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今回はロングバージョンです。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ New York Black Culture Trivia #262 ニューヨーク・ブラックカルチャー・トリヴィア ビジュアルでハーレムの今を知る #2 ハーレムの多様性/ニューヨークの閉鎖性 2004/05/15 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ハーレムは一般にアフリカンーアメリカン(※)の街として知られる。確か に街を歩けば通行人の多くは黒人。けれど、よく見てみれば同じ黒人であって もアフリカやカリブ海(西インド諸島)からの移民もいるし、その出身国はい ろいろ。 ※ここでは400年前に奴隷としてアフリカから北米に連れて来られた人々の子 孫を指す また、近年のハーレムでその存在を忘れてはならないのがラティーノ。もの すごい勢いで急増中なのだ。個人的には「ハーレムは黒人とラティーノの街」 と定義付けたいくらい。そしてラティーノの出身国も中南米/カリブ海のあら ゆる国々にまたがっている。しかもラティーノには「黒人」もいれば「白人」 もいるし、「インディオ」もいる。だから外見はさまざまだ。 ※筆者が雑誌に執筆した「特集:ラティーノ!〜全米最大のマイノリティー」 「ラティーノっていったい何よ?」の疑問が解消できるスグレもの。必読! http://www.nybct.com/zz00-latino-index.html さらに、ここ数年のハーレム再開発によって治安と利便性がよくなり、白人 や日本人も、まだその数は少ないとはいえ、暮し始めている。 それぞれの移民グループには、大人になってからアメリカにやってきた一世 と、アメリカ生まれの二世、三世がいる。彼らの中には毎年、祖国に里帰りす る者もいれば、アメリカを出たことがない者もいる。その理由は、貧しくて旅 費が出せない、不法移民なのでアメリカをいったん出れば再入国できなくなる (アメリカ生まれの二世はアメリカ市民権を持つので出入国は自由)、政情不 安などにより祖国の治安が極端に悪いなど、人それぞれ。 一世の中には英語が話せないか、片言程度の者もいる。しかしアメリカ生ま れの子どもたちはバイリンガル。中には親の教育方針、または育った環境のた めに英語しか話さない子どももいる。 アフリカンーアメリカン、ラティーノ、ウエストインディアンにはキリスト 教徒が多いが、宗派に違いがある。アフリカンーアメリカンはプロテスタント (パプティスト)、ラティーノとウエストインディアンは宗主国であったヨー ロッパの影響でカソリック。西アフリカ諸国からの移民はイスラム教徒。ただ し、それぞれのグループには上に挙げた以外の宗教/宗派の信者もいる。たと えば、アフリカンーアメリカンにもイスラム教に改宗している者がいる。 ジャマイカを始めとする西インド諸島出身者にはラスタファリズムを信じて いる者もいるが、ラスタは宗教というより思想と言える。また「ジャマイカ人 =全員ラスタ」ではない。それと同様にハイチのブードゥー、プエルトリコの サンタリアも宗教的儀式というほうが正しいのかもしれない。 ※ブードゥーのことが知りたければ voodo study(日本語)へ! http://www5a.biglobe.ne.jp/~dambala/ 所得レベルもさまざま。プロジェクトと呼ばれる低所得者用の公団アパート に住み、フードクーポン(行政から支給される食品引き換え券)で暮している 者もいれば、会社員や公務員もいる。MTVでお目にかかるミュージシャンやアー ティストもいるし、歴史的な建物を数百万ドルで買い取り、目を見張るような “アフリカンーアメリカン・インテリア”を施して、インテリア雑誌に登場す る政治家や実業家もいる。ハーレムの住人には、人種/エスニック/暮らしぶ りに、これほどのバラエティがある。 ・・・・・ けれど、ニューヨークは全米でもっとも「人種による棲み分け」が徹底して いる都市だ。上に書いたようなエスニック(出身国)のバラエティがあり、そ れは日々さらに多様化しているとはいえ、ハーレムに暮しているのは、基本的 には、やはり「黒人とラティーノ」だ。 アメリカ西海岸からニューヨークに遊びに来た友人がハーレムを見て驚いて いた。「私の街でも白人/黒人/アジア系は分かれて暮しているけれど、これ ほど広いエリアに、これほどたくさんの黒人「だけ」が暮しているところはな い」。 観光客にしてみれば、だからハーレムは「ブラックカルチャーを楽しめる街」 として値打ちがあるのだ。けれど、アメリカという多人種国家にいながら、こ れほどひとつの人種で固まって暮らすことには、どんな意味があるのだろう? それは人々に、あるいはアメリカという国にどのように作用しているのだろう? そこには何か弊害が生まれてはいないのだろうか? あるとすれば、その弊害 とは? (関連記事を夏に発行の雑誌に執筆予定です) ※ハーレムの住人の多様性を写真に撮りました。 http://www.nybct.com「ハーレム」コーナー =================================== お知らせ 連載エッセイ「125th Street, Harlem」 ハーレムのストリート実業家:カイアンテ・ヤング インタビュー「若いんだから、とにかくやれ! Young & Doin’it」 ファッション雑誌 LUIRE(ルイール)7月号(5/26発売) =================================== お知らせ リアルなハーレムを体感できる【ハーレムウォーキングツアー】 http://www.nybct.com/11-tour.html =================================== 発行人:堂本かおる Keidee@earthlink.net http://www.nybct.com =================================== ■登録/解除の方法 http://www.nybct.com/7-5.merumaga.html このメールマガジンは上記URLよりいつでも登録/解除可能です。 =================================== |