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タイトル:仇花の記憶 04/05/10 45号  2004/05/10


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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜

第十三回  萌えて停滞
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
では、ゆるゆると雑談をさせて戴きましょう。

一時、ショタコンアンソロジーが殆ど発行され
ないと言う時期が御座いました。1999年から20
01年にかけての事でございますね。
これは往時発布された通称『児童ポルノ法』
(99.5.26法律第52号として公布/99.11.1より
施行)の影響により、各出版社がほぼ足並みを
揃えて撤退を始めたからで御座います。往時の
ショタコンアンソロジーの性的描写に思い切っ
たものが多かった故にで御座いましょう。
そしてショタコンアンソロジーはやおいアンソ
ロジーの一派として、又雑誌に姿を変えて2002
年後半に勃発する第二次ショタコンブームまで
雌伏の時を過ごしていた訳で御座います。
此度はその流れを振り返り、第一次ブームの際
の代表格とも言えるアンソロジー『Pet-Boy's』
(97.10.25〜99.4.25/隔月刊・10巻迄/司書房)
の一寸した異変を振り返り、雑感を暫し述べた
いと思います。

創刊当時から性描写の激しかった同誌の掲載作
品に一寸した異変が起こったのは、第7号(98.
10.25発行)であったと記憶しております。
性行為描写があっさりと無くなっていたのです
ね。あったとしてもクライマックスシーンを削
除し、あくまでも性行為が行われたと言う暗喩
があるだけの作品が多くなっていました。
今にして思えばそれは「読ませる」「(読者の
内部の)妄想を更に促進させる」作品を編み出
そうとした勇気ある実験であると思えるのです
が、残念ながら筆者も含め多くの読者からは性
描写が控えめな事に対してのブーイングが多か
った様です。
結果、次の号からは性描写が再度盛り返してき
たものの、シリーズ自体は短命に終わった様な
感じでした。
その控えめな描写の期間を経て作風の新境地を
開いた方もいらっしゃった様では有りますが。

そして、ショタコン第二次ブームと言われて久
しい昨今。
もし現行の各アンソロジーに『Pet-Boy's』で
起きた異変が降りかかってきたとしたら、現行
の読者はどう反応するでしょうか?
もっと萌えるものを描けとただブーイングを起
こすでしょうか?
それとも…こっちの方が可能性が大きそうで想
像するのも嫌なのですが…『萌えも消耗品』と
嘯いて次の萌え対象を探すのでしょうか?
幸いにも、現行のアンソロジーには萌えも語り
も兼ね備えた作品が多い様で御座いますので、
筆者の愚考なぞ取り越し苦労であろうと思いま
す。同人の世界に於いても又然り。筆者の存じ
上げる限りでも各々方苦悶しつつもきちんと新
境地を開きつつ創作活動を続けておいでです。
萌えは、ただ消耗するだけのものではありませ
ん。見出して共感し、育てるものであると愚考
します。
直接的な性描写が少なくなっても、性的な気分
を濃厚に醸し出す作品はうねりの中から生み出
せましょう。その土壌を育てるのは作者と、そ
して作品の息吹を感じた読者一人一人なのです。
今回のブームが一時のうねりではなく、創作の
大きな流れの中の一派としてきちんと定着する
事を、祈って止みません。

さて、今回のブームで雨後の筍の様に出てきた
アンソロジー群と、前回のブームの際のアンソ
ロジー群を見比べてみると、二つだけ違った点
がありました。
今回創刊されているアンソロジー群には、読者
投稿紹介頁がどうも見当たらない様です。同人
誌紹介頁すらもない様子。
そして、コラムと言いますか、エッセイ的な頁
が存在していないと言う点。『少年愛の美学』
シリーズ(註1)には辛うじて巻末コラム(註2)
があるものの、他のアンソロジーには特に独立
した頁は割かれていない様子。
この二つの点が何を意味するかは、想像の域で
しか申し上げられないでしょう。
読者欄が無くなった事に就いては、出版者サイ
ドとしてはWEB上に数多に存在する『掲示板』を
以って読者投稿欄の代わりと見做し、ただ傍観
なさっているだけなのかも知れません。読者欄
が無くなった事で作品に費やす紙幅が少しは多
くなり、結果喜ぶ読者諸氏もいます。しかし、
読者欄から何かを得る事もあったと回想する身
にしてみれば、一抹の寂しさを感じざるを得ま
せん。投稿をきっかけにデビューに至る人々も
いらっしゃいましたし。(註3)
コラムが無くなった事でも作品掲載の余地は少
し増えた訳ですが、反面から見れば作品だけし
か読者は受け取る事が出来ない訳です。
それをどう受け止めるかは、最早読者一人一人
の感性の域なのでしょう。
個人的には、寂しく感じる状況ではありますが。

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。次号まで、御機嫌宜しゅう。
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註1
2003.6.15創刊。当号発行の時点でシリーズ6巻
刊行を迎えている。松文館刊行。一巻毎にテー
マを持っており、そのテーマの下の競作集とい
う体裁になっている。稲垣足穂の同名著書とは
全くの無関係。

註2
WEB上にコラムサイトを持つ『ちゆ12歳』に拠
る『爆走コラムちゆ&ゴー!!』の事。衒学趣
味と言う点では面白い試みか?

註3
無論、投稿子にそれなりの下地と実力の持ち合
わせが無ければ作家デビューは難しい。投稿は
言わば芽を見つけるきっかけであろう。イラス
ト・漫画部門に関して言えば投稿欄が一種新人
発掘の場となっていた模様。

追補
『Pet Boy's』の投稿子の多くは現在ショタ同人
誌の世界を支える中堅・大御所となっている。
又、雑誌『少年天使』『半熟天使』(共に光彩書
房)の投稿欄からは『別冊 天使のお茶会』(光
彩書房/98.8.15初版)という投稿子の為の投稿子
に拠る本が出ている。
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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第十三回 2004.5.10発行

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