っておきたい話から、こんなこと知ってるのは、金融業界の
ほんの一握り!といったカルト話まで、盛りだくさんで進めて
いこうと思っております。

さてさて、とうとう、銀行員でなくなって一週間経ちました。
なんだか不思議な感覚です。今まで 10年間体のどこかにあったはずの
銀行員、という布切れが、ぱっとなくなったんですよ。

でも、金融に携わる仕事である以上、その意味での違和感というのは
ないのですが。。。

今回のコラムですが、金銭債権の信託の各論の続きです。
本当に早く終わらせないと、忘れてしまうかも。。。
今回は、ABS マーケットで一二を争う発行額の債権信託、
リース債権信託、です。

<<<<<<<<<<<<<<<<<< financial talk >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
 [企業資産の流動化と信託 :リース債権だって、信託の対象になる!でも。。。 ]

前回は銀行が資金調達する方法の一つをご紹介しましたが、
資金調達の方法の多様性は、何も銀行だけに与えられるべきものではないのは当然です。
とはいえ、銀行から金融機関、そして広い意味での貸金業全体、最後に普通の事業法人まで
その手だてを広げていくには、やはりいろいろな意味で難しくなっていきます。

今回は、広い意味での金融機関である、リース会社の、そのリース債権の流動化について
触れてみたいと思います。

そもそも、リースって何でしょう。
とある「もの」を使いたいという人(私人、法人問わず)に対して、その「もの」を
貸して、そのかわりの貸し賃をもらう、という商売、というと簡単な掴みでしょうか。
では、これではリース業って金貸しじゃなくって物貸しじゃないの?
という質問があるでしょう。でも、こう考えてください。
リース会社は常に人の使いたい物ばかりをストックしている訳ではないでしょう。
そんなことをしたら、倉庫のリスクが大きくなってしまいます。
そこで、ある人がリース会社に「あれ貸して」と言ってきたら、
その人の代わりにその「あれ」の代金を「調達して」、「買って」、「貸して」、
貸し賃をもらって「調達の費用をまかな」っている、と考えられるでしょう。
そうなると、代金を調達して買う代わりに調達した資金をそのまま貸して
その人に買わせて、お金の貸し賃としてもらう、ということでも経済的には
同じことだということがわかります。リースとは、間接的にお金を貸しているのと
変わらないのです。

実際には、所有権がどこにあるのかとか、会計上の取り扱いが違うなどの
違いがあるからこそ、リースを使うかお金を借りて買ってしまうかの
選択が出来るのですが。。。

そう考えたとき、リース会社は、そんな貸し賃である、将来受け取るであろう「リース料」を
担保に資金を調達したいと考えるのが自然になります。
ただし、リース料の性格から、一つ信託会計上問題になることがあります。
それは、リース料は所詮「品貸し料」、ようはすべてが収益にすぎないのですが、
信託会計上は信託元本というものを決めなければならない以上、将来受け取る
リース料を、元本がいくらで利息がいくら、と色付けし直さねばならない、という
手間が発生するのです。当然、品貸し料としてみているリース会社ではそんなことは
通常はしないのが普通なので、ではいったい誰が計算し直すか、で、たいてい揉めることになります。
ちなみに、計算の仕方はいろいろあります。いわゆる78分法と呼ばれる、いわゆる元利均等払い
のような最初利息を沢山払って元本を少しずつ返済していく色分けをしてみたり、
最初から最後まで元利の割合を一定にしてみたり、と、そこは投資家含め全員が
どのようにとらえたいかに依存するところです。


さて、このリース料債権での調達。
90年代からある商品なので、すごく一般的なものになっており、また、全般的な
資金調達利息の定価も含めた結果として、信託報酬などはもとより調達金利にわたってタイトな
(要はコスト競争が進んだ)商品となっています。

しかし、過当競争の進んだ商品の行く末というのは本来の姿と異なる
様相を呈しているのです。
本来であれば、調達したいオリジネーターがサービサーである場合の信用リスクを
軽減するためにバックアップサービサーを求めるべきところ、調達金利が下がった結果
コールドベース、すなわち、破綻するまでは何もせず、破綻してはじめてデータを
もらって回収準備を始める、という気の長いシナリオも持って足りる、とする格付けばかり
になっています。これは、オリジネーターは破綻しないからコストの安いコールドベースで
いいよ、という、オリジネーター自身の信用リスクをスキームに持ち込んでいることに
他ならない訳で、そこには、格付けを出さないと仕事にならない格付け会社の安易な
結論と、発行できないと商売が出来ないアレンジャーのご都合主義と、何よりもやすければ何でもいい
というオリジネーターのエゴが、最終的な投資家に対する負担を求めているほかにない、と
いえるとおもいます。

なお、現在、動産の信託は事実上無制限にできるものの、リースの対象となる資産にあげられる
たぐいの動産の受託は実務上どの信託銀行でも出来ないことを考慮すると、現在一般に使われている
リース債権信託においてオリジネーターサービサーが破綻した場合、
リース債権は確かに信託に譲渡されている以上、その債権は信託が保有する、いわば、
リース債権の債権者は信託銀行になる、というのは当然なのですが、問題は、リース債権が
リース資産とどう組み合わせて取り扱われるか、というところが残っています。
例えば車のリースを考えた場合に、一義的にはオリジネーターサービサーの名前が
車検証に書かれている訳ですが、破綻後どうしなければならないか、ということです。
リース債権はリース資産をある意味裏付けにしているものの、その所有者とも考えられる
オリジネーターサービサーが破綻した場合のリース資産の処理というのがどうなるのかが
実は明確ではない、というリスクが実は残っているはずなのですが、

どうせ破綻しないから大丈夫

ということですまされているのが現状です。
でも、思い出してください。証券化をやっていて破綻した会社はあるんです。

                   http://www.emichanproduction.com/
                          -> "Finance"
<<<<<<<<<<<<<<<<<< financial talk >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

そうですよ。
証券化する会社は倒産しないとは限らないのですから。
形の上は、資金調達方法の多様化、と言っていますが、
これはそのうち話しますが、要は自分の債権を切り売りしているのですから
窮しているケースの方が多いはずです。でなければ、特に今の日本のように
調達金利が下がっている現状で、手間とコストがかかる証券化を行う
理由はあまりないはずです。

いろいろな所にアンテナを張りながら執筆しておりますが、
「こんなネタ教えて?」
とか、
「これってどういうこと?」
というご質問から、
「それって嘘でしょ?」
というご指摘まで、いつでも大歓迎ですのでお気軽に
メールくださいね。

で、私の今の仕事ですが。。。
先週は社内のLANケーブルの取り回しとか、IP電話の設定とか、
ITな仕事に終始していました。。。

いや、でも、私、ITな人間だけど、ITで入った訳でも、会社が ITな会社でも
ないんだけどなぁ(苦笑)

では、また次回お楽しみに。

==============================================
ep-finance: 
発行人: shi

http://www.emichanproduction.com/
メニューの "main magazine" でバックナンバーと
登録/解除をどうぞ。 

melcup: 43部
emaga: 66部
Mailux: 4部
メル天: 31部
メルマ!: 23部
==============================================
本メルマガは転送は変更を加えない限り許可ですが、
あわせて、上記サイトからの購読をお勧めください。

-----
ところで、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、

ビジネス本レビューの

           ep-books <http://melten.com/osusume/?m=18931&u=18930>

では、今スキルアップ思案中です。

80年代や90年代のポップスの紹介をする
        
           ep-music <http://melten.com/osusume/?m=18932&u=18930>

で、アンビエントハウスから派生した音楽を追いかけてます。

また、ep-update <http://melten.com/osusume/?m=18652&u=18930>で
この3つをダイジェストを中心にいろいろアップデートしたことや
はみ出したネタなどをご紹介して行こうと思っております。


そして、発行人のもうひとつの顔、浅草のお土産屋のお兄さんとしての
浅草ガイド、
         info-asakusa <http://melten.com/osusume/?m=18835&u=18930>
も、ぜひご覧くださいね。

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。