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タイトル:[ep-update] ひと月ぶりで、申し訳ありません。。。  2005/05/10


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        [[ e p - u p d a t e s ]]

       edition: 10-May-2005

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おはようございます。
発行人しております、shi でございます。

さてさて、見事にひと月ぶりとなりました。
皆様はいかがお過ごしでしょうか。
ゴールデンウィークはちゃんと休めましたか?
私は、といえば、今回は10連休をいただいたおかげで
生まれて初めて

「サンデーブルー」

にかかってしまいました。
やっぱり疲れてるのかなぁ。。。

ところで、このゴールデンウィーク、私と家族は。。
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            [旅行]

いいものです。どんなに道路が混んでても(笑)

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ということで、次回からまた旅行記の復活です。
今回のテーマは、いかに渋滞を避けて東京脱出をはかるか、です。
乞うご期待を。

ということで、レビューの紹介です。

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  [頭がいい人、悪い人の話し方/樋口裕一」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569635458/kikuyaasakusa-22

タイトルには「頭がいい人、悪い人」と並列しているのですが、基本的には後者の
いろいろなタイプが延々と陳列され続けていて、そこから反面教師的に学びましょう、
というのが本書の目的。

確かに、どのタイプも、
「こうみられたら嫌かも」
という、タイプの話し方ではあるので、
「うんうん、気をつけなきゃ」
とは思わず思ってしまいます。

とはいうものの、さて、これらのある意味人生の「地雷」を避けた後ででき上がった
話し方というのは少なくとも当たり障りのないものになっているのでしょうけれども
それが果たして「頭がいい」人の話し方のそれになっているのかもちょっと疑問が残ります。

また、そんな人とのつきあい方も記載がなされていますが、
自分がその人よりもポジション的によければなんとでもできるものの
そうでないと、「君子危うきに近寄らず」で人生送るのが一番スマートだ、
という結論ってどうなんでしょうね。

としたときに、本書をどうまともに使えるか、というのは読み手がどれだけ内省的で
いるかで決まるように思えるのですが、その時点で既にその人は「頭のいい人」なのだと
思うのですが、どうでしょうか。
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ということで、ep-books では話し方と思考とはリンクする、ので、卵が先か
鶏が先か。。。なんて書きましたが、もっと考えてみると、言葉遣いの善し悪しで
心の平静などもかわるよなぁ、なんて思ったりもして、そう思うと気をつけないと
いけないんでしょうねぇ。。。

<<<<<<<<<<<<<<<<<< financial talk >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
 [企業資産の流動化と信託 : マスタートラストってそもそもなあに?]

とかく信託というものは、その名前にこだわることが多いです。
例えば、とある人が、信託にお金を信託してローン債権を買ったり不動産を買うのと、
とある人が、そのローン債権や不動産を売る人に信託設定を依頼してその受益権を買うのと、
経済効果としては同じ物であったとしても、当初信託するものが
異なるためにその信託の名前が変わり、その結果としての信託収益に対する
税金の処理がかわる場合すらあったりします。

それに、信託の対象が一つだと「○○信託」とシンプル(後述のお金の場合を除く)なのですが、
これが、例えばローン債権とお金ですと「包括信託」という名前にかわるのです。
まぁ、「名は体を示す」と言ってしまえばそれまでで、そのルールをちゃんと知っていれば
何のことはないはずなのですが、「○○信託」がお金を入れる場合だとそのルールが
ややこしくなって仕方がない。単に金銭の信託、といっても、今度はその終了時の
財産の交付のルールが必ず金銭に換価しなければか、それとも金銭で買ったものをそのまま
引き渡せばいいかで、「金銭信託」と言ったり「金銭以外の金銭の信託」と舌を噛みそうな
長さに変わったり。そして、運用方法の違いで、「特定運用金銭信託(いわゆる特金)」とか
「合同運用金銭。。。」となったり、まぁよくもまぁ、というくらいのバリエーションが
あるのです。

さて、そんな中、流動化のアレンジャーさんを含め、多くの人と話をしていて
混乱を引き起こす言葉に、「マスタートラスト」というものが存在します。
元々は、米国で年金基金に対して提供するサービスとして普及しているサービスのことで、
複数の資産運用会社にまたがる年金資産を一つの信託会社(マスタートラスト)が集中管理を
行うことで一元的に資産状況を把握し、会計報告を含めた統合情報を提供することを指します。
そこからどういう訳か、資産流動化の世界においては、資金調達したいオリジネーターの
資産を一つの信託勘定に集中させて、そこから、資金調達したい金額に対応する持ち分相当の
受益権を各資金調達ごとに独立させて切り売りしていく、というものに転じております。
従って、本来のマスタートラストの意味している、複数の信託会社で受託されている、
同一委託者の信託債権の情報を一括管理、というようなものではなく、どちらかというと、
債権の譲渡先となる信託会社の信託勘定を一つにしぼって、そこで一括管理し、その資産プールの
リターンを受益権という形の持ち分で切り売りしてく、というのがイメージしやすいでしょうし、
その「オリジネーターの資産の一括管理」という意味での「マスター」なのです。

さて、この「資産プールのリターンの切り売り」ってちょっとわかりづらいですから、もう少し
イメージ作りに入りたいと思います。

例えば、某S銀行の企業向け正常貸出債権が1兆3000億円あるとします(うーん。そのまんまだなぁ)。
これを某S信託のマスタートラストにすべて譲渡して一括管理するとします。(さらにだ:-)
なお、この場合には将来S銀行が貸し出す正常債権も常にこのマスタートラストに譲渡しますので、
このS信託銀行のマスタートラスト勘定にはS銀行が貸し出した正常債権が常にすべて譲渡されている
状態になり、S信託銀行がS銀行の代わりに貸し出し債権の管理を行っているようになっているのです。

なお、S銀行が引き続き貸し出し債権の回収を行うことで、前回勉強した対抗用件は第三者の
それだけにとどめることが出来ます。

さて、S銀行はこの1兆3000億円のうち、1000億円の資金調達をすることを決めたので、
これに対応する1300億円の受益権を全体のプールから切り出して、そのうち、1000億円を
投資家に販売して、残り 300億円を劣後部分として引き続き持ち続けた、とします。
この切り売りした 1300億円の受益権に対しては、1兆3000億円の貸し出し債権プールのうち、
10%にあたる分の毎月の回収した元金と利息を割り当ててあげて、その受益権の配当や償還に
使うことになり、残りの90%はそのまま切り売りしていないS銀行がそっくりそのまま
受け取ることになるのです。

さて、持ち分の切り売りを行う際に、この切り売りをした一塊ごとに排他性があるとされています。
例えば、上記の場合に排他性がないと、回収した元利金のうち、本来10%受け取る権利のはずの
切り売りした部分に10%が行かないで6%しか行かない、となると、買った投資家は当然怒りますよね。
これがオリジネーターの破綻時にも保証されていないと、受益権を正しく売った、という真正売買性に
引っかかりますので、むしろ大変なことになるのです。従って、この排他性のおかげで
オリジネーターのもつ持ち分(セラーズ受益権)と投資家に売った持ち分(インベスター受益権)との
間の独立性と対等性、そして、インベスター受益権でも売ったタイミングごとの固まり
(シリーズ受益権)ごとの独立性と対等性というのが「ある程度」確保される仕組みが
常になされています。

さて、あえて「ある程度」と書いたのにはそれなりの理由があるのです。
先ほどの例を思い出してください。全体の10%を有するシリーズインベスター受益権は
毎月、回収元利金の10%を受け取ることが出来ました。でも、普通はあまり、発行してすぐに
元本を返すということはしませんから、この10%の元金は少なくとも1000億円の資金調達
の部分を持つ投資家にはいらない、ということになります。そうなった時に、良くやる常套手段として、
10%の元金はこのシリーズ受益権の元本償還が始まるまではセラーズ受益権や別のシリーズ受益権が
必要になったら使えるように融通してあげるのです。もしセラーズ受益権にまわして償還したら、
セラーズ受益権を持つS銀行はそのお金で更なる融資を行ってこのマスタートラストに入れるための
債権を作り出すことが出来、その分、償還したセラーズ受益権を増やすことが出来るのです。
また、ほかのシリーズ受益権の償還に充ててあげれば、全体のそんなに大きなウェイトを「占めない」
シリーズ受益権の全額を一括償還することすら出来ますので、その意味ではシリーズ間の投資家で
償還元本資金を融通している、とも見ることが出来るのです。

また、回収した元金と同じように、焦げ付いた貸付債権が発生した場合には
その債権の消却も本来ならば持ち分相当分があてがわれてしかるべきですが、
その辺りをセラーズ受益権に率先して当てるようにしてあたかもセラーズ受益権に
信用補完的な性質を持たせることも出来なくはないのです。

このように、割と柔軟な対応を行うことが出来るマスタートラストではあるのですが、
当然いろいろと欠点もあるのです。

例えば、最初の契約書の作成が複雑で大変です。というのも、基本的な受託行為と、
シリーズ間、シリーズとセラーズ受益権の間の調整を規定するマスタートラストレベルの
契約書と、シリーズ内での、投資家の持ち分と信用補完を行うための劣後との間の規定などを
定めるシリーズ補足契約とが必要になるのです。そのため、一回きりの資金調達であれば、
よけいな弁護士費用がかかることになるため、マスタートラストである必要がないのです。

また、債権の一括管理、ということで、信託できる資産は丸ごと移してしまうため、
銀行や金融会社から別途融通してもらうための譲渡担保に使える資産がなくなる、もしくは、
セラーズとして使っているため、資金調達につかう資産担保の観点で見た場合には非効率、というのも
案外デメリットで、そのため、シリーズ受益権の発行残高に対してある程度のセラーズ受益権が
あればという条件で、とマスタートラストに資産すべてを移さなくともよい、とする契約も存在します。

そして、一旦マスタートラストにとある信託会社を使い始めると、ほかが安いからといって
今度のシリーズはあそこを試してみよう、といった乗り換えがし辛いということもあげられるで
しょうか。

とはいうものの、シリーズ受益権のための補足契約というのはそうそう大掛かりに
変えることが出来ないので、言い換えると、機動的な資金調達を行うには契約書の
リサイクルが効く分、またあらかじめ裏付けとなる資産も既に譲渡していることから
早くし上がるし、管理会社が一つということはレポートを含めた手続きが
複数会社にまたがらない分管理しやすいという裏返しのメリットもあるにはあるのですが。。。


さて、これだけいろいろあった「マスタートラスト」ですが、そのせいかどうもいろいろな勘違いが
生まれるようで

資金調達を最終的に行う債券を発行する SPC の資産を管理している、という意味でかっこいいから
「マスタートラスト」とつけてしまうが、中身は普通のスタンドアローン

ということが案外多いのです。会議をしていると、

「じゃあ、ここでマスタートラストを作って」
「ふむふむ」
「その受益権を優先劣後に分割して優先をSPCに譲渡して」
「(ん?シリーズ発行は?)あの。。。シリーズはいくつ作るんですか?」
「。。。単に優先と劣後に分割するんですが、何か?」

という、「あれ?」ということもあったりします。

また、最近マスタートラストに対比して従来型の信託ストラクチャーを
「スタンドアローン型」と呼ぶことがあるのですが、スタンドアローンにも
セラーズ受益権とインベスター受益権の概念を入れがちなものが最近ほとんどです。
確かに、シリーズ一つしか作らなければシリーズ間の関連規定を作らないですので
マスタートラストも同じ形になるのですが、先ほどのセラーズ受益権に信用補完の効果を?
持たせる、というのは、従来の劣後受益権の延長でしかなく、

「それって、セラーズとインベスターの独立性や対等性を無視した、単に
劣後受益権の形を変えたものに過ぎないんじゃないの?」

と思うのは筆者だけではない、と思いたいのです。

最近の常に優先受益権の金額を一定にするために常に追加信託を行わせるリボルビング型の
ストラクチャーではインベスター部分を一定にするもの為に必要以上に債権を譲渡させるため、
譲渡される債権額はある程度ぶれが生じることもあり、その辺りの端数調整という使われ方も
されるのが、このセラーズ受益権だったりします。。。

いずれにせよ、信託においては、その名称はいろいろな意味を背負ってつけられているので
出来ればちゃんと呼んでほしいし、そういうちゃんとしたアレンジャーさんが増えてほしいなぁ、
というのが筆者のささやかな願いだったりするのです。

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                          -> "Finance"
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という、発言の裏側には、実は、アレンジャーと呼ばれる人たちでも
不勉強な人が多いよなぁ、と思うことが多いので、なんとかしなよぉ、
なんて偉そうに思ってたりなんかしたりして(笑)

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                [(Whos Afraid of...) the Art of Noise / The Art of Noise]
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00004W4LJ/kikuyaasakusa-22

The Art of Noise が Into Battle や Beat Box といったシングルを出した後に
1983年から1984年に制作した、このアルバムは、当時のシングルをかき集めつつも
その音楽の先見性を全面に押し出したアルバムだと言って過言ではないでしょう。

実際、 Zang Tuum Tumb レーベルのフラッグシップバンドとして、
また、MTV受けを敢えてしないようなイメージ作りに徹したマーケティング、
そして、バンドの名前が示す、音楽を「雑音」から作り上げるという印象とは裏腹に、
良く聴いてみると、シンセサイザーを使ったオーケストレーションとテーブルをたたくと言った
サンプリング音の合成だけのバンドではなく、伝統的なピアノなどの楽器との協調が計算され
尽くした楽曲に仕上がっていることに気づくことでしょう。そこには、実は現代音楽の
寵児とまで呼ばれている、Anne Dudley の曲作りと、J.J.Jeczalik to Gary Langan の
エンジニアリングの勝利とも言える、楽器と音の調和が存在するのです。

そのおかげでか、20年以上たった今ですら聴いていても、サンプリングを普通に多用するように
なった今時の音楽とちゃんと一線を画する作品に仕上がっているのです。

ところで、Art of Noise の今後の方向性をかいま見ることがこの作品で見られるのです。
6曲目の Moments in Love は Pumping Iron 2 というボディビル映画にも使われているのですが、
今後Art of Noise や Anne が映画音楽を手がけることが増えることの兆しなのかも知れません。            
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                    -> "Music Review"
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で、実は普通ならばこの次の順序でリリースされたアルバムを既に聞いている
はずなのですが、どうも気持ち的にはずっと後のアルバムにはまっています。
というのも、話が先行してしまうのですが、AON が 2000年に再結成をしたとき、
基本的にはオリジナルメンバーに近い構成になっていて、よくよく聞いていると
その音楽性はこの Whos afraid of... にかなり近いものに仕上がっているように
聞こえるのです。そのため、耳障り、という観点ではこちらの最新のアルバムに
どうも傾いてしまいがちなのです。

ということで、なんだか駆け足で申し訳ありません。
もう少ししたら正常に戻れる、つもりでいますので。。。

ではでは。

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深く考えていたり、

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で、人生生きる為に必要なことってなんだろう、って考えてみたりしながら、

80年代や90年代のポップスの紹介をする        
ep-music <http://melten.com/osusume/?m=18932&u=18652>
で、アンビエントハウスから派生した音楽を追いかけてます。

そして、発行人のもうひとつの顔、浅草のお土産屋のお兄さんとしての
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