|
|
＿ファシズム＿の＿少女＿たち＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ ……………………………………………………………………………………… 2004/9/4(土) ……………………………………………………………………………………… 「ファシズムの少女たち」 Vol.2 ……………………………………………………………………………………… ‖目次‖ ◎「ファシズムの少女たち」・『少女たちの話・里緒』 ==================================================================== 「ファシズムの少女たち」 『少女たちの話・里緒』 自由にできる大人なんて、すぐに見つかる。 あたしはモノ欲しそうな顔して、人の多いとこに立ってる。 すぐに何人かと目が合う。 声をかけてきたり、じぃっとこっちを見つめたままの 大人はダメ。図々しい人は嫌い。 目が合うとすぐに目をそらして、それでもまだチラチラと こっちを見て、どこかへ行きそうなんだけど行かなくて、 わざと格好つけた顔をしてみたり、そんな風に あたふたしてる気の弱そうな大人、そんなのが一番いい。 今日も見つかった。 ビデオ屋で、エッチなビデオがたくさん並んでる所に立ってた。 大抵の大人たちは、あたしみたいなのがそんなとこにいたら、 見てみないふりをする。それで、何のビデオも選ばずに 出て行っちゃう。 でもたまに、図々しく話かけてくるのもいる。 「何してるの？」 「こんな所に女の子がいちゃ駄目だよ」 「こういうのに興味があるのかな？」 「ホテル行こうよ」 「ウリなの？ いくら？」 「可愛いね、ひょっとしてＡＶ女優とか？ あ、それにしちゃ幼すぎか」 そんな言葉はみんな、あたしには聞こえてこない。 「自分たちを見て笑いかける大人は駄目」 そうカスミさんにも教えられた。 カスミさんの言うことはいつも正しいし、 あたしもその通りだと思ってる。 あたしに興味があるんだけど、可愛いと思ってるんだけど、 話かけることなんてできない、ただチラっと、あたしの 全身を見るだけで精一杯、心のどこかで少しだけ、 ひょっとしたらあたしの方から話かけてくれるんじゃないか……、 そう願ってる、そんな男を探してた。 今日も、見つかった。 その男。 ビデオのコーナーに入ってきて、あたしを見て、全身をビクンと させて驚いてた。その顔が間抜けで可愛い。 一瞬コーナーから出て行きそうになったけど、あたしのことを “なんとも思ってない”って“あたしに”思わせたいのか、 頑張って堂々とした表情を作って、ビデオを選ぶふりをしてた。 あたしはその男をじっと見てる。 男は無理して何も気にしない様子で、たまに横目であたしを見てる。 男の目線が、あたしの顔から胸のあたり、腕、おなか、足の先から 太もも、そして一番、男の人が“欲しがるところ”まで、 見ているのがよくわかった。 それほどまでに、その男の視線が、すごく強く、熱く、切なく 感じられたから。 あたしは白いダウンジャケットにチェックのミニスカート姿で、 足はだいぶん露出させてたけど、その男の視線は、 あたしの服装じゃなくってその下、あたしの裸を直接見ていた。 ちょっと“欲しがるところ”がむずむずしてきて、熱くなって、 “カスミさんの好きなヌルヌルしたお汁”が溢れてきたのがわかった。 こんなことカスミさんに知られたら、また怒られちゃう。 今すぐこのビデオ屋のトイレに行って、この前カスミさんに 教えてもらった通りに、指先で気持ちよくなりたい。 でも、そんなことしてたらこの可愛い大人を見失っちゃうかもしれない。 男は何本かのビデオを選んでレジに行って、店を出て行った。 あたしも着いていって、人通りの少ないところ、 男に声をかけた。 「あたしたちのところに、来ませんか？」 （続く） ==================================================================== 発行・『濡れ場』 執筆・川尻奈緒・トウイ比呂美 発行人へのお問い合わせ p_climax@hotmail.com ==================================================================== このメールマガジンは以下のページで解除できます。 http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM40D2869336812 このメールマガジンは以下のシステムを利用して発行しております。 『MailuX（メイラックス』 http://www.mailux.com/index.html 「ファシズムの少女たち」MailuX ID MM40D2869336812 Copyright (c) 『濡れ場』 ==================================================================== |