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タイトル:風からの便り。No.1  2003/07/11


2003/07/08     水月


月のように静かに輝いていたい・・・。  風からの便り。No.1


自分がどのくらいの人間なのか。。。
世界の中で、社会の中で、どの部類に属し、どのレベルにいるのか。。。
誰しもが疑問に思い、上下、前後左右の自分の位置を確かめようとする。
そして、自分は社会で通用するのかどうか。
世間知らずと思われはしないか。ドンキ・ホーテになりはしないか。。。

新しい未来へ・・・。未知の世界へ・・・。

一歩、足を踏み入れる瞬間。不安、恐怖が全身を駆け巡る。
見えない圧力がじわじわと体を締め付ける。
覚悟を決めたときの鉄の心と意志は何処かへと消えてしまう。
知らず、知らず、萎んでいく自分を感じて、情けなく思ってしまう。
何度となく、現実に打ちのめされていれば、トラウマという記憶が自分を谷底へと誘う。
年を経るにつれ、賢くも、現実のシヴィアさを悟ってしまう。

最近、日本の有名選手が続々と海外へ挑戦している。
とても、うれしいニュースだ。
今年、野球では、松井が・・・サッカーでは、中村俊輔というふうに・・・
多くのスポーツ選手が世界へチャレンジしている。
少し前までは、考えもしなかった未知の世界への挑戦。
現実という、夢の前に立ちはだかっていた大きな壁・・・。

誰かが常識を打ち崩したのだ。

今まで、少しずつ築かれていた現実という大きな壁を・・・。
未知の世界で、見えない圧力と現実のシヴィアさをはねかえしたのだ。
大方の予想を見事に裏切ってくれたのだ。

誰かが・・・。

数年前、野茂英雄がメジャーリーグに挑戦した。
その頃は、メジャーでの成功を誰も信じていなかった。
日本にいれば、将来を約束されていた投手が未知の世界への挑戦・・・。
その頃の常識を知るものであれば、誰もが無謀さを笑い、
メディアは連日、バッシングを浴びせた。
根拠のない事実で否定し、いい大人の子供のような夢物語と噂した。
誰も相手せず、話題は徐々に忘れられ、沈黙していくはずだった。

ドンキ・ホーテになるはずだった。
・・・結果は知るところだ。

常識を覆し、みごとに期待を裏切ってくれた。
手の平を返すように評価は上がった。
もちろん、野茂のフォークボールが特異な変化をするという幸運も重なってはいるのだが・・・。

奇跡は起こったのだ。

 しかし、僕は世間を見返した野茂を評価しているのではない。
野茂も世間を見返したくて、努力をしたわけではない。
自分を未知のステージへ、ただ無心に挑戦したのだ・・・。
年俸がどうとか、将来がどうとか、世間の反応がどうとか、そんなことは考えなかったと思う。

自分はどう思うのか・・・。

憧れのメジャーリーガー相手に自分の球を放ってみたい・・・。
憧れの選手を相手に自分がどこまで通用するのか・・・。
自分より格上の相手を前にして、自分の力を出してみたい・・・。
最高の場で、自分の大好きな野球が出来る・・・。
誰に勝ちたいわけでも、誰かを見返したいわけでもなく、
彼にとって、そのことがとてもうれしいし、楽しいことなのだと思う。
結果が出せなくても・・・なんら恥じないと思う。
もっと、シンプルに・・・。
最高の場で、自分が思う存分、野球が出来ることが何よりも幸せなのだと思う。
何も野茂に限ったことではない。

憧れの世界へ・・・、未知のステージへ・・・。

かつての、コロンブスのように・・・。
海の向こうを眺めながら・・・海の向こうに何が待っているのか・・・。
海の向こうに地獄が待っていると周囲が言ったところで、彼の耳には届かない・・・。
目を爛々と輝かせて、未知の世界を想像していたことだろう・・・。

奇跡は起きた・・・。

彼らはとても輝いている。
太陽のように光を放って・・・輝いている。
奇跡が起きなくても、輝いている。

僕は、そんな偉大な人物になろうとは思わない、なれるとも思っていない。
太陽のような、光を放てる人だとも思わない。
自分が人に自慢できるような、すばらしい才能を持っている人だとも思わない。
そんなに周囲を強い光で照らすような人ではない。

以前、何か書こうと思って、挫折したことがある。
みんなが目を見張る、評価する、立派なものを書こうと思った。
もちろん、そんなものは書けなった。。。
何を書いてもいいし、こんなに世界は広くって、
題材なんて、そこかしこに溢れていると思っていたが、
いざ書き始めようとすると、ちっぽけな自分しか書けないし、
自分の半径数十センチの狭い世界しか書くことが出来ないことに気づかされて愕然とした。

何を書けばいいのか。。。
どんな文章を書けばいいのか。。。
結局、奇跡など起こらなかった。。。

シンプルにいこう。

書きたければ書けばいい。。。
何だっていい。。。
思ったことを書けばいい。。。
奇跡なんて起こらなくっていい。。。
宛先のないこの手紙を読む人がいるかもしれない。。。

世の中に認められようとか、立派なものを書こうとか、
立派である必要はない。自分の位置を知る必要もない。
何気ない文を読んで、助けられたこともあった。
今では記憶の片隅に追いやられてしまった小さな挫折や不快な出来事、
不安、恐怖、思い出すことも出来ない日常の一こまの中で、
確かに僕に元気をくれた。もう忘れてしまった記憶・・・。
この手紙を読んで、誰かが、何かを感じることが出来たならば・・・。
奇跡は起こる。偶然起こる奇跡などない。奇跡は向こうからやっては来ない。
 奇跡は起こすものなのだ。

 夜空の月のように静かに輝いていたい・・・。

 自分を照らすことで精一杯で、時に忘れられてしまいそうで・・・。
夜空の片隅で、静かに・・・。消えそうなくらい弱い光で・・・。

 かつては、ポストの中にたくさんの手紙やら、
広告などの一方的な読みきれいほどの情報を読み漁った。
今は、時々、宛先のない手紙が誰かのポストに届くように・・・。手紙を書いている。

 月のように静かに輝いている・・・。


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