メルマガ:ep-finance
タイトル:[ep-finance] 北京の夢、香港の夢  2005/05/14


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         [[ e p - f i n a n c e ]]

         edition: 14-May-2005

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こんにちは。
発行人しております、shi でございます。

emichanproduction.com
http://www.emichanproduction.com

で、毎週連載中の経済小話を紹介して行きます、本メルマガは
発行人の知識と経験をもとにいろいろな、社会人なら
知っておきたい話から、こんなこと知ってるのは、金融業界の
ほんの一握り!といったカルト話まで、盛りだくさんで進めて
いこうと思っております。

だいぶ初夏のような陽気、と思う日が続いたかと思ったら、
ちょっと涼しくなったりと、また体調を崩しやすい気候になりましたね。
皆さんはお体の調子はいかがですか?

私は、うーん、おとといあたりからなんだか調子が。。。と
思うことがあるのですが、仕事は待ってくれないですよねぇ。。。

さて、今回のコラムですが、ep-books と連動です。
ep-books で人民元を取り扱う銀行にどうやったら口座があけられて
運用できるか、という本を取り上げたので、こちらではそもそも
人民元投資ってなに?というところからざくっとしてみたいと思います。

<<<<<<<<<<<<<<<<<< financial talk >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
 [お金について思うあれこれ : 人民元狂想曲]

時折、「人民元の投資はいいらしい」という話を聞きます。
その話の大半は「人民元の切り上げは絶対だから」というのが根拠なのですが、
ここで改めて、人民元の投資って、というところから、いろいろと考えてみたいと
思います。

まずは、現在の中国の現状を確認すると、対外的に安い労働力を武器に安価な製品を
輸出し、また、(自称)13億人という巨大な消費市場を求めて投資してくる海外の
企業などを漸次受け入れながら、ともに外貨の獲得を進めながらも、このような現状を
確保し続けるために、管理通貨制度を引いて国内からの外貨の流出を強制的に阻止し、
また、その延長として固定為替政策を導入することで、対外的な物価水準の維持を
行っている、というところでしょうか。また、その結果として、為替相場が固定している
ことから為替による調整が利かず、もう一つの調整弁である、国内の景気が上昇、
そしてそれに伴う緩やかなインフレの発生と金利上昇が起きている、というのが現状でしょう。


さて、上述のように外貨の流入が進んだ場合、その需給関係から、対外的な貨幣価値は
普通は均衡するところまで上昇してしまうのが自然な市場なのですが、人為的に
1アメリカドルが常に 8.3元に固定されている為替相場において、両国の購買力や
市場環境を勘案した場合に、人民元が相対的に割安に評価されてるのは当然であり、
また、それを武器に中国政府も外貨の流入を促進しているため、この割安感の調整を
いつかやらなければならない、といわれており、また日本を含めた関係各国がそれを
中国に求めている、というのが、投資のチャンス、といわれる背景です。

さて、現在のところ、中国に対する投資方法はいくつかあるものの、株式で外国人に
許されている B株と呼ばれるものへの間接的な投資については、確かに中国企業の
上昇をつかむ投資とみればうまみはあるのでしょうけれども、上記のような人民元の
切り上げ、ということに対しては間接的な影響しか受けないことと、その会社本来の
業績の影響が大きいことからその観点では面白みが減ってしまう確率が高いと思われます。
そうなると、人民元を持って、ということになると思います。

さて、人民元を持つには、ということですが、管理通貨であることから、米ドルのような
国外での流動性がない通貨ですので、日本国内では中国に旅行した人がこっそり持ち帰った
紙幣をもらうくらいしか方法はなく、基本的には中国に赴いて銀行で交換して、その銀行で
預金を設定して預けるしかない、というのが現状です。
口座の開け方などについてはこちらの本のレビュー
http://www.emichanproduction.com/book_review/view_review.php?book_id=30
で紹介している本を参考にしていただくとして、
純粋に投資していい思いをしよう、と考えたときに一つ重大な問題があることに気づきます。

投資で一番大事なことでもある、それは、資金の回収です。

完全な管理通貨制度によって、日本円などの外貨から人民元への交換はいくらでもできますが、
人民元から日本円への交換が、旅行者に対する特例として許されている交換後 6ヶ月以内での
それと、実需、すなわち輸出入に伴う資金決済のためのそれのみに限定されているため、
現時点で投資した人民元の回収というのが基本的にはできないというのが現状です。
思いつくところでは、個人投資家であれば、再度旅行したときに引き出して使う、
ということになるでしょうし、一日2万元(24万円相当)であれば香港に持ち出して
外貨とかえることができます。マカオですと上限はないといわれていますが、
そのままカジノでつかってしまうことになるでしょう。。。
ちょっと進んだところで、その投資した人民元を引き出して、何かを買って中国国外に持ち出して、
例えば日本国内で売りさばく、というところでしょうか。
前者は、まぁある程度の額であれば使い切れるでしょうけれども、そうでないと。。。という
ところではあるでしょうし、持ち出せるところに、というのも、投資の額との兼ね合いと
煩雑さとの兼ね合いとなるでしょう。後者に関しては、ものが売れるかどうか、というリスクや、その
国内での需要や価格のリスク、そもそも輸出するくらいの量の品を持ち出せるか、という問題などが
容易に思いつきます。

とはいえ、切り上げによる対ドル評価の上昇と、現在の金利上昇傾向を勘案すると、まぁ
個人がちょっと遊ぶにはいいかな、ということになるのかもしれません。

さてさて、とはいえ、やっぱり出口が気になるよなぁ、という風に考えてしまう方、ちょっと
したアイデアが一つあります。聞きたいですか?

人民元と連動して、かつ流動性の高い通貨に人民元の代わりとして投資する、というのはどうでしょう。
そうすれば、途中でやめた、というときにも回収しやすいです。でも、そんな通貨はあるのでしょうか。
あります。一つだけ。
実際、1997年のアジア通貨危機のときに、グローバルマクロ系のヘッジファンドが当時過大評価
されていた人民元の切り下げを求めたときに、人民元の管理通貨制度の関係から、その通貨の取引を
行って間接的にプレッシャーをかけた、とされています。その通貨とは、香港ドルです。
香港ドルも、米ドルと人民元の関係と同じくペッグ制をとっており、結果として1香港ドル=1.1人民元
が今でも保たれています。もしここで人民元が切り上げられたとしたら、香港ドルの価値が
下がってしまうことになり、フリーポートとしての魅力が減ってしまうことから、
人民元の切り上げにあわせて香港ドルも切り上げられる、という見方がたっています。
当然、同時に切り上がるかどうかはわかりませんので、その点はリスクでしょうけれども、
出口が確保されている、という意味では安心できる通貨かもしれません。

香港ドルの香港と人民元のシンセンは電車で 40分。さて、あなたならどちらをとりますか?

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                          -> "Finance"
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そうなんです。
人民元投資を考えたときに、どうしても気になってしまったのが出口、すなわち回収
方法です。まぁ、これはほかの投資を行うときも同じで、

「こんだけ儲かるんですよ!」

といわれても、元本が回収できないと、文字通り

「元も子もない」

という事態ですので、ご利用は計画的に(笑)

いろいろな所にアンテナを張りながら執筆しておりますが、
「こんなネタ教えて?」
とか、
「これってどういうこと?」
というご質問から、
「それって嘘でしょ?」
というご指摘まで、いつでも大歓迎ですのでお気軽に
メールくださいね。

さて、私はまた来週も全国を飛び回る予定です。
で、またおいしいものとか探して食べて、太るんだろうなぁ。。。

では、また次回お楽しみに。

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ところで、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、

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では、今スキルアップ思案中です。

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で、アンビエントハウスから派生した音楽を追いかけてます。

また、ep-update <http://melten.com/osusume/?m=18652&u=18930>で
この3つをダイジェストを中心にいろいろアップデートしたことや
はみ出したネタなどをご紹介して行こうと思っております。


そして、発行人のもうひとつの顔、浅草のお土産屋のお兄さんとしての
浅草ガイド、
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