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タイトル:[ep-finance] 不動産証券化のその先に  2004/12/31


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         [[ e p - f i n a n c e ]]

         edition: 31-Dec-2004

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こんにちは。
発行人しております、shi でございます。

emichanproduction.com
http://www.emichanproduction.com

で、毎週連載中の経済小話を紹介して行きます、本メルマガは
発行人の知識と経験をもとにいろいろな、社会人なら
知っておきたい話から、こんなこと知ってるのは、金融業界の
ほんの一握り!といったカルト話まで、盛りだくさんで進めて
いこうと思っております。

さて、一月以上間があいてしまいました。
ごめんなさい。

ホームページをご覧頂いた方はご存知かと思いますが、
11月14日に私の祖母が永眠しました。
私の近い親族で死去した人間が出たのは実はこの33年以上生きてきて
はじめてで、千葉のはずれで一人で生活していたため
社会人になってからは年1-2回しか会わなかったにもかかわらず、
結構精神的に影響があって、何も出来ませんでした。

とはいえさすがに年末なので、ご挨拶代わりではありますが、一本コラムを。

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        [企業資産の流動化と信託について : 不動産証券化のその先に]

不動産証券化が、とどのつまり、不動産が生み出すキャッシュフローを担保とする
商品であることは前回までの話から見ていただけたと思うのですが、今回は、
その先に見えてくる新しい商品について考えてみたいと思います。

例えば、J-REIT 銘柄や三井不動産、三菱地所といった不動産会社の株、というのは
それらの保有する不動産のパフォーマンスにある意味左右される訳ですが、そこには、
保有不動産の稼働率という形でのキャッシュフローの安定性が問題視される、という
解釈が成り立つと思われます。とすれば、所有不動産の空室率という指標がある意味
ものをいう、ということになるのですが、その他方で不動産事業を行う際に問題になるのは
テナントの質、というものもあります。

例えば、優良企業が長期で入っている、ということでその建物のキャッシュフローは
安定的になり、その物件の価値がある程度算定出来るようになる、という訳です。その結果
出来る商品が、CMBS とも呼ばれる商業不動産担保ローンの証券化になるのです。
これは、例えば上記のような物件を受益権化してSPCにいれ、そこに対する SPCへの
ノンリコースローンを証券化するというもので、当然証券化するノンリコースローンは
遡求できる不動産の価値に大きく依存しますし、その価値でありローンの返済原資は
安定した優良企業の支払う不動産賃料になるのです。

さもすれば、その優良企業自体の会社の信用力を証券化しているとも思えるのですが、
最悪の場合には担保に取っている不動産を売却して償還に充てることも出来るのですから
その意味ではそんなにテナントの信用リスクに依存しているとは言い切れないのかもしれません。

このような CMBSは、まだ国内の市場では多くの商品が出てきていないような状況です。
やはりなかなか証券化に耐え得る物件がないのか、それとも出る前に投資家に
さばかれている、もしくは投資家がCMBSにする前に投資しているのでしょうか。。。


さて、不動産証券化のもう一つの形についても見てみましょう。
あるタイプの商売で、その土地で行うことで成立する、というものがあるとします。
その場合、土地と建物というのは絶対に切り離せないものになるでしょう。
実際、建物のテナントとして入って営業する場合にその賃料を営業利益に
連動する形で設定するものがあります。とした場合に、今まで不動産信託で
見ていた、不動産市場に合わせた賃料に基づく信託受益権の受け取るだろう
キャッシュフローに対して一定レベルへの投資、という形のノンリコースローン
ではなく、 受け取るキャッシュフローを営業収益すべてとなるように賃料を
設定することで、実質的に事業による収益そのものを受益権化する、という
ことを考えられるでしょう。

ちなみに、日本の信託法では「事業」の信託が出来ないことから、数年前に
イギリスで野村證券の現地法人が行ったような「パブチェーン」の証券化、
ということが出来ないので、日本で事業の証券化を行うとすれば、このような
不動産信託に形を変えて行うことになるのでしょう。

どうしても、いろいろな点で手間が掛かることがネックになっていることから、
今のところ、公募の形では見られていないのものの、私募の形で一件二件
話が聞こえてきていますから、そのうちこの WBS (Whole Business Securitisation)
も証券化のひとつとして定着することでしょう。
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ええと、ちなみに信託を含めた不動産オーナーとしてのリスクと
リターンの考え方で面白い話が二つほどありますのでご紹介しましょう。

ひとつは、最近のディスカウントストアーの放火事件ですが、
あれに関連する法関連のリスクは「防火法」、要は防火設備や機能、非難経路の
確保がちゃんとなされていないと、オーナーがペナルティを課せられるので
注意が必要ですね。また、実際に火災が起きた場合に、保険でカバーできない
事故の費用は自分持ち、ですので、経済的にもなかなか。。。

もうひとつは、もうリンクは無いかもしれませんが、http://www.asahi.com/national/update/1211/014.html
「違法風俗店で働きません」誓約破った女性に罰金刑

という記事で、内容は

 「違法風俗店で二度と働きません」という誓約書を出しながら破ったとして、
接客役をしていた女性が風営法違反(禁止区域内営業)の幇助(ほうじょ)容疑
で警視庁に書類送検され、罰金刑を受けたそうなのですが、ここでのポイントは、
この「誓約書」作戦が、警視庁が今年、違法風俗店に対する取り締まり強化の一環
として取り組み始めたもので、違法な風俗店を摘発した際に、接客役の女性のほか、
店が入るビルのオーナーに対し「二度と違法店とはかかわらない」といった内容の
誓約書を書かせる、ということで、特に信託の場合、テナントに対してコントロールが
利かない時にこのような違法行為の幇助とされるリスクがあるようです。
ということなので、風俗店のようなものの入る建物の受託を嫌うところが
ほとんど、というか、今のマーケットにはいません。この手のビジネスを相手にする
場合のリターンは望めるのでしょうから、受益権化してコストを払うより
自分のリスクで行うほうが効率がいいでしょうね。


さて、明日から、改正「信託業法」が施行されます。
とはいえ、証券化ビジネスに対する法に対する解釈などが固まりきって
いないようですのでどうなることやら。。。



ところで、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、

ビジネス本レビューの

           ep-books <http://melten.com/osusume/?m=18931&u=18930>

では、今スキルアップ思案中です。

80年代や90年代のポップスの紹介をする
        
           ep-music <http://melten.com/osusume/?m=18932&u=18930>

で、アンビエントハウスから派生した音楽を追いかけてます。

また、ep-update <http://melten.com/osusume/?m=18652&u=18930>で
この3つをダイジェストを中心にいろいろアップデートしたことや
はみ出したネタなどをご紹介して行こうと思っております。


そして、発行人のもうひとつの顔、浅草のお土産屋のお兄さんとしての
浅草ガイド、
               info-asakusa <http://melten.com/osusume/?m=18835&u=18930>
も、ぜひご覧くださいね。

いろいろな所にアンテナを張りながら執筆しておりますが、
「こんなネタ教えて?」
とか、
「これってどういうこと?」
というご質問から、
「それって嘘でしょ?」
というご指摘まで、いつでも大歓迎ですのでお気軽に
メールくださいね。

さて、明日から2005年。
来年は…5kg 体重を減らして、
ドライバーも300ヤードを飛ばせるようにして、
メルマガもちゃんと休まずに書くようにしよう!
と思っていますが、どれがちゃんとできることやら(笑)

では、皆様、よいお年を。

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