メルマガ:作家&出版人育成マガジン「パウパウ」
タイトル:作家&出版人育成マガジン『パウパウ』第120号  2010/01/27


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      作家&出版人育成マガジン『パウパウ』第120号
   2010年1月27日発行(不定期発行)(2000年3月7日創刊)
      発行元 出版人コム http://www.shuppanjin.com/
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[お知らせ]
 前号でもお知らせしたようにハイチ大地震の被害は、想像を絶するく
らいに甚大です。ご自分にできる形でのご支援をお願いします。
●アメリカのCNNのサイト
http://www.cnn.com/
●イギリス BBCの最新ニュース
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/default.stm
●BBCの救援金募集ページ
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/8460380.stm
●ニューヨークタイムズの最新情報
http://www.nytimes.com/pages/world/americas/index.html
●日本赤十字社がハイチ大地震の救援金を募集
http://www.jrc.or.jp/contribution/l3/Vcms3_00001446.html
●World Vision
http://www.worldvision.org/
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●巻頭言 ●                                     上ノ山明彦 
         ハイチ大地震の報道
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 米CNNでは連日、ハイチ救援のための報道が続いています。私はほぼ毎
日ここのニュースをチェックしています。
 地震発生から一週間以上経っても、被災者の置かれた状況にあまり改善
は見られません。救援する側も必死に活動しているのですが、現在わかっ
ているだけでも死者15万以上(実数はまだ予測不可)、被災者100万人以上
と、その規模があまりにも膨大だからです。中国・四川大地震のときも被
害規模にも驚きましたが、これはその数字をさらに一ケタ上回っています。
軍隊のような自給自足ができるシステムを持った救援隊でないと、現地に
入ることさえできないからです。
 CNNでは6日目くらいでしたが、生々しい映像を流していました。ダンプ
カーの荷台に遺体を山積みし、丘に掘った穴に、まるでゴミを捨てるよう
に遺体を落としていました。死者の尊厳も何も尊重されていないかのよう
でした。直視できない光景でした。私はこの天災を忘れないためにあえて
直視しました。政府は1日約7千の遺体を処理したと発表していました。
 しかしながらそれを非難することはできません。暑い地帯では、放置し
ておけば腐敗し伝染病がまん延する恐れがあるからです。
 そういう対処をしても、その後の報道を見ると、まだまだ遺体が路上に
放置されていました。生き埋めになった人ががれきの下にまだ何万にも取
り残されています。とても手が回らないという状況のようです。
 今現在、被災者たちは水と食料を求めて、毎日行列を作っています。数
万人という子供たちが親も親戚も失い、路頭に迷っています。体力で劣る
子供たちはボランティアの支えがなければ食べ物にありつくことさえまま
なりません。幸運な子供は正規の養子縁組によって世界各国の親の元に引
き取られていきます。ひどい場合、人さらいによって外国に売り飛ばされ
てしまいます。
 こうした最低限生きていくのに必要な物資も足りない状態がいつまで続
くのか、誰にもわかりません。
 欧米では芸能人、スポーツマン、実業家、ジャーナリストなどを含むあ
らゆる人々が、ハイチ支援キャンペーンを繰り広げています。自分にでき
ることは限られていますが、できることはすべてやりたいと思っています。
 日本からも赤十字の医療・救援隊、PKOの自衛隊の方々が支援活動に参
加されています。皆様に敬意を表したいと思います。
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●夢幻流もの書き道場 ●                           上ノ山明彦 
            電子ブック―アマゾンと出版大手の動き     
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 最近の電子出版をめぐる動きは、これからの出版業界の姿を予感させる
ものがあります。
 先週、もっとも印象的だったニューースは、アマゾン書店の電子ブック
の印税の話です。アマゾンの「Kindle」システムをある規定以上に活用す
る出版社・個人は、75パーセントの印税を支払うというものでした。ちな
みに通常は35パーセントということです。
 通常の紙の本場合、著者の印税率は、本体価格の10%というのが普通で
す。それからすると、出版社が「Kindle」を使って販売した場合、経費を
差し引くとして、従来よりは多く支払うことができるだろうと思います。
著者にとってもいい話です。
 アマゾンの電子ブック・システムは、非常によくできたシステムです。
日本でも来年当たりから、このビジネスモデルが普及していくだろうと私
は考えています。日本の出版社にとっても、このシステムに乗ってしまえ
ばよいことですから、喜ばしいことだと思います。
 日本の流通(つまり取次)と書店にとっては、幕末の「黒船」並みの脅
威となるかもしれません。というのは電子ブックだけでなく紙の本までも
アマゾンに独占されてしまう恐れがあるからです。
 また、今日飛び込んできたニュースがあります。米アップルが、米出版・
情報サービス大手ザ・マグロウヒル・カンパニーズおよび仏ラガルデール
傘下の米出版大手アシェット・ブック・グループとの間で交渉を進めてい
ることが明らかになりました。マグロウヒルの電子教科書、アシェットの
ビジネス関連書籍をアップルのタブレット機で利用できるよう話し合って
いるということです。
 アップルが電子ブックとビューワーのターゲットを教育市場に定めたと
言えます。ここから一気に席巻していこうという戦略なのでしょう。要注
目です。
 もう一つのニュース。大手出版社23社が電子ブックの急拡大に向けて規
格の標準化団体を結成しました。古い体質からなかなか抜け出すことがで
きない出版社が、アマゾンの成功を見て、自分たちも将来を見据えて対応
していかなければ生き残れないということを自覚したのでしょう。
 どこまで標準化を推し進めることができるかは不明ですが、この動きは
歓迎です。ある基準で電子ブックをつくる。アマゾン製であれソニー製で
あれ、どこの電子ブックリーダーでもそれが読めるようになるからです。
 出版業界は紙の本へのこだわりが強くあります。電子ブックが紙の本の
価値をなくしてしまうと思っている人は、その普及に強く反対するかもし
れません。
 それは前に述べたように誤解です。資金と労力と資源の無駄が省かれ、
質の高い本づくりに集中できるでしょう。
 日本経済新聞社が今春「電子版」を創刊すると発表しました。記事全文
がPCや携帯で読めるようになるそうです。ようやく日本の動きも活発化し
そうです。
 2009年度の日本での電子書籍の市場は、前年比131%増でした。アメリカ
のアマゾン「Kindle」のシステムが日本で実現されれば、その数字は2倍、
3倍にもなると私は予測しています。来るべき時代に備えましょう。
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●電子ブックの夢幻文庫創刊!
 第1弾「その、向こうがわ」(永部めいみ著)、税込価格300円。
 立ち読み見本は、ここです。PDFです。
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●この名著を読め! 
           ランディ・パウシェ 「最後の授業」
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 この本は大学生や高校生・中学生に読んでほしい本だ。著者がこの授業
のテーマとして、自分が夢をいかに実現してきたかについて語っているか
らだ。パウシェがなぜこの授業を行うことになったか。まずそこから紹介
したい。
  もし自分の寿命があと6カ月と医者から宣告されたとしたら、あなたは
残された時間をどう過ごすだろうか。パウシェは実際そう宣告された。
 そのときから彼は自分のことよりも、残される妻子のことをいつも考え、
そのことに多くの時間を費やした。
 そんなとき勤務するカーネギー・メロン大学から「最後の授業」を依頼
された。その模様は録画され保存される。パウシェは迷った。授業の準備
に多くの時間が奪われてしまう。しかもその前日は妻の誕生日だ。
 悩んだ末、彼は最後の授業を引き受けることにした。そこには大きな目
的があった。
 学生たちに「夢を実現するにはどうしたいか」について話しながら、同
時にまだ幼い子供たちに向けて人生の生き方を伝えることだ。まだ幼い子
供たちは自分の記憶を忘れてしまうだろう。大人になったとき、自分の父
親がどういう生き方をし、どう死と向かい合ったのか、知ってほしかった。
 本書には、その「最後の授業」が収録されたDVDが付いている。陽気に振
る舞いながら、自分がいかにして壁を打ち破り夢を実現してきたか、ユー
モアを交えながらパウシェが語っている。
 私の心に強く残った言葉は、夢を実現しようとすると、壁にぶちあたる。
「レンガの壁があるのは、理由があるからだ。僕たちを寄せつけないため
ではない。この壁は、自分がどんなに真剣に望んでいるかを証明するチャ
ンスを与えているのだ」。心から真剣でない人、熱意がない人は、その壁
の前であきらめてしまう(ああ、私は何度そうしてきたことか)。本当に情
熱がある人だけが、壁を乗り越えて夢を実現できる。壁があっても、どこ
かに道はある。自分の情熱と知恵でそれを打ち破れ。パウシェはそうやっ
て何度も夢をつかんできた。彼の言葉には説得力がある。
 余談。迂闊にも私はパウシェのことをずっと知らなかった。知ったのは
子供がWiiで遊ぼうというので、「Wiiの間」を見ていたときだ。キング牧
師、J.F.ケネディなどの名スピーチと名を連ねてパウシェのものがあった。
カーネギーメロン大学の卒業式での祝辞だった。それは「最後の授業」の
後に行われたもの。私は何気なく見ていた。
 この人は死を目前にしながら卒業生の将来のために意味ある言葉を残し
ている。私は衝撃を受けた。天職を持ち、39歳で最愛の人と結婚し、2人
の息子と1人の娘を持ち、幸福の絶頂で過酷な運命に直面し、47歳の若さ
でこの世を去ったランディ・パウシェ。絶望と希望の中で残した言葉。
 この本の中に書いてあるが、青年期の自分は高慢で友達からは「嫌なヤ
ツ」と思われていた。「最後の授業」の後は、「聖ランディ」と冷やかさ
れた。
 夢を追い続け、多くのすばらしい人と出会い、その人々から学ぶことが
自分の成長にも夢の実現につながることをパウシェが教えてくれた。
※『最後の授業』、ランダムハウス講談社より発売中
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 編集後記
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  日本の出版物の市場規模はこれまで約2兆円で、パチンコ業界の10分
の1だそうだ。しかもそれが2009年度は、1兆6196億円まで減少している。
これは何も「サブプライム問題」や「リーマンショック」の影響ではなく、
構造的な問題なのである。
 昨年度の雑誌の休刊が170誌。業界の人から見ると、ものすごい数であ
る。ところが、書籍の新刊点数は、約7万6000点。これは1999年度の3万
8000点に比べると約2倍増。取り次ぎからの返本率が約40%。これももの
すごい数だ。全出版社が資金繰りのために続々と新刊を発行したことがよ
くわかる。そして売れなくて返本の山となる。売れない本は税金対策のた
め紙ゴミとして廃棄される。資源の浪費だ。在庫は原則として古書店には
流れない。流してはいけないことになっているが、経営に困った版元が裏
で古書店に流すという話を聞いたこともある。書籍は再販価格制度に縛ら
れているため、書店が値引き販売することも許されない。「もっと安くし
てくれたら買うのに」という読者がいても、それができない仕組みになっ
ている。いい加減、出版業界も「チェンジ」しなければ。変わるとすれば、
やはり「黒船来航」しかないのかもね。それがきっかけでもいいから、変
わることを期待しているのですよ、私は。(かみのやま)
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 編集発行人:上ノ山明彦
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