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       〜言葉を風にのせて〜   高安ミツ子

  VOL37
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お待たせ致しました。dd
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Wind Letterは言葉を紡ぐ楽しさを詩や随筆で送ります。
私の言葉の風を受けとめてくださいますか。
あなたの心の窓を開けてくださいますか。風の手紙があなたと
私の夢をつないでくれますように。
それでは、どうぞ今月のWind Lettrをお楽しみください。

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○●作者紹介●○
名前:高安ミツ子(たかやす みつこ)
日本ペンクラブ会員
日本詩人クラブ会員
 千葉県詩人クラブ会員
詩誌「玄」[White Letter」同人

 


                    


                                   

                                          
高安ミツ子                 

   姿の見えない風が

   運んできたと思えるような

   新しい生命の誕生に

   庭に咲いた満開の牡丹は

   待っていたかのように崩れるように散りました


   雨がわずかに降り
 
   風が吹き

   ほのかな光が雲間からこぼれている本日

   挨拶状を携えて社にまいります

   新しい生命の孫を胸に抱いて


   階段の上に社が見えます

   光と雨と風はいっせいに

   真っ白い頁を開いてくれて

   社の空気は澄んでいます

   いとおしい思いを

   風景に描いていくように

   新しい運命を持った生命を私は抱いています


   抱いた孫を促すように

   何百年もの樹木に

   何百年もの社に

   何世代もの見えない人々に

   君の物語がつながるように目礼をします


   階段を上るたびに

   託された義母の思いがよみがえります

   今日の私は君の曾祖母の着物に手を通し

   あどけない君を抱いています

   繋がっていく命の喜びと

   あけびのつるのように延びていく君の生命を感じながら


   このひとときを心から味わえる年齢になるまでに

   私はいくつの川を渡ったのだろうか

   去っていく時間ばかりを見送る中で

   今日の風は やってくる時間を見せてくれます


   樹木は森閑としたまま

   黙って風に吹かれています

   いくつものかしわ手を打つ音がこだまし

   君は安らかに眠っています