メルマガ:作家&出版人育成マガジン「パウパウ」
タイトル:作家&出版人育成マガジン「パウパウ」第140号  2012/04/08


◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆
      作家&出版人育成マガジン『パウパウ』第140号
   2012年4月8日発行(不定期発行)(2000年3月7日創刊)
      編集・発行人 上ノ山明彦
◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆
[お知らせ]
今回の編集後記はぜひお読みください。
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
●ウェブ上無料添削 槿山征宏講座のご案内●
    自然描写の練習をしよう     上ノ山明彦
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
 作家を目指している人たちのために、もの書き塾名誉塾長槿山征宏が数
回にわたって連載することになりました。この連載は、観念的な考え方や
姿勢を綴るのではなく、具体的な訓練方法や表現方法についてご紹介して
いこうという趣旨で進めていきます。
 その第1回は前号で掲載しましたが、今回はその意図するところを、私
の解釈でご説明したいと思います。
 最初に提言したいことは、自然描写の練習をすることです。
 1日1回、自分の周囲を見渡してみてください。
 そのとき目に映る光景、周辺から聞こえてくる音、肌で感じる温度や湿
度や風、何かに触れたときの感覚、食事のときの味、つまり五感で感じた
物事を書いてみてください。
 例えば、昨日の寒さと今日の寒さは違います。その違いを書いてみる。
梅の芽が出た。ウグイスが鳴いた。そういった目に映る風景を、短い文章
でいいですから3つ、4つ書いてみるのです。それを毎日積み重ねていく
と表現力がぐんと向上します。それが小説のバックグラウンドを描く力に
なります。
 心象風景描写は、時代やジャンルに関係なく非常に重要です。主人公の
住む土地、家、部屋、仕事場、事件の現場など、舞台背景として重要な要
素になるのです。
 そういうものへの観察力を高め、端的に表現する。その訓練を毎日行う。
それが大切です。

 人の動作や癖も観察しよう

 印象に残る登場人物を描くためには、周囲にいる人物を観察することも
良い訓練になります。例えばコンビニのアルバイト、タクシードライバー、
警察官、医師、役人、サラリーマンなどのように職業面から観察すること
ができます。あるいは友人、知人、家族の表情や仕草や癖を観察して、本
人の心理状態を描き出す練習をしましょう。
 登場人物を描く場合、文章に出すか出さないかは別にして、裏設定をし
ておくと人物像がより鮮明になります。
 例えば、平成××年○○月生まれ。××県生まれ。得意な科目は英語、
女の中で育ったから女の子に話しかけるのがうまい、といった具合に細か
く書いてみましょう。すると粘土でつくるように、一人の人物像ができあ
がってきます。
 そうやって登場人物のイメージが鮮明になってくると、その人物が作者
の頭の中で自然に動き出すようになります。

 ホームページと連動して指導を行います。著者名はペンネームか匿名で公
開しますので安心してください。今述べたことを参考にして、原稿をお寄
せください。応募作品の中から選抜し指導します。
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
●ウェブ上無料添削講座開始  原稿募集●
   横山征宏が応募作品の中から選抜して指導します
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
 名誉塾長横山征宏が、インターネットもの書き塾ホームページで、公開
指導を行います。月1回、応募作品の中から選抜して指導します。すべて
無料です。
<募集要項>
○今回のテーマは、「風景描写」
 身の回りの風景や印象に残っている光景など、風景描写を書いてお送り
ください。エッセイでも小説形式でもかまいません。
○枚数
 400字詰め原稿用紙換算5枚程度

●詳細はここ。
http://www.shuppanjin.com/yokoyama-koza/yokoyamakoza1.html
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
●あなたに伝えたい本●  上ノ山明彦
   下重暁子著  『鋼の女 最後の瞽女・小林ハル』 、集英社文庫
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
 瞽女は「ごぜ」と読みます。江戸時代から昭和の前半くらいまで、三味
線をもって家々を巡回し、唄と語りを演奏する旅芸人の集団がいました。
その集団は主に北陸地方出身の女性たちで、目の不自由な女性たちでした。
 瞽女の一人が小林ハルさんで、1900年(明治33年)1月24日生まれ。2005
年(平成17年)4月25日に亡くなられています。
 著者の下重暁子氏は、取材中にハルさんと偶然出会い、その生涯と芸と
人柄に深く惹かれていきます。何度もハルさんの元に赴き、話を聴き、長
い年月をかけてできあがったのが、この作品です。
 ハルさんは生後3ヶ月で病気のために失明します。3際の時に父親が死
去。病身の母親は、自分の余命が短いことを知り、心を鬼にしてハルさん
を躾ようとします。盲目の娘が、どんな辛いことがあっても一人で生きて
いけるようにするためです。
 ハルさんは幼い頃から盲目であるがために家族からも周囲からも差別を
受けます。当時は母親の真意がわからず、母を憎みました。本書ではその
苦悩も淡々と語られています。淡々と語られるがゆえに、読み手には切々
と心に響いてきます。
 ハルさんは養育してくれていた大叔父の方針で、5歳の時から瞽女修行
に出されます。それもまた、一人で生きていけるようにとの愛情から出た
ものですが、幼い子供の瞽女修行はまさに血と涙で積み重ねられたもので
した。8歳の時、本格的な巡業の旅に出ます。小さな体に大きな荷物を背
負った姿を、母は涙ながらに見送ります。ハルさんがそのことを知ったの
は、母が亡くなったあとのことでした。
 本書を読み進むにつれて、小林ハルさんの生涯と人柄に深く惹かれてい
きます。同時に、著者・下重暁子氏のハルさんに接する姿勢にも感銘を受
けます。
 私は文中の「いい人と歩けば祭り。悪い人と歩けば修業」、という言葉
に強い衝撃を受けました。これほど人生を象徴する言葉はないと思います。
これはハルさん旅に出る前、大叔父から教えてもらった言葉であるそうで
す。誰かの言葉というより、その地域に昔から伝わる格言のようなものな
のでしょう。以降、私の座右の銘になりました。
 本書は集英社から文庫で出ていますので、ぜひ読んでみてください。
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
●「出版人コム文学賞」応募要領●
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
 こちらは「出版人コム文学賞」のご案内です。
<原稿応募>
 原稿をお送りください。ワードかテキストデータで、PDFでもかまいま
せん。
・一次審査
 作品を審査委員会で審査します。合格者のみ通知いたします。
・二次審査
 横山征宏先生ほか専門家が審査します。不合格者には簡潔なアドバイス
を行います。合格者にはその旨通知いたします。
・三次審査
 作品と同時に作家と面談し、総合的な合否を決定いたします。
<作品のジャンル、枚数>
・ジャンル:小説ならなんでも可
・枚数:400字詰め原稿用紙換算50枚以上、300枚以内
http://www.shuppanjin.com/prize/prize.html
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
 編集後記
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆ 
 ウェブで無料添削講座を開くことになった槿山征宏氏は、編集の大先
輩である。本当はご本人に自己紹介を書いていただきたいところなのだ
が、「編集者は黒子だからあまり目立ってはいけない」と言われ、経歴
さえもあまり出したがらない。それでは作品を応募したい人に伝わらな
いこともたくさんあるかもしれないので、ご本人にはナイショで、簡単
にご紹介しておくことにする。槿山氏は、ある大手出版社で有名文芸誌
の編集長、出版部長を歴任し、数々の作家を育てた人である。現役を退
いた後もある文芸振興財団や日本ペンクラブの理事を務め、日本の文芸
の発展に貢献し続けている。出版業界の重鎮である。作家を志す人が、
その目標とするところは十人十色だと思うが、槿山氏の豊富な経験から
的確な指導を受けることができるだろう。出版人コム文芸賞についても、
専門分野面で必要になれば「審査委員」としてその分野の一流人にお願
いすることも考えている。近いうちにボランティア活動拡大のためのNPO
法人を設立し、作家育成活動も継承発展させていく予定だ。趣旨に賛同
される方はどしどし作品をお寄せいただきたい。(上)
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
●メールマガジンを解除したい場合は、ご自分で登録サイトにいき手続
 きをしてください。
 メルマ![ID:m00026992] http://www.melma.com/
 めろんぱん[ID:006130]http://www.melonpan.net/mag.php?006130
 Mailux[MM408ADB0E0E3A7]http://www.mailux.com/
 まぐまぐ[0000283181]http://www.mag2.com/
●i モード専用のHPは下記URLからどうぞ。
http://www.shuppanjin.com/i/
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
このメールマガジンを転送するのは自由ですが、記事の無断引用?転載
はお断りします。転載を希望される場合は発行者の承諾を得てください。

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。