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タイトル:仇花の記憶 07/03/25 139号  2007/03/25


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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜

第四巻六回  小説「2 or 3」
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
小説配信回。お楽しみ戴ければ幸いです。

○●○

       2 or 3
               XQO

 世間では多分スーツと言うと十把一絡げにし
て語られてしまうんだろうけど、着ている当人
達にとっては微妙な差異で相手を測る物差にな
っている。
 大きな所ではダブルかシングルか。ツーピー
スかスリーピースか。ま、この辺は当人達以外
でも割に目がつき易い違い。
 細かい所ではシングルスーツのボタン数だろ
うな。これってモロに美意識が出易い感じだか
ら。たまに年齢もね。

 洋品店から連れ立って帰り、そしてそれぞれ
の部屋でさっき購入したばかりの戦闘服に着替
える。御披露目と言う稚気な理由もあるけど、
主な理由は体に馴染ませる為。いかにも新品で
すなんてスーツを人前にいきなり晒して、って
言うのは流石に吊るしでもやりたくは無い。一
番理想なのはスーツが自分の皮膚の様な感じで
馴染んでるって事だろう。
 リビングに戻ると敵は二人分のコーヒーを淹
れて待ち構えていた。
 「色が一寸重たい感じじゃないか?」
 おっと、先制攻撃か。それに痛い所突いて来
るなぁ。イメージチェンジ狙って選んだのに。
 「そっちこそ。好きな色の系統からいい加減
離れたら?」
 「君が言うか」
 「言うさ。たまには新鮮な気分になりたいし」
 確かにその系統の色が好きだと僕も言ったけ
ど、その色で何もかも統一しようとするのには
流石に閉口する。僕の中には好きな相手を着せ
替え人形に見立てたい気持ちが一寸あるのだ。
それを満たして貰わないと。
 「其れに、いい加減止めたら?三つボタンは」
 「悪い、かな?」
 「悪い。貴方自身に合ってない」
 もう暫くすると惑わないと言われる歳になる
僕の相方は、唇を少し歪めて深くソファに身を
沈めた。
 「大体、貴方の美意識にも本当は合っていな
いんでしょう?」
 「そう見えたか」
 「見えます」
 其れは彼の年齢差を埋めてくれようと言う配
慮からの選択だとは判ってる。同性と言うハー
ドルには折り合いをつける事が出来たけど、一
回りを越した歳の差と言うのは越え易い様で越
え難いハードルだ。
 だからと言って、僕が彼に甘える一方では本
当に相方であるなんて言えないと思う。年下で
あるからこそ彼を支えたくなる瞬間もあるのだ。
今回のスーツの選択も、その気持ちを表明化し
たいが為の足掛かりと言う感じ。
 「もっと希望を言えば」
 「三つ揃えを着ろと言うつもりだろうが、其
れは却下だな。腹回りが流石に苦しいんだ」
 「其れは…切実ですね」
 「肉体の調整も試みるんだが、短し長しと言
う感じでね。其れならばいっそダブルにしてし
まった方が潔い」
 「僕も気をつけた方が?」
 「昇進を視野に入れるなら確実にね」
 「其れもかなり難しい話かも」
 「一種の年輪だからね。改善は出来るが過剰
な抗いは無意味だろう」
 「不便ですね」
 「確かに。しかし、其れを併せ呑んだ上で着
こなすのも醍醐味だ、とは思わない?」
 「言わずもがなを問わないで下さい」
 ただ、難点も無い訳じゃない。スーツを纏っ
た彼と話しているとつい言葉が畏まってしまう。
そしてつい、自分の不埒な行動にまでブレーキ
が掛かってしまう。
 それは良い事なのかも知れない。たまに不完
全燃焼感を覚える事もあるけど。
 だからささやかな抵抗の表明として、手の甲
にキスをしてみる。少し長めに、僕の温度が彼
に伝わる様に。
 そのキスに対して、彼が人の悪い笑いで返し
てくる。
 「こう言う時の方が、純情なんだな」
 「え?な、」
 「耳たぶがとても赤い。初めての日の様にね」
 「…性悪……」
 「若さに翻弄されているだけでは芸が無いか
らね」
 顎に指を掛けられる。こう言う流れの中で目
を開けたままと言うのは恥ずかしいから閉じて
おく事にする。
 空気越しに肌で感じる彼の体温、そして微か
なコロンの匂い。そして相乗されるコーヒーの
後味。
               (了)

○●○

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせ
て戴きます。
では次号配信まで、御機嫌宜しゅう。
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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第四巻六回 2007.3.25発行

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