メルマガ:ニューヨーク・ブラックカルチャー・トリヴィア(ハーレム)
タイトル:NYBCT#340/メリークリスマス・フロム・イラク  2004/12/27


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         New York Black Culture Trivia #340
    ニューヨーク・ブラックカルチャー・トリヴィア

          B.N.B.G./ザ・ワイアー
        メリー・クリスマス fromイラク
 

           2004/12/27
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       (1)B.N.B.G./ザ・ワイアー

 ケーブルTV局HBOのオリジナルドラマといえば、何といって
も『セックス&ザ・シティ』が有名。けれど他にも優れたドラマが
たくさんある。個人的にはあまり好みじゃないけれど『ザ・ソプラ
ノズ』もいい出来だし、『となりのサインフェルド』のクリエイター
が、外向的なウディ・アレンみたいなキャラクターを自作自演して
いる『カーブ・ユア・エンスージアズム(*)』も、神経症的でか
なり笑える。

*生真面目な熱意など持つな、とか、そんなニュアンスかな


 数ある秀作ドラマの中でも、うちの家庭でもっとも支持されてい
るのが『ザ・ワイアー』だ。ボルティモアの黒人ドラッグディーラー
組織の対立と、組織の撲滅をはかる警察の物語。登場人物がステレ
オタイプ化されておらず、しかも麻薬組織、警察、政治家の関係が
微妙かつ複雑で、ついつい真剣に見てしまう。ところが先週、とう
とう第3シーズン最終回を迎えてしまい、これからしばらくの間、
見るべきドラマがなくなってしまって淋しい限りだ。


 さて本題。最終回の前の週に、主要キャラクターのひとりである
麻薬組織トップが殺されて、視聴者をあっと驚かせた。射殺したの
はフリーランスの凄腕殺し屋。漆黒の肌、顔には大きな傷跡があり、
躊躇のカケラもなくターゲットを撃ちまくるが、黒人男性としては
特に大柄ではない。それどころか細身な体形だとすら言えるだろう。


 その射殺現場には中年の白人男性がいた。すっかり腰を抜かし、
みっともなく脅える男性を見た殺し屋は「目撃者を排除」する気す
ら失せ、そのまま現場を立ち去った。


 殺人課の黒人刑事は目撃者が白人だと知ると、やれやれという風
に頭を振りながら「B.N.B.G.だ」とつぶやく。他の刑事が白人男性
に事情聴取すると、男性は「大柄な黒人……だったと思う。……大
きな武器を持っていた……」と答えるのが精いっぱい。これが、刑
事がつぶやいた「B.N.B.G. - Big Negro, Big Gun」だ。


 つまり、白人が何らかの事件現場で黒人を目撃した場合、黒人の
特徴をつかむことがほとんど出来ず、ステレオタイプな刷り込みか
ら「大きな黒人が大きな銃を持っていた」と思い込むことが多い、
ということなのだ。


※ホームページには写真もちょこっとあります。
 www.nybct.com



    (2)メリー・クリスマス fromイラク


 多くのアメリカ人にとって1年でもっとも大切な祝日クリスマス
を目前に控え、ニューヨークのローカルニュース局NY1では、イ
ラク駐留の兵士の中からニューヨーク市出身者を選び、彼らから家
族へのメッセージをオンエアした。


 CMタイムごとに兵士がひとりずつ画面に登場する。背後は戦場
の駐屯地ならではの殺伐とした風景であったり、そこを他の兵士が
行き交っていたり、または、いかにもアラブ風の瀟洒な白い建物が
遠くに見えていたりする。


 「お母さん、お父さん、そして兄弟の●●、姉妹の●●、いいク
リスマスを! イラクより、ブルックリン出身の●●(自分の名前)!」


 だいたいがこんな感じのメッセージだった。アメリカの複雑な家
庭環境を反映しているものも多かった。「お母さん、お父さん」で
はなく、「おばさん、おばあさん」であったり、「お母さん、お父
さん、そして義理のお父さん(母親の再婚相手)」であったり。


 中には若い女性兵士の「私の息子●●へ!」というメッセージも
あった。本人の年齢から推測すると、「息子」はまだ赤ちゃんか、
せいぜい幼児だろう。


 すべてのメッセージを見たわけではないが、私が見た限りでは上
記の女性も含めて全員が黒人、またはラティーノだった。白人兵士
はいなかった。


 黒人はいまだに就職に関してきびしい状況にある。単に白人雇用
主による差別があるだけではない。社会構造的に高等教育を受ける
ことが困難な環境であったり、マイノリティー・コミュニティーを
出たがらない(白人の多い地区では就職したがらない)土壌があっ
たりする。ちなみにニューヨーク市の黒人男性の失業率は、現在
48%だ。


 しかし軍隊は高卒であればまず入隊でき、いったん入隊すると安
定した収入を得ることができる。一般に低学歴者が就ける仕事は、
雇用主の都合で簡単にクビ切りされることが多く、数年先まで収入
が安定することは大きな魅力となる。また、若い人なら将来、大学
進学のための奨学金を得ることもできる。さらに、軍隊は一般企業
に比べると人種産別が比較的少ないとも言われている。


 12月26日現在、イラク戦争に於ける連合軍側の被害者数は
1500人近くまでに上っている。(米軍犠牲者の人種/エスニック
別内訳:白人71% 黒人12% ラティーノ12% アジア系2%
その他/未詳3% CNN調べ)


 イラク側の一般市民犠牲者数は約1万5千〜1万7千人の間だと
されている。参照http://www.iraqbodycount.net/


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