メルマガ:出版業界の常識・ヒジョーシキQ&A
タイトル:出版業界の常識・ヒジョーシキQ&A No.1  2004/03/30


出版業界の常識・ヒジョーシキQ&A
〜デキる編集者になるための心得100〜

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講師●松本京也(まつもと・かずや)
1973年生まれ、30歳。出版社勤務を経て独立、1年間フリーライターとして活動した後、編集プロダクション・KyoProを創立。2004年1月の法人化に伴い、代表取締役・社長に就任。
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 最近、編集スタッフの応募書類に目を通していて思うのが、「本気で出版をやっていくつもりがあるんですか???」ということ。私なんかは業界のなかでもまだまだ若輩者で、かつて編集者が人気職業だった頃など知らない世代ではあるのですが、求職者のあまりの意識の低さにガックリ肩を落とす毎日です。創立当初の目論みでは、今頃KyoProは15〜20名ぐらいの精鋭を集め、企業としてもっともっと大きく成長しているハズでしたが、たった1人のスタッフを採用するために数百万円の求人広告代をかけているのが現状…。確かに、ウチの採用基準が厳しいことは一部でも有名ですが、学歴を重視しているワケではありませんし、筆記試験があるワケでもありません。要は、やはり「意識レベル」の問題なのです。
 そこで当メルマガでは、出版業界を目指す人が自主的に「意識改革」を行うための材料を提供し、「自分が本当に向いているのかどうか」を見極めてもらいたいと思います。
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[入門編]
Q1.
出版社に入って文章を上達させ、将来は作家になりたいのですが…

A1.
「ムリです!」…と声を大きくして叫びたいところですが、結論だけを言えば「可能です」。但し、カンチガイしてはいけないのが、文章が巧くなったからといって作家になれるワケではありません。編集者から作家に転身した例はいくつかありますが、その人たちは元々作家になれる素質を持っていたハズなのです。では、「素質」とは何か? 作家とは、文章をベースとして文字通り何かを作り出す人のことですが、大きく分けて2つのタイプに分類することができます。1つは、自分で新しいモノを生み出してゆくタイプ、そしてもう1つは、見聞きした情報を自分のモノとして昇華するタイプ。前者は“天才肌”…ハッキリ言って、「出版社に入って文章を?」などと言っている人には一切該当しません。それに対し、後者は“職人肌”。文章を書く力も必要と言えば必要ですが、肝となるのは情報収集力や企画力と言えるでしょう。ちなみに、これらは編集者に必須の能力でもあります。誤解を恐れずに述べれば、編集者として一部の能力が突出していれば、“職人肌”の作家になることも可能でしょう。付け加えると、“天才肌”の作家も、編集者の存在ナシには成立しません。なぜなら、天才作家ほど渉外能力の低い生き物は希有だからです。“デキる編集者”がいてこその、作家というスペシャリスト。あなたはどちらに魅力を感じますか?
 最後に補足しておきますが、出版社、それも大手になればなるほど、文章を1から教えてくれるところは滅多にありません。執筆・吟味・推敲の役割が、ライター→編集担当→編集デスク→編集長→校正部→校閲部→編集局長…といった具合に、ベルトコンベアー方式で細分化されているからです。文章が巧くなるためには、長年かけて自問自答しながら文章をひたすら書き続けるか、文章を得意とする人に直接指導を受けられる環境に飛び込む以外にはありません。もちろん、「作家になりたい」というのが前提では、どこも受け入れてはくれないでしょうが…。

【心得・其の一】
「編集者が作家になれたとしても、作家は編集者になれない」

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<会社紹介>
KyoPro Co.Ltd.(有限会社キョウプロ)
〒171-0014 東京都豊島区池袋2-62-1 PISO池袋306
TEL.03-5911-0231 FAX.03-5911-0230

■創立2001年2月15日 ■従業員7名 ■平均年齢25歳(編集スタッフ)
■資本金300万円 ■売上高5,700万円(2003年度)
■「足下を見失わず、目標は常に高く!」をモットーとして、出版業界を全力で駆け上がっている編集プロダクション。現在は主に男性向けの週刊誌・グラビア誌・実話誌を手がけているが、職業・雑学・格闘技・音楽・漫画など、幅広くオールジャンルで取り扱う。

★オフィシャルサイト『KyoPro.net』URL
(FLASH版)http://www.kyopro.net/
(HTML版)http://www.kyopro.net/kyopro.html

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