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タイトル:風からの便り。No.2  2003/07/15


2003/07/14   -水月-  since2003〜

    PS.(月のように輝いていたい・・・。)   -風からの便り。- No.2   

 実は、予定でいくと第二号は『PS.』ではなくて、違うものを書こうと思っていました。創刊号の配信を読んでいるうちに、ふと中学の卒業のときのことを思い出した。中学を卒業するときに卒業アルバムの後ろに月のように夜を照らす人になってください。と書かれた記憶がある。眼鏡をかけたほとんど面識のない先生が書いた。その人になぜかいてもらったのかも覚えていない。月のように輝くというのとは少し意味合いが違うのかもしれないが、そんな文だったと思う。その先生が何を意図して書いたかはわからない。そのときの僕は、地味な月のように光っていても・・・。夜に出ている月なんて誰も見向きもしないよ・・・。子供心に嫌な感じをしたのを覚えている。

 僕の中学時代。僕は野球少年でわんぱく、学校へは部活をしに行っていたようなものだ。毎日、毎日ぐったりするまで練習していた。夏休みも・・・。僕の中学時代の思い出は野球をしていたことだ。

 耳から入ってくる蝉の鳴き声、じりじりとする暑さの効果音。
 滝のような汗を流しながら、必死にボールを追いかけて走っていた。
 太陽の光や熱気を体全体で吸収しながら過ごした。
 夏の日差しは容赦なく照りつけ、体を酷使し、消耗させた。
 自分の存在感を示すかのように、今にもふってきそおうほど熱い太陽。
 太陽はこれでもかと言わんばかりに自分の存在感を誇示する。
 大空を暴れ回る太陽、生きることの厳しさを教えてくれる。
 練習が終わる頃にはそんな太陽も西へと傾き、昼間の強さはダウンする。
 滝のように流れていた汗もいつしか引いていく。
 熱気もいくらか和らいで、さわやかな風が体を吹き抜ける。
 厳しさに耐え抜いた僕に太陽は暖かい日差しを投げかける。
 僕を見守っている大きな太陽。
 僕は孤独を感じることはなかった。
 太陽は厳しさと優しさ、絶対的な存在感を僕に教えてくれた。
 誰もが憧れる大きな存在・・・太陽。僕も憧れていた・・・。

  僕が思い出すのは、くっきりとしたオレンジ色の色彩を放つ記憶だ。

 ・・・それから、たくさんの人と出会い、忘れられない人に出会った。今までにないこと、新しいことが信じられないスピードで僕の体の中をすり抜けていった。立ち止まることなく、躊躇することなく。たくさんの出来事があり、たくさんの人々が語りかけ、問い返すまもなく、通り過ぎていった。日々を生き、感激し、悲しみ、衝撃を受け、助け助けられ、冷たくされ、励まされ、教えられ、学び、叱られ、ほめられ、自信を持ち、へこまされる。それが、刺激を与え、細胞を活性化させ、衝撃的な出来事や思い出が、僕の体の血となり、肉となっていった。僕は日一日と成長を遂げた。

 現実はシヴィアなものだ。

 あれから、月日が流れた。いつの間にか、卒業アルバムは引越しを重ねるごとにどこかへいってしまった。中学時代の記憶もどこかへいってしまっていた。大切な思い出や記憶をほとんど忘れてしまった。思い出そうといても、遠くに押しやられていて思い出すことが出来ない。何も思い出そうといていないときに、ふと数年前の記憶が蘇ってくる。前触れもなく、断りもなく、脈絡もなく、意味もなく、纏わりついて消えてしまう。思い出そうとしても、記憶は消え去ってしまっていて、僕の手の平には何も残らない。記憶とは元来そういうものかもしれない。過ぎ去った記憶はあるきっかけがなければ、なかなか思い出さないのかもしれない。探し出すのは難しくても、僕の(/僕/心/記憶/月のように輝いている/中学時代の記憶/思い出/)中にある/月のように輝いている/という、ハイパーリンクのついたところをクリックすると中学時代の/思い出/にリンクする。記憶の片隅に押しやられていても/思い出/は僕の中に存在し、生きている。
 
 今では、色彩は変わってしまったが、月のように輝いていたいと思っている。

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