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MM3F06A505A73CE
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別世界(6)
「いらっしゃい、ん?あんたんとこのお客かい?」
薄暗い店内に入ると
中には3人程の大柄な戦士と一人の老婆が
小さなテーブルを囲むように座っていた
老婆がゆっくりと腰を上げながら手招きをする
ミリアが駆け寄り付き添うようにして
奥へとゆっくり歩き出した
二人も後を追うようにして歩き出す
大きさはさっきの飲み屋とさほど変わらない
しかし、明り取り用の窓が少ないため全体的に暗く
店内の様子は良く解らなかった、
只、三戦士は興味津々と二人を見続けていたのと
その内の二人は髪が長かった事、もう一人は
ショートかセミロングでなんやかやと装飾品を
身に付けていた事
「こっちへお入り」
と少し左側から明りが注し、そこから老婆が振り向き様に
こちらを呼んだ
そこは書庫みたいな部屋で、あちこちに書類やら本やらが
本棚から溢れ、地べたから高層ビルが何棟も立ち並ぶように
積み重なり、歩く場所すら殆んど無いような状態だった
只、天窓がある分こっちの方が断然明るかった
そこに申し訳なさそうに小さな机と椅子が置いてあり
老婆がそこに座ると、いきなり
「ほれ」と手を勢い良く差し出した
それに無言で袋を手渡すトマス、
中を見てニンマリと笑顔をこぼす老婆
「何人欲しいんだね?」と顔をほころばせたまま彼に向ける
「質が良ければ人数は構わないですけどね」
「ほうほう、それは良い心掛けじゃて、そうじゃな」
と袋の中を覗きながら少し考え込む
「テーブルに座っとった3人がおるじゃろ、あれでどうじゃ?」
と袋を見たまま喋ると、
まだほころんだままの顔をこちらに向けた
「あら、手待ちが十人程居たと思うけど」
とミリアが不機嫌そうに言いながら睨む
老婆は一瞬にして、
ほころばせていた顔が驚きに変わり、そして怒りに変わった、
「おや?どう言う意味だい?ミリア」と睨み返す
「別にい、只、あの3人は只のよそ者じゃない、
もし何か有ったらこの村の信用が傷付くわよ?」
「ふっ言う様になったねえ、だけどさっさとお帰り、後でおまえの母さんに
叱って貰わなくちゃいけないね!ミリア!」
「・・・!!」ミリアは黙って下を向いた後、
こちらを恨めしそうに見る
トマスがカシスの横腹をこずく「!?」
「あの娘が欲しかったら傍に行ってあげなさい」
そのまま、その言葉にうなずき、カシスは彼女に近づいた


2003/07/22/アダルタスファクトリーズ