メルマガ:鈴の鳴る発信局〜魔法理論学部〜
タイトル:。○ 鈴の鳴る発信局 ○。  2004/05/15


■□■鈴の鳴る発信局----------------------------創刊号■□■

          魔法理論学部

○。-----------------------------------------------2004.5.12 
登場人物
 昨夏(さっか) 魔法理論学部の部長。この話の主人公。
 零綯(れいな) 人様の恋愛にかなりの興味を持つ少女。占いが趣味。


第一話「二人だけの部」 


「昨夏ちゃん、そろそろ帰らない?」
「あ、うん。ちょっと待ってね。今日の分の記録とらなきゃ」
 私は一冊のノートを広げ、急いで今日の記録をとる。

 1月27日
 魔力増幅薬研究4日目。今日も失敗。
 どうやらアルコールは必須のようだ・・・・。

「こんなの書いて、何になるんだろ」
 疲れた声でそういうと、傍で見ていた零綯ちゃんも「さぁねぇ」と首をかしげ
てきた。
「私の代で終わりかな・・・この部も」
 はぁ、と深い溜息をつく。
 この部__私が部長を務める魔法理論学部は、その名の通り魔法理論を研究す
る数ある魔法学部の端くれである。
 といってもかなり人気のない部で、それ相当に内容も薄い。
 大して役に立たないこのノートも、私の代だけで何冊になったのかな。
 あぁ勿体無い。
 ・・・・。
 そういえば歴史のノート、そろそろなくなるんだよね。使っちゃお、かなぁ?
 考えてみれば、ノート代出してるの私だし。
 そんなことを考え、また一つため息を漏らす私に、零綯ちゃんはクスリと笑っ
た。
「溜息ばかりついていては幸せは寄ってきませんわよ、昨夏ちゃん?」
 屈託のないその表情からは、嫌味の欠片も感じられない。
「幸せ、ねぇ」
 また突然なことを、そう思いながら部室を見回す。
 他の部員は今日も来なかったな。
 顧問の先生も全然顔見せないし・・・いや、あんまり来て欲しくないのも本心
だけどさ。
「零綯ちゃんも、無理してこの部、来なくてもいいからね?」
 あぁ、何情けないこと言ってるんだろ自分。
「―――他にいい魔法学部なら、たくさんあるし」
 私のその言葉に、零綯ちゃんはまたくすくす笑い始めた。
 な・・・っ
「なんで笑うのよっ?!」
 なんか恥ずかしいじゃんか!
「だって昨夏ちゃんたら、おかしなことを言うんですもの」
「言ってません〜」
 ちょっと拗ねて見せると、ますます零綯ちゃんは笑う。
 ・・・はぁ、この人には勝てないな。
 彼女__零綯ちゃんは、こう見えても校内一の人気者。
 美人だからってワケじゃなくて(いや、美人でもあるけどさ?)、その人柄に
惚れちゃうんだよね。
 あと、占いって趣味も、人を引き寄せる魅力の一つかな。
 よく当たるし・・・
 ま、私はあんまり占いって好きじゃないんだけどね。
 信じてないわけじゃないけど、未来っていうのは自分の目で見るもんだと思う
から。
「わたしはこの部も、部長さんも大好きですわよ。それに、」
 私が落ち込んでるのを知ってか知らずか、零綯ちゃんはとんでもないことを言
ってきた。
「昨夏ちゃんと一緒にいると面白いんです」
 お、おもしろい・・・?
 褒められているのだろうか、けなされているのだろうか。
「何が面白いの?」
 私は机を適当に並べ、最後に一通り部室を見回してから、電気を消した。
「だって昨夏ちゃんたら」
 おっと、鍵忘れてた。危ない危ない。
 私は慌てて教卓の上の部室の鍵を取り、廊下に出ようとする。
 あとは閉めてしまえばお終いだ。
 ホッと一息しようとした・・・のだが!
「恋の仕方が面白いんですもの〜」

ガタンッ

 私はイスに突っ掛かり、思い切りコケた。
「く、イ、イスはちゃんと直すものよ・・・っ!」
 ちゃんと直さなかったのは自分だが、苦渋の笑みを浮かべつつ、私は憎っくき
イスをしっかりピッタリ直した。
 よし、これで大丈夫!
「どうです?あれから瑠佳君は」
「・・・・」
 こ、こやつは・・・
 私は「その話はしないでね」と体を張って主張したつもりだったんだけど、ど
うやらこの方はわかっておられないご様子。
「明日、屋上にでも呼んで・・・」
「呼びません」
「じゃあラブレター?」
「違うって」
「もう昨夏ちゃんはわがままだなぁ、なら〜」
「零綯ちゃん」
「あ、そういえばあの子まだ部に入ってないですわよね」
「零綯ちゃ〜ん?」
「部に誘ってみるといいですねっ!そうよ、そうしましょう昨夏ちゃん!」
「・・・・」
 聞いてないなこいつ。
「そう・・・学校って青春、部活って青春!女二人より男女二人・・・」
 あぁまた始まったよ零綯ちゃんの一人妄想。
「狭い部室で二人きり。「今日も他の部員は来なかったね」、「・・・寂しいな
」、外とか見る昨夏ちゃん!
 「大丈夫、僕がいるよ」なぁぁ〜んて言いながらその手は昨夏ちゃんの肩へ・
・・!
 見つめ合う二人、その間に差し込む夕日の光―――あぁっv・・・って、昨夏
ちゃん!置いてかないでっ!?」
「知らない〜」
 この手の人ほっておくのが一番。それに、
「早く帰ろう?私は愛とか恋とか興味ないの」
「そおぉ?」
 零綯ちゃんは、つまらなそうに私の隣に並ぶ。
 そういうもん、だよ。
 そりゃ瑠佳君のことは気になるけど、ちょっといい子だな、って思っただけだ
から。
 それは「好き」とは違うよね。
 ま、でも___
「部員は・・・欲しいかな」
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こんにちは、ほとんどの方が初めましてですね。
『鈴の鳴る発信局〜魔法理論学部〜』の発行者、
貝鳴みづす(カイナ ミヅス)といいます。 以後お見知り置きを・・・
魔法学園恋愛コメディです。・・・よね?(ぇ
まだ魔法っぽいものは出てませんが、私は元々ファンタジーを専門に書いている
ので、
魔法については自分なりの世界観があります。
__が、いかんせん私は恋愛というジャンルが書けない。
ということで修行の意を込めて、このメルマガを作りました。
一人でも多くの方に読んで貰いたいなぁ・・・と思いつつ。

【ご感想】midusujp@yahoo.co.jp までお気軽にv
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